ニュースダイジェスト

　横浜川崎国際港湾（YKIP）は、6月27日付で代表取締役副社長、副社長執行役員に髙田昌行氏が就任する役員人事を発表した。
　また新たに取締役には新保康裕氏、森賢一氏、監査役には竹内紀充氏、木村俊介氏がそれぞれ新たに就任した。

　韓国関税サービス庁（KCS）と英国の歳入関税庁（HMRC）は6月26日、ロンドンで認定事業者（AEO）の相互認証取り決め（MRA）を締結した。
　AEO MRAは、AEO制度のある二国間で、それぞれのAEO事業者を相互に承認する制度。例えば、日本のAEO事業者が関与する輸出入貨物は、日本の税関だけでなく相手国での税関手続き(書類審査・検査)の負担が軽減、 これにより、二国間物流のセキュリテイ確保と国内外一貫した物流の円滑化が実現する。
　これまで韓国は日本、米国、中国など23カ国とAEO MRAを締結しており、英国は24番目の締結国となった。韓国から英国向け輸出額の約64%（38.1億ドル）はAEO企業が担っており、今回のAEO MRA締結を機に、韓国企業の輸出競争力が強化されるものと期待されている。

　商船三井と大統海運（台湾）の合弁会社、大三商航運股份（TSSM）は6月27日、オフショア船、タグボート、フェリーなどの設計、建造、修繕などを手がけるDamenグループ（蘭）に、洋上風力発電所向けの新造Service Operation Vessel（SOV）を発注した。
　SOVは、洋上風力発電所のメンテナンス技術者を複数の洋上風車に派遣するために多数の宿泊設備を持った、一定期間洋上での活動が可能なオフショア支援船で自動船位保持機能装置（DPS）、洋上風車のプラットフォーム上に風車技師を安全に渡すため、波などによる船体動揺を吸収するモーション・コンペンセイション機能をもつ特殊なギャングウェイ（人道橋）を搭載する。
　同SOVは、全長87.7m、幅19.7m、最大乗船人員120人で、2022年に竣工したアジア初の新造SOVの”TSS Pioneer”、昨年11月に建造を決定した”TSS Cruiser”と命名予定の2隻目に続く、TSSMにとり3隻目のSOVとなり、台湾籍SOVとして、姉妹船である”TSS Cruiser”と同じくメタノールレディな設計になっている。
　建造はベトナムの造船所で行い、2026年末の竣工を予定し、20年代後半の建設、運転開始予定の台湾の洋上風力発電所への投入を計画している。

　半導体・電子部品の通販サイトを運営するコアスタッフ（東京都豊島区）は、長野県佐久市に建設中の新物流センター「Zero Hub」を8月に稼働開始する。
　新物流センターは、22年12月から建設に着工、コアスタッフが保有する現物流センターの約5倍（延べ床面積1万5,020m2、地上4階建て）、在庫収容能力は約10倍となる見込み。太陽光パネルや蓄電池など100％自社電源確保で停電しない物流倉庫を実現した。自動倉庫をはじめAGV（無人搬送車）などの最新技術も導入している。
　コアスタッフは「日本発のグローバルカタログディスティ」を目指し、新物流センター「Zero Hub」をグローバル展開における基幹倉庫として、今後より多くの製品在庫の拡充を予定している。

　日本郵船とアストモスエネルギーは6月12日、川崎重工業坂出工場で、共同保有する大型LPG輸送船の命名式を開催し、”Gas Amethyst”と命名した。
　同船は全長229.9m、幅37.2m、深さ21.9m、積載容量8万6,953m3で、重油とLPGを使用できる二元燃料エンジンを搭載、また軸発電機を採用し、主機からプロペラに繋がる軸の回転を利用して発電することで、通常航海中のディーゼル発電機を停止し、LPG燃料のみで航行が可能となっている。またLPGを燃料として使用した場合、重油焚きに比べ、排気ガス中のSOxを95％以上、CO2を20％以上削減できる。
　命名式にはアストモスエネルギーの株主となる出光興産と三菱商事などの関係者約80人が参加し、出光興産の前田健也常務執行役員が命名、同夫人が支綱を切断した。
　同船は今年3月に竣工した”Gas Garnet”に続くLPG二元燃料エンジン搭載船で、共同保有船としては今年2隻目、アストモスエネルギー向けLPG二元燃料船としては4隻目となる。

　上組は、兵庫県加西市に系統用蓄電池システムを建設し、系統用蓄電池事業へ参入する。
　日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現、エネルギー自給率の向上などを目的に、太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を促進している。
　一方で再エネは、発電量が天候などに左右、導入が進むにつれて余剰電力の発生などによる電力系統の不安定化が課題となり、その解決のために需給バランスを調整することが必要となっている。
　系統用蓄電池は、自社で発電した電気を蓄える一般的な蓄電池とは異なり、電力系統に直接接続して電力の需給バランスに合わせて充放電することで需給バランスの調整が可能で、系統の安定化に役立つことから、再エネの導入促進に欠かせないものとして注目を集めている。同社は、同事業を通じて系統電力の需給バランスの安定化に寄与し、日本の再エネ導入促進やカーボンニュートラルな社会の実現に貢献する。
　兵庫県加西市栄町に加西メガパワー蓄電所（仮称）を建設する予定で、同蓄電所のの能力は、出力13MW、容量54.84MWhで、25年1月に着工、26年2月に竣工予定。

　アジア太平洋航空会社協会（AAPA）が発表したメンバー15社による5月の貨物輸送実績は、輸送トンキロ（FTK）ベースで前年同月比17.9％増の61.29億FTKとなり、前年9月から9カ月連続でプラスが持続、19年の水準の89.4％に達した。一方でキャパシティも有効貨物トンキロ（FATK）ベースで15.1％と2ケタの伸びとなり、ロードファクターは1.5ポイント上昇して61.4％と60％の水準を超えた。eコマース需要の力強い伸びが続く一方で国際旅客需要の増大による便数増でキャパシティも伸びており、この1年間需要と供給がほぼ並行して拡大している。国際旅客需要も好調で23.9％増の2,790万人となった。
　AAPAによると、国際経済の見通しの改善や個人消費の拡大が旅客、貨物荷動きを押し上げており、今年に入って1-5月累計で旅客需要は44.8％、貨物は16.0％の伸びとなった。航空会社の業績は需要の増加で回復に向かっているがドル高やバレルあたり100ドルを超える燃料コストの増大が利益率を圧迫しており、コスト管理がより重要なファクターとなっている。

　住友倉庫は、東京都による「燃料電池フォークリフトマッチング導入支援事業」に応募し、トライアル利用者として選定、東京都の支援のもと、同社東京支店お台場営業所（東京都江東区青海4-6-16）で水素を燃料とする燃料電池フォークリフト（FCFL）を、8〜9月の約2カ月間にわたり使用し、その導入効果などを検証する。
　同事業はエネルギーの安定供給確保や脱炭素に向けた取り組みとして、東京都が都内における水素エネルギーの需要拡大・早期社会実装化を目指す中で、物流業界における脱炭素化と水素利用拡大のために取り組んでいる事業。同社は、同社グループの第五次中期経営計画において「環境負荷の軽減と気候変動問題への取り組み」を掲げ、物流施設の荷役でCO2排出量の削減に向けて、使用時にCO2を排出しない水素燃料のFCFLのトライアルに取り組むもの。FCFLはトヨタエルアンドエフ東京から、水素充填設備は鈴木商館からそれぞれ提供を受ける。

　日本貨物鉄道（JR貨物）関東支社は、鉄道コンテナを利用しやすくするための施設「積替ステーション」を、相模貨物駅構内に開設、7月1日から利用可能となる。
　同支社は「JR貨物グループ長期ビジョン2030」で掲げた社会に提供する四つの価値の一つである「物流生産性の向上」に向けて、SDGsの実現や物流を取り巻く諸課題の解決に向けて貢献していく。積替ステーションは、貨物駅構内あるいはその近隣に位置する貨物上屋・倉庫で、一般のトラックと鉄道コンテナの間で貨物を積み替える目的で、場所とコンテナ移送などの付帯サービスを提供する施設。同施設により鉄道コンテナをより利用しやすくなり、鉄道輸送と組み合わせることで、地域の幅広い物流ニーズに対応する。従来、自社施設で鉄道コンテナに積み込みし、鉄道コンテナ専用トラックで貨物駅まで持ち込む必要があったが、積替ステーションはトラックで直接持ち込むことが可能なため、自社車両の有効活用が可能。長距離でトラック運行していた運送事業者は、長距離区間を貨物鉄道輸送に振り替えることでトラック運転手の長時間労働の緩和、働き方改革の推進につながる。また貨物輸送量（トラックの積載率）に合わせて、コンテナ利用個数を柔軟に選択可能だ。
　相模貨物駅の積替ステーションは、12フィートコンテナ限定で、バース数が6バース（5m×10m）整備している。利用時間が8時〜18時。

　ANAグループとJALグループは、従業員が安心して働ける環境を守ることが顧客に快適なサービスを提供する基盤であると考え、「カスタマーハラスメントに対する方針」を共同で策定、該当行為例などを整理し明文化した。
　両社は迷惑行為など（カスタマーハラスメント）に対しては、従業員の人権および就業環境を害するものとして毅然と行動し、組織的に対応していくことを基本方針とした。
　カスハラを、顧客または第三者（取引先など含む）からの優越的な立場を利用した「航空法、その他関連する法規に反する行為」、及び「これらにつながりかねない行為」、または「義務のないことや社会通念上相当な範囲を超える対応を要求する行為」により、従業員の就業環境が害されること、と定義し、該当する行為として、暴言、大声、侮辱、差別発言、誹謗中傷、過剰な要求などの具体例を列記した。
　カスハラを受けた社員に対する心のケアやカスハラに正しく対応する教育などを実施、業界全体でも定期的に意見交換会を開いて航空業界として対応力向上を目指すことにしている。

　デンマークの海運調査会社、Sea Intelligenceが26日に発表した最新レポートによると、米国勢調査局が発表した2024年4月末までの売上高と在庫の推移を示すデータをみると、今年5月初旬のコンテナ船のスポット運賃の急上昇に先立ち、コンテナ需要が急増している兆候はまったく見られなかったという。
　米国の製造業、小売業、卸売業の3つのカテゴリーすべての全体的な売上高傾向がパンデミック終結から今年4月まで横ばいを維持しており、同様にカテゴリ別の売上高に対する在庫の比率は長期トレンドからの逸脱を示しておらず、これにより、船社が船腹不足や運賃の高騰を防ぐために積極的に船腹を追加投入するのは事実上不可能で、現在の運賃急騰はもっぱら船社が意図的に市場を操作して運賃急騰を引き起こしたとの見方は疑問だとしている。
　しかし、グラフが示すように、実際に我々が目にしているのは、船社が現在、主要東西航路の船腹の大幅増加を計画しているということで、アジア／欧州航路では、7月の最初の2週間に急激な輸送能力の増加が計画されているが、その後7月の残りの期間と8月には前年比約6%増に鈍化、太平洋航路では、輸送能力の急激な増加が目前に迫っているだけでなく、8月中旬までこの高い供給量の増加を維持するという船社の意図も考えられ、これらの船腹量拡大の成功、そして市場圧力を緩和する可能性は、増大する港湾混雑によって船社が計画したスケジュールに従って想定されたコンテナ船を運航できるかどうかにかかっているとしている。

　AIを活用したロボティクスと可視化ソリューションのDexory（英ロンドン）は、郵船ロジスティクスの英国法人Yusen Logistics（UK） Ltd.がDexoryのグローバル可視化プラットフォーム「DexoryView」を導入したと発表した。
　Yusen Logistics（UK）は、海上・航空貨物輸送、倉庫業、配送サービス、サプライチェーン・マネジメントなどを提供、大手電子機器メーカーをはじめとした最終顧客へのサービスの向上に貢献できるソリューションとして、DexoryViewを導入した。Yusen Logistics（UK）は倉庫全体の包括的なスキャンを手作業で処理、毎月1.5週間以上の期間に延べ100時間以上も費やしていた。導入の結果、倉庫全体の包括的なスキャンを毎日2時間以内で処理できるようになった。また、毎日のリアルタイムでのデータ生成が可能になり、それまで年2回の倉庫全体の包括的なチェックにかかる作業を全廃、年間205時間の作業時間削減につなげた。
　Yusen Logistics (UK)でContract Logistics Groupを統括するDarren Felstead氏は「顧客にリアルタイムで在庫の可視性を提供するため、デジタル化と自動化に投資している。ロボティクスと自動化で倉庫スペースが最適化でき、コスト削減、パフォーマンスや在庫精度の向上、手作業による棚卸しのダウンタイム削減を実現した」と述べた。

　Saigon New Port（SNP）は7月1日からホーチミンのタンカンカトライ港（TCCL）の火災および爆発の安全性を確保するため、危険物コンテナ（IMDG）を港外のデポへ移動、搬入する新たな規制を導入するのを前に、現地で6月25日に関係者への規制ガイドライン説明会を開催した（写真）。
　TCCLはベトナム最大かつ最も近代的なコンテナ港で、現在、全ベトナムのコンテナ取扱量の3分の1以上、ホーチミン全体のほぼ90%を扱っている。広さは160ha、年間コンテナ処理能力は500万TEUを超えており、港とその周辺地域の火災および爆発の安全性を確保するために輸入危険物コンテナ用に面積約5.2haのデポを開設、7月1日からTCCLで危険物コンテナ扱いに対する新規制を施行するもの。
　TCCLでは危険コンテナのアンロードポートとしてのみ機能、本船から荷揚げ後、デポに転送する必要があり、輸出の場合は、本船到着予定の24時間以内にのみ危険コンテナを搬入できるとしている。

