ニュースダイジェスト

　海外報道によると、AXS-Alphaliner（仏）は6月2日時点の最新調査で待機コンテナ船が70隻・18万5,157TEUと世界のコンテナ船隊3,200万TEUのわずか0.6%と驚異的な低水準となり、コンテナ船は完全雇用状態にあるとレポートしている。
　要因は米中間の関税停止により、8月の関税再導入の可能性を前に企業が駆け込みで貨物を輸送するため、太平洋航路の輸送需要が増加していることや、紅海の迂回航路と世界的な港湾混雑がさらに船舶の可用性を圧迫していることなどをあげており、喜望峰経由の迂回ルートの航路を選択するコンテナ船が世界的な船腹量を8%削減していると推計している。
　Alphalinerのレポートでは、大型コンテナ船における需要圧力が特に深刻だと指摘。現在、12,500TEUを超えるコンテナ船で待機状態にあるものはほとんどなく、興味深いのは、唯一の例外が"MSC ARIES"で、昨年イラン当局に差し押さえられたため、現在も運航不能状態にある点としている。
　しかし、現在の市場の不確実性について警戒感を示しており、コンテナ船は現在、混乱と不確実性から恩恵を受けているが、この状況がどれほど続くかは不明と指摘、船腹吸収要因が欠如する場合、利用可能な輸送需要を上回る可能性が高いと警告、今年後半に再導入される可能性のある関税は、主要航路における貿易パターンと船舶配置戦略に重大な影響を与える可能性があるという。

　スエズ運河における今年4月の通航船隻数は前年同月比7.7％減の1,038隻で、うちタンカーが0.1％増の414隻、その他の船舶は12.6％減の624隻だった。
　通航料算定の基準となる独自のトン数ベースでは6.9％減の4,080万スエズ運河トン（SCNT）、通航料収入は6.3％増の168億エジプトポンド（3億3,900万米ドル）だった。
　1～4月はの通航船隻数は前年同期比14.9％減の4,019隻で、うちタンカーが6.9％減の1,534隻、その他の船舶は19.1％減の2,485隻だった。トン数ベースでは19.4％減の1億5,640万SCNT、一方通行料収入は13.5％増の623億エジプトポンドと増収になった。通航量収入の増加は、スエズ運河庁が昨年に段階的に実施した実施した通航料の値上げ措置によるものとみられる。

　CMA CGM（仏）は8月からアジア／東アフリカ航路で新たにKilima Xpress Serviceを開始する。新サービスは上海8月4日起こしの"CMA CGM TARRAGONA"（4,231TEU）を第1船に、3,500～5,000TEU型コンテナ船8隻を投入し、上海～寧波～南沙～シンガポール～コロンボ～モンバサ～ダルエスサラーム～コロンボ～シンガポール～上海のローテーションで定曜日ウイークリーサービスを展開する。

　COSCO Shipping Lines（中国）グループのOOCLは先月末から、4月中旬から休止していた中国／米国西岸航路のPacific South China Express（PSX）を、COSCOとの協調配船で再開した。
　新PSXは、5月28日高雄発"OOCL Utha"から、高雄～厦門～塩田～ロングビーチ～高雄の新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始しており、COSCOはSEA3のサービス名で貨物を引き受ける。
　現時点で、サービスに就航するのはいずれも8,063TEU型の姉妹船"OOCL London"、"OOCL Rotterdam"、"OOCL Washington"がスケジュールに入っており、ウィークリーサービス体制にはあと2隻必要となるが、7月上旬までには定曜日ウィークリーサービスになると見られる。

　A.P.Moller-Maersk（デンマーク）傘下のAPM　Terminalsと中国の荷役機械メーカー、三一海洋重工（SANY Marine）は、APM Terminalsへのバッテリー式ターミナルトラクターの将来的な供給に関する基本枠組み契約に調印し、脱炭素戦略における重要な一歩を踏み出した（写真）。
　契約に基づき、APM Terminalsのグローバルネットワーク全体で約500台のディーゼルエンジン式ターミナルトラクターが、2030年までにバッテリー電気式モデルに代替する。この移行は、ターミナル設備の電化に向けた標準化されたアプローチの一環で、APM Terminalsの脱炭素化へのコミットメントを強化するもの。

　韓国のHD韓国造船海洋は、Ocean Network Express（ONE）からLNG2元燃料エンジンを搭載する15,900TEU型コンテナ船8隻を受注した。契約額は合計2兆4,000億ウォン（2,400億円）。
　受注したコンテナ船は長さ366m、幅51m、深さ30.3mで、蔚山HD現代重工業で建造し、2028年下半期までに順次引き渡す予定だ。HD韓国造船海洋が今年受注した44隻のコンテナ船のうち、約60%にあたる26隻がLNG2元燃料推進仕様。

　国際ドライカーゴ船主協会(INTERCARGO）が11日に発表した2025年版バルクキャリア事故報告書によると、2015年から2024年の10年間に20隻のばら積み船10万dwt以上）が沈没し、89人の船員が死亡している。座礁が依然として船舶喪失の主な原因で全体の45%を占めている。一方、貨物の液状化は依然として最大の人命被害をもたらしており、死者数は全体の60%以上となる55人を占める貨物の液状化とは異なる原因である貨物の移動は、2隻の船舶の沈没と12人の命を失い、新たな懸念として浮き彫りになっている。
　2024年には作戦上の犠牲者は1件のみだったが、紅海でばら積み船がミサイル、ドローン、無人水上艦による3件の攻撃を受け、船員4人が死亡した事件は、統計分析とは別に記録されているが、海上安全保障の危険性を高めていることを浮き彫りにしている。
　報告書はまた、ばら積み船の事故件数が年間平均2件まで減少し、10年間で平均死亡者数も顕著に減少していることを示している。こうした減少は、船舶設計の改善、乗組員訓練の改善、そして規制枠組みﾝ強化によるものだ。しかし、INTERCARGOでは、特に貨物の不適切申告、航海上の不具合、旗国による事故調査報告書の提出遅延など、依然として重大なリスクが残っていることを強調、IMO GISI（グローバル統合海事情報システム）プラットフォームへの平均報告時間は依然として2年以上、業界が適切な是正措置を講じ、改善策を迅速に実施する能力を著しく阻害していると指摘している。
　世界中で1万2,500隻以上のばら積み船が就航、ドライカーゴ取引の需要が拡大し続ける中、INTERCARGOは業界全体で人命喪失ゼロ、船舶喪失ゼロの達成へ向けたコミットメントを改めて呼びかけ、会員、国際機関、そしてより広範な関係者と協力し、目標の推進に努めるととともに、ハイリスク地域における船員の安全確保のための緊急対策の推進にも取り組んでいくとしている。

　インド・ケララ州ビジンジャム港Vizhinjam International Seaportに9日、MSC（スイス）が運航する世界最大級のコンテナ船"MSC Irina"（24,346TEU）が初入港した。
　同船は、全長399.9m、幅61.3mで、コンテナを26段まで積載できる。MSCが運航するIcon級コンテナ船隊の一隻で、2023年3月に竣工した。同港ではすでにIcon級の"MSC Turkiye"、"MSC Michel Cappellini"が寄港している。　
　Vizhinjam International Seaportにとり、"MSC Irina"の寄港は、同港が戦略的な重要港であることを示すだけでなく、持続可能な海上輸送へ対応力を示すことになるという。

　台湾船社のYang Mingの5月の売上高は前年同月比18.0％減の264億台湾ドル（8億8,000万米ドル）で、1～5月も前年同期比7.0％減の704億台湾ドルといずれも減収となった。

　日本郵船の法務部門はこのほど、トムソン・ロイターグループの国際的法律専門誌「Asian Legal Business」（ALB）が主催する”ALB Japan Law Award 2025”のJapan In-House Team of the Yearカテゴリーで、海事セクターとして唯一ファイナリストに選出された。
　ALB Japan Law Awardsは国内外の法律業界で高い知名度を持ち、日本のトップクラスと評価された法律事務所や企業の法務部門を表彰し、法律業界の発展に大きく寄与したその功績と業界への貢献を称えるもの。
　日本郵船は、法務部門事業部とが連携して脱炭素など地球規模の社会課題の解決にも積極的に取り組んでいるとし、様々な法的機能を果たすだけでなく、海運業界の未来を担うような新規事業において、過去に例のない契約構築にも意欲的に挑戦しているという。

　川崎汽船はこのほど、SOMPOアセットマネジメントが運用する「SOMPOサステナビリティ・インデックス」の2025年の構成銘柄に選定された。
　同インデックスは、ESGに優れた約300銘柄で構成し、「サステナブル運用」のポートフォリオ構築に活用されており、同プロダクトは長期投資を志向する運用を実施し、複数の年金基金や機関投資家に採用されている。川崎汽船が同インデックスの構成銘柄に選定されるのは4年連続、今回が10回目となる。
　川崎汽船グループは、全てのステークホルダーから信頼されるパートナーとして、グローバル社会のインフラを支えることで持続的成長と企業価値向上を目指すことをビジョンとして掲げ、自社の経済的価値と両立させる形で社会課題の解決に貢献して社会的価値を創出することを目指している。

　スワイヤー・シッピング・プライベート・リミテッドは7月7日付で、名古屋オフィスを新規開設する。これに伴い現在、ミレニアムシッピングで同社の代理店業務に従事しているスタッフも名古屋支店へ移籍する。
　名古屋支店の所在地は〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内1-15-20
ie 丸の内ビルディング４階（TEL：052-746-0270、FAX：052-746-0271） 。
　新支店としての最初の輸入本船は"Raboul Chief"（Voy.003W）、輸出は同船で（Voy.003E）からとなる。

　航空貨物運送協会（JAFA）は11日、2025年度のJAFA定時総会を開催、その後の理事会で岡本宏行副会長（郵船ロジスティクス社長）、鳥居伸年副会長（近鉄エクスプレス社長）が退任、新たに山中哲也副会長・総合部会長（近鉄エキスプレス専務執行役員）と原秀則副会長・国際部会長（郵船ロジスティクス社長）をはじめ役員6人を新たに選任した。
　総会・理事会後の会見に臨んだJAFAの杉山千尋会長（日本通運・副社長、写真）は、冒頭で現在の市場について説明し「日本発の国際航空貨物は長らく対前年比マイナスで推移してきたが、昨年4月以降プラスに転換し、2024年は前年比8％増の82万トンと3年ぶりのプラスとなった。今年は米国の関税政策とそれに対する各国の対抗措置、荷主企業の調達先変更や生産拠点の移転など物流にも大きな影響が発生している。ただ直近となる4月の荷動きは前年同月比3.9％増、うち米国向けは5.5％増となり懸念されている影響は出ていない。先行きを見通すことは困難で、今後も主要各国の動向と自動車、半導体など、主要産業の産業情勢に注意深く目を配っていく必要がある」述べた。
　杉山会長は、業界は今年も変化の激しい状況にあるとしたうえで、JAFAは今年も継続して、安全・保安関連の教育訓練事業やデジタル化、環境対応、空港新整備構想への対応と情報収集に重点的に取り組む方針を示した。
　杉山会長は、特に教育訓練としてIATAのCBTAプロバイダーの免許を更新し、荷主を巻き込んだ危険品貨物の取り扱いの教育訓練、また会員企業の従業員によるサービス品質の向上に向けたIATAディプロマ試験の実施や教育訓練を強化していくとしたほか、成田空港の新整備計画の具体化が進むなかで、新施設への関心が集まっている一方、既存の貨物取扱建屋の老朽化も深刻だと指摘し、品質の維持のためにも既存施設への保守、維持の取り組みも重要だとの考えを示した。

　大手フォワーダー5社（日本通運、近鉄エキスプレス、郵船ロジスティクス、にしてつ、阪急阪神エクスプレス）が5月に取り扱った輸出航空混載貨物量は合計で4万581トン、前年同月比4.8％減と2カ月連続のマイナスとなった。ゴールデンウイークによる営業日の減少や、米国、欧州向け荷動き、とくに米トランプ政権の関税政策で日本からの自動車輸出がターゲットの一つとなっていることで関連品の荷動きが鈍くなっていることも要因の一つに挙げられている。
　日本通運の取扱量は前年同月比2.2％減の1万6,652トンと4カ月ぶりのマイナス、近鉄エキスプレスは19.6％減の8,128トンと2カ月連続で2ケタのマイナスとなり、3月実績の1.2万トンから4,000トン近い落ち込みとなった。郵船ロジスティクスも6.5％減の8,962トンと6カ月連続で前年同月の水準を下回り、マイナス基調が持続している。にしてつは21.6％増の3,873トンと4カ月連続のプラスで好調が持続、阪急阪神エクプレスも10.1％増の2,966トンと2カ月連続で2ケタの伸びを記録した。

　カンボジアからの報道によると、アジア最大級の空港の一つとなる首都プノンペン近郊に建設中の新国際空港「テチョ国際空港（Techo International Airport）」（完成予想図）は今年7月に開港が予定されいたが。9月にずれ込む見通し。
　新空港はプノンペンから南約30kmに位置し、敷地面積は2,600haとプノンペン国際空港の混雑緩和を目的として設計されているが、規模はこれを超えるものとなっている。
　処理能力は世界十大空港の一つとなる見込みで、第1段階で年間1,500万人の乗客と17万5,000トンの貨物を処理できる施設を整備中、さらに、2030年までにこの容量を2倍以上に拡大する開発段階を計画。プノンペンとの専用道路と鉄道の接続は現在建設中だ。
　新空港の主要な目的の一つは、カンボジアのグローバルな観光市場への露出を拡大することだが、貨物処理能力も重要となっている。カンボジアは、衣料品、靴、一部の電子機器分野における低コスト調達拠点として急速に成長、タイ、ベトナム、中国の間にある地理的優位性を活かし、組み立て拠点となる可能性がある。このポテンシャルを最大限に活かすためには、物流インフラの改善が必要で、テチョ国際空港が予定通り開港し、効果的に機能すれば、この目標の実現に向けた大きな一歩となる。

