ニュースダイジェスト

　鈴与と鈴与カーゴネットは、6月28日に日本物流団体連合会が主催する「第25回物流環境大賞表彰」で「特別賞」を受賞した。
　今回の表彰は、ASブレーキシステムズ（兵庫県伊丹市）、碧南運送（愛知県豊田市）の兵庫〜福岡間の配送で、従来はトレーラーによる陸上輸送だったものを、神戸港〜新門司港のフェリーを活用するモーダルシフトに取り組み、海陸一貫輸送の仕組みを構築したことで受賞した。この取り組みで、従来の輸送方法に比べCO2年間排出量を204トン（従来比53.8％）削減することができた。また、長距離陸上運送を回避することで、乗務員の拘束時間を年間6,480時間削減することができ、持続可能な運送を実現した。今年4月から時間外労働時間の上限規制適用が開始、「2024年問題」で物流業界は、輸送能力の低下や人手不足の課題に直面しているが、鈴与と鈴与カーゴネットは、社会の課題解決に向けて、モーダルシフトの推進や、積載量と積載率向上などの物流の最適化提案を通じて、環境負荷軽減や乗務員の労働環境の改善を図っている。

　ニチレイロジグループ本社は6月28日、ニチレイロジグループが日本物流団体連合会が主催する第25回物流環境大賞で「特別賞」を受賞したと発表した。
　同賞は、ウオロク、ロジスティクス・ネットワーク、シノプスが3社協働で、受注予測発注システムを活用したリードタイム延長によるCO2削減と物流改善に取り組んだ。需要予測システムを活用し、リードタイム延長による影響を分析・最小化、それによって積載効率・作業生産性を向上、配送車両・待機時間を削減し、CO2排出量の削減を実現した。
　またロジスティクス・ネットワークとニチレイロジグループ地域各社は、次世代輸配送システム「SULS」を活用したCO2削減した。全国にあるニチレイロジグループの自営拠点と、24枚のパレット積載が可能かつ荷台が切り離し可能な自社冷凍トレーラーを活用した、次世代輸配送システム「SULS」を22年度から開始。トレーラーへの積み置き作業による乗務員積込時間や車両待機時間の削減、16枚積みから24枚積みへの変更による効率化を実現し、CO2削減に貢献した。

　最先端ロボット技術を追求する東京ロボティクス（東京都文京区）は、これまで培った双腕ロボットや移動マニピュレータ技術を生かした遠隔操作ロボットソリューションの提供を開始する。要望に応じてロボットと遠隔操作装置をカスタマイズし、最適なシステムを提案していく方針だ。
　同社はこれまで、NTTコミュニケーションズや早稲田大学と共同もしくは単独で、力伝達型遠隔操作装置（メカニカルグローブ付）、装着型遠隔操作装置（ヘッドマウントティスプレイ付）、パペット型遠隔操作装置、ブラウザベース半自律型遠隔操作装置など、複数のタイプの遠隔操作装置を開発してきた。これらの技術を用いて、例えば、危険作業、高所作業、僻地運用、重量物運搬などの高負荷作業、クリーンルーム作業、冷凍倉庫作業、Embodied AI（学習データ収集）などで遠隔操作ロボットシステムを活用できる。また、自律制御と組み合わせることで、複数台のロボットの同時運用も可能になる。

　物流不動産のシーアールイー（CRE）は、同社の持分法適用関連会社で、トラックレンタル事業を展開するA-TRUCK（千葉県船橋市）が取り組んだ冷凍車の常温飲料の冷蔵計測試験結果と配送シミュレーションにおける温度比較試験の結果をオウンドメディア「ユアロジ」に公開した。
　近年、冷凍車は、従来の冷凍・冷蔵品の輸送だけでなく、災害時の緊急物資輸送や、イベント会場における冷蔵設備の代わりなど、さまざまな用途に活用している。今回公開した温度試験結果は、冷凍車の冷蔵庫としての活用シーンでも、その有効性を示した。A-TRUCKの冷凍車の性能を検証するため、温飲料の冷蔵計測と配送シミュレーションにおける温度比較を試験した。冷蔵計測では冷凍車が冷蔵庫として使用できるのか検証する目的で、イベントなどで常温の飲料を冷凍車で冷蔵する際、積載全体（特に中央の飲料）がチルド温度帯（10℃以下）に到達するまでの時間を計測した。4トン冷凍車、外気温30.9℃、冷凍機設定温度0℃、2Lの日本茶と500mlの炭酸飲料を段ボールに梱包し積載、積荷中央付近の飲料にセンサーを設置し液体の温度を計測した。この結果、日本茶は約17時間、炭酸飲料の温度は約20時間で10℃以下に到達した。
　配送シミュレーションでは、商品を輸送・保管するうえで、適切な保管条件が整っているかを検証するため、温度マッピングで、庫内の空間温度分布を継続的に計測した。A-TRUCK仕様の冷凍車と一般仕様の冷凍車の配送時における温度変化を比較したもので、4トン冷凍車、外気温35℃、冷凍機設定温度-20℃、30分走行後10分間エンジン停止（2分間サイドドアを開放、3分間リアドアを半分開放、ドアを閉め5分間停車）、30分走行を4回繰り返して試験、結果はA-TRUCKの冷凍車は一般仕様の冷凍車より最大6℃低温を維持できた。
　この結果から、業務用冷蔵庫が故障した外食チェーン店や、インバウンド需要で客足が急増したホテルへ冷凍車を提供するほか、野外イベントに出展する寿司チェーン店や、建設現場の作業員への食料や医療品の保管場所として冷凍車を提供するなどの活用事例があると指摘している。さらに災害発生時に電力供給が途絶えた被災地に、食料や医療品の保管場所として冷凍車を提供することも可能だ。
　A-TRUCKの担当者へのインタビュー記事と、同試験の詳細をオウンドメディア「ユアロジ」（https://www.logi-square.com/sh/299759935d9b）にて公開した。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、NX国際物流（中国）有限公司（NX中国）の東北支店は、6月15日に大連市で清掃活動に取り組んだ。
　NXグループでは、サステナブルな社会の実現に向け地球環境保全に積極的に取り組むとともに、従業員のエンゲージメント向上に努めている。今回、実際に環境保護活動に参加することでより多くの従業員が環境への意識を高め、また体を動かすことで心もリフレッシュすることを目的に、大連市金州区童牛嶺観光区での清掃活動に取り組み、従業員48人が参加した。5グループに分かれてチーム形式で清掃、プラスチック袋、ペットボトル、タバコの吸い殻など、合計32.8キロのゴミを集めた。参加者からは「イベントを楽しみつつ、チームワークも感じることができた。これからも環境保護の重要性を忘れずに実践していきたい」との声が上がった。

　米連邦海事委員会（FMC）は韓国船社HMMを国営船社リストに加えたと発表した。
　米海事法では国営船社（Controlled Carrier）を「企業自体、またはその経営資産が直接または間接的に政府によって所有または支配されているコモンキャリア」と定義し、不定期船は含まれない。国営船社に指定されると、米国と船社の所属国との間で条約が存在してない限り運賃・諸チャージや規則などがより厳しい監視下に置かれ、FMCによって運賃や規則に不正・不当行為があると判断された場合は、正当で適正であることを反証できなければ最大180日間運賃、規則などの停止が命じられる。
　米国と韓国の間では友好・通商・航海条約が1957年に締結されているので国営船社の義務が免除されるが、FMCの議会への年次報告にはその行為は報告され、サービスコントラクトに関する紛争では国営船社は介入できず裁判所の決定に従うこととなる。
　これまでに国営船社に指定されている企業は、COSCO Shipping Lines（中国）、Orient Overseas Container Line（同）、OOCL（Europe）（同）、Hede（Hong Kong） International Shipping（合徳［香港］国際航運）の4社でいずれも中国船社。COSCO SHIPPING Lines（Europe）は米国サービスを中止したため削除された。合徳［香港］は今年2月に国営船社に指定されたばかり。同社は唐山港実業グループの傘下の子会社である唐山港合徳海運有限会社が香港で投資して創立した国際航運会社で、おもに中国と日本、韓国を結ぶ航路でコンテナサービスを提供しており、今年3月に太平洋航路に進出した。

　郵船ロジスティクスのポーランド法人、Yusen Logistics (Polska) Sp. z o.o.（YLPL）はこのほど、同国南西部のヴロツワフに大型物流センターを開設し、6月18日から稼働を開始した。
　新センターは総面積約4万4,000m2、高速道路へのアクセスも容易で、在庫管理、流通加工、配送手配など欧州域内の最適な物流拠点として、多くの顧客の要望に沿ったサービスを提供できる。主な貨物は一般消費財や自動車関連で、そのほかフルフィルメントセンターを併設しファッションや美容関連商品など小売産業向け商品の取り扱いにも対応している。
　今後は、高度な倉庫管理システムに加え、YLPLの経験とノウハウを結集した新たな拠点が稼働したことで、e-コマース市場における旺盛な需要に対応し、顧客に最適なロジスティクスサービスを提供するとしている。
　また同センターでは太陽光パネルを利用した高効率蓄電システム、省電力のLED照明、高い気密性や排熱利用の空調システム、高性能ヒートポンプを設置しており、建築物の持続可能性を評価する国際的な評価制度、BREEAM認証で最高評価「Outstanding」を取得している。

　鉄道会社の車掌などで構成する乗務員組合のTCRC（チームスターズカナダ鉄道会議）は先週末、ストライキの再承認を圧倒的多数で承認し、早期にストを実施すると表明したことを受け、荷主はサプライチェーン混乱の懸念を強めている。
　TCRCは先週末、カナダの2大鉄道会社であるCanadian National鉄道（CN）とCanadian Pacific Kansas City鉄道（CPKC）の労働者1万人が投票し、98.6％がストライキに賛成票を投じ、圧倒的多数でストを再承認した。投票結果は60日間有効とされる。
　当初、ストライキは5月22日に実施される予定だったが、カナダ政府が5月19日にカナダ労使関係委員会（CIRB）に対し、鉄道サービスが必要不可欠とみなされるかどうか、ストライキが公衆衛生を脅かすかどうかを判断するよう要請したため、ストは一時中断された。 これにより、5月1日のスト投票も7月1日で期限切れとなった。
　TCRCでは、CIRBの手続きが遅れ、組合は組合員にストの再承認を求めるという異例の措置をとらざるを得なかったと説明。CIRBがサービスを必要不可欠なものでないと判断すれば、72時間前の通告でストを行うことができる。
　CIRBへの提出書類では、鉄道事業者と労働組合の双方が、鉄道サービスを必要不可欠なものとみなすことはできないと主張、 また、CIRBの決定手続きのスケジュールは不明だが、一部大手荷主は7月中旬からのサプライチェーンの混乱を懸念、 一方、CIRBの手続きは継続的な労使交渉には影響しないが、労使の意見は一致しておらず、ストが発生する前に合意に達する可能性は低いと伝えられる。

　香港の海運調査会社、LinerLyticaの最新調査によると、港湾の混雑はやや緩和し、先週末現在で世界全体で224万TEUのコンテナ船腹が接岸待ち状態となっている。
　アジアの港湾が依然として主要なホットスポットで、世界の接岸待ち船腹量の23％を東南アジアが占め、さらに北アジアが20％、中東・インド亜大陸が11％を占めている。シンガポールの接岸遅延は、コンテナ船の欠航により短縮されているものの、最大4〜5日にとどまっている。

　Hapag-Lloyd（独）は7月1日付で、港湾ターミナルとインフラ部門を新たなブランド名となるHanseatic Global Terminalsの下で運営すると発表した。
　Hanseatic Global Terminalsは世界11カ国・20コンテナターミナルの運営者として、サービス品質、効率性、持続可能性の3要件を重点取り組み項目に、ターミナル運営を担う。
　新ブランドのターミナル会社はオランダ・ロッテルダムに本拠を置き、CEOにはHapag-Lloyd役員のDheeraj Bhatia氏を任命した。
　ブランド名は、中世に北海、バルト海沿岸都市で構成した貿易同盟のハンザ同盟をモチーフとし、ターミナル運営の品質と拡大への取り組みをアピールするものにしたという。
　新ブランドは、ドイツ・ハンブルク港のContainer Terminal Altenwerder、ウィルヘルムスハーフェン港のJadeWeserPort、モロッコ・タンジール港のTerminal TC3、 エジプト・ダミエッタ港で現在建設中のTerminal2やチリでは買収を通じて子会社のSAAM　Terminals、インドではJ M Baxi Ports & Logistics Ltd.を通じてターミナル運営に展開している。
　またHanseatic Global TerminalsはSpinelli Groupの少数株主でもある。

　海外の海事メディアは、A.P.Moller-Maersk（デンマーク）がこのほど、ドイツ鉄道（DB）傘下の国際物流会社、DB Schenkerの買収競争から撤退を表明したと報じている。
　報道ではMaerskのVincent Clerc CEOの声として「Maerskは継続的にDB Schenkerに関心を持ち、買収の可能性を探ってきたが、最新の分析、検討により現時点で同社の買収に踏み切ることは、良い選択ではないと判断した」とし、将来的な買収の可能性を残しつつも、現時点では、海上輸送と港湾ターミナルへのネットワーク強化へ注力する方針を示したという。
　DBは昨年12月に物流部門のDB Schenkerの売却を発表し、Maerskは当初、同社の買収に関心がないとしてきたが、今年2月になり買収の検討に入ったことを明らかにしていた。
　Maerskの撤退により、買収競争には現在、デンマークの大手フォワーダーDSV、サウジアラビアの海運会社のBahri、CVC Capital Partners（ルクセンブルク）傘下のプライベートファンドの3社が加わっている。