　MSC（スイス）のベトナム法人、MSC Vietnamのプロジェクト貨物チームはこのほど、ブンタウ港で、過去最長となる31mの分解できないフレームの長尺貨物の安全な荷役を完了した。
　MSCは特殊貨物に特化した最新の取扱技術、専門のノウハウ、専用機器などを駆使し、安全を第一に顧客からのニーズに対応し続けており、長尺物貨物の荷役の記録更新は5カ月ぶりとなる。
　MSCはコンテナだけでなく、特殊貨物、ブレークバルク貨物の取り扱いにも力をいれており、顧客のニーズに沿ったテイラーメイドのサービスで輸送を実現している。
　今回はMSCのアジア域内サービスSentosaを利用しベトナムから韓国に向けて、コンテナ船による競争力のあるトランジットタイムでの輸送を実現した。

　米国のリアルタイム・サプライチェーン可視化プロバイダーFourKitesは25日、同社が開発した物流プラットフォームの「フォーカイツ」をホンダの二輪車および汎用製品事業部門が導入したと発表した。同プラットフォームはエンドツーエンドの国際輸送業務のデジタル化と効率化を実現するソリューション。これにより、ホンダはコンテナ輸送業務を合理化するため、輸送スケジュールの最適化やCO2排出量の削減、コスト削減を実現するとしている。
　また、ホンダは、海上コンテナ輸送プラットフォームのBuyCoの海上輸送ネットワークを活用することで、輸送オプションを簡単に選択でき、予約作業をプラットフォームから直接行うことが可能となる。また、CO2排出量の監視やディテンション、デマレージの追跡も強化する。
　FourKitesは、ホンダにリアルタイムのコンテナ追跡ソリューションを提供する。AISデータやターミナル情報を通じて、陸上輸送と海上輸送の両方で高い可視性を確保する。これにより、ホンダはコンテナの詳細な監視や迅速な対応が可能となる。
　さらに、FourKitesは昨年4月、三井物産の関連会社、三井情報（MKI）を主要なリアルタイムサプライチェーン可視化ソリューションの日本における独占販売業者に指定し、緊密に連携しており、日本市場向けのハイパーローカライズされたソリューションを提供する。

　MSC（スイス）は7月からシンガポールとチッタゴンを結ぶBengal Serviceを中国まで延航し、China-Bgangladesh-Southeast Asia Serviceにアップグレードする。
　改編後のサービスは、青島7月8日寄港の新造船“MSC Chaewon”（1,800TEU）を第1船に、1,500～2,000TEU型コンテナ船5隻を投入、青島～寧波～上海～チッタゴン～シンガポール～タンジュンペレパス～青島のローテーションで定曜日ウイークリーサービスを展開する。

　日韓中でRo/Roフェリーを運航するパンスター（PanStar Group、韓国）傘下のパンスターラインドットコムは、今月末から日韓航路で新たにコンテナ船事業を開始するのに先立ち、サービス詳細を発表した。
　新サービスは日本総代理店はPanStarと同様にサンスターラインが担い、用船したコンテナ船“Honor Voyager”（634TEU）を単船投入し、6月30日釜山旧港発（Voy.490E/W）から釜山旧港（日）～神戸（火）～東京（水）～横浜（水）～名古屋（木）～釜山旧港のローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始する。
　新コンテナサービスの開始により、顧客はRo/Ro船では対応の難しかった、大量輸送、危険品貨物や重量物貨物、より低コストでの輸送が可能になる。

　モロッコの港湾グループMarsa Marocはこのほど、モロッコ・ナドール近郊のナドールウェストメド港で開発中の新コンテナターミナル、East Container Terminalの25年間の使用権を獲得した。
　新ターミナルは2億ユーロを投入し、総面積70Ha、岸壁総延長1,520m、岸壁水深18m、ガントリークレーン15基を備える予定で、2027年の稼働開始を目指しており、完成後の年間コンテナ処理能力は340万TEUになる予定。
　ナダールウェストメド港の開発計画は2009年からはじまり、コンテナ積み替え港としての機能を持つ第2コンテナターミナルの開発が長年構想されてきた。
　Marsa Marocも、Hapag-Lloyd（独）、Eurogate（独）、Contship Italia（伊）とともに出資参画している。

　米東岸のチャールストン港を運営するサウスカロライナ州港湾局（SC Ports）と北米東岸・ガルフ港湾労組（ILA）は25日、Leatherman Terminalを再稼働することで合意した。Leatherman Terminalは数十憶ドルを投資して整備、2021年初めに完成したものの、人員配置を巡るSC PortsとILAとの長年にわたる法廷闘争でほとんど稼働していなかったが、ようやく和解が成立したことで、9月30日に期限切れとなるILAと使用団体（USMX）との基本労働協約を巡る労使交渉に一縷の望みをもたらすことになった。
　SC Portsは50年以上にわたり、職務を分離し、組合員ではなく港湾従業員がクレーンや重量物運搬機器を操作する、いわゆるハイブリッドモデルを従業員に採用していた。2012年の契約更改では、将来のコンテナターミナルにはILA組合員が配置されることが求められていたにもかかわらず、SC PortsがLeatherman Terminalの開設時にハイブリッドモデルを採用したことでILA側と紛争が生じていたもの。
　問題は法廷闘争に持ち込まれ、最終的に連邦最高裁判所がSC Ports側の主張を却下、ILAがLeatherman Terminalに組合員を派遣する道が開かれ、今年に入り、SC PortsとILAとの協議を進め、生産的で協力的な対話の結果、チャールストン港の長期的な安定性と競争力を生み出す運営協定の枠組み作りを進めていくことで合意し、両者は25日に発表した共同声明で、「SC PortsとILAは、運営に対するすべての障害が取り除かれ、今後何年にもわたってUSMXパートナーをためらうことなくLeatherman Terminalに迎える準備ができている」と述べた。
　この枠組みでは古いハイブリッドモデルの下での人員配置の分離を廃止することが求められており、荷役機器のオペレーターは現在、自由に組合に加入するか、SC Ports の授業員の一部に留まることができ、どちらも荷役機器の操作にスタッフを配置が可能で、この枠組みはチャールストン港の他コンテナターミナルにも適用される見通し。
　Leatherman Terminalは第1段階で岸壁延長1,400ftにガントリークレーン5基を備え、年間処理能力70万TEUの施設を整備、全面完成すると3バースと286acの面積を誇り、年間処理能力240万TEUが追加、チャールストン港における年間コンテナ処理能力が2倍になる。

　NIPPON EXPRESSホールディングス（NXHD）は、東京大学先端科学技術研究センター先端物流科学寄付研究部門が19日に開催した同部門発足5周年を記念した公開シンポジウムを後援、NXHD大辻智常務執行役員がパネルディスカッションに登壇した。
　近年、物流を取り巻く環境は、少子高齢化やECの急激な発展による荷物量の増加、2024年問題に起因するトラックドライバー不足など、多くの課題を抱えている。これらの物流課題を解決すると同時に持続可能な社会の実現に寄与するため、19年7月に東京大学先端科学技術研究センターに物流企業からの寄付によって「先端物流科学寄付研究部門」を設置した。この研究部門では、物流が抱えるさまざまな課題の解決に向けて、AI、IoTなどの最先端技術やさまざまな数値解析手法を用いたソリューションの研究に取り組んでいる。また東京大学工学系大学院生に対してもサイエンスから物流を構築できる高度物流人財の育成と輩出を目指し、実践的な教育プログラムを提供している。
　NXグループは22年から同取り組みに参画し、NXHD大辻智常務執行役員が講師の一人として教壇に立ち、また学生を物流施設見学に受け入れるなど、産学連携に取り組んでいる。東京大学本郷キャンパス内で開催した同部門設置5周年記念シンポジウムでは、「物流業界からアカデミアへの期待」と題したパネルディスカッションで、高度物流人財の育成や教育、物流やサプライチェーンの未来像について意見を交換した。また東京大学基金から「栄誉会員」の称号とともに記念のプレートを受けた（写真）。

　日本郵船は20日、インドネシアの国営石油・ガス関連企業、PT Pertamina（Persero）の海運子会社、PT Pertamina International Shipping（PIS）と、液化二酸化炭素（LCO2）、液化天然ガス（LNG）輸送分野での協業と船舶管理会社の共同設立に関する覚書（MoU）を締結した。調印式はジャカルタにあるPertamina本社で実施し、日本郵船の渡辺浩庸常務執行役員、PertaminaのNicke Widyawati総裁、PIS社のYoki Firnandi社長らが出席した。
　LCO2、LNG輸送は脱炭素化社会の実現に向け将来的な需要拡大が見込まれ、インドネシア政府も注力しており、MoUを通じPISとの強固な協力体制を構築するとともに、船舶管理会社を共同設立することで、海上輸送の安定化と同国の船員の養成や雇用の創出につなげるとしている。
　MoUでは、LCO2の輸送では、Pertaminaなど貯留事業者やCO2排出事業者に対し、インドネシアが関連するLCO2の越境輸送に関する事業性評価や実現性検証を通じた事業機会の創出に向けて協働していくこと、LNG輸送では、LNG輸送船の共同保有に向け、本格的な協議を開始すること、船舶管理会社の設立に関して、PISと船舶管理会社の共同設立を目指し、今後増加が見込まれる同国の船舶需要に対応する高度な船舶管理サービスを提供することでそれぞれ合意した。
　インドネシアは東南アジアで最大規模の石油・天然ガスの産出国で、またCO2の貯留拠点の建設にも積極的に投資しており、5,720億トン以上を貯留できる可能性があり、同国は現在、周辺地域からのCO2埋め立て需要を呼び込み、アジア最大の貯蔵拠点となる構想を掲げている。

　国際自動車流通協議会（iATA）が財務省の貿易統計をもとにまとめた5月の中古車輸出台数（乗用車、貨物車、バス、電動車の合計）は、前年同月比0.9％減の13万559台と、2022年10月以来20カ月ぶりにマイナスになった。
　国別では、ロシアが前月に続き首位となり0.9％減の1万7,605台で、車両平均価格（FOBベース）は約102万円だった。
　2位はUAEで24.3％増の1万7,174台で、車両平均価格は約38万円。３位はモンゴルで50.6％増の9,013台と2ケタプラスとなり、車両平均価格も約16万円と前月より約4万円上昇した。
　また韓国、豪州、フィリピン、コンゴ共和国向けが増加し、ニュージーランド、ザンビア向けは減少した。

　シンガポールのターミナル会社、PSA Singaporeはこのほど、同国の南洋理工大学（Nanyang Technological University、NTU）、日本の千代田化工建設と、トルエンと水素を合わせて液体の水素キャリアとなるメチルシクロヘキサン（MCH）の輸送の共同試験を開始した。
　MCHは常温常圧の環境で液体となり、水素ガスに比べ体積当たり500倍以上の水素を含み、効率よく水素を輸送できる。
　MCHの輸送は、すでにNTU主導による実証試験を終え、経済的な水素輸送を実現できる目処が立っており、今回水素サプライチェーン構築に向けて本格的に輸送実験を開始する。
　試験輸送は2025年中期までにPSA Singaporeが運営するPasir Panjang Terminalで液体有機水素キャリア（LOHC）の貯蔵準備の完了とMCHプロセスの構築、MCHからの水素取り出しとターミナルにおける燃料としての使用試験を完了する計画だ。
　PSAはMCHの再燃料化施設の構築と燃料としての供給のプロセスを受け持つ。
　天然資源のないシンガポールでは、燃料として水素の輸入、貯蔵するソリューションを求めており、脱炭素化戦略のなかで、持続可能な水素燃料の供給拠点として、MCHによる常温常圧水素輸送、貯蔵は重要だという。

　Venture Global LNG（米国）は27日、韓国のサムスン重工業巨済造船所で17万4,000m3型LNG船“Venture Gator”の進水式を開催した。同社が韓国の造船3社に発注した9隻のLNG船のうちの1番船で、今後1年間に残り8隻も順次竣工し、米国から欧州、アジアのグローバルパートナーや目的地にLNGを海上輸送する。
　同船は、業界最先端のクリーン技術を活用した最新鋭のLNG船で、新しい船体設計、船上再液化装置、船体から空気泡を放出して水中での摩擦を軽減する空気潤滑システム、海上で稼働する補助発電機の台数を減らす補助軸発電機、排気ガス再循環システムを採用しており、今秋から就航する。
　Venture Global LNGは、北米の資源豊富な天然ガス盆地から産出される米国産LNGを長期的に低コストで供給している企業。最初の施設である米カルカシュー・パスは、2022年1月にLNG生産を開始、また、安価なクリーンエネルギーを世界に提供するため、ルイジアナ州に年産6,000万トンの生産設備を追加で建設中で、各LNG施設において炭素回収および貯留（CCS）プロジェクトの開発を進めている。