　韓国・仁川国際空港の5月貨物取扱実績は、輸入が1.0％減の12万8,372トン、輸出が0.6％減の12万2,249トン、合計では0.8％減の25万521トンと3カ月ぶりのマイナスとなった。トランシップ貨物もインバウンドが3.0％減の4万8497トン、アウトバウンドが5.3％減の4万7,714トンといずれもマイナスで、合計では4.2％減の9万6,210トンと低調だった。
　主要相手国・地域ではインバウンド、アウトバウンド合計で米国が10.5％減の2万3,994トンと米国の関税政策で2ケタ減となり、中国も5.0％減の2万810トン、香港が7.6％減の1万906トン、日本が3.6％減の8,077トン、ベトナムが10.0％減の5,277トン、ドイツが12.2％減の2,643トンといずれもマイナスとなった。

　全日本空輸（ANA）の4月貨物実績は、国際貨物が前年同月比0.2％減の5万780トンと微減ながら3カ月ぶりのマイナスとなったが、前月に続き5万トン台は維持した。郵便も18.3％減の846トンとマイナス基調が持続している。
　国内貨物は1.1％増の2万195 トンと9カ月連続のプラスも郵便は20.9％減の1,337トンと10カ月連続のマイナスだった。

　日本港運協会、日本港湾福利厚生協会、港湾労働安定協会、港湾貨物運送事業労働災害防止協会の4団体は11日、通常総会後に港運関係団体合同懇親会をパレスホテル東京で開催、日港協の久保昌三会長（写真上）は冒頭のあいさつで「外国人雇用について労働組合、専業事業者、関係省庁と連携して制度設計し具体化していきたい」との方向性を示した。
　人手不足対策について久保会長は「港湾の人材確保には魅力ある賃金が必要であり、取引適正化が重要だ。4月には国土交通省と連名で港湾運送事業の運賃・料金における適切な価格転嫁に向けたお願いを、港湾ユーザーである荷主や船社に向けて発出、事業者が必要に応じて活用できるようにした。また石破茂首相からの指示のもと、国交省、防衛省との間で、港湾運送業と自衛隊における人材確保の取り組みに係る申し合わせを締結し、連携していくこととなった」と最近の人材確保対策について説明した。
　さらに「港の生産性向上には、国交省が遠隔操作RTGの導入、新たな技術開発、サイバーポートなどに取り組んでおり、DXを推進している。安全性、労働環境の向上の面でも必要であり、女性や高齢者が働くことが可能となる。組合を含め港運業界が一丸となって将来を見据えた建設的な議論を進めたい」と述べた。
　また「外国船社は1.5万TEU超の大型コンテナ船を基幹航路に投入、それに伴いアジア近海航路にも大型船がシフトしてくる。国際コンテナ戦略港湾と地方港を結ぶ国際フィーダー機能、アジア広域集貨にも悪影響が懸念される。戦略港湾に基幹航路、国際フィーダー、アジア近海航路の誘致を強力に進めない限り競争力強化はおぼつかない。引き続き国が前面に出て政策を推進していくことを期待している」と要請した。
　続いて来賓を代表して、中野洋昌国土交通大臣（写真下）があいさつし「地域の雇用と経済を支え、産業の国際競争力を向上させるための重要なインフラである港湾の役割は大変重要だと認識、国交省としても港湾の整備や防災減災対策を着実に進めていく。労働者不足解消に向けた対策や、労務費の適正な転嫁は重要だと認識しており、引き続き関係者と連携を図りながら、対応を進めていきたい。わが国のサプライチェーン強靭化に資する国際基幹航路の維持、国が前面に立ち、引き続き国際コンテナ戦略港湾政策を強力に推し進めるとともに、AIの活用などによる港湾物流の生産性向上、港湾の情報セキュリティ対策の強化を通じて、荷主や船社から選ばれる港を目指していく」と述べた。

　日本港運協会は11日、第63回通常総会をパレスホテル東京で開催し、港湾運送事業の安定化、効率化、サービス向上のための指導と支援などに取り組むとする2025年度事業計画を承認するなど、議案をすべて承認した。
　25年度事業計画は、ほかに港湾の国際競争力の強化などに関する諸施策、港湾労働の安定化に関する諸施策、その他、協会の目的を達成するために必要な事業として、承認を得た。ほかは、24年度事業報告、計算書類、25年度の収支予算と会費分担などを承認した。

　名古屋港管理組合は9日、リトアニアのクライペダ港と相互の交易拡大や持続可能な発展を目的とした覚書を締結した。
　同締結についてはリトアニアと日本のさまざまな産業におけるビジネス協力を促進・拡大することを目的に、リトアニア共和国政府主催でホテルオークラ東京で開催したリトアニア・日本ビジネスフォーラム内で締結したもので、クライペダ港湾局CEOのアルギス・ラタカス氏と、名古屋港管理組合専任副管理者の鎌田裕司氏が締結した。具体的には、名古屋港とクライペダ港との相互の交易拡大や持続可能な発展を目的とした情報共有などを進める。
　クライペダ港は、バルト海東岸に位置し、2024年のコンテナ取扱量は106万TEUに達し、バルト3国（リトアニア・ラトビア・エストニア）最大の港で、世界約70カ国と交易している。

　名古屋港管理組合議会は11日、 2025年6月定例名古屋港管理組合議会本会議で、議長に名古屋市会議員ふじた和秀氏、副議長に愛知県議会議員の富田昭雄氏をそれぞれ選出した。
　ふじた氏は1964年2月15日生まれの65歳。1999年から名古屋市会議員を務め、当選7回。都市消防委員会委員長、総務環境委員会委員長、公社対策特別委員会委員長、議会運営委員会委員長、名古屋市会議長、名古屋市監査委員、大都市制度・広域連携促進特別委員会委員長、名古屋市会アジア・アジアパラ競技大会推進議員連盟会長など歴任。名古屋港管理組合議会議員は9回就任している。
　富田氏は、1959年1月30日生まれの66歳。1999年から2011年までと2015年から現在まで、愛知県議会議員を務める。健康福祉委員会委員長、人づくり・福祉対策特別委員会委員長、カーボンニュートラル調査特別委員会委員長を歴任。名古屋港管理組合議会議員には6回就任。

　日本GLPは、大阪市で延べ床面積約2万1,000m2の全館冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設「GLP南港II」を着工、収容能力約2.5万トンの保管型施設として2026年12月に竣工する予定だ。
　南港エリアは、冷凍・冷蔵倉庫の集積地であるとともに、統合型リゾートの誘致や研究開発・ビジネス創造・にぎわい創出など、国際的な交易・交流を促進するビジネス交流拠点の形成を目指す大阪湾岸部に近接している。同施設は、主要高速道路や幹線道路にも至近なことから、大阪都市圏はもとより、兵庫、京都、奈良をはじめとした関西エリアへの配送にも優れている。また、東南アジア・中国航路が充実する大阪港のコンテナターミナルへのアクセスが良好で、生鮮・冷凍品の輸出入に不可欠な動物検疫の検査を庫内で受けることができる立地のため、輸入・通関・検疫・流通加工・配送といった一連の業務を1つの施設で完結できる希少な冷凍・冷蔵物流施設となる。
　同施設は地上5階建て、最大2テナントが入居可能な全館冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設。2階から4階の冷凍庫エリアは有効天井高を6.0m確保することで、パレット積載率の向上による保管量の増加が可能だ。また、床荷重は2.0t/m2とし、保管効率を向上させる移動ラックの設置にも対応が可能で、カスタマー企業の効率的な荷物の保管を実現する。

　国際海運会議所（ICS）はこのほど発表した「マリタイムバロメーターリポート2024-2025」で、地政学的不安定性が海運業界にとり3年連続で最大の懸念事項と指摘した。レポートはISCが11日にアテネで開催した「海運の未来を形成するサミット」に先立ち発表したもので、ICSのエマニュエル・グリマルディ会長は、地政学的不安定性はもはや背景要因ではなく、我々の操業条件を積極的に再形成し、貿易ルートを見直し、世界中の商業上の決定に影響を及ぼしていると述べている。
　レポートでは、サイバーセキュリティが大手海運会社の幹部にとって最重要リスクとなっていることを明らかにしており、デジタル統合と新興技術によりもたらされる脆弱性に対する懸念が高まっているとし、サイバーセキュリティ問題は、実際とは異なる位置情報を発信し、偽の航路を示すAISスプーフィングの台頭や、悪意ある攻撃者が船舶を遠隔操作する可能性など、地政学的な脅威と密接に関連していると指摘している。
　また、脱炭素化、グリーン化、そして海運の新燃料に関する規制も大きな懸念事項で、海運業界は欧州における地域規制に直面しており、世界的レベルでは今年10月に国際海事機関（IMO）で重要な海洋環境保護委員会（MEPC）の会合が予定されている。
　調査から4年間のデータで、海運業界のリーダーたちが地政学的および規制上の課題に対処する自信が一貫して低下していることが示され、新燃料に関して明確な筋道が示されておらず、インフラも欠如していると指摘している。

　ウェザーニューズ（千葉市美浜区）は12日、法人向け気象情報「ウェザーニュース for business」で、港湾荷役や海上工事の安全性向上と効率化を支援するサービスの提供を開始した。
　沿岸の強風や高波は大型クレーンを用いる港湾の荷役作業や海上工事の安全性に大きく影響し、近年は海上工事の大型化や工法の複雑化で事故のリスクも高まっている。同社は今回新たに100mメッシュの高解像度で港周辺の風と潮流を30分ごとに算出する予測モデルを独自開発し、海上作業に必要な気象・海象情報をパッケージ化して港湾・海上工事向けサービスの提供を開始した。同サービスでは、12時間先まで30分ごとの100mメッシュの高解像度な風・潮流の予報のほか、1時間ごと7日先までの海上や港の天気・風・波・降水量・気温・視程の予報を提供する。複数のスタッフが同時に閲覧できるため、30分ごとの現場周辺の局地的な気象状況や潮流の変化を察知して作業中断をタイムリーに判断したり、作業現場のピンポイントな週間予報をもとに最適な作業計画を立てたりすることが可能だ。また、任意の地点や全国の港の予測をPDF形式で出力することが可能になり、作業記録の保存や、詳細な作業報告書の作成などに活用できる。

　ベルギーの労働組合は6月25日に全国ストライキを予定、サプライチェーンがすでにひっ迫しているアントワープ港の混雑を悪化させる可能性がある。
　25日にベルギーで新たな全国行動デーが開催されるもので、この行動はベルギーの労働組合共同戦線、FGTB、CSC、CGSLBが主導、デモは、2024年12月に始まった未解決の労働問題に対処するための進行中のキャンペーンの一環という。
　現地ニュースによると、正式なストライキ通告が出され、当日勤務の従業員だけでなく、26日の夕方からシフトに入る従業員や、25日から26日の夜間に終了する従業員も対象となる。
　港湾業務への具体的な影響はまだ不明だが、アントワープ港はすでに大きな混雑に見舞われ、欧州全域でサプライチェーンの混乱と物流コストの上昇が目立っている。
　計画されている争議行動の規模を考えると、港湾でのさらなる混乱を予想、貨物の移動と運営効率に対する既存の問題をさらに悪化させる可能性がある。

　COSCO Shipping Lines（中国）は5月下旬から、東南アジア・中国／米国西岸航路のAACを改編し、レムチャバンに追加寄港した。
　ACCは、COSCOがCMA CGM（仏）、Evergreen（台湾）、OOCL（香港）と構成するOcean Allianceのサービスとして貨物を集めており、PSW10の一部としてYangtse/SEA/Vietnam China Southのサービス名でも展開している。
　新AAC/PSW10は、8,240～10,030TEU型8隻を投入し、レムチャバン～カイメップ～ハイフォン～楊浦～厦門～寧波～ロングビーチ～レムチャバンの新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスしている。

　CMA CGM（仏）は極東／欧州航路のFAL3で、今月上旬から8月末までの期間、東航でベルギー・ゼーブルージュ港に追加寄港する。
　ゼーブルージュ寄港は欧州最終積み港として追加するもので、アントワープ寄港後、同港にも寄港し。これに伴いモロッコのタンガーメド港を抜港する。
　FAL3には17,300～23,870TEU型13隻を投入し、15週間ラウンドで運航し、6月8日ゼーブルージュ入港の”CMA CGM Trocadero”（23,112TEU）を第1船に、青島～上海～寧波～塩田～シンガポール～ルアーブル～ロッテルダム～ハンブルク～アントワープ～ゼーブルージュ～ポートクラン～青島のローテーションでサービスする。

　Ocean Network Express（ONE）はこのほど、インド／中東航路で新たにIndia-Gulf Service（IGS）を開始した。
　IGSはインドとオマーンの間の輸送需要の増加に対応するもの。
　IGSは6月13日ジェベルアリ入港の”Celius Nairobi”（4,253TEU）を第1船にジェベルアリ～ソハール～ムンドラ～ハジラ～ナバシェバ～ジェベルアリのローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始した。

　世界最大コンテナ船社であるMSC（スイス）が破産したルーマニア最大の造船所の買収に乗り出した。韓国の旧大宇造船海洋が2018年にオランダのDamen Groupに売却したルーマニアのマンガリア造船所の経営権を買収する意志をルーマニア政府に伝えたもの、MSCはこれを通じ、欧州で新造船の建造および船舶修繕事業に進出する。
　マンガリア造船所の買収にはすでにトルコのDesan Shipyardが参入しており、両社の競争が繰り広げられることになった。
　マンガリア造船所はルーマニア政府の管理下にあり、Damen Groupが49%の株式を保有、昨年から破産手続きを進めている。負債総額は18億7,000万ルーマニア・レウ（4億2,500万ドル）に達し、造船所が閉鎖された後、先月作業が再開され、従業員800人余りを抱える。