　Ocean Network Express Japan（ONE Japan）は1日、顧客向けに、今後ブッキングストップの対象本船を自社ウェブサイト上に公開すると発表し、顧客に注意喚起している。
　ONE Japanによると、同社の顧客向けオンラインブッキングソリューション、eCommerceを通じスペースをブッキングした場合でも、本船スペースが満船の場合は引き受けが出来ない状況にあるため、対象本船でブッキングした場合、システム上はブッキングが完了しても、ONE JapanからReject codeを使用しキャンセルとなるため注意を呼びかけている。
　ONE Japanによると、現在ブッキング依頼が殺到している状況となっており、今後毎週月曜日に、航路ごとに実質的にブッキングが不可能な本船を発表し、それ以外の本船でブッキングするよう注意喚起している。
　7月1日には西アジア航路で35便、南米向けで2便が対象となっている。
　またONE Japanは同日、アジア各国を中心に深刻なコンテナ不足が発生し、今後国内でもコンテナ不足が発生する懸念があることから、今後コンテナ不足に起因するブッキング不可などが発生しないよう、輸入コンテナの早期搬出、空コンの早期返却、輸出空コンのピックアップを可能な限りの後ろ倒しにするよう求めている。

　MSC（スイス）は地中海／北米東岸航路でCanada Express 1とCanada Express 2を統合、7月4日から新たにMed Canada Serviceを開始する。
　Med Canada Serviceには2,500～4,500TEU型コンテナ船6隻を投入し、ジオイアタウロ～ナポリ～リボルノ～ジェノア～バレンシア～シネス～ハリファックス～モントリオール～ジオイアタウロのローテーションで1ラウンド42日の定曜日ウイークリーサービスを実施する。第1船はジオイアタウロ4日起こしの”MSC Porto III”（2,478TEU）。

　バングラデシュ・チッタゴン港における2024年度（2023年7月～2024年6月）の総コンテナ取扱量は前年比5.36％増の316万8,690TEUだった。同港はバングラの92％の輸出入貨物を取り扱っており、工業用原料、機械設備、消費財などが特に多い。
　チッタゴン港における総貨物取扱量も4.2％増の1億2,324万2,748トンと増加した一方、入港船隻数は6.6％減の3,971隻だった。
　同港の関係者によると、期中はロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の悪化により世界経済の成長は予想を下回ったが、チッタゴン港はほとんど影響を受けることなく、成長を実現したとしている。

　SITC（中国）の親会社で香港上場企業のSITC International Holdingsは1日、韓国の大鮮造船で建造していた1,023TEU型コンテナ船”SITC Minhe”の命名・引き渡し式を開催した（写真）。
　同船はSITCが21年5月、大鮮造船に総額2億ドルで発注した1,023TEU型コンテナ船10隻（オプション2隻含む）の1隻で、9月に引き渡しを受けた”SITC Renhe”に続くもの。

　韓国海洋振興公社（KOBC）が1日に発表した先週の釜山港を基準とする「韓国型コンテナ運賃指数（KCCI：KOBC Container Composite Index）は、西アフリカ航路を除き上昇し、総合指数は4778と前週に比べ4.51%上昇し、11週連続でアップした。
　KCCIは釜山港発北米、欧州など13航路の各地域別の主要港湾向けスポット運賃（THCなど含む）のFEUあたりの航路別指数と総合指数で構成、航路別指数は荷動き量などを反映して算出、一方で総合指数は航路別運賃指数を加重平均して算出している。
　航路別にみると、東西航路は北米西岸航路が前週比4.64%上昇し7,232ドル／FEU、北米東岸航路が6.21%上昇し8,539ドル／FEU、欧州航路が5.71%上昇し7,497ドル／FEU、地中海航路も3.16%上昇し7,460ドル／FEUとなった。
　南北航路も中東航路が1.79%上昇し4,370ドル／FEU、豪州航路が1.68%上昇し2,782ドル／FEU、南米東岸航路が4.39%上昇し8,814ドル／FEU、南米西岸航路が4.19%上昇し7,534ドル／FEU、南アフリカ航路が2.67%上昇し7,793ドル／FEUとなったが、西アフリカ航路は1.26%下落し8,394ドル／FEUと唯一不調だった。
　アジア域内航路は、中国航路が4.35%上昇し48ドル／FEU、日本航路が1.27%上昇し239ドル／FEU、東南アジア航路は15.41%上昇し1,041ドル／FEUと好調だった。

　先週の中国輸出コンテナ輸送市場は、スポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）が欧米向けの好調を支えに3714.32と前週比6.9%上昇、前週の2.9%上昇から再び上げ幅が拡大した。
　先週のSCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が前週比12.5%上昇し4,880ドル／TEU、地中海航路が11%上昇し5,287ドル／TEU、北米西岸航路が9.2%上昇し7,830ドル／FEU、北米東岸航路も12%上昇し9,274ドル／FEUと大幅アップした。
　南北航路は中東ガルフ航路が6.3%下落し2,711ドル／TEU、東・西アフリカ航路が1.6%下落し5,681ドル／TEU、豪州・NZ航路も0.6%下落し1,397ドル／TEUと不調だったが、南米航路は3.5%上昇し8,854ドル／TEU、南アフリカ航路が0.8%上昇し5,584ドル／TEUと上げ下げが交錯した。
　アジア域内航路は東南アジア航路が0.5%上昇し743ドル／TEU、韓国航路が1.8%上昇し172ドル／TEU、関西航路は293ドル／TEU、関東航路は299ドル／TEUと、いずれも横ばいで安定推移した。
　運賃の高止まり長期化に伴う荷主の早期出荷の動きで、港湾混雑と船腹供給不足が深刻化し、欧州と北米の港湾運営に支障が出る可能性が出てきた。
　欧州ではフランス議会の解散で9月まで港湾ストの延期が予想される一方、北米ではカナダの鉄道労働者のストの合法性判断が近日中に下される予定で、港湾運営の混乱に対する懸念が続いている。
　一方、中国では平均コンテナ価格が2年ぶりの高値を記録、40’HCは今年3～4月の平均価格1,700ドルから2倍以上上昇し3 600ドルに達し、貨物需要好調の影響を反映している。
　北米航路では、船社の空コンの回送とターミナルの再稼働により、アジア諸港の混雑は緩和されているものの荷主が混雑によるリードタイムを考慮した、早期出荷に踏み切ったため、北米地域の貨物需要は堅調に推移し、一部のフォワーダーと船社は、優先順位を上げて早期に出荷できるプレミアム運賃を提示、スポット運賃の上昇加速に影響を与えている。
一方、最近、電子商取引（EC）輸入品に対する米国税関の調査が厳しくなったにもかかわらず、航航空貨物荷動きも好調を維持し、高い需要を支えている。
　欧州・地中海航路は荷動き好調と港湾混雑が続く中、船社は8月から9月まで高運賃を維持する構えで、MSC（スイス）は7月1日から4日までのブッキングで、すべてのアジア発欧州向けFAKレートを最大9,800ドル／FEU引き上げると発表している。
　アジア域内航路ではシンガポール海事港湾庁（MPA）が港湾混雑を解消し、コンテナ取扱量の増加に対応するため、トゥアス港に3つのバースを追加し、コンテナの荷役効率を向上させる予定であると発表した。

　川崎近海汽船が八戸／苫小牧航路で運航中の旅客フェリー”シルバーブリーズ”が2日午前1時5分頃、苫小牧西港入港時、航路入口付近で消波ブロックに乗り上げ座礁した。
　座礁による乗組員、乗客に負傷者はなく、同日11時38分にタグボートにより離礁に成功し、損傷状況を確認、航海可能であることを確認後苫小牧西港へ同日午後12時45分に着桟、安全確認が取れ次第乗客を下船させるとしている。

　カリフォルニア州のロサンゼルス港、ロングビーチ港（LA/LB港）はこのほど、地域の大気汚染防止へ向けた共同の取り組みとして、新たに電気トラック向け充電ステーション拡充のため2,500万ドルの予算投入を決定した。
　うち1億3,500万ドルは移動発生源による大気汚染防止委員会向けに、ウィルミントン、ランチョドミンゲス、リアルト、フォンタナ、ロングビーチ港などに8カ所・207口新設する予算となる。
　またLA/LB港両港は共同で進める大気汚染防止プロジェクト、Clean Air Action Planの一環として進める電気トラックへの転換プロジェクト、Clean Truck Funds向けに、新たに1億2,500万ドルを投入する。
　Clean Truck Fundsは従来のディーゼルトラックから電気トラックへの転換を促進するため、ゼロエミッショントラック以外で輸送されるコンテナ1本あたり、20’で10ドル、40’で20ドルを徴収するもので、2022年4月から開始し、2024年3月までに、LA港では約7,800万ドル、LB港でも約7,500万ドルを徴収している。

　コンテナの販売やクレーンなどコンテナ荷役機器に関する販売・リースを手がけるEFインターナショナルはこのほど、横浜本社を移転し、22日（月）から新事務所で業務を開始する。
新事務所：〒221-0052　神奈川県横浜市神奈川区栄町5-1 横浜クリエーションスクエア18階　電話：045-264-4540　FAX：045-264-4539（不変）

　名古屋四日市国際港湾は6月28日開催の取締役会で、代表取締役社長に喜多澤昇氏、代表取締役会長に嶋田宜浩氏がそれぞれ就任する役員人事を決定した。
　また監査役に髙間伸夫氏と小島陽一氏が就任した。

　デンマークの海運調査会社、Sea-Intelligenceが1日に発表した今年5月のコンテナ船のスケジュール順守率は55.8%と前月比3.8ポイント改善し、今年に入ってからの最高率となった。同スケジュール順守率は、世界の34航路・60船社以上を対象に調査したGlobal Liner Performance（GLP）に基づくもの。
　コンテナ船のスケジュール順守率が改善しているにもかかわらず、5月の平均到着遅延日数は前月より0.34日増え5.10日となり、前年同月より0.73日増加、パンデミック後の最高値に少しずつ近づいている。
　5月のスケジュール順守率を船社別にみると、CMA CGM（仏）が57.1％と、上位13船社の中で最も高く、スケジュール順守率が50％以上の船社は7社で、残りの5社は40％から50％の範囲にあり、PIL（シンガポール）が44.5%で最低だった。
　また、13船社のうち10社が前月比でスケジュール順守率が改善、Maersk（デンマーク）とCMA CGMが6.0ポイントと最も高い改善率を記録した。一方、Wan Hai（台湾）は4.5ポイントと、最大の悪化率となった。前年同月比では、13社すべてのスケジュール順守率が悪化、うち8社が2ケタの悪化となった。

　商船三井グループのMOL Chemical Tankers Pte. Ltd. （MOLCT、シンガポール）は、環境戦略の一環として、東京センチュリー（東京都千代田区）とケミカルタンカー”Bonita Ana”（写真）を対象に、本邦初のサステナビリティ・リンク・リース契約を締結した。
　同グループの環境戦略「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」とサステナブルファイナンス・フレームワークがサステナビリティ課題の解決に向けた取り組みに資するものとして、自社サービスを通じて他社のサステナビリティ（トランジション）戦略の実現を支援する金融機関（イネイブラー）である東京センチュリーから評価、リース契約を締結したもので、商船三井グループの環境戦略と整合したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲットを設定し、その達成状況に応じてリース料が減額される。
　東京センチュリーはイネイブラーとして、日本型オペレーティングリース（JOLCO）での支援を目的とした本邦初の「サステナビリティ・リンク・ファイナンスおよびトランジション・リンク・ファイナンス・フレームワーク」を策定しており、今回のリース契約は、このフレームワークを活用した第1号案件となる。

　関電不動産開発（大阪市北区）は、石川県白山市で開発を進めてきた物流施設「KRD-Logistics白山木津」が、6月28日に竣工した。
　白山市は、北陸エリアの中心部に位置し、北陸3県の主要都市へと配送が可能であることに加え、金沢市や小松市などの人口集積都市にも近い物流に適した地域。また、豊富な地下水を利用した北陸有数の工業都市でもあり、産業用でのニーズも見込まれる。同施設は、北陸の幹線道路である北陸自動車道・白山ICまで車で約15分、金沢市中心部（金沢駅）まで車で約25分の立地。
　同施設は、敷地面積2万1,230.53m2に鉄骨造り地上4階建てで、延べ床面積は2万6,031.32m2、梁下有効天井高5.5m以上、床荷重は1階が2.0t/m2、2〜3階が1.5t/m2を確保、建物は最大4区画に分割貸与可能、最小区画は約1,500坪から対応可能。また荷物用エレベーター4基、垂直搬送機4基を実装。
　物流施設は同社の主要アセットの一つで、現在、同施設を含め9施設を保有・運用しており、今後も高い需要が見込まれるエリアへの積極的な投資を通じて、物流事業の成長と拡大を継続的に図っていく方針だ。

　中国の滬東中華造船で6月28日、CMA CGM（仏）向けに建造中のLNG燃料13,000TEU型コンテナ船、“CMA CGM Belem”の命名・引き渡し式を開催した（写真）。CMA CGMから2021年4月に23億ドルで受注した6隻シリーズ5隻目。
　同船は全長336m、幅51m、最大コンテナ積載数13,200TEUで、1万4,000m3のLNG燃料タンクを搭載しLNG使用時のメタン排出量50％、温室効果ガス排出量28％以上を削減するほか、空気力学を向上し燃料消費を削減する「船首風防」を設置した環境に優しい高効率コンテナ船。
　同船は青島7月17日起こしでCMA CGMがCOSCO（中国）、Evergreen（台湾）、PIL（シンガポール）と協調配船するアジア／南米東岸航路のSEAS Serviceに初就航、他の6,600～14,000TEU型11隻とともに、青島～上海～寧波～蛇口～シンガポール～リオデジャネイロ～サントス～パラナグア～イタポア～ナベガンテス～サントス～コロンボ～シンガポール～香港～青島のローテーションで定曜日ウィークリーサービスする。