　商船三井はこのほど、台湾東部沖地震の被災者支援のため、グループ役職員に募金を呼び掛け、76万円を集めるとともに、その同額の76万円を会社として寄付するマッチング寄付を実施し、合計152万円を日本赤十字社に寄付した。

　商船三井はこのほど、サブサハラアフリカのクロスボーダー物流を手がけるAlistairグループ（南アフリカ）に持分25％で資本参加することで合意した。
　Alistairグループは、サブサハラアフリカ8カ国に事業拠点を持ち、アフリカ内陸部のコンゴ民主共和国、ザンビアから産出される銅、コバルトなどの重要鉱物資源を沿岸輸出港にトラックで輸送するクロスボーダー物流を中心に、通関、倉庫、港湾荷役、物流DXサービスなどを提供している。現在トラック約450台を保有し、従業員約1,000人を抱えている。
　商船三井は1926年に邦船社として初めて日本／アフリカ東岸航路を開設して以来、約100年間、アフリカ発着の海上輸送をサービスしてきた。近年では、南アフリカ、モザンビーク、ケニア、モーリシャスに拠点を展開し、海上輸送、航空輸送フォワーディング、陸上輸送、倉庫事業、日本の中古農機輸出事業など様々な事業をグループで展開してきた。
　商船三井グループは経営計画で、新興国地域での物流事業などの非海運事業の新規開拓・拡大を掲げており、資本参画を通じ、Alistairのアフリカ東南部地域でのクロスボーダー物流のノウハウと商船三井の世界的なネットワーク、海運・物流の専門知識を合わせ、高品質な物流サービスを展開するとしている。

　岩手県の釜石港に、横浜コンテナラインが運航する内航コンテナ船“公龍丸”（749総トン、199TEU積み）が入港、同港と横浜港とをつなぐ国際フィーダー航路を開設した。
　中国海運大手COSCOの日本総代理店コスコシッピングラインズジャパンが輸出入サービスで利用している。新航路の開設で、釜石港には外貿コンテナ定期航路が週1便、国際フィーダーコンテナ定期航路が週2便、合わせて週3便のコンテナ定期航路が就航することとなる。釜石港では、同船の入港と国際フィーダーコンテナ定期航路の開設を記念して、式典を開催、船社、港湾関係者などが参加した。

　アルプスアルパインのグローバルサプライチェーンマネジメントにおけるIT基盤の統合化と製造業務プロセスの標準化を推進するプロジェクトで、アビームコンサルティングが支援し、国内外延べ81拠点で基幹システムのグローバル統合を実現した。
　国内外拠点の基幹システムの統合（1システム/1データベース）と基幹システム統合によるデータの一元管理の実現、業務プロセスの標準化・高度化を推進、国内外延べ81拠点、5,000ユーザーのシステム統合を完了し、データドリブン経営の実現に不可欠なデータ統合基盤を確立した。

　加州ロサンゼルス港のYusen Terminals（YTI）は25日、米国初となるテイラーZLC996型電動トップハンドラー5台の稼働を開始した。これによりCO2排出量は劇的に削減、米国の港湾業務における環境に優しい未来を切り開く。これらの荷役機器は、北米西岸港湾労組（ILWU）Local13に所属する組合員によって操作される。
　トップハンドラーは、トラックや鉄道車両にコンテナを効率的に移載することで、港湾業務において重要な役割を果たしており、従来はディーゼルエンジンを使用している。
　YTIでは今年後半にテイラー電動トップハンドラー3台を追加導入、トップハンドラーの25％をゼロエミッションに移行する予定。
　同日、カリフォルニア州サンペドロのYTIで開催した記念記者会見には、ロサンゼルス市および港湾関係者、地方機関、ILWU、日本総領事館の代表者や、ティム・マックオスカー市会議員ら出席した（写真）。
　5台のテイラー ZLC996型電動トップリフター、9万ポンド （約40,8トン）という驚異的な積載量を誇り、港内での重量コンテナの効率的な取り扱いを保証、1回の充電で最大18時間稼働、稼働時間を延長し、環境への影響を最小限に抑えながら生産性を最大化する。

　川崎汽船グループの船舶管理会社、ケイラインローローバルクシップマネージメントの管理船となる“Hamburg Highway”と“Cape Garnet”の2隻がこのほど、日本水先人会連合会が選定する「ベストクオリティーシップ2023」を受賞した。
　同賞は、船舶の安全航行、港湾や海洋環境の保護に関する意識を高める目的で水先人から見た優秀船舶に対する表彰制度として2003年に創設されたもの。
　選定には、乗下船設備や航海設備の状態や船内の指揮命令系統、安全運航に対する乗組員の高い意識などが総合的に評価される。
　2023年度は9～10月に全国の水先区で水先要請を受けた船舶が対象となり、川崎汽船グループの管理船2隻を含む8隻が特に優秀と認められ、同賞を選定した。
　6月26日に開催された表彰式では、日本水先人会連合会より賞状と楯が授与された。

　国土交通省によると、2024年4月の主要6港（東京港、川崎港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港）の外国貿易貨物のコンテナ個数（速報値）は、全港とも増加し、全体で前年同月比3.5％増の117万6,560TEUと2カ月ぶりに増加した。うち輸出は58万9,382TEUと1.3％増加、輸入も58万7,178TEUと5.7％増加した。
　港湾別では、東京港が1.9％増の35万6,652TEU、うち輸出が4.5％減の16万484TEU、輸入は7.7％増の19万6,168TEUだった。川崎港は39.9％増の9,066TEUと2カ月連続の2ケタ増となり、うち輸出が31.7％増の4,862TEU、輸入は50.8％増の4,204TEUと3カ月連続で2ケタ増となった。横浜港は5.5％増の23万2,124TEUと増加、うち輸出は12万7,351TEUと8.5％増加、輸入も10万4,773TEUと2.1％増加した。名古屋港は21万6,772TEUと2.8％増加、うち輸出が1.2％増の11万3,400TEU、輸入が4.7％増の10万3,372TEU。大阪港は2.9％増の17万2,092TEU、うち輸出が1.0％減の8万414TEU、輸入は6.5％増の9万1,678TEUだった。神戸港は18万9,854TEUと4.2％増加、うち輸出が3.7％増の10万2,871TEU、輸入は8万6,983TEUと4.8％増加した。

　自動棚搬送ロボットを提供するギークプラス（東京都渋谷区）は、物流・製造DXを支援するロジスティクスシステム開発・製造・販売のアイオイ・システム（東京都品川区）と共同で、AGVとプロジェクションピッキングシステム（PPS）を組み合わせたGTPソリューションの提供を開始した。
　PPSは、映像投影による次世代のピッキング・仕分け作業支援システム。画像認識やセンサ認識技術を利用、プロジェクター活用で、画像、動画、音声などを使って理解しやすい作業指示を出す。GTPソリューションは、SBS三愛ロジスティクスの一宮倉庫（愛知県一宮市）で23年9月から実稼働を始めている。
　AGVを導入した現場で、作業者の元に商品が到着した後の作業に課題が残っており、搬送した棚からピッキング作業をする際、作業者のモニターに表示した情報だけでは、どのロケーションからどの商品をピッキングすべきかを瞬時に判断できず、探すための時間が発生する。このためPPSを組み合わせ、AGVが作業ステーションに到着すると、PPSで取るべき間口を直接照らし明示する。PPSはセンサ機能を搭載しており、作業ミスをすると音と光で警告する。AGVとPPSを組み合わせることで、省人化・作業負担軽減が進み、ステーション内のピッキング作業ナビゲーションによって作業効率アップと作業ミスの削減が可能となった。

　三菱倉庫が出資するMLCベンチャーズ（東京都中央区）が運用するファンド「MLCイノベーション1号投資事業有限責任組合」は、電動トラック（EVトラック）を用いた貨物運送を手掛けるEinride AB（ストックホルム）に出資した。
　Einrideはスウェーデンを拠点とし、トラックの高効率運行に関わるソフトウェアの開発と大型EVトラックの運行オペレーションを掛け合わせたBtoB貨物運送サービスを欧米で展開するスタートアップ企業。輸送ルート・配車・充電計画などを最適化し高効率運行を支援するソフトウェアや、独自の充電インフラネットワークの配置・整備、自律運行EVトラックの開発・製造などを強みに、スウェーデン・アメリカ・ドイツを中心に多数のグローバル企業との取り引きを拡大している。
　一方、三菱倉庫グループは、サステナビリティ経営コンセプト「ZERO+(ゼロプラス)」を掲げ、太陽光発電・EVトラックを中心とした環境負荷を低減する保管・輸送サービスの提供やCO2可視化プロジェクトを通じたESG/SDGsの取り組みを強化している。今回の出資を機に同グループが国内外に保有するアセットの提供・活用を通じたEinrideの事業成長を支援、豊かで持続可能な社会の実現に貢献していく方針だ。

　農林水産省は、26日に開催した「第4回フラッグシップ輸出産地に関する有識者会議」において、「フラッグシップ輸出産地」に42産地を初選定した。
　「フラッグシップ輸出産地」は、農畜産物を輸出している産地のうち、「（1）輸出先国・地域の規制やニーズに対応し輸出していること」「（2）一定の量または金額の輸出実績があること」「（3）サプライチェーンを構築し、継続的・安定的な輸出していること」を全て満たす輸出産地を農林水産大臣が認定する制度。選定産地については、今後農林水産大臣名の認定証を交付する予定だ。

　成田国際空港の5月運用実績は、航空機発着回数が前年同月比20％増の2万502回と2ケタの伸びが続き、19年の水準（2万1,768回）の92％と着実に回復している。うち国際線が22％増の1万5,840回で旅客便が27％増の1万3,113回、貨物便が3％増の2,465回と28カ月ぶりにプラスに転じ19年同月比では30％増とパンデミック前の水準を大きく上回った。
　旅客数は国際線が前年同月比87％増の258万7,811人でうち外国人が43％増の179万7,502人とパンデミック前の水準を8％上回り、5月としては過去最高となった。日本人も35％の高い伸び率で42万3,713人と急増しているが、19年の水準の50％にとどまった。国内線は10%増の66万2,383人と19年の水準を上回り、5月の記録を更新した。
　国際貨物取扱量は前年同月比9％増の14万6,749トンと2カ月連続のプラスとなり、19年比では1%減にとどまりパンデミックからほぼ回復した。積込量が11％増の7万3,687トン、取卸量も7％増の8万6,336トンといずれも2カ月連続のプラスとなった。

　物流ロボティクスサービスのプラスオートメーション（+A）は、共同物流サービス（青森県八戸市）の仙台泉センターの食品・酒類仕分け現場に、小型の無人搬送車（AGV）「t-Sort cb15」を導入した。
　仙台泉センターでは約30社の量販店・合計2,000店舗分の出荷を日々担っており、量販店ごとに発注単位が異なるなど、各社独自の納品ルールに対応するため、熟練担当者に対し業務が属人化していた。t-Sortを導入後は、それらの個別ルールに作業者が留意することなく、単純に投入口モニターで表示した商品数量を仕分けロボットに置くだけという作業者の成熟度に頼らない自動化体制を構築でき、年間約5,300時間の作業工数の削減に成功した。

　日本貿易振興機構（ジェトロ）によると、ラオス政府が公布したドライポートの許認可や管理監督に関する規則を定めた「ドライポートに関する政府令298号」が7月11日から発効する。
　今回の政府令改正では、（1）「輸出入およびトランジット車両は必ずドライポートを経由しなければならない」とする条項を削除、「トランジットの場合はドライポートを経由する必要がない」と明示（第23条）（2）「デベロッパーや入居事業者の過失により損失があった場合は、サービス提供者が貨物の価値に応じて補償を行う」とする条項（第25、32条）を追加（3）「サービスの料金は現地通貨キープで掲示し、キープもしくは外貨で受理すること」「為替レートは商業銀行のレートを適用する」という条項（第48条）を追加したほか、外国籍トラックのラオス国内の走行に関しては、管轄する公共事業運輸省は近く関連法を改正、サービス料金や内容についてもルール化を進めている。さらに、タイなど隣接する国との2カ国間輸送協定の改定の協議を進めるとしている。
　ラオスで現在操業中のドライポートは、（1）隣国タイとの国境近くの首都ビエンチャンの郊外で、タイ国境近くに位置するタナレーンドライポート（2）中部サワンナケート県のサワンナケートドライポート（3）南部チャムパサック県のワンタオドライポート、の3カ所ある。
　一方で、サービス費や輸送時間の増加、サービスの質の低さなどの課題が指摘されてきた。例えば、タイなど外国籍トラックは空荷の状態でラオス国内を走行できず、ドライポートでラオス籍トラックへの切り替えが求められ、日系企業にとってコストや全体的な輸送時間の増加につながっている。また、ドライポートごとにサービスの内容や料金が異なり、積算根拠が不明確な点や、トランジット貨物への不適切なサービス料金の請求、ドライポート内での事故発生時の責任の所在、サービス料金のドル価格表示や不利な為替レート適用などの問題もあった。