　COSCO Shipping Lines（中国）は5月末に、華南／ベトナム航路のCV3を改編し、ベトナム中部のダナンとカンボジア・シアヌークビルに追加寄港した。
　新CV3は、投入船を1隻追加し、隔週サービスからウィークリーサービスに強化、”CTP Fortune”（1,064TEU）、”Jin Ji Yuan”（1,803TEU）の2隻体制となり、5月31日楊浦出港のJin Ji Yuan”から、楊浦～ホーチミン～シアヌークビル～ダナン～楊浦の新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始した。

　米国のデジタルフォワーダー、Flexportが公表している1本のコンテナが輸出地でのバンニングから貨物のデリバリーまでにかかる平均日数を指数化したOcean Timeliness Indicator（OTI）は先週中国発米国西岸向けが微減、中国発北欧向けが急増、中国発米国東岸向けが微増となった。
　中国から米国西岸のOTI向けは32.5日から31.5日へと1日減少した一方、中国から北欧州向けは60日から64日へと急増した。中国から米国東岸向けは58.5日から60日に増加し、わずかな増加を見せた。
　Flexport OTIは、Flexportの海上輸送業務から得られたデータを活用し、貨物の輸送過程を包括的に表示、毎週更新されており、輸出業者の工場または倉庫でのバンニングから、コンテナが仕向け港でのデリバリーまでの輸送時間を示している。

　フランスの海運調査会社、AXS-Alphalinerによると、上場コンテナ船社6社の各社の株価は5月の時価総額で100億ドルを超えたと伝えている。紅海情勢の悪化が続いていることに加え、米国の関税政策という天恵により投資家心理が好転したことによるものだとしている。
　2023年は「大型株」とされる船社は市場の減退で3社に減少したが、2024年は、株価は紅海情勢の悪化が続いたことで20％も上昇した。今年5月中旬には台湾船社のWan Haiも100億5,000万ドルになった。またZIM Integrated Shipping Services（イスラエル）は時価総額20億ドル超えになって、「小型株」から「中型株」へ昇格した。
　現在その他の「大型株」の船社はCOSCOグループ（中国）、Maersk（デンマーク）、Hapag-Lloyd（独）となっている。
　主要11船社の合計時価総額は1,650億ドルで、新型コロナ（COVID-19）と中東情勢の悪化前には想像できなかった規模となっている。これまでの船社全体の時価総額のピークは2022年3月の2,560億ドルだった。

　川崎汽船は4日、「“K” LINE Group 環境アワード2025」表彰式を開催し、最優秀賞1件、優秀賞4件、功労賞5件を選定した。
　同アワードは川崎汽船グループの役職員が取り組む優れた環境保全貢献活動を表彰するもので、2015年の創設から今回で11回目となる。
　最優秀賞には、CLK Cold Storage Company Ltd.「太陽光パネル・節電機器導入による 環境負荷軽減・コスト削減の取り組み」を選定した。
　CLK Cold Storage Company Ltd.は川崎汽船と海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)、日本ロジテムの合弁会社で、ホーチミン市郊外に最新鋭の省エネ機能を備えた冷凍・冷蔵倉庫を有し、日本式の高品質・高付加価値サービスを提供している。
　同社は、使用電力・コスト削減のため、2021年に太陽光パネルを設置、2022年には追加の太陽光パネルを導入し、2024年9月には電線と電子機器の電力ロスを減少させて電気使用量を下げる節電機器の導入による、更なるCO2・コスト削減を実現した。これにより太陽光パネルでのCO2排出削減量が589トン相当、節電機器により12トン相当になった。
　その他優秀賞4件、功労賞5件を選定した。

　シンガポール・トゥアス港でPSA Singaporeが運営するコンテナターミナルはこのほど、中国の三一重工（Sany）製デュアル吊り上げ式ガントリークレーン2基の引き渡しを受けた。
　新クレーンは中国・珠海の工場で完全に組み立てた状態で、重量物船”Rui Shan”に積載し搬入されたもの。アウトリーチ73.0m、バックリーチ55m、トゥアス港のガントリークレーンはSanyと上海振華重工集団（ZPMC）の2メーカーのクレーンを導入している。
　同ターミナルは現在第1期工事分で北側埠頭を完成運用、バース面積3,000m2、超大型ガントリークレーン32基、完全自動化タイヤ式ヤードクレーン（RMG）53基を備え、さらに最近、南側第1期バース1,000m2が稼働を開始したことで、岸壁総延長は4,000mに、またガントリークレーンは合計40基以上が稼動することになった。

　住商グローバル・ロジスティクスは11日、インドネシアの現地法人PT. Sumisho Global Logistics Indonesia（SGLI）が、ジャカルタ税関本部から「BEST LOGISTICS AEO 2025」を受賞したと発表した。
本賞は、インドネシア国内でAEO（認定事業者）として認定を受けている物流企業27社の中から、税関規則の順守と優れた業務実績を評価された1社に贈られるもので、SGLIは、通関・輸送・保税倉庫の各業務における内部監査や書類管理の体制が高く評価され、選出された。
　SGLIは1994年に設立、消費財や鋼材、自動車部品などの輸送を中心に、保税物流やハラール認証倉庫などを活用した高付加価値サービスを提供している。

　香港の2大電力会社の一つ、中電控股（CLP Holdings）傘下の中電源動集団（CLPe）と中国国有石油大手の中国海洋石油（CNOOC）傘下の中海油
が5日、葵涌コンテナターミナルで接岸中のHapag-Lloyd（独）がアジア／欧州航路のNE2１/NE1 Serviceで運航するコンテナ船”HANOI EXPRESS”（2,3664TEU）にCNOOCが投入したLNGバンカリング船”Haiyan Shiyou 301”（3万m3）がLNG燃料1万m2を供給すると同時に荷役を実施した。
　香港でこれまで行われた単一LNG給油作業としては最大規模であり、香港でShip to Ship（STS）方式によりLNG給油とコンテナ積み下ろし作業が同時に行われたのは初めてのこと。
　香港特別行政区政府のメイベル・チャン交通・物流長官は、今回の協力はコンテナ船の荷役と新エネルギーへの燃料補給の機能を組み合わせ、相乗効果を生み出すものだと述べた。香港のバンカリング事業は優位性を持っており、2023年には、広東・香港・マカオ大湾区で第1位、中国全体で第2位、補給量では世界第7位の補給センターとなっており、香港は、伝統的な燃料補給の良好な基盤に基づき、将来的には新エネルギー補給の開発に注力する考えを示した。

　Hapag-Lloyd（独）はこのほど、韓国のハンファオーシャン（旧大宇造船海洋）で建造した23,660TEU型LNG燃料対応コンテナ船“Wilhelmshaven Express”（写真）の引き渡しを受けた。
　同船はHapag-Lloydが2020年末から2021年半ばにかけハンファオーシャンに発注したHamburg Expressクラスと称する12隻シリーズの最終船で、全長399.9m、幅61m（24列）、ドラフト16.5m、最大コンテナ積載数2万3,666TEUのLNG燃料対応コンテナ船。燃費効率を最大限追求した船体設計と高効率プロペラを採用、また非化石燃料のバイオメタン、e-メタンの使用を想定した二元燃料機関を搭載、当面はLNG燃料で運航しGHG排出削減を図る。
　同船はHapag-LloydがMaersk（デンマーク）と構成するGemini Cooperationによるアジア／欧州航路のNE1/AE2 Serviceに初就航、他の18,000～23,000TEU型13隻とともに、寧波～上海～タンジュンペレパス～タンガー～ウィルヘルムスハーフェン～ブレーメルハーフェン～ロッテルダム～サラーラ～シンガポール～寧波のローテーションで定曜日ウイークリーサービスする。

　カナダの造船グループDavieは、米国テキサス州ガルベストンとポートアーサーの造船施設をGulf Cooper & Manufacturingから買収する契約を締結した。ガルベストンには4,000ft、ポートアーサーには1,000ftのドックがあり、それぞれ2つのドライドックを所有、船舶修繕、オフショアサービス、海洋インフラに重点を置き、石油・ガス、海上輸送、石油化学、政府部門にサービスを提供している。米政府が中国の海洋支配に対応し、国内造船業を活性化し海洋覇権を強化するための包括的戦略を展開していることに対応するもの。
　Davieでは、ガルベストンとポートアーサーの建造能力をアップグレードし、拡大するために10億ドルを投資する予定で、約4,000人の雇用を創出し、そのうち2,000人はGulf Cooperで直接雇用するという。
　Davieは、Galveston Wharves Board of Trusteesとの交渉を完了するには、財務、法律、規制上の取引完了条件を満たす必要があり、今年夏には買収を完了させる予定。
　Davieでは、米国市場への進出と砕氷船の建造機会を追求、すでにカナダでは新型砕氷船の建造に取り組んでおり、ケベック州の造船所で1隻を受注、以前にもヘルシンキ造船所を買収しており、世界全体の砕氷船の半分を建造していると強調している。

　住商グローバル・ロジスティクスのインドネシア子会社であるPT. Sumisho Global Logistics Indonesia（SGLI）は5月、ジャカルタ税関本部から「BEST LOGISTICS AEO 2025」を受賞した。
　同賞は、インドネシア国内にあるロジスティクスサービスプロバイダーの中でAEO（Authorized Economic Operator）として認定を受けている日系企業を含む27社の中から、特に税関のルールを遵守し、優れた実績をあげている1社に贈るもの。今回の受賞は、SGLIが定期的な内部監査と適切な書類提出など、AEOの義務を高い水準で履行し、税関当局の査察・評価において、その取り組みを高く評価したことによるものだ。加えて、通関業務、輸送業務、保税倉庫運営業務など、AEOの要件を満たすための円滑なコミュニケーション体制を整えている点も評価した。SGLIは1994年に設立、EJIP工業団地内に本社を構え、消費財、鋼材・自動車部品などを幅広く取り扱っている。国際輸送・輸出入サービスに加え、一般倉庫や保税倉庫、ハラール認証倉庫などの在庫管理機能を生かし、サプライチェーンの高度化に資する流通加工、保税物流など付加価値の高いサービスを提供している。

　Hacobuは、トラックドライバーの負担を軽減するため、ドライバー業務支援アプリ「MOVO Driver」で、物流拠点の「公式軒先情報」を公開する。
　この「軒先情報」は、ドライバーが現場で迷うことなく、安心して入退場や、荷積み・荷降ろしができるよう、物流拠点の情報を可視化したもので、物流拠点の入場口・受付場所・受付時間、構内での待機可否を物流マップ上で確認できる。これらの情報を事前に把握できることで、到着後の戸惑いやストレスを軽減し、時間ロスの削減や安全性向上にも寄与する。同取り組みに、アスクル、いなげや、シモハナ物流、大和物流、日水物流、ヤマエ久野の6社が賛同し、物流拠点の公式軒先情報の公開を進めている。今後、物流拠点の軒先情報を「MOVO Driver」上で標準公開できる仕組みづくり、ドライバーの口コミ情報の集積・活用と、正確な公式情報との統合管理などを進めていく方針だ。また将来的には公式軒先情報2,000件を目指し、荷主企業・物流事業者と連携していく。

　FESCO Transportation Groupの日本総代理店、トランスロシアエージェンシージャパンによると、日本～極東ロシアコンテナ定期航路（JTSL）の投入船“JI YU”（400TEU）の国籍とコールサインを変更する。
　同船は現在ドック入りしているが、国籍が従来のHONGKONGからSIERRA LEONEに、コールサインがVRZB8から9LS2184にそれぞれ変更する。

　横浜市港湾局は、横浜港を母港とする新造クルーズ船“飛鳥III”に対して、6月10日と11日に横浜港大さん橋国際客船ターミナルにて、Truck to Ship方式でLNGバンカリングを実施したと発表した。クルーズ船へのLNGバンカリングは国内初の取り組み。
　2日に横浜港に到着した“飛鳥III”（全長・全幅：230ｍ×29.8m、5万2,265gt、総客室数381室、乗客定員740人、乗組員数約470人） は、日本のクルーズ船としては初めて、重油・軽油・LNG（液化天然ガス）の計3種の燃料を使用できるトリフューエルエンジンや陸上電力受電設備を搭載し、環境への負荷に配慮したエコシップだ。今回のバンカリングでは、2日間で延べ4台のLNGローリー車を使用し、LNG燃料を供給した。
　横浜市は、日本を代表するクルーズ発着港として多くのクルーズ船を受け入れるとともに、2050年の脱炭素社会の実現を目指し、国や民間事業者などとの連携によりカーボンニュートラルポート（CNP）の形成に向けた取り組みを進めている。

　NIPPON EXPRESSホールディングスは、25年5月の同グループの国際海上輸送取扱実績（輸出）を発表、日本発は前年同月比1.6％増の1万8,313TEUと2カ月ぶりに増加に転じた。一方、海外発は4.8％減の5万3,619TEUと減少し、日本・海外合計で3.2％減の7万1,932TEUだった。
　海外のうちNXグループの傘下となったcargo-partnerを除く5月実績は、米州発が13.4％増の3,282TEU、欧州発が6.0％増の4,984TEU、東アジア発が9.2％減の1万9,251TEU、南アジア発が5.8％増の1万3,402TEU、合計で1.3％減の4万919TEUとなった。
　またcargo-partnerの5月実績は、米州発が10.2％減の142TEU、欧州発が13.1％減の3,571TEU、東アジア発が13.4％減の7,200TEU、南アジア発が20.9％減の1,787TEU、合計で14.4％減の1万2,700TEUだった。