　HMM（韓国）は2日、韓国で初めて船上で炭素回収・貯留システム（OCCS）をコンテナ船”HMM Mongla”（2,200TEU）に搭載し、実証実験を開始したと発表した（写真）。運航中の温室効果ガス（GHG）削減量、船舶への影響などを詳細に点検する予定だ。
OCCSは、船舶運航時に発生するCO2を回収後、液化貯蔵して排出を防止するGHG対応技術で、タンク内で燃料を燃焼させることで発生するCO2を75～80％削減できる可能性があり、今後、国際海事機関（IMO）など国際機関から炭素削減技術として認められる可能性が高く、GHG削減に有効な手段となることが見込まれている。
　HMMは昨年4月、サムスン重工業、韓国船級（KR）、環境保全型設備の専門企業Panasiaなどと業務協定を結び、OCCS実証研究を始めたもので、特に今回の研究は純粋な国内技術で開発することに大きな意味があるとしている。
　HMMは「2050年までに脱炭素化を目指し、メタノール燃料コンテナ船の発注、バイオ燃料油の導入、船体効率や運航技術改善など多様な活動を推進しており、今回のOCCS実証実験を成功裏に終えると、有用なGHG削減手段の追加確保が可能となる。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、NXドイツは、スロバキアのブラチスラバで開催した絵画展（Sakura in my eyes）で展示した岐阜県の小学生が描いた桜の絵画25点を輸送した。
　スロバキアでは、2020年に日本との交流開始100周年を記念して、約450本の桜を植樹した。この植樹をきっかけに、スロバキアの一部の地域では、23年から桜をテーマにしたイベントや日本文化を紹介するサクラフェスティバルを開催している。今回、サクラフェスティバルの一環として、スロバキアと日本の子供たちによる桜の絵画展を6月10日〜22日の13日間にわたって開催した。これは両国の子供たちが描いた桜の絵を展示する催しであり、NXドイツブラチスラバ支店は、岐阜県の小学生が描いた絵画25点を輸送した。岐阜県は21年東京パラリンピックで、ホストタウンとしてスロバキア選手を受け入れ、スロバキアと親交のある地域だ。

　三井倉庫は、いすゞロジスティクス（神奈川県横浜市）とともに、日本物流団体連合会が主催する「第25回物流環境大賞」において「特別賞」を2社共同で受賞したと発表した。
　今回2社が受賞した取り組みは、既存の物流スキームに三井倉庫の横浜港内の物流施設をコンテナデポとして活用したコンテナのラウンドユースで、CO2排出量の削減、ドライバーの拘束時間の短縮を実現している。横浜港を利用する輸入コンテナの空コンテナの一部を三井倉庫の物流施設で一時保管、いすゞロジスティクスの輸出コンテナで使用するコンテナラウンドユースに取り組んでいる。空コンテナを横浜港に返却せず、いすゞロジスティクスの輸出貨物の運搬に使用することで、横浜港で空コンテナをピックアップする従来の作業スキームよりも短い走行距離で空コンテナを利用することが可能となった。これにより、CO2排出量の削減とドライバーの拘束時間の短縮を実現した。
　三井倉庫は、倉庫保管、港湾運送、海外物流の3つの事業部門を有し、港湾運送事業では、国内主要港において海上と陸上の結節点であるコンテナターミナルを運営している。

　苫小牧埠頭は、北海道苫小牧市に危険物倉庫の新設を発表、同倉庫は苫小牧港西港区（苫小牧市晴海）の敷地面積1万2,312m2に建設するもので、24年8月に着工し、25年に竣工予定だ。
　同倉庫は防爆仕様の危険物倉庫2棟（1,908m2）と定温倉庫1棟、多温度帯倉庫1棟を整備、各種危険物の入出庫・保管などの業務を担う。近年、北海道の海・空のゲートウエーを代表、近接する港である苫小牧港と新千歳空港のダブルポート周辺では企業立地が加速しつつあり、今後は、半導体関連産業の集積も見込まれている。このような状況下、新製品生産のための化学品原材料の確保、既存物流網の再構築と安全意識の高まりなどに伴い、危険物を集中・専門的に取り扱う倉庫需要への対応が必要となっている。同社は、こうした需要への対応の第一弾として、企業立地が進展している苫小牧東部地域や千歳市内工業地域にも隣接し、北海道〜本州間の定期航路が多数就航する苫小牧港西港区に、高い防災機能を備えた危険物倉庫を建設し、道外から搬入してくる危険物に対して、効率的な物流サービスを提供していく方針だ。
　同社は、22年11月に策定した「TOMAF2025 2022〜2025年度中期経営計画」の事業戦略で、領域を広げる分野のひとつとして危険物の取り扱い強化を掲げており、同倉庫の新設・運用を通じ、物流イネーブラー（enabler）として地域産業の発展に貢献していくとしている。

　SBSホールディングス（SBSHD）は、ベアリングの製造・販売の日本精工（東京都品川区、NSK）との間で、同社が保有するNSKロジスティックスの株式の66.61％を譲受することに合意し、7月1日に株式譲渡契約を締結した。
　今後、必要な手続きを経て、年内に株式譲渡完了を目指し、NSKロジスティックスはNSKの子会社からSBSHDの子会社に異動する。NSKロジスティックスは、NSK100％出資により99年8月に設立、NSKグループの国内事業と輸出入を事業領域とし、物流機能会社として、運送、保管、荷役、梱包、輸出入業務請負などの分野で高いスキルとノウハウを有している。SBSグループは総合物流企業として、事業規模と事業ポートフォリオの拡充、さらに優秀な人材等を確保する手段として、M&Aを重要な成長戦略の一つと位置付け、今回も、NSKロジスティックスがNSKグループとその取引先企業との良好な関係を維持することを最優先としつつ、SBSグループが持つインフラ・ノウハウの共有などによるシナジー効果によって、より付加価値の高い総合的な物流サービスを提供する体制が整うとしている。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社・日本通運の医薬品事業部は2日、東京の本社で会見を開き、7月から西日本医薬品センターで開始したバイオ製剤などの製造工程の物流受託作業を、他の医薬品センターに拡大するとともに、6月28日納品分から開始した北海道向け医薬品海上輸送の東京〜苫小牧航路利用へのシフトを、年度内に北海道向け医薬品輸送全体に拡充することなどを明らかにした。
　同社の西日本医薬品センターでは、今年5月末に医薬品製造業許可1号区分「生物学的製剤等（製造工程の全部または一部）」を取得し、バイオ製剤などの製造工程における物流受託が可能になった。医薬品事業部の大岩裕幸部長（写真左）は「国内4カ所の医薬品センター（東日本、西日本、九州、富山）では、医薬品製造業許可5号区分「包装・表示・保管」も取得し、ここには薬剤師を配置している。今回、第1号区分取得に向け、今年1月に生物由来製品製造管理者の資格を持つスタッフを雇用、製薬メーカーからの受注が可能になった。今後、東日本や九州など他の医薬品センターにも同様の資格を持つスタッフを配置、バイオ製剤などの製造工程の物流受託サービスを拡大していく方針だ」と説明した。加えて日本通運としては「医薬品ライフサイクルの中で、流通や販売といった部分の物流よりも、製造や開発部分の物流に重点をおいていく」方針も明らかにした。
　一方、6月から東京発、北海道向けの医薬品海上輸送サービスを拡充、北海道向けに輸送する医薬品の取り扱い3分の1を、海上輸送（北海道航路：東京発苫小牧向け）にモーダルシフトしている。同部の今村英史専任部長（写真右）は「従来、トラックで八戸港や青森港まで運び、ドライバーもフェリーに乗船、苫小牧港や函館港に到着後、同じドライバーがトラックで配達先まで輸送していた。新サービスでは、東京港から貨物を積んだトラックのみを自社のRo/Ro船で無人航送、苫小牧港で下船後、苫小牧支店の自社ドライバーが道内の輸配送を担当する。また、室温（15〜25℃）と保冷（2〜8℃）の2つの温度帯の輸送にも対応し、輸送中の温度、位置、物流ステータスなどのデータもタイムリーに提供することが可能だ」と説明した。6月末から「北海道向けに輸送する医薬品の取り扱いの3分の1を同サービスに切り替えた。今後、移行状況を確認しつつ、年度内には北海道向け医薬品輸送全体を新体制にシフトしたい」と述べた。

　日立製作所と日立オートメーションは2日、製造・物流分野のロボットを活用したラインビルディング（ロボティクスSI）を中核とした、自動化・最適化の協創施設「Automation Square HANEDA」を羽田イノベーションシティ（東京都大田区）に、「Automation Square KYOTO」を京都リサーチパーク（京都市）に開設した。
　「Automation Square HANEDA」では日立の「トータルシームレスソリューション」の実物を、見て・触れて・感じることができる。物流分野ではLogistics Zoneで、サプライチェーンの最適化に向けた、ロボティクスSIを中核とするソリューションの映像・実機デモを体験できる。輸配送を最適化するTMS（Transport Management System）を含む「Hitachi Digital Solution for Logistics」や、倉庫内在庫管理を最適化するWMS統合物流管理システム 「HITLUSTER」といったITソリューションを紹介する。また、日立独自の制御ロジックによるピッキング設備最適化ソリューション「LogiRiSM」を中心としたオーダー仕分けのデモを実演する。それらの作業実績と設備稼働データを連携した作業・設備状況の見える化の事例を紹介する。デモでは、日立インダストリアルプロダクツの統合設備制御システム「日立統括型WCS」、小型無人搬送ロボット「Racrew」、アイオイ・システムの「プロジェクションピッキングシステム」（PPS）、プラスオートメーションの次世代型ロボットソーター「t-Sort」、三機工業のソーティングロボット「メリス・ビアンカ」の実機を展示する。

　日鉄興和不動産は7月1日、埼玉県越谷市で同社が展開する物流施設「LOGIFRONT」シリーズ初となる危険物専用倉庫「LOGIFRONT越谷Ⅲ」が竣工したと発表した。
　同施設は敷地面積3,826.49m2に、S造り平屋建て、4棟合計の延べ床面積は1,454.96m2。東武運輸（埼玉県南埼玉郡宮代町）が全棟を利用、稼働を開始した。同施設は、現在稼働中の「LOGIFRONT 越谷Ⅰ」「LOGIFRONT 越谷Ⅱ」に併設し、国道16号線の内側、都心から25km圏内、東京外環自動車道・草加ICから約6kmに位置。また国道4号線へのアクセスも良好で道路の混雑状況に応じた配送ルートの選択が可能な物流拠点として優位な立地だ。同プロジェクトは、物流業界をとりまく企業各社のコンプライアンス意識の高まりに加えて、近年の危険物取り扱い量の増大を背景にニーズが高まりつつある「危険物専用倉庫」を整備する計画とした。一般倉庫では保管できない、アルコール類などの消防法上の危険物（第4類相当）を保管できる施設で、テナントの東武運輸のニーズに沿った4棟平屋建てでの施設計画となっている。また、庫内には空調設備を設置することで、第4類の中でも塗料や医薬品などの温度管理が必要となる商材にも対応している。

　パナマ運河庁（ACP）はガツン湖の水位が上昇し今後数週間、雨季により安定した降雨が見込めるとの理由で、パナマ運河は海運への勧告を通じて、6月26日から最大喫水が46ftから47ft（14.33m）に引き上げ、7月11日には14.63m（48ft）に緩和するのに続き、ネオパナマックス閘門の新しい予約枠を8月5日から追加、1日あたりの総通航隻数は35隻になる。
7月11日からは1日の総通航隻数が32便から33便に増加し、7月22日にはさらに34便に増やすことになっている。
　この調整により、スケジュールの柔軟性が向上し、運河に水を供給するガツン湖の長期にわたる干ばつにより最近運河を悩ませている渋滞問題の一部が緩和されることが期待されている。水位の改善と輸送能力の増加により、物流が合理化され、紅海危機により悪化する世界貿易にとって重大な懸念となっているサプライチェーンの遅延が軽減されることが期待されている。
　ドラフト制限の緩和と通航枠の追加は、より大型の船舶やより重い貨物に対応するという極めて重要な役割を果たすことが期待されており、それによって運河全体の通航貨物量と効率が向上する。

　マイアミ向けダイレクト混載のサービスを改編し、横浜受けでマイアミ向けをはじめ、マイアミ経由カリブ海・中南米向けに危険品小口貨物の輸送サービスの提供を7月から開始する。
　従来のマイアミ向け混載サービスは、名古屋に貨物を集約し、名古屋出港の本船にて輸送していたため、関東受けでの危険品の受託ができなかった。今回、横浜に貨物を集約し横浜出港の本船に積載する仕組みにサービスを改編したため、 横浜 受けでの危険品の受託が可能になった。また、サービス改編に伴い、横浜で危険品の受託ができるようになっただけでなく、関東、関西では従来に比べ、ゆとりのあるCFS CUT日の設定となり、利便性が向上する。
　サービス改編後の第1船は、横浜港7月13日出港の“CMA CGM Tigris ”（Voy.0XR5NE1MA）で、神戸CFS CUTは5日（金）、名古屋CFS CUT5日（金）、横浜・東京CFS CUTは9日（火）、太田CFS CUTが3日（水）の予定。受託危険品はIMDG CLASS 3（引火性液体）、6-1（毒物）、8（腐食性物質）、9（有害性物質）。横浜出港からマイアミまでのトランジットタイムは29日。仕向け地は、マイアミのほか、マイアミ経由で中南米、カリブ海エリア49仕向地。

　MSC（スイス）は先週、Aeroporti di Roma (ADR)からイタリアのジェノア空港の持ち株15%の買収を提案した。買収提案は、ADRが今年初めに実施した関心表明の募集の枠組みで、ジェノア空港運営会社が設定した路線に従って空港を再スタートさせるための相乗的な発展計画を可能にするもので、ジェノア市との完全な相乗効果と連携のもとで行われており、ジェノア市はMSCによるADR株式の購入提案に完全に同意していることに加えて、この取引を積極的に推進し、継続的な取引を確保している」と表明した。
　ジェノア空港は、2023年の利用客数が前年比4.6%増の127 万人、売上高が2,880万ユーロ (3,080万米ドル)に実績をあげている。
　MSCグループの航空貨物会社MSC Aircargoは今年5月5機目となるボーイング777貨物機の引き渡しを受け、同社が買収したイタリアの貨物航空会社AlisCargo航空が保有するイタリアの航空運送事業許可のもとでミラノ・マルペンサ空港を拠点に運航する計画となっているなど、今回のジェノア空港への資本参加で航空事業の地盤を一段と強固なものとする。