　今年に入って中国の航空輸送市場は回復から加速の時期に入った様相で、上海浦東国際空港と上海虹橋国際空港の1-5月運用実績は2空港合計で航空機発着回数が前年同期比27.1％増の32.9万回、旅客数が49％増の5,020.7万人、貨物・郵便取扱量が15.4％増の166.2万トンと大幅な伸びを示し、パンデミック前の2019年同期と比べてもそれぞれ101％、100％、107％へと回復した。
　浦東国際空港の国際路線は拡大を続け、これまでにアテネ（ギリシャ）、リヤド（サウジアラビア）、ペナン（マレーシア）、マナマ（バーレーン）、フーコック島（ベトナム）の5つの旅客定期便が新規に開設され、サンクトペテルブルク（ロシア）、ノボシビルスク（同）、ウラジオストク（同）、ブリュッセル（ベルギー）、高松の5路線が再開、7月にはマンチェスター（英国）、マルセイユ（フランス）の2路線が追加される予定となっている。

　財政難に陥っていた韓国のアシアナ航空は政府主導で大韓航空が吸収合併する方向で進められ、欧州で競争上の観点から条件となっていた貨物事業部門の売却も先週エア・インチョンが優先交渉者に指名されたことで、大韓航空が予定していた年内合併手続き完了が実現に近づいていたが、ここに来てアシアナの労働組合が、合併は国益と国民への公正さを損なうもので、韓国〜欧州間では便数が削減されて消費者に悪影響を及ぼすとして反対の声を上げ、合併の認可に権限をもつ韓国産業銀行、運輸省、公正取引委員会に対し、取引を一から見直して新たな買収先を探すよう求めた。
　パイロット組合と事務職組合は、今年初めに「えび（小）が鯨（大）を飲み込む合併」として話題になった中堅財閥のハリムによる HMMの買収が失敗に終わったことを例に出し、エア・インチョンは「鯨を飲み込もうとしているえび」みたいなものだと主張している。
　また、大韓航空は多くの運輸権を手放し、これによって何兆ウオンもの収益が外国の航空会社に流れていき、国益に反することになると非難している。

　米国の158にのぼる州や全米の業界団体が25日付で、バイデン大統領に書簡を送り、政府が米東岸・ガルフ港湾労組（ILA）と使用者団体（USMX）との今年9月末で期限切れとなる6年間の港湾労働協約改定を巡る労使交渉を再開させるよう介入を要請した。ILAが今月10日、港湾自動化プロセスに関する一定の条件が満たされるまで労使交渉を一時停止すると発表したのを受け、製造業者、農業従事者、アグリビジネス、卸売業者、小売業者、輸入業者、輸出業者、流通業者、輸送・物流業者、その他のサプライチェーンの利害関係者を代表する団体が港湾業務と物流の混乱を回避するため、ホワイトハウスに対し、労使交渉を再開するために双方と直ちに協力するよう求めたもの。
　書簡では政権にとっての重要な優先事項の一つは、サプライチェーンの回復力と現在進行中のサプライチェーンの課題への対処だとし、紅海を航行する船舶に対するフーシ派の攻撃が継続、海上サプライチェーンの課題が引き続き見られるなか、海外港湾の混雑とコンテナ不足、船舶が紅海の迂回航路を航海し続けることによる輸送能力の問題、運賃の上昇など、サプライチェーンの他の問題を引き起こすなどの課題を考慮すると、東岸・ガルフの港を経由する輸出入の両方の商品の移動に依存しているサプライチェーン、企業、従業員にとって、ストライキやその他の混乱は最も避けるべきことで、ストライキや混乱の脅威さえもサプライチェーンに悪影響を与える可能性があると指摘している。
　さらにこうした混乱とそれによる経済への悪影響は、昨年、北米西岸港湾労使交渉で課題と不確実性のため、貨物が西岸から東岸・ガルフの港に大幅にシフトした例をあげ、ビジネスの多くは東岸・ガルフ諸港経由にとどまっているが、輸送のピークシーズンを迎えるにつれて、長期契約が結ばれている西岸のゲートウェイに戻り始めており、契約の一環としてILAとUSMXが交渉すべき問題が数多くあることは承知しているが、これらの問題を解決する唯一の方法は、当事者が交渉のテーブルに戻って実際に新協約について交渉することで、現行労働協約が期限切れになる前に当事者が最終合意できるよう、政府に対し労使交渉を巡るあらゆる支援を提供するよう求めている。

　韓国船社のHMMは25日、ブロックチェーンベースの文書とビジネスデータ転送ソリューションを提供するCargoX Ltd.（スロベニア）と戦略的提携を発表した。この提携により、HMMのデジタル・サービス・プラットフォームに電子船荷証券（eBL）機能を導入、HMMの顧客は、HMMのデジタルサービスに統合するCargoX Platformの高度な機能の恩恵を受けることになる。この統合は、eBLのワークフローを近代化・合理化し、グローバルな貿易書類の効率性と安全性を高めることを目的としている。
　HMMでは新たなeBL機能により、顧客に充実したサービスを提供し、海運業界のデジタル化を先導する一方、CargoXはこの提携で効率的で迅速かつ安全なeBLを導入することで、世界貿易を促進、物流業界のデジタル化が進む中、この変革をリードするHMMをサポートする。

　Maersk（デンマーク）はこのほど、デンマーク・フレデリシアにある内陸コンテナデポ（ICD）、Taulov Dry Port内に同社初の低GHG排出倉庫を建設した。開所式典では、Maersk北欧地区のBirna Odeforsマネージングダイレクターとフレデリシア州技術協会のJohn E. Nyborg会長がテープカットした。
　Taulov Dry Portはデンマークトラングル地域と呼ばれる陸海空の輸送モードに対応した産業集積拠点にあり、新倉庫はMaerskとTaulov Dry Portの共同開発事業として、Maerskの2040年までの事業に伴うCO2排出のネットゼロ達成を目指し開設したもの。同社にとり初の世界基準に準拠した低排出倉庫で、稼働に実質的なGHG排出ゼロを可能としているほか、あらゆる輸送モードへアクセス可能で、北欧地域における貨物処理の効率化を実現する。
　倉庫では、屋内外の物流機器がいずれも電気駆動となっており、屋根にはソーラーパネルを設置し自家発電能力を確保するとともに、バッテリー駆動トラック向けの発電設備の他、倉庫から150mの地点には水素燃料ステーションの設置も計画している。

　日本貿易振興機構（ジェトロ）によると、ラオス政府は6月5日、「ドライポートに関する政府令298号」を発布、7月11日から発効する。
　同政府令は21年8月4日に発布した政府令513号を改正したもので、ドライポートの許認可や管理監督に関する規則を定めたもの。同政府令では、ドライポートの基準について、土地面積8ヘクタール以上とし、必要なインフラ（コンテナヤード、X線検査場、倉庫など）や重機（ガントリークレーンなど）、システム、セキュリティーが備わっていることと定めた。また、ドライポートのデベロッパーは貨物の集配送やコンテナ保管、倉庫サービス、関税や植物検疫の申告などのサービスを提供でき、ドライポート内に入居してサービスする事業者は倉庫や積み替え、パッケージング、修理などができるとした。デベロッパーの外資企業の出資比率は49％までとした。
　ラオスで現在操業中のドライポートは、（1）隣国タイとの国境近くの首都ビエンチャンの郊外で、タイ国境近くに位置するタナレーンドライポート、（2）中部サワンナケート県のサワンナケートドライポート、（3）南部チャムパサック県のワンタオドライポートの3カ所。一方で、サービス費や輸送時間の増加、サービスの質の低さなどの課題を指摘、タイなど外国籍トラックは空荷の状態でラオス国内を走行できず、ドライポートでラオス籍トラックへの切り替えが必要で、日系企業にとってコストや全体的な輸送時間の増加につながっている。また、ドライポートごとにサービスの内容や料金が異なり、積算根拠が不明確な点や、トランジット貨物への不適切なサービス料金の請求、ドライポート内での事故発生時の責任の所在、サービス料金のドル価格表示や不利な為替レート適用などの問題もある。
　今回の政府令改正では、これらの課題の一部に対応し、前政府令と比較して「輸出入およびトランジット車両は必ずドライポートを経由しなければならない」とする条項を削除し、「トランジットの場合はドライポートを経由する必要がない」と明示（第23条）したほか、「デベロッパーや入居事業者の過失により損失があった場合は、サービス提供者が貨物の価値に応じて補償する」という条項（第25、32条）を追加した。また「サービスの料金は現地通貨キープで掲示し、キープもしくは外貨で受理すること」「為替レートは商業銀行のレートを適用する」という条項（第48条）を追加した。
　また、外国籍トラックのラオス国内の走行に関しては、管轄する公共事業運輸省は近く関連法を改正する。サービス料金や内容についてもルール化を進めている。さらに、タイなど隣接する国との2カ国間輸送協定の改定の協議を進めるとしている。

　コンテナ海上輸送見積もりをワンストップのオンラインサービスで提供しているFreightos（香港）が18日に発表した先週のFreightos Baltic Index（FBX）と呼ぶ世界の主要12航路におけるコンテナ運賃と各航路の荷動き量シェアで加重平均した総合指数は4446と前週比7.8%上昇、前年同期比では217.8%も大幅上昇した。
　アジア発北米西岸向け（FBX01 Weekly）は前週比15%上昇し6,840ドル／FEU、アジア発北米東岸向け（FBX03 Weekly）は7%上昇し8,113ドル／FEU、アジア発北欧州向けは8%上昇し7,001ドル／FEU、アジア発地中海向けも4%上昇し7,169ドル／FEUとなった。
　また、航空貨物運賃指数のFreightos Air Indexは、中国発北米向けが1%下落し5.43ドル／kg、中国発北欧向けは1%上昇し4.33ドル／kg、北欧州発北米向けは1%下落し1.62ドル／kgだった。
　Freightosの分析によると、早いピークシーズン、紅海危機による喜望峰経由の迂回ルートへの変更、港湾混雑による船腹不足が重なり、アジア発のスポット運賃は先週も上昇を続け、北米西岸、北欧州向けは約7,000ドル／FEUまで上昇し、1月と2月に記録した2024年の最高値を40～50％上回り、北米東岸向けは2月より20％高い8,000ドル／FEUを上回った。
　太平洋航路の輸送需要は8月にピークを迎えると予想されるため、スポット運賃は上昇を続ける可能性が高く、7月には北米向けと欧州向けのPeak Season Surcharge（PSS）値上げと一括運賃値上げ（GRI）が発表、一部航路では運賃水準が約10,000ドル／FEUまで上昇する可能性がある。
　港湾混雑、欠便より多くの船腹が域内航路から長距離航路へとシフトしていることも、低ボリュームの域内航路における様々なサーチャージや運賃の引き上げにつながっており、Freightos Terminalのデータによると、東アジア／インド間では4月上旬から約4倍に上昇、大手船社や近海船社が東西航路の輸送能力を増強しても、太平洋航路やアジア／欧州航路の運賃に大きな下落圧力がかかることはなさそうだ。
　港湾混雑はシンガポール、マレーシア、中国で緩和傾向にあると報じられているが、この改善は、代替港としてインドのムンドラ港の利用が増加し、混雑緩和につながったことが一因とみられる。労働面では、フランスの港湾労働者が、臨時選挙の発表を受けて、予定していたストを9月まで延期した一方、カナダではストの合法性を判断する労使関係委員会（Industrial Relations Board）が近く労組にストを許可する最終決定を下すと予想されているため、鉄道労組のストが近づいている可能性がある。
　最近、電子商取引（EC）の輸入品に対する米国税関の監視が強化されているにもかかわらず、航空貨物の荷動きは好調を維持している。先週の中国発の運賃は北米向けで5.43ドル／kg、欧州向けで4.33ドル／kgと高水準を維持した。
　南アジアと中東発の航空貨物運賃は、最近の海上貨物の遅延とコストの増加により、海上から航空へのシフトが進むと予想されていたが、 Freightos Terminalのデータによると、上海発UAE向け海上運賃は4月上旬から115%上昇し、ほぼ5,000ドル／FEUとなっており、ジェベルアリ港の混雑による遅延も相まって、海上貨物よりも速く、直接航空貨物よりも安価な代替手段を求める荷主にとって、Sea ＆ Airサービスの魅力的でなくなっている可能性がある。

　商船三井は25日に開催した取締役会でGearbulk Holding AG（スイス）を子会社化することを決議した。今後、Gearbulkの株主、Halberton Holding Ltd.と具体的な条件などについて協議するとしている。
　今回の子会社化について商船三井は、主にドライバルク船事業を手がけるGearbulkを1991年に持分法適用会社にしてきたが、今回Halbertonとの協議でドライバルク事業の強化のため、Gearbulkの子会社化を決定した。Gearbulkの資本金は、商船三井の100分の10以上に相当するため、Gearbulkは商船三井の特定子会社に該当することになる。
　Gearbulkの資本金は2億2,810万ドルで、現在商船三井が49％、Halbertonは51％を保有しているが、今後商船三井が出資比率を72％まで引き上げる。具体的な方法、取得科学などの条件はHalbertonとの協議により決定する。
　子会社化に伴う今年度業績への影響は軽微だとしている。