　トレードワルツは、穀物・油糧種子の輸入取引に関わる業務プロセスの標準化・効率化を目指す新プロダクト「TradeWaltz for Grain Importers（TGI）」の開発を正式に発表するとともに、関係商社で構成する業界横断型の「TGIワーキンググループ（TGI WG）」を3月に発足したと発表した。
　同取り組みは、日本の食料安全保障の一端を担う穀物・油糧種子サプライチェーンをデジタル技術により可視化・効率化することを目的としている。TGIの開発は2024年10月に開始、現在はコア機能を備えた初期版の実装に向けて鋭意開発が進行中だ。TGI WGには、双日、豊田通商、丸紅、三井物産、三菱商事など7社の商社が参加し、開発と並行して、現場ニーズの洗い出しや業界全体での業務標準化のあり方について議論を重ねている。
　開発中のTGIは、商社とサイロ間で、荷捌状況をリアルタイムで共有する機能や、通関書類の一元管理機能などを備え、2026年1月のv1.0リリースを目指している。TGI導入により、これまで商社とサイロ間の情報連携にかけていた時間を削減し、より効率的な配船を構想する時間を捻出するといった効果が期待できる。最終的には物流コストの削減や業界全体でのオペレーション改革を実現する。
　TGIとTGI WGの活動は、経済産業省が掲げる「2028年度までに貿易取引の10％をデジタル化する」という国家目標に資するものであり、今後もさらなる参加企業の拡大と、機能拡張による横展開を視野に活動を続けていく方針だ。

　上組は、水素ステーションの整備・運営を目的として、トヨタエルアンドエフ東京、エスケイエム（愛知県刈谷市）と設立した共同運営会社・海の森水素ステーションを通じて、東京港（東京都江東区）に水素ST「海の森水素ステーション」（東京都江東区海の森1-3-4、上組東京多目的物流センター内）を建設することを決定した。2026年4月に着工予定で、2027年4月に運営開始を予定している。
　当該水素STは、同JVによって上組東京多目的物流センター内に整備、上組で使用する燃料電池フォークリフト（FCフォークリフト）へ水素の供給・販売や、今後普及が見込まれる大型燃料電池トラック、バス（大型FCトラック、FCバス）などの一般ユーザーの利用も想定し、45MPa・82MPaの両充填装置（ディスペンサー）の設置を予定しており、うち82MPaディスペンサーについては大型FCトラックの水素充填時間を大幅に短縮することが期待できる、ツインノズルディスペンサーの設置を予定している。なお、FCフォークリフトは上組東京多目的物流センターの運用状況より、まずは20台の導入を計画している。
　3社は、日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言や、東京港の脱炭素化に向けた水素エネルギーの需要拡大・早期社会実装化を目指す動きなどを背景に、必要不可欠でかつ事業性が見込める同事業を通じて、地球規模の環境問題の解決に貢献していく方針だ。

　急成長を続けている鄂州花湖空港（中国湖北省）に乗り入れている貨物路線が5月末で100に達した。最新路線は順豊航空（SFエアラインズ）による鄂州〜ニューヨーク〜ハリファックス（カナダ）〜鄂州の3カ国をまたぐサービスで、同社にとって初めて第5航空権（以遠権）を利用した路線となる。週1~2便の運航で、往路では衣類、電子機器およびその部品など、復路では機械設備および同部品、ヘルスケア商品、復路はファッション製品、ヘルスケア商品、海産物などで年間1万トンの輸送量を見込んでいる。
　花湖空港は湖北省と順豊航空の親会社順豊エクスプレスによって建設された空港で、22年にオープン後はアジアで初めての貨物空港として急速に成長、24年の貨物取扱量は102万トンに達し、国内第5位の貨物空港へと躍進、今年は1〜5月で前年同期比85％増の約53万トンを取り扱った。

　ロンドン・ヒースロー空港の5月貨物取扱量は前年同月比7.1％増の13万795トン、郵便物を含めると7.3％増の13万4,376トンで3カ月連続のプラスとなった。
　最大マーケットの北米が9.8％増の5万3,055トン、次いでアジア太平洋が8.7％増の3万7,344トン、以下中東が0.3％減の2万1,483トン、アフリカが18.0％増の8,232トン、EUが12.0％減の5,850トン、中南米が8.7％増の4,999トンと続いた。

　日本郵船は、今月7～8日にモナコで開催したBlue Economy & Finance Forumに参加し、同社の河野晃副社長が国際海運や日本郵船グループによる船舶の代替燃料など、脱炭素に関する取り組みについて、各国からの参加者と意見交換した。
　同フォーラムは、9日から13日にかけてフランスで開催中の第3回国連海洋会議の公認サイドイベントで、ブルーエコノミーや持続可能な海運への投資、革新的なブルーファイナンスツールの提案を促進することを目的としている。
　世界中から政府関係者や企業、NGO、NPOが数多く参加し、日本の海運会社では日本郵船が唯一の参加となった。

　デンマークの海運調査会社、Sea-Intelligenceの最新調査によると、最近数カ月間で、ニッチ船社による船腹量が急増、アジア／北米西岸航路では週あたり総コンテナ船腹量に占める割合が4.5%に達し、新型コロナのパンデミック（世界的大流行）のピーク時と同水準に戻っている。ただ、市場状況が正常化すれば、ニッチ船社が投入した船腹を同じ速さで削減、夏場を通じて需給が緩和するにつれ減少すると予想している。
　Sea-Intelligenceによると、ニッチ船社といわる比較的規模が小さく、外航航路の展開が限定的な船社は、パンデミック前の2019年にアジア／北米西岸航路に投入された週あたり総船腹量の7～10％を占めていた。パンデミックのピーク時、同航路には存在しなかった数多くの新規参入船社が現れた。異常な高水準の運賃と強い需要をチャンスに参入したものだ。
　ピーク時には、これらの新規参入船社の船腹量はアジア／北米西岸航路の週当たり総船腹量の約4.5%を占め、2021年8月から2023年5月にかけてそのシェアを10%から15%に拡大した。4.5%という数字は小さく見えるかもしれないが、これらの新規参入船社による貿易ルートにおけるニッチ船社の船腹量のほぼ3分の1を占めていた。
　驚くべきことではないかもしれないが、これらの船社は、需給が緩和、運賃が安定し始めた段階で、サービスから撤退し始め、2023年6月までに、新規参入船社の最後のサービスは中止となった。
　便宜主義的な船社が、財務的に合理的な場合にのみ太平洋市場に参入し、利益が見込めなくなると撤退するのであれば、過去18カ月間の地政学的混乱は、市場への再参入の十分な機会を提供し、これを受けニッチ船社は、2024年1月にアジア／北米西岸航路の週あたり船腹量の7%を提供していたものが、2025年5月には13%に拡大、再び同航路のサービスを展開し始めた。

　自動運転トラックによる幹線輸送の実現を目指すT2（東京都千代田区）は、神奈川県綾瀬市から兵庫県神戸市までの高速道路区間を走破する実証に初めて成功した。距離は約500㎞に達し、ドライバーが乗車するレベル2自動運転トラックとして日本国内で最長となった。さらに、幹線輸送で必要となる拠点の開発本格化に向け、神戸市との連携も開始した。
　T2は、2025年7月からのレベル2自動運転トラックによる幹線輸送の事業化に向けて、現在、多様な業界をリードする企業各社との実証を推進している。事業化を目前に控える段階で、6月上旬、神奈川県綾瀬市にある東名高速道路の綾瀬スマートICから兵庫県神戸市にある阪神高速道路の魚崎出入口まで、自動運転の走行を独自に実証、走破に初めて成功した。
　同実証の距離は約500㎞、2024年12月の駿河湾沼津SA（静岡県）から豊田東JCT（愛知県）までの約180㎞の記録を大幅に更新した。さらに、夜間から明け方という視認性が悪い条件のもと、該当区間における自動運転率は99％を達成した。
　T2は今後、2025年の事業化を経て、2027年にはレベル4（自動運行装置が運転操作の全部を代替する）自動運転トラックによる幹線輸送の開始を目指している。さらに今回の機会に合わせて、T2は、神戸市との連携も開始した。神戸市が整備中の「（仮称）神戸複合産業団地南地区産業団地」付近の市有地を活用し、自動運転トラックによる幹線輸送の実証で必要となる自動運転と有人運転の切り替えや車両の整備などにあたる拠点の開発を本格化する計画だ。

　Drewry Maritime Research（英国）が12日に発表した太平洋航路、アジア／欧州航路、大西洋航路における主要8ルートの世界コンテナ運賃指数（WCI）は、3,543ドル／FEUと前週からほぼ横ばい、前年同期比では26%の下落だった。米国のトランプ大統領が輸入関税を「一時停止」したことにより、太平洋航路の荷動き量が当初大幅に減少した後、米国向けの輸送の再開で、総合指数は過去4週間で59%も上昇した。
　先週のスポット運賃を航路別にみると、大西洋航路のニューヨーク→ロッテルダムが前週比1%下落し1,982ドル／FEUとなったほかは、小幅値上がりあるいは横ばいで安定していた。
　太平洋航路は上海→ニューヨークが前週比2%上昇し7,285ドル／FEUとなり、4週間前から67%上昇、上海→ロサンゼルスは1%上昇し、過去4週間で89%上昇したが、先週は太平洋東航のスポット運賃は、新たな輸送能力の投入により、わずかな変動にとどまった。
　また、欧州航路は上海→ロッテルダム、上海→ジェノアは、それぞれ2,837／FEU、4,054ドル／FEUで、ほぼ横ばいで安定していた。
　Drewryでは、世界的なコンテナ輸送における需給バランスの急激な短期的な改善は、1月から始まった運賃下落の傾向を逆転させたが、Drewry Container Forecasterは、今年下半期に需給バランスが崩れる可能性を予測しており、これによりスポット運賃が下落する見込み。運賃の変動性とタイミングは、トランプの関税に対する法的挑戦の結果と、米国が中国船に課す制裁に関連する要領変更に依存するが、これらは不確実としている。

　英国海事貿易業務局（UKMTO）は11日、中東地域内の緊張が高まり、軍事活動のエスカレーションにつながる可能性があり、船舶は、アラビア湾、オマーン湾、およびホルムズ海峡を注意して航行するよう呼びかけている。各国海軍と民間商船とのコンタクトは、アラビア半島にあるUKMTOが担い、EU海軍部隊とNATO海軍部隊の指揮情報通信は英国に集約されている。
　海外報道によると、米国とイランはイランの核開発計画について協議する予定となっているが、状況は依然として緊張しており、米国は交渉が破綻した場合の軍事介入を脅かしており、イランは地域で戦闘が勃発した場合、米国の軍事施設を標的とする可能性を示唆している。

　パナマ運河庁（ACP）によると、7月1日14時から4日1時までの59時間、ガツン・ロックの東側レーンでドライチェンバーのメンテナンス工事を実施、レーンは通常通り稼働するが、ロック通過に追加の時間が必要となる。
　通航予約（ブッキング）システム規則に従い、このメンテナンス期間中、パナマックス閘門の予約枠数は16に削減。6月17～19日の第2期タイブレーク・コンペティションから、7月1～3日までの予約日を対象に、パナマックス（スーパー）には4つの予約枠を提供、レギュラーには予約枠が提供されない。予約期間3においては、スーパーおよびレギュラーの両方に対して予約スロットは提供されず、利用可能なスロットの総数は、スーパーが13、レギュラーが3となる。

　財務省の関税・外国為替等審議会関税分科会は12日、急増する少額輸入貨物への対応に関するワーキンググループの第1回会合を開催、急増する少額輸入貨物の現状と課題について事務局から説明、オブザーバーから意見聴取したあと、質疑を交わした。
　越境電子商取引（EC）の利用拡大を背景に、日本への少額輸入貨物の輸入件数が急増、これに伴う水際取り締り上の懸念への対応や適正な課税のあり方について関税分科会委員等の高い見識を有する関係者から意見や助言を受ける場として「急増する少額輸入貨物への対応に関するワーキンググループ」を設け、初会合を開催したもの。
　中国発のSHEIN、TEMUなどの格安ネット通販業者がデミニミス・ルールと呼ぶ少額輸入免税制度を利用し攻勢をかけていることに国内事業者からの不公正だとの声が高まり、米国が5月2日から中国と香港からの800ドル以下の小口輸入品に対する関税免除措置を廃止したのをはじめ、EUなども規制強化に動き出すなか、日本でも少額免税制度の見直しを含め、政府税調などで検討を始めている。
　日本では課税価格の合計額が1万円以下の少額輸入貨物について、関税・消費税を免除、ただ一部の品目（コメ、砂糖、革製品等）は適用除外となっている。
　財務省の統計によると、24年の輸入許可件数は約1億9,000万件で前年比35%増加、うち少額貨物は約1億7,000万件。全輸入許可件数の約9割を占め、不正薬物の押収量や知的財産侵害物品の差し止め件数が増加傾向にある中、多数の少額貨物が輸入されることにより水際取り締まり上の懸念が高まっている。

　ギリシャ・アテネで12日に開催した国際海運会議所（ICS）の年次総会で、日本船主協会のカールヨハン・ハグマン（Carl-Johan Hagman）欧州地区代表（日本郵船執行役員、NYK Group Europe Ltd.社長兼CEO、写真）を副会長に選任した。総会ではJohn Denholm 氏（英国）がICS次期会長に選出、来年6月の総会で正式就任となる予定。また、副会長にはハグマン代表に加え、Gaby Bornheim氏（独）およびClaes Berglund氏（スウェーデン）も就任している。副会長職の任期は1期2年で（最大）2期となる。
　ハグマン氏は、「日本船主協会は、世界で最も技術的先進性と活気を備えた海事クラスターの一つで、この組織を代表することは私にとり大変名誉なこと。ICSの活動に対して引き続き力強い支援を行っていく」とコメントしている。