　寧波航運交易所（NBSE）が発表した先週の寧波輸出コンテナ貨物指数（NCFI）は、欧米向けの上昇が寄与し総合指数（2012年第10週＝1000）は前週比7.4％下落し2905.2と再び上昇、21航路中12航路で指数が上昇、9航路で下落、海上シルクロード」沿いの主要港では、6港の運賃指数が上昇し、10港が下落した。
　欧州・地中海航路は船社が7月からの運賃再値上げを発表したことで、スポット運賃が値上がりし、運賃指数は欧州航路が3537.1で前週比13.0％上昇、東地中海航路は2623.7で10.7％上昇、西地中海航路も3455.5で11.8％上昇した。
　北米航路は輸送需要は引き続き旺盛で、船社が7月の運賃の大幅値上げを発表、北米西岸路は船腹抑制を緩和したことで、スポット運賃の上昇率は比較的小幅となり、運賃指数は北米東岸航路が3612.9で22.2％上昇、北米西岸航路は4857.0で13.1％上昇した。
　中東航路は船腹供給が輸送需要を上回っており、スポット運賃は引き続き下落し、運賃指数は884.0で前週比10.6％の下落となった。また、先週は豪州・ニュージーランド航路のスポット運賃が下落に転じたことから、運賃指数は1995.2で前週比7.3％下落した。

　上海航運交易所（SSE）が6月28日に発表した先週の中長期契約運賃の指標である中国輸出コンテナ運賃指数（CCFI）は、全航路で上昇し、総合指数（1998年1月1日＝1000）は1922.46と前週比5.1%上昇、上海出しスポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）は3714.32と6.9%上昇した。
　先週のCCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が7.1%上昇し2870.01、地中海航路が2.9%上昇し3330.24、北米西岸航路が4.7％上昇し1507.75、北米東岸航路も3.6%上昇し1619.21となった。
　南北航路も豪州・NZ航路が1.3%上昇し1002.64、中東ガルフ・紅海航路が3.6%上昇し2451.72、南米航路7.1%上昇し1671.90、南アフリカ航路が6.2%上昇し2151.75、東・西アフリカ航路が6.2%上昇し1572.59だった。
　アジア域内航路は日本航路が3.3%上昇し750.29、韓国航路が0.8%上昇し483.24、東南アジア航路が5.7%上昇し1179.62だった。

　中国の交通運輸部が発表した全国の港湾における今年5月のコンテナ取扱量は合計で前年同月比8.1%増の2,880万TEU、うち沿海諸港の合計は8.2%増の2,520万TEUで、内陸河川諸港の合計は8.0%増の360万TEUといずれも好調だった。
　1～5月累計のコンテナ取扱量は1億3,280万TEUと前年同期比8.8%増加した。うち沿海諸港の合計は1億1,650万TEUで8.7%増、内陸河川諸港の合計は1,630万TEUで9.4%増となった。
　1～5月累計で、沿海諸港のトップ5は、上海港が前年同期比6.5%増の2,086万TEUで1位、寧波-舟山港が9.3%増の1,580万TEUで2位、深圳港が15.8%増の1,263万TEUで3位、青島港が9.6%増の1,257万TEUで4位と、深圳港が青島港を抜いて再び3位に返り咲き、広州港が5.4%増の1,049万TEUで5位に付けた。7位の厦門港は4.3%減の479万TEUで、トップ10中で唯一マイナス、8位の北部湾港は19,1%増の283万TEUと最も高い伸びを記録した。

　Hapag-Lloyd（独）は7月6日メキシコ・中米西岸を結ぶCentral America Express（CCE）を改編、アカフトラを抜港し、ロサンゼルス～マザトラン～マンザニーヨ～ラザロカルデナス～プエルトケツァール～コリント～プエルトカルデラ～ロサンゼルスの新ローテションで定曜日ウイークリーサービスを展開する。アカフトラ寄港の最終船は6日寄港の"NYK Joanna"（Voy.186SB）となる。
　エルサルバドル貨物は9日から"Spirit of Dubai"を投入、ラザロカルデナス～アカフト間のCGM Feederでカバーする。

　Maersk（デンマーク）は7月1日からアジア域内航路でIA11 Serviceを再開した。IA11には"Maersk Veracruz"（1,740TEU）と"Erasmus Leo"（1,891TEU）の2隻を投入し、上海～寧波～ホーチミン～上海のローテーションで定曜日ウイークリーサービスする。従来のIA11で寄港していた高雄は抜港となった。
　また、Maerskは6月29日からアジア／中東航路のFar East-Middle East 1（FM1）を復活させた。FM1には3,500～8,700TEU型コンテナ船4隻を投入し、シンガポール～ジェベルアリ～アブダビ～サラーラ～シンガポールのローテーションで定曜日ウイークリーサービスする。

　PIL（シンガポール）は釜山7月4日起こしから他船社と協調し、韓国・中国と海峡地を結ぶKorea China Straits Service（KCS）を改編、青島、仁川に追加寄港するとともに光陽、ペナンを抜港し、サービス強化を図る。
　KCSは平均2,800TEU型コンテナ船4隻を投入する釜山～仁川～青島～上海～シンガポール～ポートクラン（W）～ホーチミン～蛇口～釜山のローテーションによる定曜日ウイークリーサービス。

　日本、韓国、中国を結びRo/Roフェリーを運航するパンスター（PanStar Group、韓国）傘下のパンスターラインドットコムは6月30日、釜山港の神仙台ターミナル（Sinseondae Terminal）で日韓航路に投入した"Honor Voyager"（634TEU）の出港式を開催した（写真）。
　新サービスの日本総代理店はPanStarと同様にサンスターラインが担い、用船したコンテナ船“Honor Voyager”を単船投入し、釜山旧港（日）～神戸（火）～東京（水）～横浜（水）～名古屋（木）～釜山旧港のローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始する。
　PanStarは1990年に設立、これまでRo/Roフェリーを投入し、日韓航路や韓国～中国～日本を結ぶ高速輸送サービスを中心に総合物流サービスを展開してきたが、新たに定期コンテナサービスの開始により、顧客はRo/Ro船では対応の難しかった、大量輸送、危険品貨物や重量物貨物、より低コストでの輸送が可能になる。

　阪神国際港湾は6月21日、同社が出資しているカンボジアのシアヌークビル港湾公社（PAS）の第7回株主総会に、杉中洋一副社長執行役員ら3人が現地参加した。また株主総会の中で、木戸貴文代表取締役社長も日本株主としてWEBで挨拶した。
　阪神国際港湾は、18年12月にカンボジア南部の同国唯一の大水深港であるシアヌークビル港を運営しているPASの株式を取得している。株主総会後には、杉中副社長がPASのLou Kim Chhun総裁を表敬訪問、相互協力の課題を確認するとともに、知見や技術をともに共有し、両港発展に向けて、さらに高めあえる関係を築いていくこと、友好関係を引き続き構築していくことを確認した。

　スイスに本社を置き港湾設備や船舶などの電動化・自動化のためのシステムを設計・製造する Cavotec は6月28日、チリ最大の多目的港であるDP World San AntonioでMoorMaster NxG（自動係留システム、写真）が稼働を開始したと発表した。南米で自動係留システムを導入したのははじめて。
　MoorMaster NxGは、真空パッド（vacuum pads）を使用する自動係留システムで、30秒未満で係留、15秒未満で係留解除が可能で、従来の係留ラインを取り扱うリスクの高い係留作業がなくなることに加え、係留時間短縮につながることから作業効率の向上が見込まれている。また、岸壁の平らな面に設置可能なモジュラー設計になっており、港湾インフラの追加投資が不要という設置の容易さに加えて、岸壁延長よりも長い船舶の係留が可能となるため、岸壁長さを延長したのと同じ効果が得られるという。
　すでに世界中で数多くの導入実績があり、2023年には日本の福井県敦賀港でも試験導入されている。

　日本航空（JAL）の5月貨物輸送量は、国際貨物が前年同月比21.2％増の4万2,799トンとなった。今年1月に1年7カ月ぶりにプラスに転じて以来、3月からは3カ月連続のプラスで、上げ幅も3月が8.1％、4月が13.7％、5月は20％台へと加速している。国際郵便は15.9％減の1,152トンで14カ月連続のマイナスだった。
　国内貨物は0.3％の微減で2万3,463万トンと3カ月連続の減少、同郵便は9.8％増の2,389トンと2カ月ぶりにプラスに転じた。

　日本貿易振興機構（ジェトロ）によると、アフリカ・ファイナンス・コーポレーション（AFC）は、アフリカのインフラに関する報告書「State of Africa’s Infrastructure Report 2024」を発表、アフリカの港湾への民間投資が急拡大し、2012年から2022年までで合計127億ドルとなったと指摘した。これは02年から12年までの投資額のほぼ倍増となる。
　近年のアフリカでの港湾投資の金額上位案件は、ナイジェリア：オネ（Onne）港「拡大フェーズ4b」（29億ドル、13年）、ガーナ：テマ港拡大事業（15億ドル、16年）、セネガル：ダヤン（Ndayane）港（11億ドル、22年）、ナイジェリア：レッキ深海港フェーズ1（11億ドル、19年）、コンゴ民主共和国：バナナ港（10億ドル、21年）。ダヤン港、バナナ港はアラブ首長国連邦（UAE）ドバイの港湾運営会社DPWorldによる投資。同社は21年に、英国の開発金融機関と協力し、エジプトのスクナ港、セネガルのダカール港、ソマリアのベルベラ港などへの10億ドル投資を公表した。さらに、同社はタンザニアのダルエスサラーム港の運営にも関わる。
　港湾への投資増加もあり、アフリカのコンテナ取扱量は大幅な伸びを示し、11年から21年の間に2,450万TEUから3,580万TEUに増加した。特にモロッコのタンガー・メッド港は、南アフリカ共和国のリチャーズ・ベイ港の貨物取扱量を上回ったという。タンガー・メッド港は世界銀行のコンテナ効率に関するランキングでも、世界の345港中で4位となった。
　また、トーゴのロメ港は12年に貨物取扱量が800万トン未満だったが、21年には2,900万トンとなり、地域の積み替えハブ港として機能している。さらに、アビジャン港、テマ港、ダカール港、モンバサ港、ジブチ港なども、アフリカ大陸沿岸の主要な積み替え港としての地位を固めつつある。
　アフリカでは道路や鉄道が未整備のため、商品輸送の需要拡大に対応するために海上輸送を選択する場合も多い。アフリカの人口は現在の14億人から2050年には24億人に達すると予想するほか、西アフリカと東アフリカは世界の中でも経済成長が著しい地域になると予想する。人口増加と経済成長が消費と輸入の増加に拍車をかけるため、港湾も魅力的な投資先という。アフリカ・インフラ開発プログラム（PIDA）では、40年までにアフリカ全体の港湾で、1億7,600万TEUの処理能力を達成する目標を設定している。

　NRSは、10月1日付で、田中弘人・現取締役常務執行役員が、代表取締役社長に就任すると発表した。
　戸木眞吾・現代表取締役社長は、取締役として職務を継続する。田中氏は1964年6月3日生まれ、88年4月同社入社、2018年10月理事、19年10月執行役員コンテナ事業部長、20年11月に日陸物流（現NRS物流）代表取締役社長 (現在に至る）、同年12月NRS取締役執行役員・事業本部副本部長兼コンテナ事業部長、21年12月NRS取締役常務執行役員・事業本部長にそれぞれ就任、現在に至る。

　大阪港湾局がとりまとめた、24年5月の大阪港外貿コンテナ貨物取扱個数（速報値、実入り・空合計）は、輸出入合計で前年同月比0.9％増の16万8,196TEUと2カ月連続の増加、このうち輸出は2.6％減の7万4,548TEUと減少したものの、輸入は3.9％増の9万3,648TEUだった。
　実入りコンテナは輸出入とも増加し、輸出が6.4％増の3万3,088TEU、輸入も4.4％増の9万1,573TEU、輸出入合計の実入りは4.9％増の12万4,661TEUだった。空コンテナ（輸出入合計）は9.0％減の4万3,535TEUだった。
　また1〜5月累計では、実入り空・輸出入合計で前年同期比1.2％減の80万7,330TEU、輸出が4.9％減の35万9,629TEU、輸入が1.9％増の44万7,701TEUだった。
　実入りの輸出は5.0％増の16万2,881TEU、輸入が1.0％増の43万1,780TEU、輸出入合計で2.1％増の59万4,661TEU、空コンテナは輸出入合計で9.5％減の21万2,669TEUだった。

　国土交通省中国地方整備局は、管内の11港湾における23年のコンテナ取扱貨物量は、79.2万TEUと前年比0.09％増だったと発表した。
　内訳は、外貿が48.2万TEUと2.2％増加したものの、内貿は31万TEUと3.0％減少した。一方、国際フィーダー取扱貨物量は20.7万TEUと4.2％増加し、22年の19.9万TEUを抜き過去最高値を更新した。外内貿合計のコンテナ取扱個数を港湾別にみると、境港（鳥取県）が3万3,341TEUと11.9％増と2ケタ増となったが、これは国際フィーダー航路（阪神航路）が開設、内貿コンテナ取扱貨物量が36.9％増加したことによる。浜田港（島根県）は3.9％減の4,946TEU 、水島港（岡山県）は、2.1％増の15万8,977TEUだった。広島港は0.2％増の27万9,994TEUと過去最高を記録、福山港（広島県）は23年6月に神戸との間に内貿定期コンテナ航路が増便となったが、外内貿合計全体では2.0％減の7万5,050TEUだった。呉港（広島県）は5.4％減の524TEU、大竹港（広島県）は23年12月から内貿定期コンテナ航路が減便となり、11.9％減の8,019TEU、徳山下松港（山口県）は中国航路が中国経由東南アジア航路に変更となり、3.2％増の11万9,732TEUだった。岩国港（山口県）は5.7％減の4万7,569TEU、三田尻中関港（山口県）は7.1％減の4万3,814TEU、宇部港（山口県）は6.6％減の1万9,916TEUだった。