　韓国の釜山港湾公社（BPA）は21日、インドネシアのジャワ島・東ジャワ州に位置するプロボリンゴ（Probolinggo）港の背後で新物流センターの竣工式を開催した（写真）。BPAは2021年、 韓国海外インフラ・都市開発支援公社（KIND）、インドネシアのKorindo Groupと合弁会社のProbolinggo Logistics Center(PLC)を設立し、プロボリンゴ港背後に約2万3,000㎡の用地を取得、物流センターの建設に着手していた。同物流センターは、延べ床面積6,12m2とオープン型キャノピー4,000㎡を備えた常温倉庫施設で、大韓貿易投資振興公社（KOTRA）の共同物流センターに指定、韓国の中小・中堅輸出企業のジャワ島部の物流プラットフォームとして活用される予定だ。
　BPAではプロボリング港がインドネシア第2の港湾であるスラバヤ港の慢性的な混雑を緩和する代替港として高い潜在能力を持っており、今後の新水路開発が本格化する場合、国外、ジャワ島の物流サービス需要が大きく増えると期待されるとしている。

　韓国とアジア8カ国・地域間の今年5月のコンテナ荷動き量は34万8,800TEUと、前年同月の31万8,700TEUから9.5％増と10カ月連続でプラスを記録した。輸出貨物は前年同月比8%増の17万9,800TEU、輸入貨物は11%増の16万9,000TEUで、輸出貨物は昨年9月以降9カ月連続、輸入貨物は昨年8月以降10カ月連続それぞれ右肩上がりで推移している。
　国・地域別にみると、上位6カ国・地域はすべてプラス成長、荷動き量が最多のベトナムは18%増の11万4,700TEU、2位のタイは10%増の5万2,100TEU、3位のインドネシアは13%増の4万8,400TEUと2ケタプラス、特にベトナムは昨年11月から7カ月連続で2ケタ成長、東南アジア航路の運賃上昇をけん引した。
　4位のマレーシアは6%増の3万8,600TEU、5位の台湾は4%増の3万4,000TEU、6位のフィリピンは14%増の2万3,600TEUで、フィリピンは、今年2月から4カ月連続で2ケタ成長し好調で、台湾は3月と4月の2カ月連続で減少したあとプラスに転じた。
　一方、7位の香港は16%減の1万9,000TEU、8位のシンガポールは5%減の1万8,400TEUと低調だった。香港は2021年10月から2年8カ月連続で減少傾向を示し、昨年6月以降は月間2万TEU台割れが続いているが、5月は今年に入り初めてシンガポールを抜いて7位に上がった。

　韓国の仁川港湾公社（IPA）が発表した今年5月のコンテナ取扱量は前年同月比9.9%増の30万9,651TEUと、5月実績としては初めて30万TEUを突破した。1～5月累計は61万9,302TEUで前年同期の56万3,399TEUに比べ9.9%増加した。
　5月の輸出貨物は15万1,406TEU、輸入貨物は15万4,968TEUで、前年同月比でそれぞれ9.2%、10.4%増加し、積み替え（T/S）貨物は3,277TEUだった。
　中古車輸出は4万1,541台で前月(4万1,744台)に続き4万台を維持し、うち79.2%の3万2,920台がコンテナ輸送された。また、新車輸出は前年同月の2万1,530台から2万3,307台に増加し、うち28.8%の6,718台がコンテナ輸送だった。
　国別の輸出貨物は中国向けが10万576TEU、台湾向けが5,138TEUで、前年同月比でそれぞれ1万1,279TEU(12.6%)、922TEU(21.9%)増加、国別の割合は中国66.4%、ベトナム8.3%、台湾3.4%、香港2.0%、マレーシア1.9%の順で、これら5カ国で全体の82.0%を占めた。
　また、輸入貨物は、中国からが9万1,105TEU、米国6,173TEU、フィリピン2,002TEUで、前年同月比でそれぞれ1万3,879TEU(18.0%)、1,864TEU(43.2%)、1,545TEU(338.1%)増加。国別の割合が、中国が58.8％、ベトナム11.6％、タイ6.0％、米国4.0％、マレーシア3.1％の順で、これら5カ国で全体の83.5％を占めた。
　IPAでは、全体的なコンテナ物流量増加の主な要因に対中国輸出入貨物の好調と中国への空コン回送の増加をあげており、対中国輸出では雑貨、機械類、車両・同部品、輸入では繊維類、雑貨、電気機器が主な増加品目だった。

　財務省関税局は26日、今年3月11～17日の1週間実施した第13回輸入通関手続き所要時間調査の結果について発表、海上貨物は小口貨物の増加の影響を除くと1.6時間と前回調査（2018年）に比べ0.5時間短縮、航空貨物は0.3時間を維持した。
　小口貨物は、通販貨物、少額貨物（課税価格1万円以下）に係る免税制度の対象貨物、他法令の証明・確認を要しない貨物など、通関手続きの所要時間が比較的短い傾向のある貨物で、このうち通販貨物については、輸入申告項目から判別ができないため、事業者による個別の回答結果から通販貨物と判別できた貨物のみを抽出し、除外しており、小口貨物の影響を完全に除いた通関所要時間ではない。
　通関所要時間（税関への輸入申告から輸入許可までの所要時間）の平均は、海上貨物は所要時間が比較的短い傾向にある小口貨物を除くと1.6時間と前回調査に比べ0.5時間短縮、小口貨物を含めた全体では1.0時間、航空貨物で0.3時間と前回調査並みの所要時間となっている。
　AEO輸入者の特例申告貨物（AEO貨物）の通関所要時間は、海上貨物で0.0時間、航空貨物で0.0時間となっている。AEO輸入者は、貨物のセキュリティ管理を含む法令順守体制が整備された輸入者として税関長が承認した者で、貨物の引き取り後に納税申告（特例申告）を行うことが認められている。
　2017年10月から実施している、輸出入申告官署の自由化を利用して輸入申告した貨物（自由化申告貨物）の通関所要時間は、海上貨物で1.2時間、航空貨物で0.2時間となっている。

　Ocean Network Express（ONE）は7月上旬から、タイ／インドネシア航路のTID1を改編しスケジュールの信頼性と利便性を確保するとしている。
　新TID1は、7月10日レムチャバン入港の"Bridge"（Voy.0305）を第1船に、レムチャバン～ポートクラン（北港）～ジャカルタ～ポートクラン（西港）～レムチャバンの新ローテーションでの定曜日ウィークリーサービス。

　台湾の交通部が25日に発表した主要4港における今年1～5月累計のコンテナ取扱量は合計で572万209TEUと前年同期の562万1,591TEUに比べ1.7%増加した。
　港湾別では、基隆港が前年同期比6.85%増の66万8TEU、高雄港が5.23%増の380万4,973TEU、台中港が4.45%増の67万7,009TEU、台北港が21.87%減の57万7,670TEUと、台北港が大きく落ち込んだほか3港は堅調だった。
　また、主要4港における今年1～5月累計の台中直航航路のコンテナ取扱量は合計で119万4,957TEUと前年同期の95万7,087TEUに比べ24.85%増と好調だった。
　港湾別では、基隆港が前年同期比18.9%増の28万9,800TEU、高雄港が28.34%増の58万4,651TEU、台中港が22.23%増の23万6,374TEU、台北港が30.22%増の8万4,132TEUで、4港とも2ケタ増を記録した。

　OOCL（香港）は25日、中国の大連中遠海運川崎船舶工程有限公司（DACKS）に発注・建造を進めている環境対応の24,188TEU型コンテナ船6隻シリーズの最終船の命名式を開催し、"OOCL Denmark"と命名した。
　命名式には、関係者が出席し、OOCLの親会社であるOOILのAndy Tung社外取締役夫人のRulin Fuong Tung氏が名付け親になった。
　OOCLのPeter Pan取締役は「"OOCL Denmark"は姉妹船らとともにアジア／欧州航路に投入し、顧客の環境に配慮した輸送への需要に対応するとともに、OOCLの方針である『顧客志向』に沿って、サプライチェーンに複雑な障害が多く発生するなか、貨物の迅速に課題に対応し効率的なサービスを提供する」と述べた。

　ジャパン マリンユナイテッド（JMU）は26日、津事業所（三重県津市）で建造していたWan Hai Lines (Singapore) Pte. Ltd.向け3,055TEU型コンテナ船“WAN HAI 373”を引き渡した。
　同船は、全長203.50m、幅34.80m、深さ16.60m、ドラフト11.50mで、JMUが開発したホールド内最大12列×6 段、デッキ上最大14 列×7段の積載能力をもつ総積載量3,055TEUのフィーダーコンテナ船で、アジア発着、アジア域内での海上輸送量の増加に伴い、中長距離の定期航路への投入を想定し、高い積載能力を確保する一方で、定時運航を可能とする高い航海性能が求められる中、JMUの技術を駆使し両性能を高いレベルで実現、従来船に比べて環境性能と運航性能を著しく向上させた船型。
　同船はWan HaiがInterasiaと協調配船する中国／インド航路のChina India Service II（CI2）に、青島7月4日着から就航、他の2,600～4,600TEU型5隻とともに、青島～上海～寧波～南沙～ポートクラン（N）～ナバシェバ～コチン～ポートクラン（N）～青島のローテーションで定曜日ウイークリーサービスを展開する。

　日本郵船は26日、インドネシア国営石油・ガス関連企業であるPT Pertamina (Persero) の海運子会社PT Pertamina International Shipping（PIS）と、液化二酸化炭素（LCO₂）、液化天然ガス（LNG）輸送分野での協業と船舶管理会社の共同設立に関する覚書を20日、ジャカルタのプルタミナ本社で締結したと発表した。調印式には、PerseroのNicke Widyawati 総裁をはじめ、PISのYoki Firnandi社長、日本郵船の渡辺浩庸・常務執行役員らが出席した。
　インドネシア政府が注力し、低・脱炭素化社会の実現に向けて将来的な需要拡大が見込まれるLCO₂とLNG輸送の分野で、PISとの強固な協力体制を築くとともに、船舶管理会社の共同設立を通じ、海上輸送の安定化と同国の船員の養成や雇用の創出に貢献していく。
　インドネシアは東南アジアで最大規模の石油・天然ガスの産出国であると同時に、CO₂の貯留拠点の建設に積極的に投資、同国のエネルギー鉱物資源省によれば、貯留に適した塩水帯水層まで含めると世界で24年末までに稼働する拠点の貯留量を大きく上回る5720億トンを貯留できる可能性があるとされる。
　インドネシア政府は周辺地域からのCO₂埋め立て需要を呼び込み、アジア最大の貯蔵拠点となる構想を掲げている。

　台湾桃園国際空港の5月貨物取扱実績は前年同月比7.8％増の19万1,346万トンとなった。22、23年と低調な荷動きが続いたあと今年1 月に20カ月ぶりのプラスとなって以降、春節の影響があった2月を除き3月からは3カ月連続のプラスと好調を維持している。
　5月は輸出貨物が15.6％増の4万8,345トンと2カ月連続の2ケタ増で牽引し、輸入も11.3％増の4万6,729トンと3カ月連続で前年同月の水準を上回った。トランシップ貨物も3.0％増の9万5,323トンで5カ月連続のプラス、郵便は10.1％減の948トンとマイナス基調が続いている。
　1-5月の累計では輸出が前年同期比5.4％増の20万9,395トン、輸入が3.2％増の21万9,070トン、トランシップ貨物が6.9％増の46万1,743トン、郵便が12.3％減の4,812トン、合計では5.5％増の89万5,021トンだった。

　郵便物や配達物をデジタル管理するためのツールやサービスを提供するトドケールは、発送した荷物の情報を、写真を撮ることで自動的にOCR（光学文字認識）によりデジタル化し、一覧として管理できる「発送管理機能」をリリースした。
　今まで手書きやスプレッドシートで管理していた発送荷物情報をデジタル管理するもので、発送した荷物のステータスをシステム上で確認できるため、発送依頼人が荷物が発送したのかどうかの問い合わせが不要になる。また、発送した荷物の一覧は、社内で簡単に共有することができ、情報の伝達がスムーズになり、荷物のデータはすべてクラウド上のシステムで管理するため、発送荷物の集計も可能だ。さらに写真を撮る際にバーコードからレターパックや配送物伝票に記載した追跡番号を自動的に読み込み、記録することができる。

　首都圏に物流拠点を構えるダイワコーポレーション（東京都品川区）は、国内物流倉庫30拠点目となるダイワコーポレーション「横浜鶴見営業所」(神奈川県横浜市)を9月に開設する。
　横浜鶴見営業所は地上4階建て・延べ床面積6万2,625m2、8月末に竣工予定の大型物流拠点となる。建設予定地は、横浜市中心部と川崎市中心部に隣接し、主要高速道路や最寄り駅、幹線道路へのアクセスに優れた絶好な土地の物流施設となる。首都高速神奈川1号横羽線・汐入IC、生麦ICからそれぞれ2km以内という非常に利便性のある場所に位置し、直線距離で羽田空港から7km、川崎コンテナターミナルから6.5km、横浜港から5.6kmと海上・空輸を利用した輸配送拠点として活用可能。

　企業の脱炭素経営を支援するゼロボード（東京都港区）は、鈴与商事（静岡市清水区）とウイングアーク1st（東京都港区）とGHG（温室効果ガス）排出量のデータ連携に関する基本合意を26日に締結した。
　同合意によって、GHG排出量算定・可視化ソリューション「Zeroboard」と、鈴与商事とウイングアーク1stが共同で提供するCO2排出量可視化プラットフォーム「EcoNiPass」のサービス間で、相互にGHG排出量のデータ連携が可能となる。
　同データ連携で、ユーザー企業のGHG排出量データを両サービス間で受け渡すことが可能となり、従来の業界平均値に基づく排出原単位を用いた算定に加え、サプライヤ企業固有の排出量データに基づく算定も簡易にできる。また、セロボードと鈴与商事の2社間では「Zeroboard」と「EcoNiPass」の営業支援に関する業務提携契約を締結、鈴与商事は同社顧客企業に対して「Zeroboard」の提案も可能となる。