　イタリア・ジオイアタウロ港における今年1～5月累計のコンテナ輸送量は181万3,071TEUと、前年同期に比べ10.3％の大幅増を記録した。南ティレニア海・イオニオ港湾管理局は、2024年に400万TEUのコンテナ取扱量を記録した後、今年も好調に推移すると予測している。現在、ノーラとボローニャの貨物ターミナルには週に20本のコンテナ列車が発着しており、9月からはバーリとヴェローナのインターポートを結ぶ13本のコンテナ列車が発着する予定。

　ロジスティードは、同社グループのPT. Berdiri Matahari Logistikが、5月15日付でインドネシアのスカルノ・ハッタ国際空港において、IATA（International Air Transport Association：国際航空運送協会）が推進する医薬品国際輸送に関する品質プログラム「CEIV Pharma」認証を取得したと発表した。
　同社グループは、医薬品物流で「CEIV Pharma」認証の取得とGDPに準拠した拠点整備を進め、需要拡大や環境変化への対応を進めている。経済成長に伴い、医療・健康への関心が高まりつつあるインドネシアでは、医薬品市場の成長が今後ますます拡大していくと見込まれている。こうした背景を踏まえ、同社グループでは、信頼性の高い医薬品輸送体制を構築し、高品質なサービスを提供するため、グループとして7拠点目となる認証を取得した。

　釜山港湾公社（BPA）のソン・サングン（宋相根）社長は12日、Maersk（デンマーク）のJens Eskelund北東アジア総代表が釜山港を訪問したのを機に面談、釜山港の運営状況と今後の発展計画などを共有し、協力策を協議した（写真）。
　A.P.Moller-Maersk　Groupはグローバルコンテナ船で総合物流企業であるMaerskをはじめ、世界4位のターミナル運営会社であるAPM Terminals、エネルギー企業であるMaersk Oilなど、幅広い垂直・水平系列化を構築しており。Maerskは今年2月からHapag-Lloyd（独）と定時性を極端に高めることができる新たなアライアンス、Gemini Cooperationを発足するなど、様々な分野で市場をリードしている。

　国際フレイトフォワーダーズ協会（JIFFA）は12日、第14回通常総会を開催、各種研修会や講座、セミナーを開催するほか、インド南東部で物流事情を調査するなど、2025年度の事業計画などを報告したほか、2024年度決算、交代理事選任などを承認した。
　総会後の会見でJIFFAの木村宗徳会長（三菱倉庫・取締役常務執行役員）は2025年度の事業計画について触れ「海外現地駐在員向けのセミナーを2年ぶりにシンガポールで開催する予定だ。海外物流調査は24年にインドの北西部を対象としたが、今年はカバーできなかった南東部を引き続き調査する予定だ。語学関係では、スペイン語のほか、ヒンディー語などの多言語セミナーを開催予定だ。電子B/Lに関する商法改正に対応したB/Lの約款の見直しと、WaybillのPDF対応を進めていく計画だ」と説明した。
　また「JIFFA会員は年々増加し、昨年度は21社が加わり、今年4月以降も3社の入会があった。6月1日時点で正会員549社、賛助会員26社、合計575社となった。会員のNVOCC取扱数量は0.2％減となるなど厳しい環境だが、会員の増加はJIFFAの役割を期待していることの証だ。米国の関税引き上げ政策が及ぼす影響を注視しながら、最新の情報の提供につとめていきたい。教育・研修にも変化があれば、反映させていく。電子B/Lに関する商法改正も早ければ来年の予定なので、FIATA電子B/Lに加えて、JIFFA電子B/L運用の開発に動き始める予定だ」と述べた。

　韓中カーフェリー協会がまとめた今年1～5月累計のコンテナ貨物輸送量は往復航の合計で23万852TEUと前年同期比4.0%増加した。旅客数は28万953人で11.9%減少だった。
　1～5月累計コンテナ貨物輸送量を航路別にみると、仁川／威海航路が前年同期比5.3%減の1万7,889TEU、仁川／青島航路が10.4%増の2万2,200TEU、仁川／煙台航路が5.6%増の1万8.247TEU、平澤／煙台航路が21.8%増の2万286TEU、仁川／連雲港航路が5.7%減の2万851TEU、平澤／連雲港航路が6.2%減の1万3,113TEUだった。
　また、仁川／石島航路は6.4%増の2万4,315TEUと航路別で最多を記録、平澤／威海航路は21.8%増の2万286TEU、仁川／栄成航路が3.0%増の5,884TEU、5月に運航を再開した仁川／丹東航路は874TEUだった。

　郵船ロジスティクスは、海上事業部海上輸送オペレーションセンターの東京B/Lカウンターを、7月14日に移転する。
　B/Lカウンターは、B/L発行（輸出）、オリジナルB/L受け取り（輸入）の窓口となる。〒140-0002東京都品川区東品川4丁目10-27、住友不動産品川ビル14階、トランスコンテナ、電話：03-3472-4122、FAX：03-3472-4123。受付時間は平日10:30～12:00、13:00～15:00（祝日、年末年始を除く）。

　日新は、「実務担当者向け国際物流DXのはじめの一歩～実務担当者が知らないと損するデジタルフォワーディング活用セミナー」と題する無料ウェビナーを25日に開催する。
　同セミナーは25日14～14時45分に、Zoomウェビナーで開催、同社のDX推進部の伊藤光平氏が、今さら聞けない「デジタルフォワーディング」の基本、物流担当者が抱える「あるある」課題とその原因、課題解決事例：デジタルフォワーディングでの変化、他社導入事例、導入ステップなどを説明する。申し込みは同社サイトから。

　タイからの報道によると、同国最大のコンテナポートであるレムチャバン港で、トラックの交通渋滞が悪化。ゲート待ち時間は、ピーク期間中、約8時間から10時間まで増加、1往復で最大20時間までかかっているという（写真）。
　トランプ米政権の「相互関税」の発動前の駆け込みで貨物受注が急増していることが要因。
　荷主は年間物流費用200億バーツ（6億1,600万ドル）以上の負担増を強いられおり、タイ荷主協議会（TNSC）は、レムチャバン港で続く混雑に対処するよう政府に要請し、過密状態の対策を提案している。

　エー・スター・クォンタム（A*QUANTUM、東京都港区）、伊藤忠テクノソリューションズ（CTC）、TriValue（埼玉県さいたま市）の3社は、量子コンピューティングと数理最適化の技術を活用した配送ルート作成サービス「OptyLiner」を共同開発した。
　物流企業のTriValueとの実証実験で、荷主の特性や地域情報を熟知した熟練職員が手作業で3時間かかっていた配送計画の作成時間を約95％削減し、熟練職員と同等以上の配送計画作成を10分以内で完了できることを確認した。物流業界の課題である配送計画の作成の効率化やCO2削減などに貢献する。家具、建材、家電など配送先での作業が発生する製品を扱う企業を中心に展開し、作業者のスケジュールまで含めた高度な配送計画を支援する。
　OptyLinerは、車両の積載量や台数、ドライバーの労働時間など、複数の条件を考慮し、移動距離、稼働台数、CO2排出量などを最小化する最適な配送ルートを高速で算出するサービス。従来のシステムでは、1回の計算に数分から20分以上を要していたルート計算を、実証実験でOptyLinerは5秒で完了した。計算速度の大幅な向上により、条件の微調整や繰り返しのシミュレーションが容易となり、受注の締め切りを早める必要がなく、空車の抑制にもつながる。今後3社は、共同配送での管理機能や、蓄積した配送データを分析した需要予測などのサービスを拡充して、物流業界の変革を支援していく方針だ。

　国土交通省では、国土交通分野におけるDX施策をさらに強力に推進するため、今後の目指すべき方向性や取り組みを強化すべき領域を明確に示した「国土交通省DXビジョン」を策定、行政手続などを通じて得た「データ」を徹底的に活用する観点から、政策立案へのデータ活用や、オープンデータ化によりデータを国民に還元してオーブンイノベーションにつなげていくなどの指針をとりまとめた。
　国交省は日常を支えるさまざまなインフラを幅広く所掌しており、所管手続きの件数が多く、順次デジタル化の取り組みを進めてきた。一方、手続き内容（提出書類や審査項目など）はそのままで、単にメールやフォームによる申請申し込みや申請書提出という「デジタル化」もあり、紙と電子の併存などのため業務効率化効果が低い、申請情報をデータとして活用できないなどの課題がある。
　これらの現状を踏まえ、デジタル化が可能な手続きについては、二度手間や重複を排除し、一貫したデジタル処理により、効率的な行政運営を実現し、国民向けサービスの利便性を向上することを目指す。あわせて、業務改革（BPR：Business Process Re-engineering）により、電子申請率の向上に努めるとともに、デジタル化したデータの活用や、業界におけるDXの誘発など、デジタル化の付加価値を最大化していくとしている。

　ターキッシュエアラインズ（傘下のAJetを含む）が5月に取り扱った貨物量は、郵便も含めて前年同月比11.2％増の18万3,397トンで3カ月連続のプラス、うち国際貨物は4.8％増の17万7,515トンだった。
　路線別では最大の極東が6.9％増の6万4,342トン、欧州が8.0％増の5万6,143トン、北米が5.6％増の2万2,083トン、中東が10.1％増の1万6,361トン、アフリカが14.8％減と唯一マイナスで1万1,763トン、中南米が2.1％増の5,054トンだった。

　成田空港はB滑走路延伸やC滑走路の新設などを含む「更なる機能強化」および新旅客ターミナルの整備や貨物施設の集約などを含む「『新しい成田空港』構想」の総称(愛称)を4月18日～5月23日に公募、13日に開催された「成田空港に関する四者協議会」で379点の応募の中から、“成田空港第2 の開港プロジェクト”が選ばれた。
　開港以来のビッグプロジェクトであることがわかりやすく、新滑走路の整備などにより、空港敷地面積も約2倍、発着容量も24年度実績の約2倍、50万回となることなどから“2”という数字が効果的に使われていること、などが選定理由となった。
　当選の景品（抽選で10 名）は、発送をもって発表に代える。

イスラエルが13日、イランの核施設と軍事施設を攻撃し、その後イランが報復措置を取ったことで、地域的な紛争の拡大とホルムズ海峡（SoH）を通航する海上交通の混乱に対する懸念が高まっているが。Drewry Maritime Research（英国）ではSoHが世界的な原油供給における戦略的重要性を持つため、イランによる完全な封鎖は依然として可能性が低いとみている。しかし、封鎖された場合、世界的な原油供給が大幅に減少、原油価格が記録的な高水準に急騰する可能性が高い一方、原油荷動き量は急減し、タンカーの稼働率が大幅に低下し、タンカー市場全体の運賃が急落する可能性があると指摘している。
　Drewryによると、SoHを通過するタンカーに対する標的型攻撃の増加は、交通の部分的な混乱を引き起こす可能性があり、リスクの高まりは保険料金と運航コストを上昇させる。このようなシナリオでは、SoHを通る原油の流れの減少は、買い手が調達戦略を多様化させるため、運賃を支える要因となり、その結果、船舶の再配置と貿易パターンの変化は、原油タンカーと製品タンカーの両方のトン数需要を維持または増加させる要因となるとみている。
　オマーンとイランの間にあるこの狭い海峡が、中東湾岸の原油輸出国と世界市場を結ぶ重要な輸送路として機能していると指摘。イランはSoHを閉鎖する意図はないと表明しているが、閉鎖により世界的な原油市場に深刻な影響を及ぼすとしている。SoHは世界全体の海上原油貿易の35％以上が通過しており、代替ルートは極めて限られ、中東の主要なOPEC産油国であるサウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦（UAE）、クウェート、イラクは、原油輸出でSoHに依存している（グラフ参照）。
　サウジアラビア、UAE、イラクには陸上輸送の代替手段となる機能的なパイプラインが存在するが、その合計余剰容量はわずか日量400万バレル（mbpd）と推定、これにより、完全な封鎖が発生した場合、日量1,100万バレルを超える原油供給が途絶える可能性があり、深刻な市場影響を引き起こす可能性があるという。
　SoHを通じた原油輸出は、OPEC+の生産削減と非OPEC産油国の供給増加により近年減少傾向にあるが、2024年時点でSoHは世界的な海上原油貿易の約37%を占め、その約86%はアジア市場向けで、中国、インド、日本が最大の輸入国となっている。

　英国海事貿易業務局（UKMTO）は11日、中東地域内の緊張が高まり、軍事活動のエスカレーションにつながる可能性があり、船舶は、アラビア湾、オマーン湾、およびホルムズ海峡を注意して航行するよう注意を喚起した。各国海軍と民間商船とのコンタクトは、アラビア半島にあるUKMTOが担い、EU海軍部隊とNATO海軍部隊の指揮情報通信は英国に集約されている。
　海外報道によると、米国とイランはイランの核開発計画について協議する予定となっているが、状況は依然として緊張しており、米国は交渉が破綻した場合の軍事介入を脅かしており、イランは地域で戦闘が勃発した場合、米国の軍事施設を標的とする可能性を示唆しているという。

　国土交通省によると、18日から27日にかけ、国際海事機関（IMO）の第110回海上安全委員会（MSC 110）が18～27日、ロンドンの国際海事機関（IMO）本部での対面とweb参加によるハイブリッド形式で開催、前回会合までに承認された条約などの改正案の採択や自動運航船の国際ルールの更なる検討を行う。
　前回会合までに承認された主な条約などの改正案は、（1）水先人の乗下船装置の設計・構造、収容、点検・保守等の要件を規定する性能基準案や海上人命安全条約（SOLAS条約）附属書改正案（2）2022年に開催された第8回貨物運送小委員会（CCC 8）における我が国の提案に基づく、保守点検以外に人が通常中に入ることのない区域（船倉区域等）の換気要件や、浮体式液化ガスの貯蔵・再ガス化設備（FSRU）の配管に係る基準などを取り入れた国際ガスキャリアコード（IGCコード）の改正案。
　また、自動運航船の国際ルールについては、昨年12月の前回会合（MSC 109）までに各章の具体的な要件が検討され、「航行安全」等の一部の章が最終化、今会合では、これまでの作業を基に残りの章について更なる検討を行う予定。