　“プロスパーポートさかた”ポートセールス協議会（山形県）は、新規航路・増便助成、コンテナ転換支援助成、陸送費助成、モーダルシフトなど促進助成、小口混載貨物助成など24年度の酒田港コンテナ貨物利用促進助成事業を公表した。
　新規航路・増便助成は、新規航路開設や増便する船社に対して増加分について1万5,000円/TEU（上限1,000万円）うち内航航路の代理店の海貨業者に対して1万円/TEU（上限780万円）を助成する。また荷主に対して、バルク船からコンテナ船に転換した場合、2万円/TEU（上限500万円）を助成、年間30TEU以上の荷主に酒田港から発着地までの陸送費として、50〜99kmは3,000円/TEU、100〜149㎞は6,000円/TEU、150km以上は9,000円/TEUを助成する。さらにモーダルシフトで過去5カ年度の最高貨物量比で30TEU以上かつ2割以上増加した貨物に対して2万円/TEU、モーダルシフトで5カ年度酒田港未利用かつ30TEU未満の場合は1万円/TEUを助成する（上限100万円）。小口混載貨物（LCL）については、5,000円/m3またはトン（上限20万円）を助成する。

　東海運は、同社の連結子会社である関東エアーカーゴ（KAC）が事業の一部である航空部門を吸収分割により、セイノースーパーエクスプレス（SSX）へ承継することを決定した
　KACは、埼玉県と栃木県の一部地域の集配業務をSSXから代理店として受託、今回、変化する市場や需要に安定的かつ迅速に対応できる強固な運営体制を目指すことを目的として、KACの航空部門をSSXが承継することとした。また、KACは全社でリソーセスを最適に配分・活用することで、運営体制と事業領域を強化し、持続的な成長を目指していく。同吸収分割は、5月15日に契約を締結、7月1日にKACを分割会社とし、SSXを承継会社として吸収分割した。

　日本物流団体連合会（物流連）は28日、都内で2024年度定時総会を開催し、真貝康一会長（日本貨物鉄道会長）の再任と新たな役員を選任した。
　総会後の会見で真貝会長は「昨年はトラックドライバーの時間外労働規制（物流の2024年問題）の発効を目前に控え、様々な動きのあった1年だった。物流連もこれに対応し、新聞広告の掲載、シンポジウムの開催など、新しい取り組みを実施、また与党主催の懇談会などにも積極的に参加し業界の意見を述べてきた。物流の担い手不足の課題は決して一過性の問題ではなく、人口の首都圏集中と少子高齢化が進むなか、担い手の働き方に対する価値観も大きく変化しており、業界全体で継続して取り組んでいかなければならない課題だ」と述べたうえで、今後も物流連として対応を継続していく方針を示した。
　真貝会長は2023年度を回顧し「2024年問題により実際にものが運べなくなるという危機意識が業界内だけでなく一般消費者にまで広がった一年だった。物流の役割について社会の認識が高まったと思う。また実際に物流の働き手がいなくなるという想定の下、政府も対応した施策を打ち出しており、働き方改革により働き手の処遇面にスポットをあてた議論も増えた。今後物流をどのようにしていくのか、議論が始まった年だと思っている」とし、今後も物流連も各委員会を通じ、物流の役割の周知を進めていくと述べた。
　また持続可能な物流のための複数の輸送モードとの連携については「各モーダルの長所を組み合わせたモーダルコンビネーションによる、物流全体の最適解を求めていくことが重要だ。特に自然災害が頻発、激甚化するなか、非常時におけるモードの連携を良くしていくことが重要だ」と述べた。
　また荷主との関係では「発荷主から着荷主までを物流が担う中で、荷主との協力、連携が不可欠で、近年、荷主の物流に対する意識も急速に高まっている。その中で物流の円滑化を実現するためには、荷主の関わる業界全体で取り組んでもらう必要があると考えており、今年1年、荷主との協議を深めていきたい」と抱負を述べた。

　ロジスティードの24年3月期の連結業績（23年4月〜24年3月）は、売上高が8,002億4,300万円、調整後営業利益は389億300万円、EBITは191億1,700万円、親会社株主に帰属する当期利益は582億5,100万円となった。
　同社は22年4月21日に設立のため、前期は22年4月21日から23年3月31日で、完全に比較することができない。国内物流については、売上高が4,275億3,300万円と前期と同程度となった。セグメント利益は199億6,900万円と、各種施策影響に伴う一過性費用を含むコスト増加や全社費用配分料率の変更に伴う配分額の増加などで減少した。
　国際物流は売上高が3,573億7,200万円と新規案件の寄与や為替影響などはあったが、フォワーディング事業の減収で減少した。セグメント利益は167億4,600万円と為替影響や全社費用配分料率の変更に伴う配分額の減少などがあったものの、各種施策影響に伴う一過性費用を含むコスト増加や減収影響などで、減少した。

　ラサール不動産投資顧問は、マルチテナント型物流施設「ロジポート多摩瑞穂」が竣工、竣工時点で複数社の入居が決定している。
　同施設は、東京都西多摩郡瑞穂町に所在し、東京都心まで約1時間、地上4階建て、延べ床面積16万2,112.50m2のマルチテナント型物流施設。約1,000万人の経済圏を有する国道16号に面し、圏央道・青梅ICまで約4kmと近接、首都圏全域はもとより、中央自動車道、関越自動車道や東北自動車道などを経由し全国への配送拠点として利用できる。
　機能面では、最小区画830坪から、最大で48区画に分割できるため、さまざまなテナントニーズに対応が可能。また、雨天作業でも濡れることのない全天候型の中央車路式や、各階へ直接45フィートコンテナ車が着車可能なダブルランプウェイを備え、床荷重1.5t/m2、梁下天井有効高5.5m、柱スパン約11m×10m、コンテナ用のドックレベラーを配備する、機能性が高い仕様だ。防災面に関しては、ハザードマップの水害・災害想定エリアに位置しておらず、地盤も強固な土地上に建設している。24時間365日稼働の防災センターが館内のセキュリティを維持。また72時間対応の非常用発電機を備え、入居テナントのBC 対応に寄与する。環境面では、LED照明や人感センサー、外装断熱パネルなどを設置し、CASBEE-建築（新築）のSランクとZeb-Readyを取得予定。

　三井倉庫ホールディングスは、日常業務を通じて周囲の人をサポートし多くの社員が感謝し、企業価値向上に貢献している社員を社内推薦で表彰する「Best Practices Award MSP（Most Supportive Person）部門」を創設した。
　三井倉庫グループでは、競争力の源泉は「人」であるとの考えのもと、持続的成長の基礎となる人的資本の強化に取り組んでおり、17年からグループ内表彰制度「Best Practices Award」を設けており、一つ目は、オペレーション領域における品質改善や効率化の好事例を称える「業務改善部門」、二つ目は営業領域における共創や注力分野での好事例を称える「営業ソリューション部門」、そして今回「MSP部門」が加わることで3部門構成での表彰制度となり、対象もあらゆる業務へと拡大した。
　同グループでは5月22日に表彰式を開催し、三井倉庫ホールディングスとグループ事業会社から1人ずつ、計6人を選出、記念品などを授与、今後も「Best Practices Award」の開催を通じて、人的資本強化に取り組むことで、社員一人ひとりの力を最大限に発揮できる環境を整備し、グループ全体の競争力と企業価値の向上につなげていく方針だ。

　鈴与は7月1日に兵庫県尼崎市に医療機器を取り扱う「尼崎メディカルセンター」（写真、兵庫県尼崎市末広町1-5-1、ESR尼崎ディストリビューションセンターOffice・C4階、倉庫延べ床面積：5,450m2）を稼働した。
　尼崎メディカルセンターは医療機器製造業登録倉庫として、輸入手配から在庫保管、流通加工、入出荷対応といった物流業務に加え、検品やラベル貼付といった薬機法に基づく製造業務、出荷判定業務まで一貫対応可能だ。品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO13485：2016認証を取得し、専門スタッフが対応することにより、高品質で安定した物流サービスを提供していく。
　物流の「2024年問題」で、自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制が適用、特に医薬品や医療機器分野において、配送の遅配や輸送品質の低下は、致命的な問題となるため、同社は医療機器を専門とした物流拠点を尼崎市に構えることで、西日本への医療機器の安定した配送と利便性の向上を図る。同センターは阪神高速道路の尼崎末広ICから0.7km、大阪港へ15 分（13km）という非常に利便性の高いロケーションにあり、西日本への輸送アクセスに優れた好立地を生かし、リードタイム短縮を図る。また同社は60社以上の医療機器物流・製造業務における豊富な経験と実績があり、クラス㈵（人体に与えるリスクが低いもの）からクラス㈿（人体に与えるリスクが高いもの）まで、さまざまな医療機器に関するノウハウを生かし、高品質なサービスの提供が可能だ。一方、BCP（事業継続計画）面では、防潮堤や地盤の嵩上げによる水害対策のほか、地震対策として上級クラスの座屈拘束ブレースを採用するとともに、停電に備え、非常用自家発電機を整備し災害時でも安定したサービスを提供する。

　鴻池運輸のグループ会社で医療関連サービスを提供するインドのCarna Medical Database Pvt. Ltd.（ハリヤナ州グルグラム市）と、オンライン健康医療相談サービスを提供するYOKUMIRU（東京都渋谷区）は、海外で事業展開する日系企業などの海外滞在中の日本人を対象とした健康と安心に寄与する新サービス「CarnaYOKUMIRU」を、7月1日から開始した。
　「CarnaYOKUMIRU」は、カルナメディカルがインドでの医療関連サービスを通じて、多くの駐在員が健康や医療、メンタルヘルス関連で日頃さまざまな困りごとや悩みなどを抱えていることを知り、主に個人対象に海外滞在中の日本人向けオンライン健康医療相談サービスを提供するYOKUMIRUと23年10月16日に業務提携を開始、以降準備を進めてきたサービス。YOKUMIRUの既存システムを活用し、日系企業などの海外駐在員と家族向けに、居住地に関わらず世界中で24時間、総勢250人を超える専門的・経験豊富な日本人医師による安心・質の高いサポートを提供する。

　物流博物館は8月、「ダンボールで運ぶのりものを作ろう！」と「内航船ペーパークラフトを作ろう！」という夏休み工作イベントを開催する。
　「ダンボールで運ぶのりものを作ろう！」は8月10日と11日の2日間開催、幼児〜小学校6年生までを対象に、段ボールを使って貨物を運ぶ乗り物（トラック・船・機関車）などを作る。また「内航船ペーパークラフトを作ろう！」は8月21日に日本内航海運組合総連合会と共催、小学生を対象に、内航船についての楽しい話を聞いて、船のペーパークラフトを作るというもの。どちらのイベントも電話予約（電話：03-3280-1616）が必要で、参加は先着順となる。「ダンボール〜」は7月10日12時30分から、「内航船〜」は7月17日12時30分から、それぞれ予約受付を開始する。

　阪神国際港湾は6月25日に大阪港のコンテナヤード内で発見したアリについて、専門家による同定の結果、要緊急対処特定外来生物ヒアリであることを確認したと発表した。
　同件は、環境省の毎年定期的な全国港湾調査で確認したもので。25日に大阪港での調査で、調査事業者がコンテナヤード上で、ヒアリと疑わしいアリ約50個体を発見し、発見場所周辺に殺虫餌（ベイト剤）を設置するとともに、環境省が専門家に同定を依頼した。加えて26日に 環境省と港湾管理者が追加で現地調査し、コンテナヤード上でヒアリと疑わしいアリ約500個体が舗装の継ぎ目から出入りしていることを確認、確認場所周辺に殺虫餌（ベイト剤）を設置した。28日に環境省から依頼を受けた専門家が、当該アリについてヒアリであることを確認したもので、確認したアリはヒアリの働きアリ約550個体。
　環境省は大阪府・大阪市などと協力して、引き続き発見場所で目視やトラップによる調査と防除を継続、定着防止の取り組みを進める。また、今後環境省で、確認地点と周辺でモニタリングを予定している。また環境省・近畿地方環境事務所は、関係機関に対して、今回ヒアリの確認があったことから、当該コンテナヤードとその周辺を適宜点検すること、ヒアリやアカカミアリを含むヒアリ類と疑わしいアリをコンテナや積荷で確認した場合は、密閉などにより逸出を防ぎ、速やかに環境省に連絡すること、ヒアリ類の疑いがある場合には、外来生物法に基づき、環境省からコンテナや積荷などの移動制限または移動禁止の命令を出す場合があることと、ヒアリ類と同定後には当該コンテナや積荷などの消毒または廃棄の命令を出す場合があることに留意すること、今後、環境省などの調査に協力することなどを依頼した。

　マレーシアからタイ、ラオス経由で中国・重慶を結ぶ国際貨物列車”Asean Express”が6月27日に運行を開始した。通常、海上輸送では14～21日のトランジットタイムを9日に大幅短縮、中国と東南アジア間の商品の流れが円滑化、物流コストを推定20%削減できるとともに、CO2の排出量も大幅な削減が期待されている。
　Asean Expressは、マレーシアの鉄道車両機器メーカー、SMH Railが製造した6台の機関車と204両の貨車を使用、セランゴール州のコンテナ内陸デポ、Kontena Nasional Inland Clearance Depot (KNICD）、ペルリス（Perlis）ICD、タイのラッカバンICD、ラオスのタナレン・ドライポートを含む複数の内陸港を結び、当初はKNICDからタイ、ラオスを経由し重慶を結び週あたり2往復運行、40TEUを輸送、その後段階的に頻度を増やしデイリー便とする計画で、年間で2万TEUの輸送を目指している。