　日本ロジスティクスシステム協会（JILS）は26日、都内のホテルで第14回定時総会と2024年物流改善賞表彰式を開催し、2024年度の活動方針と事業計画を承認するとともに、24年度最優秀物流改善賞に物流業務部門から2事例を選定し表彰した。
　物流改善賞は、物流業界における改善を促進するために開催しているもので、各企業が優れた物流改善事例を発表し、課題解決の手がかりやノウハウを共有するために実施しており、今年は
　一つの現場で完結する小グループにおける活動を対象とする物流業務部門と、複数の物流業務や工程を統合した範囲で実施した物流管理部門でそれぞれ応募事例を選考し、今年は最優秀物流改善賞の2事例のほか、優秀物流改善賞5件を、実行委員特別賞1件を選定、表彰した。
　最優秀物流改善賞は花王による「運送事業者に選ばれる物流センターへの挑戦～倉庫運営改善による待機時間削減の実現」とコマツ物流による「海上コンテナ積載率改善活動～コンテナ本数削減による海上運賃の抑制」が選ばれた。
　花王の取り組みは、自社工場の場外倉庫における待機時間削減を目指し、多角的なアプローチにより待機と積み込みで2時間超過のゼロを実現し、改善策を明確にした。
　コマツ物流は、コロナ禍における海上運賃の高騰に対応し、出荷コンテナ本数削減のため、段積み可能な定型サイズの梱包荷姿による使用率向上、段積み可能治具の作成などに出荷コンテナ本数を削減したことが評価された。
　表彰式後の懇親会で挨拶に立ったJILSの大橋徹二会長（コマツ会長、写真）は「今年4月から物流の2024年問題として、荷主・物流事業者に対する規制的措置となる物流総合効率化法とトラック事業者の取引を対象とした貨物自動車運送事業法の改正法が発効し、荷主・物流事業者向けには一定規模以上の荷主は物流統括管理者の設置が義務付けられた。同管理者は物流面から組織全体を監督し、課題解決を担うことになっているが、実態は経営トップが物流、ロジスティクスの重要性を認識していない、同管理者の選任に苦慮するなどの声が聞こえてくる。そのためJILSでは物流統括管理者が集い、連携し、情報共有、発信する場として『物流統括管理者連携推進会議』を設置する。同会議は、同規制の生まれた背景を理解するとともに、課題解決のヒントを共有、発信していくことを目的としており、同管理者の輪を構築し、地域、業種を超えて課題解決や連携のきっかけを創出する場を提供したい」と方針を述べた。
　また来賓挨拶では国土交通省物流・自動車局の鶴田浩久局長が登壇、続けて経済産業省商務・サービスグループの山影雅良商務・サービスグループ政策統括調整官が乾杯の音頭をとった。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、日本通運は、日本物流団体連合会主催の第25回物流環境大賞表彰で「サステナブル活動賞」、「低炭素物流推進賞」、「特別賞」をそれぞれ受賞した。
　サステナブル活動賞を受賞した「建材端材の複数品目同時回収」（写真1）は、建設現場で埋め立て処分をしていた建材端材の一部品目を、建材端材専用の回収容器「NRBOX」を利用して回収、広域認定制度を活用し建材原料として再資源化した。「NRBOX」は観音開きタイプのかご台車で、積み込み時に中身が一目で分かるため、品目ごとの分別が確実で、現場での建材端材の管理・回収が可能となり、回収した端材はすべて広域認定制度に基づき各メーカーの工場で水平リサイクルする。異なる品目の建材端材を一つの車両でまとめて運搬し、回収車両台数を削減することでCO2排出量を削減した。
　また低炭素物流推進賞の「建築現場のプレキャストコンクリート部材輸送における鉄道輸送の導入」（写真2）は、大成ユーレック、日本貨物鉄道（JR貨物）、日本通運の共同受賞で、埼玉県にある大成ユーレックの工場で製造した階段や柱といった建築資材のプレキャストコンクリート部材輸送を、従来は大型トラックを利用していたが、これを12ftコンテナに収まるサイズ、重さで製造してコンテナに格納し、全国の建設現場に鉄道輸送することでCO2排出量を削減した。
　特別賞の「プロテクトBOX with Fresh Logiによるエコな保冷輸送の実現」（写真3）では、日本通運の企業向け小口貨物輸送商品「プロテクトBOX」に、断熱材を使用した保冷輸送容器「Fresh Logi」をはめ込み、貨物の温度を一定時間保ったまま輸送できるサービスを開発した。蓄冷剤やドライアイスを使用せず、予冷した貨物から出る冷気のみでBOX内を低温に保つことができ、冷蔵冷凍の設備が不要になることで、輸送時のCO2排出量削減に貢献する。

　米宅配大手のFedEx Corp.が発表した24年度（23年6月〜24年5月）業績は、売上高が米国会計基準（GAAP）ベースで前期比2.8%減の877億ドル（約14兆136億円）、営業利益が13.2％増の55.6億ドル、営業利益率が5.4%から6.3％へ改善、純利益は9.1％増の43.3億ドル、希薄化後の1株当たり利益が前期の15.48ドルから17.21ドルへ11.2%改善した。
　パンデミックによる需要急増後の反動減が長引くなか、業績改善のため欧州で2,000人の人員削減やB757-200貨物機22機の退役など事業最適化策を講じており、25年度は売上高が1ケタ台の前半、希薄化後の1株当たり利益を20〜22ドルと予想した。

　グローバル不動産総合サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド（C&W）は、グループ傘下のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・アセットマネジメント（東京都千代田区）が加須ファシリティ特定目的会社を通じて、埼玉県加須市で物流施設 「LF加須」を竣工した。
　同施設は、東北自動車道羽生ICから約5.1km、加須ICから約5.8kmに位置し、東京都心まで車で60分、東北道と首都圏全域へのアクセスが良好で、広域配送拠点として交通利便性に優れている。また、加須・大利根工業団地に近接、24時間操業が可能な立地だ。延べ床面積約2万7,000m2の地上2階建てボックス型の物流施設で、柱スパンは間口11m×奥行10.5m、倉庫の梁下有効高さ5.5m、床荷重1.5t/m2を確保し、荷物用エレベーター及び垂直搬送機を各4基実装している。テナント区画は、一棟貸し、または、2分割に対応可能で、ブレースを用いない構造としたため、テナントのレイアウトの自由度が高い設計となっている。また、敷地内に施設外周を巡る回遊性の高いトラック動線を実現している。

　国際エクスプレスのDHLジャパンは、第18回スティービー賞セールス＆カスタマーサービス賞カテゴリーで銅賞を受賞した。
　受賞は、顧客プロファイルの変化に対応した新ガイドラインの作成や社内トレーニングにより対応品質を向上したリスキリングの取り組みを評価したもの。セールス＆カスタマーサービス賞は、カスタマーサービス、コンタクトセンター、ビジネス開発、セールスのプロフェッショナルに贈る世界最高の栄誉。スティービー賞は、世界有数の9つのビジネス・アワード・プログラムを主催している。

　工作機械/工具や産業機器と、住設機器・家庭用機器などの専門商社の山善（大阪市西区）は、5月１日から札幌支店内の倉庫に簡易LMS（統合物流管理システム）・WMS（倉庫管理システム）を導入し、「札幌デポ」としての稼働を開始した。主に機械工具類の在庫アイテム数を拡充するとともに、即納体制の強化を図った。
　同社は、23年1月に、LMS・WMSを導入、同社の物流資産を事業部横断でシェア運用（物流CROSSING）した「岡山デポ」を稼働して、自社配送エリアの拡大と、より幅広い商品の即納体制（当日配送）の強化を実現した。24年3月に稼働した「金沢デポ」と「仙台デポ」に続き、札幌支店内の倉庫に簡易LMS・WMSを導入し、「札幌デポ」として新たに活用している。札幌支店内の倉庫は、従来から主にツール＆エンジニアリング事業部の取り扱い商品の在庫を持っていたが、LMS・WMSの導入とともに、アイテム構成を見直し、現場に即納が必要な切削工具、測定機器、作業工具などの機械工具類を中心に、在庫アイテム数を従来の約2,000点から約5,000点に拡充し、小規模配送拠点として活用している。また、札幌市近郊で、当日配送機能を強化しながら、リードタイムの短縮など、サービスレベルの向上を図っている。

　香港の海運調査会社、LinerLyticaによると、今年の新造コンテナ船の引き渡し量は162万TEUに達したが、市場が伝統的な夏のピークシーズンに入るにつれて運賃と用船料が急騰し続けており、依然として世界的に船腹不足が続いている。
　イエメンの武装組織フーシ派による紅海での商船攻撃に伴う喜望峰経由の迂回ルートの利用で、昨年12月初旬以来、事実上160万TEU以上が削減されている一方、最近の港湾混雑の増加で、さらに50万TEUの輸送能力を相殺しており、現在の運航船隊は2,500万TEU強で、昨年12月のピーク時の2,550万TEUを下回っている。
　コンテナ市況は、短期用船料が1日当たり15万ドルを突破し、スポット運賃も8,000ドル／FEUの水準を上回り、2022年末以来の最高値を更新し、引き続き活況を呈している。アジア発の新サービスも相次ぎ、5月以降、メキシコ航路が6便、米国西岸航路が5便、北欧州航路でも3便が追加、MSC（スイス）は、新造船と中古船取得による船腹増加に後押しされ、運航船隊が7月に600万TEUの大台に乗せる予定だ。
　また、世界的な港湾の混雑は依然として深刻化、世界中の錨泊地で待機しているコンテナ船腹は先週250万TEUに達し、運航船腹量の8.4％を占めた。東南アジアのハブ港は引き続き最も混雑が深刻で、5月にシンガポール港で発生した混雑がマレーシアのポートクラン港とタンジュンペレパス港に拡大、ポートクラン港は過去2週間で悪化、接岸には最大6日間の遅れが生じている。

　国土交通省港湾局が運営するCyber Port（サイバーポート）は、利便性向上に向けて、6月30日にGUI（Graphical User Interface）操作マニュアルのオンライン化、業務プロセス・取引ダッシュボード、手動応答版ターミナル問い合わせ機能など新規機能を追加するとともに、Excelフォーマットでの帳票出力やCSVカスタム、NACCS連携機能の許可書などのダウンロード機能などの改善を予定している。
　サイバーポートのGUI操作マニュアルをオンライン化するとともに、GUIの各業務画面のリンクから該当する章へ遷移可能としたことで、操作マニュアルへのアクセスの利便性を改善した。また、各事業者が帳票の送受信を通してサイバーポート上で処理する業務を「業務プロセス」として定義する機能を追加、業務プロセスを作成することで取引に作成すべき帳票や帳票を作成する組織、受け取る組織を明示できるようになる。併せて追加した「取引のダッシュボード」機能にて業務プロセスの進捗状況が可視化できる。
　一方、ターミナル問い合わせに対し、サイバーポートのGUI機能の操作で応答可能となる手動応答版ターミナル問い合わせ機能を追加、ターミナル事業者は、自社システムを改修（問い合わせへの自動応答処理）しなくてもターミナル問い合わせ機能の導入が可能となる。帳票ファイル出力（Excelフォーマット）機能について、対象帳票、UL040_船積依頼書とUL270_輸入指図書を追加した。またCSVカスタム機能について、対象帳票（NACCS連携）VANを追加するとともに、NACCSの輸出入申告控え･許可通知などの帳票のダウンロード機能について、対象にVANとVAEを追加した。その他、軽微なGUI改善も予定している。

　MSC（スイス）はアジア域内航路で既存の中国／バングラデシュ航路のBengalと日韓航路のKaguyaを改編、また新たに華中／ベトナム航路でSaolaを開始する。
　Bengalはローテーションを変更し7月8日青島入港”MSC Chaewon”（1,800TEU、Voy.SX428A）から青島〜寧波〜上海〜チッタゴン〜シンガポール〜タンジュンペレパス〜青島の新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始し、上海からチッタゴンまでのトランジットタイムを10日に短縮する。
　また日韓航路のKaguyaは、日本発の他地域向け貨物の利便性向上のため7月20日釜山入港の”MSC Lilou 3”（3,091TEU、Voy.HG429A）から、神戸〜大阪〜博多〜釜山の新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスする。
　新サービスのSaolaは、7月10日上海入港の”MSC Vigour”（2,742TEU、Voy.HS428A）から、上海〜寧波〜ハイフォン〜ホーチミン〜ブンタウ〜上海のローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始する。

　Yang Ming（台湾）は24日、オンラインによる「2024年第2四半期会社説明会」を開催し、蘇育文・最高財務責任者（CFO）が、紅海危機により、一部のコンテナ船が特定の航路からの迂回を余儀なくされ、全体の船腹量が減り、需給ギャップが縮小し、運賃相場の上昇を支えており、第3四半期（7～9月）は伝統的にピークシーズンだが、世界の地政学的情勢や地域紛争が懸念材料となっており、コンテナ船市況はまだ予断を許さないとの見通しを示した。
　Yang Mingの今年第1四半期（1～3月）連結業績は、売上高が438億100万台湾ドル、営業利益が78億8,900万台湾ドル、親会社株主に帰属する当期純利益が93億7,900万台湾ドル、1株当たり純利益は269台湾ドルだった。