香港のブロックチェーン（分散型台帳）技術を用いたオープンプラットフォームGlobal Shipping Business Network（GSBN）は16日、メンバー船社の協力の下、香港のデジタル・トレード・テクノロジー企業であるIQAXがコンテナ船業界のDX・標準化促進団体、Digital Container Shipping Association（DCSA）の電子船荷証券（eBL）APIスキーマ・バージョン3.0に対応した世界初のeBLソリューションとなったと発表した。
　この画期的な導入は、数カ月にわたる緊密な協力関係を経て、6月11日に本稼働を開始、APIベースのデータ交換に準拠したものであることを確認、DCSAのエンド・ツー・エンド適合性テストを成功裏に完了させた。
　GSBNは、ブロックチェーン対応インフラを通じてこれまでに55万件以上のeBLを処理、100カ国以上をカバーするなど、eBLの急速な普及を基盤としている。また、IQAXは、香港に拠点を置くOOCLの全額出資会社で、物流業界における効率性向上、可視化、コスト削減、CO2排出量削減などを目指している。

　NIPPON EXPRESSホールディングのグループ会社、日本通運は、日本物流団体連合会主催の第26回物流環境大賞表彰で「物流環境大賞」、「先進技術賞」、「奨励賞」を受賞した。
　物流環境大賞は、「青森県産りんごのモーダルシフトの取り組み」で、受賞者は日本通運のほか、つがる弘前農業協同組合、日本貨物鉄道。JAつがる弘前から全国へ発送するりんごをトラック輸送から鉄道輸送へ切り替えた大規模なモーダルシフト案件で、荷主・物流事業者が一体となって推進した。北海道から九州に至る遠距離の輸送比率が高いため、モーダルシフトでCO2排出量約87％削減を達成した。また、鉄道の輸送障害に備え、日本通運のモーダルコンビネーションサービスであるSea＆Rail輸送網も活用し、関西～九州間で船舶を一部利用している。
　先進技術賞は「NXスーパーエクスプレスカーゴ」で受賞者は日本通運、ジェイアール東日本物流。JR東日本物流が提供する新幹線荷物輸送サービス「はこビュンQuick」と、日本通運の集配ネットワークを組み合わせた即日配達サービスで、新たな即日輸送の手段として注目、小口貨物分野における環境負荷の低減が期待できる。サービスの対象エリアは、JR東日本新幹線の主要駅（東京、新青森、盛岡、仙台、新潟、長野、金沢など）相互間。10kgの荷物を輸送した場合、トラック輸送と比べてCO2排出量を4.3kg、約94％削減できる見込み。
　奨励賞3件あり、1件は「愛知県～福岡県、広島県、山口県の自動車用塗料の鉄道輸送への転換（ISOタンク利用）」で、受賞者は日本通運、日本ペイント・オートモーティブコーティングス。高浜工場～九州・中国地区向けのモーダルシフトに取り組んだ案件で、貨物駅での一時保管サービスを活用、従来のタンクローリー輸送時には難しかった、納入の急な延期などにも柔軟に対応することが可能となった。取り組みに際して、荷主・納入先を含めた関係者間で綿密に調整した上で実現に至ったもので、同取り組みで、CO2排出量が235t、71％削減できる。
　奨励賞のもう1件は、「NXダイレクトコンソリデーションサービス～内航船を利用した九州、山口地区発の輸出混載貨物の新サービス～」で、受賞者は日本通運。北米、欧州向け輸出混載貨物を中心に、従来、博多港から神戸港までトラックで転送していた貨物を、博多港～東京港の内航船にモーダルシフトした。同取り組みで、環境負荷の低減だけでなく、リードタイムの短縮や、海外港での中継回数の減少による輸送品質の向上、さらに30％以上のコスト削減も実現、従来と比べて年間8t、77％のCO2排出量削減が可能となる。
　奨励賞の3件目は「NXダイレクトフィーダー～内航船で輸入貨物を地方港まで海上輸送～」、受賞者は日本通運。輸入貨物を対象に、従来、陸上ドレージ輸送していた貨物を、日本通運が手配する内航コンテナ船（東京港～仙台港など）を利用した輸送にモーダルシフト。輸入貨物の国内輸送は、輸入者側で手配することが多いことを利用し、NXグループの国内ネットワークで最終配達先まで一貫して輸送が可能。従来、使用後の空バンを京浜港へ返却する必要があったが、この取り組みにより地方港での返却が可能となった。同サービスを利用で、東京港から山形市へドレージ輸送した場合と比較し、約1t、59％のCO2排出量削減となる。

　Descartes Datamyneが米国税関データを基にまとめた5月の世界から米国向け荷動きは前年同月比6.3％減の218万4,301TEUで、うちアジア主要10カ国・地域発米国向けコンテナ（母船積み地ベース）は前月比11.3％減、前年同月比9.9％減の149万6,371TEUと21カ月ぶりのマイナスになった。また1～5月は前年同期比10.3％減の858万9,141TEUだった。
　5月の国別では、首位の中国が前年同月比26.7％減の70万5,317TEUと米国の関税政策の影響が顕著となった。一方ベトナムは39.2％増の22万767EU、韓国が4.0％増の20万6,045TEU、インドは19.3％増の7万9,519TEU、台湾が4.1％増の7万1,871TEUと中国以外の多くの国はプラスになった。日本は8位で5.7％減の3万4,380TEUだった。
　品目別では、首位の家具類（HS94）が16.1％減の23万4,976TEU、機械類（HS84）が9.5％減の16万8,530TEU、プラスチックとその製品（HS39）が5.3％減の15万7,667TEU、電気機器（HS85）が11.0％増の13万3,704TEU、自動車関連（HS87）は15.2％減の8万8,283TEUだった。
　また世界発コンテナ原産国ベースで見ると、首位の中国が28.5％減の25万3,759TEUと大幅に減少した一方、ベトナムが18.1％増の3万8,996TEU、インドが10.4％増の1万1,278TEUと2ケタのプラスになった。
　同時に発表した4月の米国発アジア主要10カ国向け荷動き（最終仕向け地ベース）は前月比10.6％減、前年同月比1.7％減の49万3,507TEUだった。
　仕向け地別では韓国が前年同月比4.8％増の6万7,957TEU、また中国は関税政策に伴う報復措置などが顕在化し、米国の昨年の税関データに欠落があったため49.1％減の6万7,711TEU、日本は29.0％増の6万7,393TEU、インドは21.8％増の6万3,069TEU、ベトナムは44.5％増の5万8,617TEUだった。
　品目別では、プラスチックとその製品が39.5％減の1万2,107TEU、牧草・豆類（HS12)は72.3％減の4,788TEU、木材（HS44）が79.2％減の3,052TEU、パルプ・古紙（HS47）が55.6％増の2,856TEUだった。

　ノルウェー・オスロに本部を置く船級登録など国際的第三者認証機関であるDNVが先週発表した「エネルギー転換展望:2050年までのCCS」と題するレポートによると、二酸化炭素回収・貯留（CCS）能力は2030年までに4倍になると予想、2040年代からは船舶による海上CO2回収システム（図参照）の需要拡大を見込んでいる。
　CCSは現在、年間わずか4,100トンのCO2が回収されているが、2050年までに年間1,300万トンに増加すると予想、これは世界のCO2排出量の6%に相当するが、ネットゼロの未来に必要なレベルには程遠く、DNVではCCSへの累積投資額は2020年代末までに800億ドルに達し、その成長は北米と欧州に集中するとみている。
　現在、CCSの用途は天然ガス処理が主流だが、船舶は排出削減が困難な分野の一つであり、今後、その技術は拡大していくが、2030年以降は製造業における需要が高まり、2040年以降に船舶による船上CCSの導入がますます進むものと予想している。
　また、船上CO2回収の普及は、燃料費、運用経費、貨物スペースの損失、CO2貯蔵料金などのシステムコストだけではなく、炭素価格や燃料費などの広範な経済学的要因にも左右されると考えており、同レポートでは15,000TEU型コンテナ船の船上CO2とカーボンニュートラル燃料をモデル化し、その経済的ケースを検証した結果、この技術は燃料費15%、CO２貯蔵費用40ドル／トンの低コストシナリオでは経済的に実行可能で、燃料30%、CO2貯蔵費用80ドル／トンの高コスト条件でも依然として競争力があることが判明した。
DSVでは、CCSは極めて重要な10年を迎えており、野心と投資の規模を劇的に拡大する必要があるとしている。

　中国の寧波航運交易所（NBSE）が作成、ボルチック海運取引所（英国）が協力する寧波出しスポット運賃を反映した先週の寧波輸出コンテナ運賃指数（NCFI）は全体的に出荷が減速し、多くの航路のスポット運賃が下落し、総合指数（2012年第10週＝1000）は前週比7.9%下落し1536.8となった。21航路のうち7航路の指数が上昇、13航路が下落、1航路が横ばい、「海上シルクロード」沿いの主要港のうち6港が上昇、10港が下落した
　欧州航路は需給はまだ緩和されておらず、出荷ペースは好調なペースを維持し、運賃は上昇傾向を維持、地中海航路は船腹量が比較的多く、船社は貨物確保を強化するために運賃を下方修正した。この結果、運賃指数は、欧州航路が1307.9で前週比16.4％上昇したが、東地中海航路は1488.8で6.0％下落、西地中海航路も1890.7で7.3％下落となった。
　北米航路は出荷ペースが鈍化し、北米東岸航路の新規船腹は北米西岸航路よりも少なく、船社が船腹の一部を戻す動きと重なり、運賃指数は北米東岸航路が2403.3ポで前週比3.4％の下落だったのに対し、北米西岸航路は2231.0で31.5％下落だった。
　中東航路は船社が欠便を抑制、需給が小幅に引き締まり、運賃指数は1618.7で、前週5.0％上昇となった。また、先週は南米西岸航路の荷動きが限定、船腹供給が需要を上回ったことで、スポット運賃が下落、運賃指数も1465.1ポイントと、前週比23.2％下落となった。

　上海航運交易所（SSE）が13日に発表した中長期契約運賃の指標である中国輸出コンテナ運賃指数（CCFI）の総合指数（1998年1月1日＝1000）は1243.05と前週比7/6%上昇し4週連続で上昇したが、上海出しスポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）は2088.24と6.8%下落し6週ぶり値下がりした。
　先週のCCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が前週比12.1%上昇し1488.87、地中海航路が13.4%上昇し2111.01、北米西岸航路が5.8%上昇し1094.58、北米東岸航路も10.6%上昇し1250/26と上昇した。
　南北航路は豪州・NZ航路が1.1%上昇し883.15、中東ガルフ・紅海航路が5.0%上昇し1351.10、　南米航路が26.7%上昇し862.18、南アフリカ航路が9.0%上昇し1019.04、東・西アフリカ航路も8.9%上昇し954.15と軒並み値上がりした。
　アジア域内航路は日本航路が0.9%下落し952.84となったが、東南アジア航路は1.2%上昇し941.71、韓国航路も2.6上昇し517.79と堅調だった。

　中国の上海航運交易所（SSE）がまとめた5月の世界コンテナ港上位20港（22年コンテナ取扱量ベース）における港湾の運営効率は中国の主要港の運営効率が改善したが、欧米などの主要港の運営効率は多少上下動した。
　5月、中国のコンテナ輸送市場は安定的に推移し、中国の主要港における外航コンテナ船の平均在港日数は1.42日、平均停泊日数は0.84日で、前月からそれぞれ10.1％、4.5％減少した。他の11の外国の主要港のコンテナ船の平均在港時間2.31日、平均停泊日数1.70日よりも良かった。
　最近の米国の関税政策による不確実性に影響され、船社が航路運営戦略を調整し、欧米航路の主要港の運航効率は変動している。このうち、欧州主要港のハンブルグ港の平均停泊日数は2.84日で前年同期比8.8％増、ロッテルダム港の平均停泊日数は2.21日で同3.9％減となった。米国西岸の主要港であるロサンゼルス港の平均停泊日数は同3.96日で前年比8.1％減少、米国東岸の主要港であるニューヨーク港の平均停泊日数は1.94日で5.4％減少した。
世界コンテナ港上位20港中、5月の平均在港時間が最も短かかったのは高雄港（台湾）の前月比9.8%減・0.83日、次いで厦門港が7.4%減・0.87日、香港の3%減・0.97日、広州港の8.3%減・0.99日などの順だった。

　韓国海洋振興公社（KOBC）は16日、昨年HMMが導入した国内初のメタノール燃料コンテナ船の金融を成功裏に支援し、世界的な船舶金融専門誌であるMarine Money（シンガポール）が選定した今年のDeal of the Yearを受賞したと発表した。HMMがメタノール燃料9,000TEU型コンテナ船9隻を導入する過程で、国内4社、海外5社の銀行と協業して優れた条件で金融を支援したことが評価されたもの。
　HMMは今年4月と5月、シリーズ初の2隻である"HMM GREEN"と"HMM FOREST"を現代三湖重工業から引き渡しを受け、単独配船するアジア／地中海航路のFIM Serviceに投入した。残りの7隻も順次、来年までに引き渡しを受ける予定だ。
　KOBCは、2019年にHMMの2万3,000TEU型12隻、2020年のHMM1万6,000TEU型8隻、2023年のHライン海運・Pan Ocean・SK海運カタールプロジェクトLNG運搬船15隻の支援に続き、4度目の受賞となった。
　KOBCは国際社会で海運分野の炭素排出規制が強化される中、今年国際金融市場で発行した3億ドルの持続可能な海洋資源に関連する事業に資金使途を限定する債券ブルーボンドを活用して環境にやさしい事業を拡大していく予定だ。