　東京建物は、タイに現地法人Tokyo Tatemono （Thailand）Ltd.を設立、同社を通じてタイで新たに物流施設開発事業に参画する。東京建物としては海外初の物流施設開発事業となる。
　今後、同現法はタイの大手不動産デベロッパーである「SC Asset Corporation Public Company Ltd.」（SC）の子会社である「SCX Corporation Company Ltd.」（SCX）と共同で、（仮称）メトロキャットプロジェクト、（仮称）レムチャバンプロジェクトの2つの物流施設開発事業を推進する。東京建物は、東南アジアにおける事業機会獲得のため、14年にTokyo Tatemono Asia Pte. Ltd.（シンガポール）を設立、18年以降、タイで分譲マンション開発事業とオフィス開発事業を展開している。今回、タイ現法を通じて、SCXと同事業に関する共同事業協定を締結した。
　メトロキャットプロジェクトは、スワンナプーム国際空港に近接、バンコク中心部へつながるバンナー高速道路へのアクセスが良好で、ECや生活消費財などの保管倉庫や配送センターとしてのニーズが旺盛だ。同物件は、倉庫全5棟、計15区画の計画で、マルチ型物流施設やテナント企業の需要に合わせたBTS倉庫などを予定している。
　　一方、レムチャバンプロジェクトはレムチャバン港近くにあり、タイ政府が進めている経済特区・東部経済回廊（Eastern Economic Corridor：EEC）内に位置、自動車関連工場が新たに進出している工業団地が増加し、タイ国外への輸出を目的とした保税倉庫や関連部品の保管などのニーズを背景に、物流施設の需要が拡大している。倉庫全3棟、計10区画の計画。

　Drewry Maritime Research（英国）が6月27日に発表した太平洋航路、アジア／欧州航路、大西洋航路における主要8ルートの世界コンテナ運賃指数（WCI）の総合指数は、5,318ドル／FEUと前週から4%上昇し11週連続でアップ、前年同期を256%上回った。パンデミック前の最高値を付けた2021年9月の 10,377ドル／FEUを49%下回っているが、2019年の平均運賃1,420ドル／FEUを274%上回り、年初からの平均は3,579ドル／FEUで、過去10年間の平均2,748ドル／FEUより831ドル高い水準となった（2020年から22年の間はコロナ禍の影響で異例の値上がり）。
　先週のスポット運賃を航路別にみると、上海→ロッテルダムが前週比7%（455ドル）上昇し7,322ドル／FEUとなったのをはじめ、上海→ロサンゼルスが4%（232ドル）上昇し6,673ドル／FEU、上海→ニューヨークも4%（275ドル）上昇し7,827ドル／FEUとなった。
　また、ロッテルダム→上海が1%（4ドル）上昇し676ドル／FEU、上海→ジェノアが1%（73ドル）上昇し7,102ドル／FEU、ニューヨーク→ロッテルダムも1%（7ドル）上昇し640ドル／FEUと小幅アップした。逆に、ロッテルダム→ニューヨークは2% (49ドル) 下落し2,044ドル／FEU、ロサンゼルス→上海は横ばいの693ドル／FEUで安定していた。Drewryではアジアの港湾混雑により、今週もスポット運賃は若干上昇すると予想している。

　今年5月の世界コンテナ取扱量指数（RWI- ISL Container Throughput Index）の季節調整済みで129.9と4月の129.1（改定値）から0.8ポイント、小幅上昇した。欧州諸港のコンテナ取扱量の増加が寄与したもの。
　5月のルアーブル港、ゼーブルージュ港、アントワープ港、ロッテルダム港、ブレーメン／ブレーメルハーフェン港、ハンブルク港の欧州北部諸港のNorth Range Indexは、4月の110.4（改定値）から111.9へ1.5ポイント増加、4月のマイナスからプラスに転じた。
　対照的に中国諸港におけるコンテナ取扱量は減少し指数は4月の143.2（改定値）から142.9へ0.3ポイント低下した。
　世界コンテナ取扱量指数は世界の港湾が公表するデータをもとに毎月、ドイツのシンクタンク、ライン・ウェストファーレン経済研究所（RWI）と海運経済物流研究所（ISL）が2015年=100を基準に世界のコンテナ取扱量の64%をカバーする92港の実績を指数化、多くの港は前月末からわずか2週間後にコンテナ取扱量を公表している。

　KMTC（韓国）の日本現地法人、KMTC Japanは、インドネシア向け貨物のTAX ID番号に変更が発生したとして、顧客に注意喚起している。
　KMTCによると、インドネシア向けの貨物のB/Lにはすでに輸入者の15ケタのTAX　ID番号を記載しているが、今後は16ケタの数字に変更となった。
　記載漏れや登録番号に誤りがあった場合は罰金、輸入通関での障害などが発生する可能性があり、その際に発生した場合のコストは顧客負担となるため注意を喚起している。

　ZIM Integrated Shipping Services（イスラエル）は今月から華中／北米西岸航路で新たにZIM Central China Xpress （ZX2）を開始し、寧波からロサンゼルスまでのトランジットタイムを最速13日で接続する。また既存のZEXではベトナム・カイメップに追加寄港する。
　新ZX2は、7月3日から上海～寧波～ロサンゼス～上海のローテーションで定曜日ウイークリーサービスを開始し、途中の寄港地なしによるシームレスな輸送を実現するとともに、揚げ地ではZIMが手配した専用シャシーによる迅速な引き渡し・搬出が可能で、鉄道による内陸部へのスピード輸送にも対応、また新たな予約手続きなしに貨物のピックアップができ、その際も専用トラックレーンによるスムーズなコンテナ引き渡しを実現するとしている。
　また同航路では既存のZIM eCommerce Xpress（ZEX）も改編し、新たにベトナム・カイメップ港に追加寄港し、7月16日カイメップ入港の”ZIM Falcom”から、カイメップ～塩田～ロサンゼルス～カイメップの新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスする。

　韓国近海輸送協議会（KNFC）がまとめた韓日航路における今年1～5月累計コンテナ輸送量はローカル、フィーダー、積み替え（T/S）を含む往復航の総合計で63万4,178TEUと前年同期比2.4%増加した。韓国出しは36万5,466TEUで6.3%増、日本出しは26万8,712TEUで2.4%減だった。
　往復航合計でローカル貨物は24万7,147TEUで1.2%減、フィーダー貨物は5万5,629TEUで21.6%減のマイナスだった一方、T/S貨物は33万1,402TEUで11.2%増加し全体を押し上げた。

　イエメンの武装勢力、フーシ派はこのほど、MSC（スイス）の運航船2隻を相次いで攻撃したと発表した。
　フーシ派が攻撃したと主張しているのはイスラエル・ハイファ港に寄港中だった”MSC Manzanillo”とアラビア海を航行中だった”MSC Sarah V”（4,657TEU）の2隻で、”MSC Manzanillo”はハイファ寄港中にドローンで攻撃したとしているが、同船は現在、東地中海を航行している。
　また”MSC Sarah V”はイエメン・ニシュトゥンの南東246海里のアラビア海上を航行中、ミサイル攻撃を受けた。同船の船長は至近海域で何かが爆発したと報告したが、船体、船員に被害は発生していないとの報告があり現在はペルシャ湾を航行している。
　MSCは、イスラエル、ユダヤ系資本に関わる船舶をイエメン近海に従事するサービスから撤退させ、”MSC Sarah V”も自社保有船だったが、攻撃を受けた。
　”MSC Sarah V”はインド亜大陸-米国東海岸のIndusaに就航し5月27日にパナマ・コロンを出港し6月28日にアブダビ・カリファ港へ入港する予定となっている。

　シンガポール南洋理工大学（NTU Singapore）、PSA Singapore、千代田化工建設の3者は6月25日、水素を常温常圧の液体であるメチルシクロヘキサン（MCH）として輸送・貯蔵し、MCHから気体水素を抽出して港湾内の搬送用車両のクリーン燃料として利用する実証試験を開始したと発表した。実証試験はパシール・パンジャン・ターミナルで2025年半ばまで実施する予定。
　この協力と試験の一環として、PSAはパシール・パンジャン・ターミナルに初の水素補給ステーションを建設・稼働、水素燃料を供給する。NTUが主導した実験室での実証実験に続くもので、効率的かつ経済的な水素の輸送を可能にし、ひいては水素のグローバルサプライチェーンの拡大に貢献する。
　グリーンエネルギーの有望技術である水素燃料電池は、水素と酸素の反応によって電気を発生させ、副産物として水と熱のみを残す。シンガポールには天然資源がないため、水素の長期貯蔵や長距離輸送に使用できる液体有機水素キャリア（LOHC）を通じて液体状態で輸送できる水素の輸入に頼っている。

　MSC（スイス）は同社の子会社、SAS Shipping Agency Services Sarl（ベルギー）を通じ、6月26日付でノルウェーの自動車運航船社Gram Car Carries株式93.5%以上を取得したと発表した。
　MSCは今年5月下旬からGram Car Carriersの株式を1株あたり25.12ドル、総額7億2,800万ドルで、公開買い付け（TOB）を開始、6月26日まで予定していたが、7月1日までに応募を求めている。
　また、同日、SAS Shippingが買収を進めるためにウクライナとポルトガルの規制当局の承認を得たことなどから、今年第4四半期には買収を完了し、Gram Car CarriersをMSCの子会社としてブランド名、従業員を引き継ぎ運営する見通し。
　MSCは、すでに2隻の自動車運搬船を所有しているが、5,000～7,000台積みを中心にした自動車運搬船17隻を所有するGram Car Carriersを買収することで、急成長する自動車船市場に本格参入することになる。

　28基の低軌道周回衛星を使用し双方向データ通信や測位サービスを提供する米国の通信事業会社、ORBCOMMは、船社向けにインテリジェントな冷凍コンテナ管理の「新時代」を実現するために設計されたCT 3600デバイスを搭載した最新鋭のリーファーコンテナ監視機器ソリトン（写真）を発表した。
　CT 3600は、スマートフォンのiOS、Androidアプリを利用できる、ORBCOMMの最新世代リーファーコンテナ監視ソリューションは、IoT（モノのインターネット）アプリケーションの設置、展開、管理を合理化、リーファーコントローラーキャビネットに穴を開けずに取り付けられ、そこからケーブル接続されるため、コンテナの潜在的な損傷を回避し、サードパーティの設置コストを削減し、機器の盗難や改ざんを防止できる。
　また、長持ちする内蔵充電式バッテリー、ワイヤレス Bluetoothセンサーのサポートを特徴としており、主要4社すべてのリーファーコンテナで動作し、コンテナ船業界のデジタル標準化を推進する国際団体DCSAの貨物追跡の標準仕様に準拠している。

　日本船主協会（JSA）は6月28日、第77回通常総会を開催後、メディア向けに会見を開き、明珍幸一会長（川崎汽船社長）は、中東情勢の悪化に伴う商船への攻撃を非難するとともに、安定したサプライチェーンの回復のため、早期の停戦と事態収束を求めると述べた。
　明珍会長はまず会長就任からの1年を回顧し「1年間に業界には多くの変化があり、その最大のものは昨年10月から始まった中東におけるイスラエルとハマスの紛争とその海運への影響だ」と述べた。
　昨年10月以来武力衝突が継続し、紅海、アラビア海で商船への攻撃事案が80件以上発生、船員の生命が失われる事態も複数発生していることなどをあげ「JSAはこれら非道な行為を断固非難するとともに、拿捕された船舶の乗組員の一日も早い解放を求める」とし早期の事態の収拾を願うと述べた。加えて、アデン湾、ソマリア沖では再び海賊行為が増加傾向を見せ、不安定な海域が拡大していることを憂慮し、自衛隊をはじめとする各国政府による警備活動の継続を訴えた。
　また収束時期の予測について問われると「早期の停戦と事態の収束を祈るばかりだが、停戦協議の先行きはまだ見えていない。また仮に協議が成立しても、確実に商船への攻撃が停止したことを確認してからでないと危険海域の通航再開はできず、安全確保のため厳しくリスクアセスメントをしたうえで再開する必要がある」と述べた。
　また環境対策については、最近の国際海事機関（IMO）の環境会議で国際海運の2050年までのGHG排出ネットゼロの目標が策定されたとして「目標実現に向け、燃料のGHG強度規制と課金・還付などの制度による中期対策の議論が本格化している。一方で、欧州ではEU-ETSなど地域規制が発効しており、来年は燃料のGHG強度への規制を開始する。船社に対する世界的な規制と地域規制の二重規制の負担がかかることのないよう、各種業界団体と、IMOや各国政府へ働きかけを強化していく」と述べた。
　さらに業界の人手不足の課題に対し、今後「海の日」を中心に各種イベントを開催し、海運の認知度向上を図る方針を示した。

　テキサス州・ヒューストン港はこのほど、ハイブリッド・タイヤ式ヤードクレーン（RTG）6基の引き渡しを受けた。
　同港は昨年12月以来、Barbours Cut Container TerminalとBayport Container Terminals向けに最新のRTGを26基受け取っており、今年中に発注済みの残りの全RTGの引き渡しを受ける予定。
　ヒューストン港は2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指しており、新たなハイブリッドRTGはNOx、PMや炭素の排出を90％削減、また新機器導入による効率化によりそれ以上の排出削減効果を持つという。
　ヒューストン港では今年末までに港内のRTG147基のうち57基がハイブリッド式に入れ替わる計画だ。

　商船三井が運航するLNG輸送船”Energy Navigator”がこのほど、日本水先人会連合会の2023年度ベストクオリティーシップ賞を受賞した。
　　同賞は、船舶の安全航行、港湾や海洋環境の保護に対する意識を高める目的で2003年に設立され、日本水先人会連合会が特に優秀と認めた船舶に対して贈るもので。23年度は、日本全国の水先区で水先要請をした船舶から8隻が受賞した。
　商船三井グループでは、過去に20隻以上の関係船で同賞を受賞しており、今回も良好な航海設備、乗下船設備、安全措置の実施、船長などによる水先人業務への協力体制などが総合的に評価され、受賞に繋がった。