　フィリピン移民労働局（DMW：Department of Migrant Workers）は24日、紅海周辺でイエメンの武装組織フーシ派による商船への攻撃が相次ぐ中、今年3月以降、78人のフィリピン人船員が商船への乗船を拒否したと発表した。DMWのハンス・レオ・カクダック局長は、「船員団体、船主団体などとの関係者協議が進行中であるため、この数字はもっと多くなる可能性がある」と述べた。
　これに先立ちDMWは、船主の「乗船拒否権」政策の順守状況を評価するとし、今年3月、すべての認可船員派遣会社とその認定事業主／雇用主に対し、フィリピン人船員の乗船拒否権行使の決定を適切に履行するよう指示した。
　DMWは、危険海域での航海を拒否するフィリピン人船員は本国へ送還されることになるが、船員には、現在および将来の雇用に対する差別や偏見のない判断が与えられなければならないとしている。

　MSC（スイス）は7月3日からアジア／欧州航路のSwan Serviceとアジア／北米西岸航路のSentosa Serviceを統合、欧州～アジア～北米西岸振り子サービスのNorth Europe-Asia-USWC Pendulum Serviceを開始する。
　新サービスには、8,000～19,000TEU型20隻を投入し、青島～寧波～上海～塩田～タンジュンペレパス～フェリクストウ～アントワープ～シンガポール～レムチャバン～カイメップ～釜山～ロングビーチ～オークランド～釜山～青島のローテーションで定曜日ウイークリーサービスする。

　豪州・メルボルン港における5月の総コンテナ取扱量は前年同月比10％増の28万1,000TEUで、実入りの輸入は15.7％増加、輸出は21.7％増加し、空コンの取扱量も6.2％増加した。
　特に輸出では木材、干し草、飼料、大麦、肉類などが増加した。

　ベルギーアントワープ港のコンテナターミナル、MPETで現地時間24日5時30分ころ、コンテナから火災が発生したため、アントワープ-ブルージュ港湾局は一時船舶の入港を停止するとともに、寄港中の船舶の退避、水路の一時通行禁止措置をとったが、同日7時までには通航を再開し、火災を起こしたコンテナも安全な場所へ搬出し稼働を再開した。
　同港湾局によると、火災を起こしたコンテナには肥料や工業用途の黄リンが含まれ、強い可燃性と有毒性があるため周辺ターミナルの稼働も一時休止する厳しい措置をとったが、7時30分までには消防隊により鎮火し、コンテナの搬出も完了した。ただ、閉鎖と消火活動の影響でMPETはまだ本格的な完全稼働には至っておらず、一時的に激しい混雑状態になる可能性があるという。

　ドイツ全港における今年第1四半期（1〜3月）の総貨物取扱量は前年同期比1.1％減の6,680万トンで、8四半期連続のマイナスとなった。うち輸入は2.2％減の3,990万トン、一方輸出は0.6％増の2,690万トンで10四半期ぶりのプラスになった。
　コンテナは個数ベースで5.2％増の322万TEUで、うち実入りは7.0％増の276万TEU、空コンは4.4％減の45万9,000TEUだった。
　港湾別では、ハンブルク港が1.1％増の192万TEU、ブレーメン／ブレーメルハーフェン港は13.5％増の113万TEU、ウィルヘルムスハーフェンは12.2％増の12万9,000TEUだった。

　ボルチモア港のフランシス・スコット・キー橋に衝突したコンテナ船”Dali”が24日、ボルチモア港を出港した。
　同船は3月26日に同橋に衝突し崩落した橋桁に巻き込まれ航行不能になっていた。5月20日になり同船の再浮揚と撤去に成功し、これまでボルチモア港にとどまっていたが、今回修繕のためバージニア州ノーフォーク港へ回航されることになった。
　乗組員21人はインド人20人とスリランカ人1人で、事故以来船内にとめ置かれてきたが、8人が今回帰国を許可され、さらに2人も追加で帰国が許可された。現時点で起訴された乗組員はいないが、士官を含む11人は引き続き米国内にとどまる必要があり、現時点で船員4人がノーフォークまでの航海のため乗船を続けているという。
　船内には依然1,500本のコンテナが残っており、ノーフォーク港のNorfolk International Terminalでコンテナを荷揚げした後、修繕作業に入る。
　米国運輸安全委員会（NTSB）は事故原因の調査を進めているが、電気系統のトラブルにより操船不能になったことが主な原因とみてさらに調査を続けていく方針だ。

　韓国海洋振興公社（KOBC）が24日に発表した先週の釜山港を基準とする「韓国型コンテナ運賃指数（KCCI：KOBC Container Composite Index）は、中国航路が横ばいだったほかは上昇し、総合指数は4572と前週に比べ6.18%上昇し、10週連続でアップした。
　KCCIは釜山港発北米、欧州など13航路の各地域別の主要港湾向けスポット運賃（THCなど含む）のFEUあたりの航路別指数と総合指数で構成、航路別指数は荷動き量などを反映して算出、一方で総合指数は航路別運賃指数を加重平均して算出している。
　航路別にみると、東西航路は北米西岸航路が前週比7.57%上昇し6,908ドル／FEU、北米東岸航路が6.48%上昇し8,040ドル／FEU、欧州航路が8.29%上昇し7,092ドル／FEU、地中海航路も5.38%上昇し7,251ドル／FEUとなった。
　南北航路も中東航路が6.00%上昇し4,293ドル／FEU、豪州航路が6.34%上昇し2,736ドル／FEU、南米東岸航路が2.22%上昇し8,443ドル／FEU、南米西岸航路が6.24%上昇し7,231ドル／FEU、南アフリカ航路が6.32%上昇し7,231ドル／FEU、西アフリカ航路も0.75%上昇し8,501ドル／FEUと軒並みアップした。
　アジア域内航路は、中国航路が横ばいの46ドル／FEUだったほか、日本航路が4.89%上昇し236ドル／FEU、東南アジア航路も5.50%上昇し9023ドル／FEUと堅調だった。

　中国の揚子江船業は22日、カナダ船主で香港で事業展開するSeaspan（香港）から受注、Ocean Network Express（ONE）が長期用船する15,250TEU型新造コンテナ船”ONE Fortune” の命名・引き渡し式を開催した（写真）。
　同船はSeaspanが揚子江船業に発注した15,000TEU型7隻シリーズの1隻で、全長366m、幅51m、深さ30.2m、艙内6,382TEU＋オンデッキ8,858TEUの合計15,250TEU積み、リーファープラグ1,733口を備え、2025年以降の契約船に対するエネルギー効率設計指標である「EEDIフェーズ3」（基準値比30％削減）に適合した低燃費性と積載効率を兼ね備えている。
　同船は釜山6月23-24日起こしでONEがHapag-Lloyd（独）、HMM（韓国）、Yang Ming（台湾）と構成するTHE Allianceによるアジア／地中海航路のMD2 Serviceに初就航、他の15,000～16,000TEU型11隻とともに、釜山～上海～寧波～高雄～蛇口～シンガポール～ピレウス～ジェノア～ラスぺチア～フォス～バルセロナ～シンガポール～香港～釜山のローテーションで定曜日ウイークリーサービスする。

　先週の中国輸出コンテナ輸送市場は、需要堅調や港湾混雑の影響で運賃上昇が続いたが、スポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）は、3475.60と前週比2.9%の上昇にとどまり、上昇幅は5月初旬の労働節連休以来の最低水準を記録し、上昇の勢いが鈍化した。
　先週のSCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が前週比4.5%上昇し4,336ドル／TEU、地中海航路が0.1%上昇し4,855ドル／TEU、北米西岸航路が3.9%上昇し7,173ドル／FEU、北米東岸航路も3.9%上昇し8,277ドル／FEUだった。
　南北航路は中東ガルフ航路が2.0%下落し2,893ドル／TEU、東・西アフリカ航路が1.9%下落し5,776ドル／TEUと不調だったが、豪州・NZ航路は1.3%上昇し1,406ドル／TEU、南米航路が3.0%上昇し8,558ドル／TEU、南アフリカ航路が1.2%上昇し5,541ドル／TEUとなった。
　アジア域内航路は東南アジア航路が8.8%上昇し739ドル／TEU、韓国航路が3.7%上昇し169ドル／TEU、関西航路は293ドル／TEU、関東航路は299ドル／TEUと、いずれも横ばいで安定推移した。
　荷主は、運賃がさらに引き上げられる前に貨物を早期に出荷する動きを続けており、需要も引き続き堅調に推移し運賃の上昇を支えている。
　一方、ピークシーズンの前倒し出荷による好調な需要は無期限に続くわけではないが、欧州で港湾労働者によるストライキで混雑が続いていることが運賃上昇を下支えする要因として作用し、今後の米東部・ガルフ諸港での港湾ストの有無が運賃の動向のカギとなりそうだ。
　北米航路は需要好調が続き、運賃も強含みで推移する中、 主要船社が新規サービスを開設するなど、船腹の追加供給が続いており、COSCO（中国）／OOCL（香港）はアジア／北米西岸航路に6隻を追加投入、 SeaLead Shipping（UAE） BAL（中国）などの小規模なアジア域内船社もサービスを再開している。
　欧州・地中海航路も荷動き好調と港湾混雑の影響により、運賃の上昇傾向が続いており、主要船社は6月の運賃一括値上げ（GRI）に続き、7月前半にも1,000ドル／FEUレベルのGRI実施を予定している。
　ドイツの主要港湾では、労働者が24～48時間作業を中断するなどのストが続いており、物流に支障が生じている一方、フランスでは早期の総選挙が決定したため、今年9月までは港湾労組のストが一時中断された。
　アジア域内航路は主要港湾の混雑が続き、運賃も含みで推移、SCFIは2022年8月22日以来、初めて700ドル／FEUを上回った。

　テキサス州・ヒューストン港における5月の総コンテナ取扱量は前年同月比21％増の36万4,866TEUと2ケタのプラスになった。
　うち輸入は家具、小売り商品などが増加したことで18％増、また輸出もテキサス産の工業製品の増加により21％増加した。
　1〜5月は前年同期比14％増の175万8,960TEUだった。

　米国の宅配大手United Parcel Service（UPS）は子会社でトラック輸送仲介事業のコヨーテロジスティクスをRXOに10億2,500万ドルで売却すると発表した。
　コヨーテはデジタル技術をベースにした輸送管理、パフォーマンス管理などを提供するノンアセット型のトラック輸送仲介事業者で、UPSがトラック事業の拡大とピーク時の混雑緩和を目的に15年に18億ドルで買収した。
　RXOはLTL（Less-than Truck Load）大手のXPOから22年にスピンオフしてシャーロット（ノースカロライナ州）を本拠に設立された。コヨーテ同様ノンアセット型のトラック事業仲介業者で、ラストワンマイル輸送なども含む独自のプラットフォームでトラック輸送仲介サービスを提供する。
　従業員約7,400人で22年12 月に全米で第4位のFTL（Full Truckload）事業者としてニューヨーク証券取引所に上場している。
　RXO によると、コヨーテの買収により100万ドル超の取引をもつ顧客数が約80％増加し、全米で第3位のトラック輸送仲介事業者に浮上するという。

　横浜市は、19日に横浜港南本牧ふ頭で発見されたアリについて、専門家による種の同定の結果、要緊急対処特定外来生物であるヒアリの働きアリ約60個体と確認したと発表した。
　環境省の毎年の全国港湾調査の横浜港調査で発見したもので、ヒアリと疑わしい働きアリ約50個体が舗装の継ぎ目から出入りしていることを確認するととも、近隣の別の個所でもヒアリと疑わしい働きアリ約10個体が舗装の継ぎ目から出入りしていることを確認。確認地点周辺においては、殺虫餌（ベイト剤）を設置した。横浜市は、環境省の調査と防除に引き続き協力していく方針だ。また横浜市では、当該アリを確認した場所は、コンテナヤード内で、一般人は立ち入ることができないエリアだと指摘するとともに、人的被害の報告はないとしている。

　米国のトラック輸送会社US Logistics Solutions（旧Forward Air Solutions）は先週末、米連邦破産法第7章を申請した。米国の破産法で11章は日本の民事再生法に相当し、債務整理などにより再建の可能性が残るが、7章は倒産となって今後は差し押さえ対象外の資産の売却による債権者への債務返済などの精算手続きとなる。トラック業者の大型倒産は昨年8月のYellow以来のこと。債権者は1,000〜5,000社、負債額は1億〜5億ドル、資産が0.5億〜1億ドルと見積もられている。
　従業員2,000人以上、ドライバー約1,600人、トラック570台、貨物ターミナル19カ所で米国の東半部の地域をカバーし、小売業者の店頭までの配送を主力としていた。
　その全身Forward Air Solutionsは1981年にテネシー州グリーンビルでトラック配送・ロジスティクス会社として設立された。21年にファミリーオフィス（富裕層の資産管理）事業を手がけるTen Oaks GroupがForward Airのトラック共同配送部門を2,000万ドルで買収、社名をUS Logistics Solutionsとし、本社もテネシー州からテキサス州のハンブルに移していた。
　21年に同社のCEOがライバル企業の社長に就任したことで、最大の顧客の一つだったボディケアやバス用品のBath & Body Works との3,000万ドルの商権を失い、さらに倒産のうわさで全米最大の書店グループBarnes & Nobleも遠のくなどの打撃を受けたことが響いたといわれる。