　日本貿易振興機構（ジェトロ）によると、カザフスタンの物流大手PTCホールディングは9日、ジョージアのポチ港で建設を進めていたコンテナターミナルの開設を発表した。
　黒海に面するポチ港は、カスピ海横断国際輸送路（TITR）上の拠点のひとつ。ターミナルの開設は、TITRを通じた輸送需要の増加、中央アジア・コーカサス諸国による戦略的な輸送ルート開発に対応した動きとなる。
　ターミナルの管理・運営は、PTCホールディングとジョージア企業との合弁会社ポチ・トランスターミナルが担う。2023年8月に建設が始まり、2025年5月までに建設工事が完了、ターミナル運用に関する許可をジョージア当局から取得した。建設は全て民間投資で投資額は3,150万ドル。9haの敷地内に2基のガントリークレーンを有し、1時間当たり50本のコンテナ処理が可能。ターミナルの処理能力は当初は年間8万TEUで、今後、設備や人員を増強し、20万TEUに拡大する可能性も視野に入れている。　2024年のTITRを通じた輸送量は450万トンで、前年比62％増加した。関係諸国の政府や物流関係企業が協力して、ルート上のボトルネックを解消し、2027年までに1,000万トンに引き上げる計画だ。

　シンガポール海事港湾庁（MPA）とターミナル会社のPSA Internationalはこのほど、現地時間15日午後1時20分頃、トゥアス港の現在稼働していないバースで、このほど引き渡しを受けた新設ガントリークレーンが搬入作業中に転倒する事故が発生したと発表した。
　この事故による負傷者などの人的被害は発生しておらず、隣接するバースの港湾設備への被害もないとしている。
　同港のターミナルを運営するPSA Singaporeは、同社が運営するその他の岸壁、ターミナルに影響は発生していないと伝えており、稼働中のターミナル平常稼動を続けている。
　MPAとPSAは引き続き、調査と対応を続けるとしている。

　ベトナムの最大手鉄鋼メーカー、Hoa Phat Groupはベトナム海運総公社（VIMC）傘下の内航コンテナ船社VIMC LinesおよびVinafco Shipping JSCに数千個の新造コンテナを引き渡す。
　VIMC Linesとは20'ドライ500本、40'HC500本の計1,000本の新造コンテナを供給する契約を締結しており、ピークシーズン需要に対応するため、6月から順次引き渡し、一方、Vinaficからは750TEUを受注、今年8月から納入が開始する見込み。
Vinafiscoは2隻のコンテナ船を運航しており、年間にもう1隻増やす予定で、以前にもHoat Phatから200本のコンテナを購入している。
　Hoa Phatは、南部バリアブンタウ省のフーミー2工業団地に第1期で年産20万TEU規模のコンテナ生産工場を建設、第2期で東南アジア最大の50万TEUへ増産を目指している。昨年7月にはHapag-Lloyd（独）に20'ドライ2,000本を供給する契約を締結している。
　Hoa Phatの強みはコンテナの材料となる高耐候性圧延鋼材（SPA-H）を、中部クアンガイ省にあるHoa Phat Dung Quat鉄鋼コンプレックスで製造していることで、2025年末までに投入資材の90～95％を国産化することで、コスト削減と生産の安定性確保を目指している。これと並行して、コンテナ・コンポーネントを最適化し、世界的なトレンドに合わせるための研究開発にも力を入れている。

　パキスタン財務省は、7月1日から、電子商取引（EC）プラットフォーマーが売り手に代わって18％の売上税（Sales Taxを課す責任を負うと発表しました。パキスタンのデジタル市場の状況を再構築、政府が従来の小売業者と急速に成長するオンラインプラットフォームの間の競争を平準化するのが狙いという。
　18％の新しい売上税規制に加えて、パキスタン政府は同日付で「デジタルプラットフォーム所得税2025」を導入、Amazon、Facebook、Google、Temu、地元のプラットフォーマーなどの企業を含む国内外のテクノロジー企業に5％のデジタルサービス税（Digital Services Tax）を課すことを計画している。

　上海と大阪・神戸を結ぶ国際フェリー"鑑真号"（19,948gt、旅客定員192人、コンテナ160TEU）が、6月28日から旅客の運航を再開する。鑑真号は上海港のターミナル改修工事のため貨物輸送のみで運航している。　"鑑真号"は、日中国際フェリーとCOSCO（中国）の合弁会社、中日国際輪渡有限公司（CHINJIF）が中国・上海／阪神（神戸、大阪）航路で運航中の国際貨客フェリーで、コロナ禍を機に旅客扱いを中断、さらに上海港の旅客ターミナル改装工事が大幅に遅れていたことから、貨物のみを輸送しており、2020年1月下旬以来5年5カ月ぶりに旅客輸送を再開する。

　韓国船社のPan Oceanは12日、HD現代重工業と30万dwt型LNG・アンモニア燃料対応VLCC2隻の建造契約を締結した（写真）。蔚山HD現代重工業で建造、2027年第3四半期の引き渡しを目指している。
　発注した4VLCCは長さ328m、幅60mで、国際海事機関(IMO)の温室効果ガス（GHG）排出規制であるエネルギー効率設計指標（EEDI）第3段階（EEDI Phase 3）の基準を満たすように設計されているほか、High Pressure SCR（Selective Catalytic Reduction:選択的触媒還元装置）技術を採用、海洋汚染防止条約（MARPOL）に基づき、窒素酸化物（NOx）排出規制海域(ECA)で最も高い水準であるTier III基準を満たす環境にやさしい船舶だ。
　特に、環境にやさしい燃料であるLNGとアンモニア燃料に転換できるように設計されており(LNG & Ammonia Ready)、今後のグローバル環境規制の強化にも対応できる。
　市場調査機関によると、2025年、全世界のVLCCのうち船齢20年以上の老齢船は合計108隻(約12%)に達する一方、2027年までに引き渡し予定の新造船は88隻で供給が制限されると予想されている。
　Pan Oceanでは、今回の新造船発注でVLCC船隊が合計4隻に増強、制限的な市場環境の中でもプレミアム船腹の確保と競争力強化という二兎を追うことになったとし、「持続可能な社会を作るために環境にやさしいインフラ投資を続けるとともに、事業ポートフォリオの多様化を通じて海運市場の不確実性と変動性にも積極的に対応していく」と強調している。

　世界の航空貨物荷動きは4月に米中の関税対立で落ち込んだあと、5月後半には関税引き上げの一時停止で盛り返したもののそれも短期で終わり、第23週（6月2～8日）は前週比で3％、前年同期比で2％それぞれ減少、中国・香港発米国向けは前週比で10％、前年同月比で19％といずれも2ケタのマイナスとなった。アジア太平洋発の貨物量はイスラム教の休日も重なって前週比6％減少、とくにマレーシア、インドネシアはそれぞれ14％、10％のマイナスとなった。
　23週の運賃水準は、全マーケットのスポットおよびコントラクト運賃の平均で前週比1％増の2.44ドル/kgにとどまり、前年比では2.63ドル/kgで横ばいだった。ただ、eコマース貨物への依存度が高い香港発米国向けのスポット運賃は、米国のデミニミス（少額貨物免税）ルールの変更で前週比12％減と最大の下げ幅となった。

　フランクフルト国際空港の5月貨物取扱量は前年同月比4.6％増の17万6,165トン、郵便を含めた総取扱量は4.4％増の17万8,977トンで、前月のマイナスからプラスに転じた。前月は郵便が2ケタ減となったためで、輸出入およびトランシップ貨物の合計では微増ながらプラスで推移しており、航空貨物は17カ月連続で前年同月の水準を上回った。
　5月の輸出貨物は2.5％増の8.4万トン、輸入貨物は6.8％増の9.0万トン、とくに中国からの輸入は49％の大幅な伸びで、輸出入合わせても37.1％増となった。米国線は旅客便の増便によるベリーの増大で1.3％増、欧州は1.2％減、中東はルフトハンザ航空のテルアビブ線の中止で11.5％の2ケタ減、アフリカが9.８％増、中南米も10.0％の増加となった。

　NIPPON EXPRESSホールディングス（NXHD）は、NXグローバルイノベーション投資事業有限責任組合の案件として、スマートウォッチの生体データを活用したノンデスク産業特化型サービスを開発・提供している、enstemに13日に出資、資本業務提携契約を締結した。
　enstemは「ヒトのまだ見ぬ可能性を呼び起こし、すべての人に最高の生き方を」というビジョンのもと、2019年6月に創業したスタートアップ企業。スマートウォッチから取得した生体データ分析を活用したソリューションを展開し、現在は主にノンデスク産業特化型サービスとして「Nobi for Driver」、「MAMORINU」の2種類のサービスを提供している。「Nobi for Driver」は、2022年6月にスタートした、ドライバーの健康管理に特化したサービスで、スマートウォッチから得たドライバーの位置情報や心拍数などのバイタルデータ情報を活用し、健康起因による事故や居眠りを予防する。
　「MAMORINU」は、2024年6月にスタートした、倉庫や工場など現場の作業員や医療従事者向けに特化した安全管理と業務改善サービスで、現場作業員などのリアルタイムな作業負荷を可視化し、異常を検知することで、より安全で効率的な作業環境を実現する。
　NXグループは、経営計画「NXグループ経営計画2028　Dynamic Growth 2.0 "Accelerating Sustainable Growth ～持続的な成長の加速～"」における人財戦略として人的資本経営を掲げ、Well-beingの充実、エンゲージメントの向上に取り組んでいる。enstemが提供する「Nobi for driver」とウェアラブルウォッチを活用することで、ドライバーの健康状態、眠気の予兆などをリアルタイムで可視化、ドライバーの健康起因の事故リスクを予防し、長く安心して働ける職場環境を推進する。また、NXグループ安全理念 「安全はすべてに優先する」に基づき、物流業界共通の課題である交通事故・労災の防止に取り組む。
　NXHDでは、「Nobi for Driver」の活用により、心拍データのリアルタイムでの可視化や管理によって、眠気の感知による居眠り運転による事故、熱中症による労災の予防に取り組む。また居眠り運転などの健康起因の交通事故、熱中症などは、物流業界共通の社会課題で、NX商事を通じたサービス拡販により社会課題の解決に取り組む。さらに、NXグループが今まで培ってきた経験や知見を活かし、ドライバーや作業員の労働環境の改善や安全対策、事故率の削減や作業効率の向上のため、新たなサービスの開発などに連携して取り組むとともに、将来的な海外における連携も視野に、各国の物流課題に対応したサービスを共同で開発することで、グローバルで持続可能な社会の発展に貢献していく方針だ。

　国土交通省関東地方整備局・東京港湾事務所は、東京港中央防波堤外側地区においてY3コンテナターミナルの整備を進めているが、6月26、27日に岸壁の主要部分となるジャケットを据え付ける。
　東京港では、国際コンテナ貨物需要の増加とコンテナ船の大型化に対応するため、中央防波堤外側地区において水深マイナス16m、延長400mの耐震強化岸壁を有するY3コンテナターミナルの整備を進めている。同耐震強化岸壁は、鋼管杭（長さ約50m）を地盤に打ち込んだ後に、ジャケット（高さ15m、長さ48m、幅15m、重さ333トン）を吊り上げて、ジャケットの脚（レグ）を鋼管杭に被せることで一体化構造とする「ジャケット式桟橋」で築造している。同工事では、合計25基のジャケットを設置する計画だ。
　現在、三重県津市にてジャケット4基の製作を進めるとともに、現地にてジャケットを支える基礎となる鋼管杭の地盤への打ち込みを進めている。今回の施工範囲の大部分が東京国際空港の延長進入表面（航空機が安全に離着陸するため、障害物がない状態にしておく空間）に抵触するため、起重機船での鋼管杭やジャケットの吊り上げ高さをTP（東京湾中等潮位）102.4m未満に抑えなければならない。このため、現地では、長さ約50mの鋼管杭を2分割して、地盤への打ち込みの途中で溶接して1本の杭基礎とする作業を進める。ジャケットの据え付けにあたっては、ジャケットの脚（レグ）を鋼管杭に被せる作業を、起重機船によるジャケットの吊上げ高さに留意しながら進める。また、同工事では、隣接するY2コンテナターミナルを使用する船舶の妨げになることのないよう、海上作業時間の制限や作業船の待避なども必要となっている。

　宇徳の海外現地法人UTOC Engineering Pte. Ltd.（UE）は、クラレのシンガポール現地法人Kuraray Asia Pacific Pte. Ltd.からエバールの生産プラント建設工事の一部を受注した。
　UEは1989年に設立し、30年以上にわたりシンガポールを中心とした東南アジア地域において石油化学プラントの建設工事とメンテナンス工事を展開してきた。今回の契約では鉄骨工事、配管工事、機器据付工事を同時並行に進めていく必要があり、UEの施工実績を高く評価、契約締結に至った。契約金額は、同社グループにおける過去最大規模となる。また、1日当たりの最大稼働人員は1,000名超を予定、非常に高い管理能力が必要となる。同プラントの稼働は2026年末を予定している。

　福岡市港湾空港局の発表によると、25年3月の博多港の外内貿合計コンテナ取扱個数は前年同月比1.2％減の8万8,184TEU、うち外貿コンテナ取扱貨物に内貿フィーダーコンテナ取扱貨物を加えた国際海上コンテナ取扱個数も1.6％減の8万1,662TEUと4カ月ぶりに減少に転じた。
　国際海上コンテナ取扱個数のうち、外貿輸出が2.5％減の3万7,311TEU、輸入は3万9,483TEUと5.7％増加、内貿フィーダーは移出が46.8％減の2,102TEU、移入は19.1％減の2,767TEUだった。国内海上コンテナは移出入合計で4.3％増の6,522TEUだった。
　1～3月累計では、外内貿合計が前年同期比横ばいの23万7,740TEU、国際海上コンテナは0.2％増の22万960TEU、うち輸出が2.1％増の9万9,991TEU、輸入が0.9％増の10万5,214TEU、内貿フィーダーの移出が29.0％減の6,943TEU、移入が2.9％増の8,813TEU、国内海上が移出入合計で2.3％減の1万6,779EUだった。