　横浜川崎国際港湾（YKIP）は、6月27日付で代表取締役副社長、副社長執行役員に髙田昌行氏が就任する役員人事を発表した。
　また新たに取締役には新保康裕氏、森賢一氏、監査役には竹内紀充氏、木村俊介氏がそれぞれ新たに就任した。

　韓国関税サービス庁（KCS）と英国の歳入関税庁（HMRC）は6月26日、ロンドンで認定事業者（AEO）の相互認証取り決め（MRA）を締結した。
　AEO MRAは、AEO制度のある二国間で、それぞれのAEO事業者を相互に承認する制度。例えば、日本のAEO事業者が関与する輸出入貨物は、日本の税関だけでなく相手国での税関手続き(書類審査・検査)の負担が軽減、 これにより、二国間物流のセキュリテイ確保と国内外一貫した物流の円滑化が実現する。
　これまで韓国は日本、米国、中国など23カ国とAEO MRAを締結しており、英国は24番目の締結国となった。韓国から英国向け輸出額の約64%（38.1億ドル）はAEO企業が担っており、今回のAEO MRA締結を機に、韓国企業の輸出競争力が強化されるものと期待されている。

　商船三井と大統海運（台湾）の合弁会社、大三商航運股份（TSSM）は6月27日、オフショア船、タグボート、フェリーなどの設計、建造、修繕などを手がけるDamenグループ（蘭）に、洋上風力発電所向けの新造Service Operation Vessel（SOV）を発注した。
　SOVは、洋上風力発電所のメンテナンス技術者を複数の洋上風車に派遣するために多数の宿泊設備を持った、一定期間洋上での活動が可能なオフショア支援船で自動船位保持機能装置（DPS）、洋上風車のプラットフォーム上に風車技師を安全に渡すため、波などによる船体動揺を吸収するモーション・コンペンセイション機能をもつ特殊なギャングウェイ（人道橋）を搭載する。
　同SOVは、全長87.7m、幅19.7m、最大乗船人員120人で、2022年に竣工したアジア初の新造SOVの”TSS Pioneer”、昨年11月に建造を決定した”TSS Cruiser”と命名予定の2隻目に続く、TSSMにとり3隻目のSOVとなり、台湾籍SOVとして、姉妹船である”TSS Cruiser”と同じくメタノールレディな設計になっている。
　建造はベトナムの造船所で行い、2026年末の竣工を予定し、20年代後半の建設、運転開始予定の台湾の洋上風力発電所への投入を計画している。

　半導体・電子部品の通販サイトを運営するコアスタッフ（東京都豊島区）は、長野県佐久市に建設中の新物流センター「Zero Hub」を8月に稼働開始する。
　新物流センターは、22年12月から建設に着工、コアスタッフが保有する現物流センターの約5倍（延べ床面積1万5,020m2、地上4階建て）、在庫収容能力は約10倍となる見込み。太陽光パネルや蓄電池など100％自社電源確保で停電しない物流倉庫を実現した。自動倉庫をはじめAGV（無人搬送車）などの最新技術も導入している。
　コアスタッフは「日本発のグローバルカタログディスティ」を目指し、新物流センター「Zero Hub」をグローバル展開における基幹倉庫として、今後より多くの製品在庫の拡充を予定している。

　日本郵船とアストモスエネルギーは6月12日、川崎重工業坂出工場で、共同保有する大型LPG輸送船の命名式を開催し、”Gas Amethyst”と命名した。
　同船は全長229.9m、幅37.2m、深さ21.9m、積載容量8万6,953m3で、重油とLPGを使用できる二元燃料エンジンを搭載、また軸発電機を採用し、主機からプロペラに繋がる軸の回転を利用して発電することで、通常航海中のディーゼル発電機を停止し、LPG燃料のみで航行が可能となっている。またLPGを燃料として使用した場合、重油焚きに比べ、排気ガス中のSOxを95％以上、CO2を20％以上削減できる。
　命名式にはアストモスエネルギーの株主となる出光興産と三菱商事などの関係者約80人が参加し、出光興産の前田健也常務執行役員が命名、同夫人が支綱を切断した。
　同船は今年3月に竣工した”Gas Garnet”に続くLPG二元燃料エンジン搭載船で、共同保有船としては今年2隻目、アストモスエネルギー向けLPG二元燃料船としては4隻目となる。

　上組は、兵庫県加西市に系統用蓄電池システムを建設し、系統用蓄電池事業へ参入する。
　日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現、エネルギー自給率の向上などを目的に、太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を促進している。
　一方で再エネは、発電量が天候などに左右、導入が進むにつれて余剰電力の発生などによる電力系統の不安定化が課題となり、その解決のために需給バランスを調整することが必要となっている。
　系統用蓄電池は、自社で発電した電気を蓄える一般的な蓄電池とは異なり、電力系統に直接接続して電力の需給バランスに合わせて充放電することで需給バランスの調整が可能で、系統の安定化に役立つことから、再エネの導入促進に欠かせないものとして注目を集めている。同社は、同事業を通じて系統電力の需給バランスの安定化に寄与し、日本の再エネ導入促進やカーボンニュートラルな社会の実現に貢献する。
　兵庫県加西市栄町に加西メガパワー蓄電所（仮称）を建設する予定で、同蓄電所のの能力は、出力13MW、容量54.84MWhで、25年1月に着工、26年2月に竣工予定。

　アジア太平洋航空会社協会（AAPA）が発表したメンバー15社による5月の貨物輸送実績は、輸送トンキロ（FTK）ベースで前年同月比17.9％増の61.29億FTKとなり、前年9月から9カ月連続でプラスが持続、19年の水準の89.4％に達した。一方でキャパシティも有効貨物トンキロ（FATK）ベースで15.1％と2ケタの伸びとなり、ロードファクターは1.5ポイント上昇して61.4％と60％の水準を超えた。eコマース需要の力強い伸びが続く一方で国際旅客需要の増大による便数増でキャパシティも伸びており、この1年間需要と供給がほぼ並行して拡大している。国際旅客需要も好調で23.9％増の2,790万人となった。
　AAPAによると、国際経済の見通しの改善や個人消費の拡大が旅客、貨物荷動きを押し上げており、今年に入って1-5月累計で旅客需要は44.8％、貨物は16.0％の伸びとなった。航空会社の業績は需要の増加で回復に向かっているがドル高やバレルあたり100ドルを超える燃料コストの増大が利益率を圧迫しており、コスト管理がより重要なファクターとなっている。

　住友倉庫は、東京都による「燃料電池フォークリフトマッチング導入支援事業」に応募し、トライアル利用者として選定、東京都の支援のもと、同社東京支店お台場営業所（東京都江東区青海4-6-16）で水素を燃料とする燃料電池フォークリフト（FCFL）を、8〜9月の約2カ月間にわたり使用し、その導入効果などを検証する。
　同事業はエネルギーの安定供給確保や脱炭素に向けた取り組みとして、東京都が都内における水素エネルギーの需要拡大・早期社会実装化を目指す中で、物流業界における脱炭素化と水素利用拡大のために取り組んでいる事業。同社は、同社グループの第五次中期経営計画において「環境負荷の軽減と気候変動問題への取り組み」を掲げ、物流施設の荷役でCO2排出量の削減に向けて、使用時にCO2を排出しない水素燃料のFCFLのトライアルに取り組むもの。FCFLはトヨタエルアンドエフ東京から、水素充填設備は鈴木商館からそれぞれ提供を受ける。

　日本貨物鉄道（JR貨物）関東支社は、鉄道コンテナを利用しやすくするための施設「積替ステーション」を、相模貨物駅構内に開設、7月1日から利用可能となる。
　同支社は「JR貨物グループ長期ビジョン2030」で掲げた社会に提供する四つの価値の一つである「物流生産性の向上」に向けて、SDGsの実現や物流を取り巻く諸課題の解決に向けて貢献していく。積替ステーションは、貨物駅構内あるいはその近隣に位置する貨物上屋・倉庫で、一般のトラックと鉄道コンテナの間で貨物を積み替える目的で、場所とコンテナ移送などの付帯サービスを提供する施設。同施設により鉄道コンテナをより利用しやすくなり、鉄道輸送と組み合わせることで、地域の幅広い物流ニーズに対応する。従来、自社施設で鉄道コンテナに積み込みし、鉄道コンテナ専用トラックで貨物駅まで持ち込む必要があったが、積替ステーションはトラックで直接持ち込むことが可能なため、自社車両の有効活用が可能。長距離でトラック運行していた運送事業者は、長距離区間を貨物鉄道輸送に振り替えることでトラック運転手の長時間労働の緩和、働き方改革の推進につながる。また貨物輸送量（トラックの積載率）に合わせて、コンテナ利用個数を柔軟に選択可能だ。
　相模貨物駅の積替ステーションは、12フィートコンテナ限定で、バース数が6バース（5m×10m）整備している。利用時間が8時〜18時。

　ANAグループとJALグループは、従業員が安心して働ける環境を守ることが顧客に快適なサービスを提供する基盤であると考え、「カスタマーハラスメントに対する方針」を共同で策定、該当行為例などを整理し明文化した。
　両社は迷惑行為など（カスタマーハラスメント）に対しては、従業員の人権および就業環境を害するものとして毅然と行動し、組織的に対応していくことを基本方針とした。
　カスハラを、顧客または第三者（取引先など含む）からの優越的な立場を利用した「航空法、その他関連する法規に反する行為」、及び「これらにつながりかねない行為」、または「義務のないことや社会通念上相当な範囲を超える対応を要求する行為」により、従業員の就業環境が害されること、と定義し、該当する行為として、暴言、大声、侮辱、差別発言、誹謗中傷、過剰な要求などの具体例を列記した。
　カスハラを受けた社員に対する心のケアやカスハラに正しく対応する教育などを実施、業界全体でも定期的に意見交換会を開いて航空業界として対応力向上を目指すことにしている。

　デンマークの海運調査会社、Sea Intelligenceが26日に発表した最新レポートによると、米国勢調査局が発表した2024年4月末までの売上高と在庫の推移を示すデータをみると、今年5月初旬のコンテナ船のスポット運賃の急上昇に先立ち、コンテナ需要が急増している兆候はまったく見られなかったという。
　米国の製造業、小売業、卸売業の3つのカテゴリーすべての全体的な売上高傾向がパンデミック終結から今年4月まで横ばいを維持しており、同様にカテゴリ別の売上高に対する在庫の比率は長期トレンドからの逸脱を示しておらず、これにより、船社が船腹不足や運賃の高騰を防ぐために積極的に船腹を追加投入するのは事実上不可能で、現在の運賃急騰はもっぱら船社が意図的に市場を操作して運賃急騰を引き起こしたとの見方は疑問だとしている。
　しかし、グラフが示すように、実際に我々が目にしているのは、船社が現在、主要東西航路の船腹の大幅増加を計画しているということで、アジア／欧州航路では、7月の最初の2週間に急激な輸送能力の増加が計画されているが、その後7月の残りの期間と8月には前年比約6%増に鈍化、太平洋航路では、輸送能力の急激な増加が目前に迫っているだけでなく、8月中旬までこの高い供給量の増加を維持するという船社の意図も考えられ、これらの船腹量拡大の成功、そして市場圧力を緩和する可能性は、増大する港湾混雑によって船社が計画したスケジュールに従って想定されたコンテナ船を運航できるかどうかにかかっているとしている。

　AIを活用したロボティクスと可視化ソリューションのDexory（英ロンドン）は、郵船ロジスティクスの英国法人Yusen Logistics（UK） Ltd.がDexoryのグローバル可視化プラットフォーム「DexoryView」を導入したと発表した。
　Yusen Logistics（UK）は、海上・航空貨物輸送、倉庫業、配送サービス、サプライチェーン・マネジメントなどを提供、大手電子機器メーカーをはじめとした最終顧客へのサービスの向上に貢献できるソリューションとして、DexoryViewを導入した。Yusen Logistics（UK）は倉庫全体の包括的なスキャンを手作業で処理、毎月1.5週間以上の期間に延べ100時間以上も費やしていた。導入の結果、倉庫全体の包括的なスキャンを毎日2時間以内で処理できるようになった。また、毎日のリアルタイムでのデータ生成が可能になり、それまで年2回の倉庫全体の包括的なチェックにかかる作業を全廃、年間205時間の作業時間削減につなげた。
　Yusen Logistics (UK)でContract Logistics Groupを統括するDarren Felstead氏は「顧客にリアルタイムで在庫の可視性を提供するため、デジタル化と自動化に投資している。ロボティクスと自動化で倉庫スペースが最適化でき、コスト削減、パフォーマンスや在庫精度の向上、手作業による棚卸しのダウンタイム削減を実現した」と述べた。

　Saigon New Port（SNP）は7月1日からホーチミンのタンカンカトライ港（TCCL）の火災および爆発の安全性を確保するため、危険物コンテナ（IMDG）を港外のデポへ移動、搬入する新たな規制を導入するのを前に、現地で6月25日に関係者への規制ガイドライン説明会を開催した（写真）。
　TCCLはベトナム最大かつ最も近代的なコンテナ港で、現在、全ベトナムのコンテナ取扱量の3分の1以上、ホーチミン全体のほぼ90%を扱っている。広さは160ha、年間コンテナ処理能力は500万TEUを超えており、港とその周辺地域の火災および爆発の安全性を確保するために輸入危険物コンテナ用に面積約5.2haのデポを開設、7月1日からTCCLで危険物コンテナ扱いに対する新規制を施行するもの。
　TCCLでは危険コンテナのアンロードポートとしてのみ機能、本船から荷揚げ後、デポに転送する必要があり、輸出の場合は、本船到着予定の24時間以内にのみ危険コンテナを搬入できるとしている。

　MSC（スイス）のベトナム法人、MSC Vietnamのプロジェクト貨物チームはこのほど、ブンタウ港で、過去最長となる31mの分解できないフレームの長尺貨物の安全な荷役を完了した。
　MSCは特殊貨物に特化した最新の取扱技術、専門のノウハウ、専用機器などを駆使し、安全を第一に顧客からのニーズに対応し続けており、長尺物貨物の荷役の記録更新は5カ月ぶりとなる。
　MSCはコンテナだけでなく、特殊貨物、ブレークバルク貨物の取り扱いにも力をいれており、顧客のニーズに沿ったテイラーメイドのサービスで輸送を実現している。
　今回はMSCのアジア域内サービスSentosaを利用しベトナムから韓国に向けて、コンテナ船による競争力のあるトランジットタイムでの輸送を実現した。

　米国のリアルタイム・サプライチェーン可視化プロバイダーFourKitesは25日、同社が開発した物流プラットフォームの「フォーカイツ」をホンダの二輪車および汎用製品事業部門が導入したと発表した。同プラットフォームはエンドツーエンドの国際輸送業務のデジタル化と効率化を実現するソリューション。これにより、ホンダはコンテナ輸送業務を合理化するため、輸送スケジュールの最適化やCO2排出量の削減、コスト削減を実現するとしている。
　また、ホンダは、海上コンテナ輸送プラットフォームのBuyCoの海上輸送ネットワークを活用することで、輸送オプションを簡単に選択でき、予約作業をプラットフォームから直接行うことが可能となる。また、CO2排出量の監視やディテンション、デマレージの追跡も強化する。
　FourKitesは、ホンダにリアルタイムのコンテナ追跡ソリューションを提供する。AISデータやターミナル情報を通じて、陸上輸送と海上輸送の両方で高い可視性を確保する。これにより、ホンダはコンテナの詳細な監視や迅速な対応が可能となる。
　さらに、FourKitesは昨年4月、三井物産の関連会社、三井情報（MKI）を主要なリアルタイムサプライチェーン可視化ソリューションの日本における独占販売業者に指定し、緊密に連携しており、日本市場向けのハイパーローカライズされたソリューションを提供する。

　MSC（スイス）は7月からシンガポールとチッタゴンを結ぶBengal Serviceを中国まで延航し、China-Bgangladesh-Southeast Asia Serviceにアップグレードする。
　改編後のサービスは、青島7月8日寄港の新造船“MSC Chaewon”（1,800TEU）を第1船に、1,500～2,000TEU型コンテナ船5隻を投入、青島～寧波～上海～チッタゴン～シンガポール～タンジュンペレパス～青島のローテーションで定曜日ウイークリーサービスを展開する。

　日韓中でRo/Roフェリーを運航するパンスター（PanStar Group、韓国）傘下のパンスターラインドットコムは、今月末から日韓航路で新たにコンテナ船事業を開始するのに先立ち、サービス詳細を発表した。
　新サービスは日本総代理店はPanStarと同様にサンスターラインが担い、用船したコンテナ船“Honor Voyager”（634TEU）を単船投入し、6月30日釜山旧港発（Voy.490E/W）から釜山旧港（日）～神戸（火）～東京（水）～横浜（水）～名古屋（木）～釜山旧港のローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始する。
　新コンテナサービスの開始により、顧客はRo/Ro船では対応の難しかった、大量輸送、危険品貨物や重量物貨物、より低コストでの輸送が可能になる。

　モロッコの港湾グループMarsa Marocはこのほど、モロッコ・ナドール近郊のナドールウェストメド港で開発中の新コンテナターミナル、East Container Terminalの25年間の使用権を獲得した。
　新ターミナルは2億ユーロを投入し、総面積70Ha、岸壁総延長1,520m、岸壁水深18m、ガントリークレーン15基を備える予定で、2027年の稼働開始を目指しており、完成後の年間コンテナ処理能力は340万TEUになる予定。
　ナダールウェストメド港の開発計画は2009年からはじまり、コンテナ積み替え港としての機能を持つ第2コンテナターミナルの開発が長年構想されてきた。
　Marsa Marocも、Hapag-Lloyd（独）、Eurogate（独）、Contship Italia（伊）とともに出資参画している。

　米東岸のチャールストン港を運営するサウスカロライナ州港湾局（SC Ports）と北米東岸・ガルフ港湾労組（ILA）は25日、Leatherman Terminalを再稼働することで合意した。Leatherman Terminalは数十憶ドルを投資して整備、2021年初めに完成したものの、人員配置を巡るSC PortsとILAとの長年にわたる法廷闘争でほとんど稼働していなかったが、ようやく和解が成立したことで、9月30日に期限切れとなるILAと使用団体（USMX）との基本労働協約を巡る労使交渉に一縷の望みをもたらすことになった。
　SC Portsは50年以上にわたり、職務を分離し、組合員ではなく港湾従業員がクレーンや重量物運搬機器を操作する、いわゆるハイブリッドモデルを従業員に採用していた。2012年の契約更改では、将来のコンテナターミナルにはILA組合員が配置されることが求められていたにもかかわらず、SC PortsがLeatherman Terminalの開設時にハイブリッドモデルを採用したことでILA側と紛争が生じていたもの。
　問題は法廷闘争に持ち込まれ、最終的に連邦最高裁判所がSC Ports側の主張を却下、ILAがLeatherman Terminalに組合員を派遣する道が開かれ、今年に入り、SC PortsとILAとの協議を進め、生産的で協力的な対話の結果、チャールストン港の長期的な安定性と競争力を生み出す運営協定の枠組み作りを進めていくことで合意し、両者は25日に発表した共同声明で、「SC PortsとILAは、運営に対するすべての障害が取り除かれ、今後何年にもわたってUSMXパートナーをためらうことなくLeatherman Terminalに迎える準備ができている」と述べた。
　この枠組みでは古いハイブリッドモデルの下での人員配置の分離を廃止することが求められており、荷役機器のオペレーターは現在、自由に組合に加入するか、SC Ports の授業員の一部に留まることができ、どちらも荷役機器の操作にスタッフを配置が可能で、この枠組みはチャールストン港の他コンテナターミナルにも適用される見通し。
　Leatherman Terminalは第1段階で岸壁延長1,400ftにガントリークレーン5基を備え、年間処理能力70万TEUの施設を整備、全面完成すると3バースと286acの面積を誇り、年間処理能力240万TEUが追加、チャールストン港における年間コンテナ処理能力が2倍になる。

　NIPPON EXPRESSホールディングス（NXHD）は、東京大学先端科学技術研究センター先端物流科学寄付研究部門が19日に開催した同部門発足5周年を記念した公開シンポジウムを後援、NXHD大辻智常務執行役員がパネルディスカッションに登壇した。
　近年、物流を取り巻く環境は、少子高齢化やECの急激な発展による荷物量の増加、2024年問題に起因するトラックドライバー不足など、多くの課題を抱えている。これらの物流課題を解決すると同時に持続可能な社会の実現に寄与するため、19年7月に東京大学先端科学技術研究センターに物流企業からの寄付によって「先端物流科学寄付研究部門」を設置した。この研究部門では、物流が抱えるさまざまな課題の解決に向けて、AI、IoTなどの最先端技術やさまざまな数値解析手法を用いたソリューションの研究に取り組んでいる。また東京大学工学系大学院生に対してもサイエンスから物流を構築できる高度物流人財の育成と輩出を目指し、実践的な教育プログラムを提供している。
　NXグループは22年から同取り組みに参画し、NXHD大辻智常務執行役員が講師の一人として教壇に立ち、また学生を物流施設見学に受け入れるなど、産学連携に取り組んでいる。東京大学本郷キャンパス内で開催した同部門設置5周年記念シンポジウムでは、「物流業界からアカデミアへの期待」と題したパネルディスカッションで、高度物流人財の育成や教育、物流やサプライチェーンの未来像について意見を交換した。また東京大学基金から「栄誉会員」の称号とともに記念のプレートを受けた（写真）。

　日本郵船は20日、インドネシアの国営石油・ガス関連企業、PT Pertamina（Persero）の海運子会社、PT Pertamina International Shipping（PIS）と、液化二酸化炭素（LCO2）、液化天然ガス（LNG）輸送分野での協業と船舶管理会社の共同設立に関する覚書（MoU）を締結した。調印式はジャカルタにあるPertamina本社で実施し、日本郵船の渡辺浩庸常務執行役員、PertaminaのNicke Widyawati総裁、PIS社のYoki Firnandi社長らが出席した。
　LCO2、LNG輸送は脱炭素化社会の実現に向け将来的な需要拡大が見込まれ、インドネシア政府も注力しており、MoUを通じPISとの強固な協力体制を構築するとともに、船舶管理会社を共同設立することで、海上輸送の安定化と同国の船員の養成や雇用の創出につなげるとしている。
　MoUでは、LCO2の輸送では、Pertaminaなど貯留事業者やCO2排出事業者に対し、インドネシアが関連するLCO2の越境輸送に関する事業性評価や実現性検証を通じた事業機会の創出に向けて協働していくこと、LNG輸送では、LNG輸送船の共同保有に向け、本格的な協議を開始すること、船舶管理会社の設立に関して、PISと船舶管理会社の共同設立を目指し、今後増加が見込まれる同国の船舶需要に対応する高度な船舶管理サービスを提供することでそれぞれ合意した。
　インドネシアは東南アジアで最大規模の石油・天然ガスの産出国で、またCO2の貯留拠点の建設にも積極的に投資しており、5,720億トン以上を貯留できる可能性があり、同国は現在、周辺地域からのCO2埋め立て需要を呼び込み、アジア最大の貯蔵拠点となる構想を掲げている。

　国際自動車流通協議会（iATA）が財務省の貿易統計をもとにまとめた5月の中古車輸出台数（乗用車、貨物車、バス、電動車の合計）は、前年同月比0.9％減の13万559台と、2022年10月以来20カ月ぶりにマイナスになった。
　国別では、ロシアが前月に続き首位となり0.9％減の1万7,605台で、車両平均価格（FOBベース）は約102万円だった。
　2位はUAEで24.3％増の1万7,174台で、車両平均価格は約38万円。３位はモンゴルで50.6％増の9,013台と2ケタプラスとなり、車両平均価格も約16万円と前月より約4万円上昇した。
　また韓国、豪州、フィリピン、コンゴ共和国向けが増加し、ニュージーランド、ザンビア向けは減少した。

　シンガポールのターミナル会社、PSA Singaporeはこのほど、同国の南洋理工大学（Nanyang Technological University、NTU）、日本の千代田化工建設と、トルエンと水素を合わせて液体の水素キャリアとなるメチルシクロヘキサン（MCH）の輸送の共同試験を開始した。
　MCHは常温常圧の環境で液体となり、水素ガスに比べ体積当たり500倍以上の水素を含み、効率よく水素を輸送できる。
　MCHの輸送は、すでにNTU主導による実証試験を終え、経済的な水素輸送を実現できる目処が立っており、今回水素サプライチェーン構築に向けて本格的に輸送実験を開始する。
　試験輸送は2025年中期までにPSA Singaporeが運営するPasir Panjang Terminalで液体有機水素キャリア（LOHC）の貯蔵準備の完了とMCHプロセスの構築、MCHからの水素取り出しとターミナルにおける燃料としての使用試験を完了する計画だ。
　PSAはMCHの再燃料化施設の構築と燃料としての供給のプロセスを受け持つ。
　天然資源のないシンガポールでは、燃料として水素の輸入、貯蔵するソリューションを求めており、脱炭素化戦略のなかで、持続可能な水素燃料の供給拠点として、MCHによる常温常圧水素輸送、貯蔵は重要だという。

　Venture Global LNG（米国）は27日、韓国のサムスン重工業巨済造船所で17万4,000m3型LNG船“Venture Gator”の進水式を開催した。同社が韓国の造船3社に発注した9隻のLNG船のうちの1番船で、今後1年間に残り8隻も順次竣工し、米国から欧州、アジアのグローバルパートナーや目的地にLNGを海上輸送する。
　同船は、業界最先端のクリーン技術を活用した最新鋭のLNG船で、新しい船体設計、船上再液化装置、船体から空気泡を放出して水中での摩擦を軽減する空気潤滑システム、海上で稼働する補助発電機の台数を減らす補助軸発電機、排気ガス再循環システムを採用しており、今秋から就航する。
　Venture Global LNGは、北米の資源豊富な天然ガス盆地から産出される米国産LNGを長期的に低コストで供給している企業。最初の施設である米カルカシュー・パスは、2022年1月にLNG生産を開始、また、安価なクリーンエネルギーを世界に提供するため、ルイジアナ州に年産6,000万トンの生産設備を追加で建設中で、各LNG施設において炭素回収および貯留（CCS）プロジェクトの開発を進めている。

　商船三井はこのほど、台湾東部沖地震の被災者支援のため、グループ役職員に募金を呼び掛け、76万円を集めるとともに、その同額の76万円を会社として寄付するマッチング寄付を実施し、合計152万円を日本赤十字社に寄付した。

　商船三井はこのほど、サブサハラアフリカのクロスボーダー物流を手がけるAlistairグループ（南アフリカ）に持分25％で資本参加することで合意した。
　Alistairグループは、サブサハラアフリカ8カ国に事業拠点を持ち、アフリカ内陸部のコンゴ民主共和国、ザンビアから産出される銅、コバルトなどの重要鉱物資源を沿岸輸出港にトラックで輸送するクロスボーダー物流を中心に、通関、倉庫、港湾荷役、物流DXサービスなどを提供している。現在トラック約450台を保有し、従業員約1,000人を抱えている。
　商船三井は1926年に邦船社として初めて日本／アフリカ東岸航路を開設して以来、約100年間、アフリカ発着の海上輸送をサービスしてきた。近年では、南アフリカ、モザンビーク、ケニア、モーリシャスに拠点を展開し、海上輸送、航空輸送フォワーディング、陸上輸送、倉庫事業、日本の中古農機輸出事業など様々な事業をグループで展開してきた。
　商船三井グループは経営計画で、新興国地域での物流事業などの非海運事業の新規開拓・拡大を掲げており、資本参画を通じ、Alistairのアフリカ東南部地域でのクロスボーダー物流のノウハウと商船三井の世界的なネットワーク、海運・物流の専門知識を合わせ、高品質な物流サービスを展開するとしている。