　四日市港管理組合によると、25年4月の同港の外貿コンテナ取扱個数は、実入り空・輸出入合計で前年同月比5.9％減の1万3,529TEU、うち輸出が7.5％減の7,515TEU、輸入が3.7％減の6,014TEUだった。
　4月の実入りコンテナの輸出は14.5％減の6,104TEU、輸入が5,849TEUと6.1％増加、輸出入合計で5.5％減の1万1,953TEUだった。空コンテナは輸出入合計で8.3％減の1,576TEU。
　1～4月累計では、実入り空・輸出入合計で前年同期比6.6％減の5万1,504TEU、うち輸出が7.6％減の2万8,008TEU、輸入が5.3％減の2万3,496TEUだった。実入りコンテナの輸出は12.1％減の2万3,674TEU、輸入が1.7％減の2万2,388TEU、合計が7.3％減の4万6,062TEUだった。空コンテナは輸出入合計で0.7％増の5,442TEU。
　1～4月の国際フィーダーコンテナ取扱個数は前年同期比16.8％増の3,024TEU。1～4月実績を相手国別にみると、輸出では台湾が16.3％増の3,612TEU、韓国が25.0％増の3,480TEU、ベトナムが53.7％増の3,287TEU、中国が4.7％減の3,248TEU、タイは16.4％減の2,354TEUだった。
　輸入は中国が4,482TEUと13.8％増、フィリピンが16.5％増の4,243TEU、インドネシアは8.0％減の2,942TEU、韓国が24.0％減の2,828TEU、タイが17.8％減の2,472TEUだった。

　東京都港湾振興協会は16日、都内で2026年度通常総会を開催し、丸山秀聡会長（日本郵船、写真左）は今後も人材確保の為、東京港の認知度向上やＰＲ活動、児童向けパンフレットの発行、港まつりなどのイベントを通じて東京港のＰＲを強化していく方針を示した。
　丸山会長はあいさつ冒頭で、5月20日に開催した84回目の東京港開港記念日の祝賀会、また5月31日～6月1日に開催した東京港みなと祭が成功裏に終わったことについて謝意を表明したうえで、「東京港は現在の課題は、埠頭の再編整備とAIなどの最新技術を駆使した効率化、カーボンニュートラルをはじめとする環境問題への対応、また物流2024年問題に伴う人材確保などがある。以前から東京港は他の港湾に比べPRが足らず、認知度が低いのではないかとの指摘が上がっている。その為昨年は関係機関と連携し、児童向けに東京港の役割を知ってもらえるようパンフレットを作成し、好評を得た。今後も認知度向上の取り組みを進めていく」と方針を示した。
　総会では2024年度事業報告と収支決算報告と承認の手続きを完了し、続く理事会では新たに新会長として水島健二氏（写真右）を新会長に任命、また服部浩副会長（東京港埠頭社長）と鶴岡純一副会長（東海海運社長）を再任した。また丸山前会長は近く副会長に就任する見込みとなっている。
　懇親会で挨拶に立った水島新会長は「本協会は今年で75周年、また私は10代目の会長となり、いずれも節目の年として役目を与えられ身の引き締まる思いだ。協会を取り巻く環境、役割は大きく変わってきており、特に課題となっている人材確保と子供世代のPRなどの広報活動を中心に取り組んでいきたい。特に若者向けには、冊子だけでなくスマホなどに対応した情報発信に対応していきたいと思っている」とし、「私自身は長年コンテナ物流に携わり港とも長年関わってきたが、港湾そのものへの理解は決して深くないが、言わば門前の小僧として携わってきており、その立場から港湾活動をしっかり支援する応援団としての立場から東京港を前に進めていきたい」と抱負を述べた。

　日本物流団体連合会（物流連）はこのほど、第26回物流環境大賞の受賞者を決定し、物流環境大賞に、つがる弘前農業協同組合、日本通運仙台支店ロジスティクス第二部青森・大館物流事業所弘前営業課、日本通運事業統括本部通運部、日本貨物鉄道（JR貨物） 東北支社 北東北支店（青森）の4者による「青森県産りんご モーダルシフトの取り組み」を選定した。
　同案件は、CO2削減量が大きいことに加え、農産物の大規模なモーダルシフト例が少ないこと、荷主と物流事業者が一体となって 2024 年問題に対応していること、出荷が収穫時期に集中しがちな農産物輸送において出荷の年間平準化に取り組んでいることなどを高く評価した。
　今年の物流環境大賞には、 31件の応募があり、特にモーダルシフトの案件が多く寄せられ、往復輸送、荷主の協力を得てリードタイムを延長したもの、モーダルシフトと拠点の再配置・荷役改善・回送空コンテナ活用などを組み合わせたものや、輸出入貨物のモーダルシフトなど、多様な取り組みがあった。
　モーダルシフト以外では、トラック輸送で、積載率向上や労働負荷軽減を目指したもの、出荷拠点見直しと配送スケジュール調整を組み合わせたもの、さらに、先進技術や新しい発想を活用した取り組みなど多くの応募があった。
　今年は大賞のほか、「低炭素物流推進賞」3件、「サステナブル活動賞」3件、「先進技術賞」3件、「日本物流記者会賞」1件、「奨励賞」20件と、多数の賞の贈呈を決定した。

　日本GLPは、東京都板橋区で延べ床面積約7,400m2の「GLP板橋」を開発すると発表した。2025年内に着工、2027年に竣工を予定している。
　「GLP板橋」の開発地は、これまで佐川急便の「赤羽営業所」が稼働していたが、施設の老朽化やBCP対策の必要性を受け、建て替えを検討していたところ、日本GLPによる再開発が決定した。同施設は、引き続き佐川急便が「赤羽営業所」として一棟全体を専用施設として利用する予定だ。同施設は、地上3階建てのスロープ付き施設として開発、1・2階フロアにはトラックバースと駐車スペースを設け、効率的な荷物の輸送施設（営業所）として運用する。また、施設内には事務所スペースや従業員用の駐車場を整備する。

　東京都港湾局は、12日に東京港大井ふ頭で確認したアリについて、専門家による同定の結果、要緊急対処特定外来生物であるヒアリであることを確認したと発表した。
　環境省の定期的な全国港湾調査で確認したもので、東京港大井ふ頭で調査事業者がコンテナヤード上で、ヒアリと疑わしいアリ約600個体を確認。確認場所周辺に殺虫餌（ベイト剤）を設置した。環境省が専門家に同定を依頼したところ、ヒアリの働きアリ約600個体だと確認した。都では、引き続き、環境省と協力して、発見場所において目視やトラップによる調査と防除を進めるとともに、国、地元区、港湾事業者で構成する「東京港におけるヒアリ等対策連絡会」を通じて迅速に情報共有を図った。

　米西岸のロサンゼルス港とロングビーチ港（LA/LB港）への船舶の出入港を監視している南カリフォルニア海事取引所（Marine Exchange of Southern California：MESC）によると、米中貿易戦争で両国間のコンテナ荷動きが鈍化した後、LA/LB港へのコンテナ船の到着は徐々に通常に戻りつつあり、今後2週間で若干の増加を予測している。
　LA/LB港へのコンテナ船は1月に平均58.9隻/日だったが、米中貿易摩擦の影響で5月には47.2隻/日まで落ち込んだが、6月最初の14日間の平均は51.8隻/日、過去17日間の平均は52.1隻/日まで増加している。
　これは、今後1〜2週間、船舶の入港が若干増加することを示す指標であり、今後3日間で17隻のコンテナ船がLA/LB港に到着する予定だが、これは通常の状態としている。
　LA/LB港に接岸するコンテナ船は、4月の平均19.4隻/日から5月は15.6隻/日に減少したが、6月最初の6日間の平均は12.3隻／日、6月最初の14日間の平均は15.1隻／日と急増し13日に21隻、14日には14隻がそれぞれ接岸した。
　MESCの海事情報スペシャリストによると、8月1日までにロサンゼルス港またはロングビーチ港をスキップする欠便のコンテナ船は49隻に達し、これは前週に比べて2隻多い。
　また、貨物輸送市場情報プラットフォームのXeneta（ノルウェー）よると、5月中旬から28％増加した太平洋航路の船腹が戻りつつあり、東アジアと中国から米国へのコンテナ船運賃は、10カ月ぶりの高水準にあるが、この船腹増と貨物ラッシュの鈍化により、追加関税発表前の第1四半期に見られたスポット運賃の下落圧力が再び戻ってくると予想する。

　物流支出管理クラウドを提供するPortX（東京都新宿区）は、荷主企業を対象として、本船ブッキング業務を自動化する「Booking AI Agent」のβ版（試用版）をリリースした。
　同サービスは、主にAIエージェントとのチャットラリーをベースに利用できるもので、AIへの具体的なブッキング依頼に加えて、契約キャリア情報、事前合意済みの最低数量コミットメント（MQC）、リアルタイムでのブッキング実績など前提条件をAIが総合的に考慮し、最適なキャリアを複数提案する。AIエージェントの活用で、人的工数を大幅に圧縮することで、1件あたりブッキング手数料の削減が可能となった。
　従前から、PortXは、AIを活用した次世代輸送管理システム「PortX Works」とMBL（マスターB/L）やHBL（ハウスB/L）でトラッキングができる動静管理システム「PortX Trace」を提供、国際物流における輸送業務の可視化と効率化を支援してきた。
　「Booking AI Agent」は、事前に提供する指定情報や過去実績をもとにAIエージェントとチャットラリーすることで利用が可能だ。営業部門から届くメール本文や添付ファイルに記載した、出発地・到着地・納期・貨物量などの情報を、カジュアルな自然言語でも高精度に読み取り、構造化データとして自動抽出する。また事前に登録した本船スケジュール、契約運賃・MQC・ブッキング実績などの情報をもとに、依頼内容に対して最適な船会社をAIが選定。到着日・コスト・MQC消化率などを比較しながら、複数の選択肢とその選定理由を提示する。
　荷主企業の物流担当者は、AIからの提案内容をチャット上で確認し、そのまま「承認」を選ぶだけで、後続のブッキング処理まで自動的に連携できる。入力や転記の手間を省き、迅速な対応が可能になる。ステータスのリアルタイム同期、ブッキングリクエスト後に届くコンファメーションやリジェクトのメールをAIが自動解析し、予約ステータスをリアルタイムで反映する。全ブッキングの進捗状況や、MQCの消化実績を一元的に管理できるダッシュボードを提供、物流業務の可視化と定量的な改善が可能になる。
　「Booking AI Agent」の活用で、本船ブッキングにかかる人件費・外注コストの大幅な削減、業務の自動化によるリードタイムの短縮と処理速度の向上、契約MQCの消化状況を可視化し、計画的な運用管理を支援できるようになる。
　同サービスのβ版の受付を開始しており、ブッキング件数に応じた従量課金システムとなっている。

　6月13日以降、イスラエルとイランの紛争が激化する中、香港の海運調査会社、Linerlyticaによると、ホルムズ海峡が封鎖された場合、世界のコンテナ荷動き量の3.4％に影響を与える可能性があるという。
　ただ、中東航路のコンテナ輸送は影響を受けておらず、コンテナ船社は中東ガルフとイスラエルの港への定期寄港を維持している。ZIM（イスラエル）はイスラエルのアシュドド港とハイファ港へのサービス継続を確約、CMA CGM（仏）は中東地域での緊張が高まっているにもかかわらず、今月中に欧州／インド亜大陸・極東航路の3隻をスエズ経由に変更する予定という。
　すでにEurope Pakistan India Consortium (EPIC)Serviceのコンテナ船を喜望峰経由からスエズ経由に変更した。”CMA CGM AQUILA”（11,388TEU）がアルヘシラスから紅海に向かい、6月16日にスエズ運河を通過した後、19日にジェダ、29日にアブダビ、7月1日にジェベルアリに寄港する予定。スエズ経由による航海距離の短縮により、欧州からアブダビまでのトランジットを約10日短縮する。
　EPICにはコンテナ船11隻を投入、カリファ～ジェベルアリ～カラチ～ナバシェバ～ムンドラ～タンガーメド～サザンプトン～ロッテルダム～ハンブルク～アントワープ～ダンケルク～ルアーブル～アルヘシラス～ハリファのローテーションで定曜日ウイークリーサービスを提供してきた。

　MSC（スイス）は19日から海峡地と東アフリカを結ぶ新サービスのOryx Serviceを開始する。新サービスにはシンガポール6月19日起こしの”MSC ELBA II”（3,534TEU）を第1船に、3,500TEU型コンテナ船6隻を投入し、シンガポール～モンバサ～ダルエスサラーム～シンガポールのローテーションで定曜日ウイークリーサービスを展開する。

　海外の海事メディアは、9日にインド・ケララ州アジッカルの沖合で爆発、火災事故を起こした、Wan Hai Lines（台湾）が運航するコンテナ船”Wan Hai 503”（4,252TEU、シンガポール船籍）は13日、沿岸部の環境破壊を防止するため、タグボートにより、西へ曳航を開始したと伝えている。
　サルベージ会社のT&T SalvageとコンサルタントとしてBureau Veritas、TMC Marineと協力し、現在外航タグボート”Ocean Warrior”に曳航されて沖合から移動を始めており、並行して依然行方不明の船員4人の捜索を続けている。
　 Wah Haiは15日に最新の状況について声明を発表し、行方不明船員は台湾人が2人、インドネシア人とミャンマー人船員が各一人で、救助された18人のうち5人が医療機関で手当てを受けていると発表した。
　Wan Haiは現在、協力機関と、未だ本船上に残っている貨物のサルベージ方法とリスク評価に取り組んでいるとしている。