　NIPPON EXPRESSホールディングス（NXHD）は、15日、16日に、山形県飯豊町の「NXグループの森」で通算33回目となる夏の森林育成活動に取り組み、グループ会社の従業員とその家族計43人が参加した。
　NXグループは、環境社会貢献活動の一環として、山形県飯豊町と鳥取県日南町に「NXグループの森」を設け、「森の多面的機能を高める」「地域社会への貢献」「環境人材の育成」をコンセプトに、年に2回ずつ、町役場や森林組合などの協力・指導のもと、計画的に植樹や下草刈りなどの活動を展開している。これまでの森林育成活動には約2,000人が参加、1万1,000本以上の苗木を植樹してきた。
　活動初日は、「NXグループの森」で、森林インストラクターや地元運営委員の指導のもと、過去に植えた苗木の生育を妨げる雑草を刈り払う下草刈りや、森林資源の活用としてイタヤカエデの原木にキノコを植菌した。2日目は、さくらんぼ収穫や森林教室など、地元と交流しながら森林に触れ、学びの活動に取り組んだ。

　APM Terminals（蘭）傘下でメキシコ西岸・ラザロカルデナス港のコンテナターミナルを運営するAPM Terminals Lazaro Cardenasはこのほど、Hapag-Lloyd（独）の東アジア／北米ガルフ航路のEC2に就航中のコンテナ船”UMM Salal”（13,296TEU）が初入港した。
　EC2は、Hapag-LloydがOcean Network Express（ONE）、Yang Ming（台湾）、HMM（韓国）と構成するTHE Allianceとしてサービス中で、13,000TEU型12隻全船をHapag-Lloydが運航し、青島〜寧波〜上海〜釜山〜ラザロカルデナス〜カルタヘナ〜サバンナ〜チャールストン〜ウィルミントン〜ノーフォーク〜カルタヘナ〜釜山〜青島のローテーションで定曜日ウィークリーサービスしている。ラザロカルデナス港は、米国、カナダ向けのニアショアリングとしての生産、補完拠点として注目されつつあるメキシコの太平洋岸の玄関港で、APMT Lazaro Cardenasは米国南部、南西部への鉄道が接続し、ヒューストン、メンフィス、ダラスへ直接アクセスできる。
　ターミナル内には専用ガントリークレーン2基のほか、オンドック鉄道積み替え施設を持ち、円滑な積み下ろしが可能だ。またメキシコシティの内陸コンテナデポ、APM Terminals Cuautitlanへの直接アクセスも可能で、半径20km以内の消費者2,000万人以上へサービスを提供する250カ所以上の配送センターとのネットワークを持っている。

　サービスロボットの開発、製造、販売のロボットバンク（東京都新宿区）は物流業や製造業向けに重量物搬送可能な新製品AMR自律走行昇降型搬送ロボット「StarLift600」を、8月から予約販売を開始すると発表した。
　同製品は、大きい荷物や重い荷物を運搬するために設計したハイパフォーマンスなロボットで、最大600kgまでの荷物を効率的に運ぶことができ、大規模な製造ラインや倉庫内での使用に最適。Starシリーズに共通する高性能な自律走行機能と堅牢な構造を備え、製造業や物流業界で作業環境の改善と生産性の向上を支援する。
　ロボットバンク社は新たな時代の工場内物流の自動化とスマート化を目指し、StarLiftシリーズを開発、高度な技術と専門知識を活かして、立体的かつ効率的な物流ソリューションを提供している。また同シリーズは、最先端のセンサー技術とカートグラフィを駆使して、迅速かつ正確な地図を作成し、自動運転車に信頼性の高いナビゲーションサポートを提供できる。また同社の車両は複雑な都市環境でも柔軟に対応し、安全で快適なドライビングを実現する。さらに革新的なモジュール設計と計算能力の最適化により、コストを抑えつつ高性能を維持している。
　また単線レーダーSLAMと深度カメラの組み合わせにより、反射光や人混みの多い環境下でも正確な位置情報を把握するとともに、リアルタイムで障害物を識別し、回避しつつ、最適な走行経路を計画できる。同社独自のシャシー設計は、さまざまな路面状況に適応し、室内外問わず安定した走行を実現している。

　神奈川県トラック協会は、神奈川県の運送関係者1,035人と同県の一般消費者3,000人を対象に「物流の2024年問題」に関する意識調査の結果を発表、「物流の2024年問題」について、神奈川県の運送関係者の約85％は内容まで理解している一方で、同県の一般消費者の約3人に1人が「名称も知らない」ということが判明した。
　また、運送関係者は再配達の有料化を求める一方で、一般消費者の約3人に1人は「有料化は考えられない」と回答。運送関係者と一般消費者の間で「物流の2024年問題」に対する理解や意識の差があることが明らかになった。
　一般消費者の中でも、特に20代一般消費者の約2人に1人が「名称も知らない・内容も分からない」と回答した。また運送関係者の約7割が「物流の2024年問題」を解決するためには「荷物を運ぶ適正な運賃や送料の値上げに理解を示す」、「トラックドライバーの待遇を改善する」ことが必要と回答した。トラックドライバーの運送以外の附帯作業である「運ぶ以外の仕事」も問題となっているが、運送関係者からは「予定外の待機や商品の持ち帰りなど発荷主・着荷主都合により拘束時間が増えてしまっている」など、「運ぶ以外の仕事」に関して改善を求める声が多かった。

　日本貿易振興機構（ジェトロ）によると、中国湖北省武漢市を発着する列車を運行する武漢漢欧国際物流は、武漢市とドイツ・デュイスブルクを結ぶ中欧班列が往復便とも定時運行を開始したと発表した。
　同便は武漢市を出発後、新疆ウイグル自治区阿拉山口市の検問所から国境を越えてカザフスタンに入り、ロシアやポーランドを通過し、デュイスブルクまでの1万2,000キロを結ぶ。往復便がそれぞれ週1回、武漢市を発着し、うち武漢市からの往路便は、毎週水曜日に運行する。往路便では自動車部品や電子部品、光ファイバー、繊維製品などを主な貨物とし、復路便ではドイツ産の自動車や、その他欧州産の食品、化粧品、アパレル、電子製品などを輸送している。
　出発駅から到着駅に至るまでの全行程での定時運行化により、各駅で優先輸送・出発の対象となり、運行時間や貨物積み下ろし時間の短縮につながる。片道の輸送時間は約13日で、従来と比較して約30％の時間短縮を実現。
　武漢漢欧国際物流の発表によると、中欧班列の武漢発着便は過去10年間で53路線を数え、ユーラシア大陸の40カ国116都市との間で安定した輸送ネットワークを築いている。24年5月までに、武漢市を出発駅とした中欧班列は累計4,321便が運行し、貿易額は累計で982億2,700万元（約2兆1,610億円）に達した。

　シモハナ物流は、大阪府高槻市の「高槻第二営業所」の近接地に最新鋭の大型低温物流センター「高槻第三営業所」を建設、2025年10月に稼働する予定だ。
　関西エリア5棟目となる「高槻第三営業所」は、「摂津北IC」から5kmに位置し、近畿自動車道・摂津北ICから約5㎞。同センターは、合計床面積5,078坪、常温・冷蔵・冷凍・超冷凍倉庫の4温度帯対応で、マルチシャトル、ピースソーター、ロボットパレタイザー、デジタルアソートシステム、トラック予約受付サービスなどを配備した、外食チェーン・食品メーカー・食品卸・小売業界に最適な3PL対応の最新鋭大型低温物流センターとなる。

　新潟県では、県内港（新潟港・直江津港）の利用拡大のため、運航船社が県内港に寄港する外貿定期コンテナ航路などの新規開設または既存航路を拡充する場合に、その費用の一部を支援する「外貿定期コンテナ航路など拡充支援事業」、輸出入コンテナ貨物を集荷する物流業者などの取り組みに対して支援する「物流業者など集荷拡大支援事業」について、参加事業者を募集している。
　外貿定期コンテナ航路など拡充支援事業では、外貿定期コンテナ航路など（内航フィーダー航路を含む）の新規開設、既存航路を改編し、新たに他国の港に延伸し寄港する航路、新規航路開設または既存航路改編で、新潟港または直江津港をファーストポートとする航路、新規航路開設または既存航路改編で、新潟港または直江津港をラストポートとする航路、新規航路開設または既存航路改編で新潟港または直江津港に寄港するシャトル航路を運営する船社に対して、岸壁使用料と入港料の合計額に補助率を乗じた金額をそれぞれ補助するとともに、ガントリークレーン使用料の10分の1を補助する。また物流業者など集荷拡大支援事業では、県内港利用の輸出入コンテナ貨物の集荷実績を、過去3カ年度の平均と比べて1,000TEU以上増加した船社、日本総代理店などに、「コンテナ増加量（TEU）」×「申請者が希望する助成単価（円）」を補助するもので、上限は増加量1,000TEU以上の場合は1提案当たり200万円、増加量5,000TEU以上の場合は1提案当たり1,000万円。

　中部国際空港が発表した5月の運用実績は、航空機発着回数が7,793回で前年同月比16％増となったが19年同月比では21％減で回復までに時間がかかっている。
　利用旅客数は前年同月比22％増の84万4,351人で、うち国際線が94％増の36万4,400人とほぼ倍増、国内線は5％減の47万9,951人、19年比ではそれぞれ36％、15％のマイナスだった。
　国際貨物量は14％増の1万641トンで今年に入って5カ月連続プラスと順調に回復しているが19年比では30％のマイナスだった。

　関西エアポートが発表した5月の関西国際空港利用状況は、航空機の発着回数が前年同月比25％増の1万6,010 回、うち国際線が38％増の1万1,973回、国内線が3％減の4,037回だった。
　旅客数は国際線が57％増の194万5,917人で19年同月の水準の90％まで回復した。外国人旅客は59％増の157万3,975人でパンデミック前の水準を6％上回り、過去最高を記録、日本人旅客も55％増の36万4,134人と順調に回復している。国内線は6％減の54万746人にとどまった。
　貨物取扱量は10％増の6万1,953トン、うち国際線が10％増の6万1,106 トン、国内線が2％減の847トンとなった。

　兵庫県尼崎市に本社を置く機械関連企業の木村化工機は24日、持続可能な航空燃料（SAF）のサプライチェーン構築を目指し、「ACT FOR SKY」に加盟すると発表した。新たに導入する省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置は、蒸留工程におけるCO2排出をゼロにすることができ、これにより持続可能な航空燃料の供給に大きく貢献する。
　この装置は電力のみで稼働し、ヒートポンプ技術を用いることでエネルギー効率を飛躍的に向上させる。木村化工機はこの技術により、SAFの普及と商用化を促進し、航空業界の脱炭素化を支援する。ACT FOR SKYは、航空業界の持続可能性を高めるための国産SAFの商用化と普及・拡大に取り組む有志団体。

　米国のデータ会社、Descartes Datamyneが発表した5月の日本発米国向け往航コンテナ輸送実績（荷受地ベース）は前月比15.6％減、前年同月比16.6％増の5万3,271TEUと2カ月連続で2ケタプラスになった。
　うち日本発直航分は31.6％増の3万6,257TEUと大幅に増加し10カ月連続のプラスになった。一方海外トランシップ（T/S）は6.2％減の1万7,014TEUで、T/S比率は31.9％と23年8月から10カ月連続のマイナスとなった。
　T/S貨物のうち韓国T/Sは4.0％減の1万822TEU、中国T/Sは30.7％減の2,889TEU、台湾T/Sは17.6％減の2,025TEU、シンガポールT/Sは18.0％増の779TEUだった。
　直航の積み港別は、東京が16.8％増の1万3,382TEU、名古屋が51.3％増の1万770EU、神戸が19.2％増の7,656TEU、横浜が43.3％増の3,568TEUで、清水も1.8％増の338TEUだった。
　品目別では、首位の機械類（HS-87）が11.2％増の1万2,633TEU、自動車関連（HS-87）は24.3％増の1万1,438TEU、ゴム類（HS40）は14.8％増の6,202TEU、プラスチック類（HS-39）も23.7％増の5,474TEUと上位品目がいずれも2ケタプラスになった。
　また韓国T/Sの仕出し港別では首位の神戸が31.6％増の2,238TEU、東京は20.0％増の1,449TEU、名古屋は7.3％増の1,253TEU、一方博多は25.2％減の1,222TEU、横浜は37.8％減の893TEUだった。また上位7港以外のその他の地方港は53.1％増の2,542TEUと2カ月連続で2ケタプラスとなり。韓国T/S全体のうち23.5％を占め、韓国T/S全体が減少傾向にあるなか地方港出しが増加しつつある。
　韓国T/Sのうち米東岸4州（ジョージア州、バージニア州、サウスカロライナ州、フロリダ州）向けは4,256TEUで韓国T/Sのうち39.3％を占め、前年同月から3.3ポイント縮小し、横浜港発米国東岸向け直航サービスが開始以降、一貫して減少傾向にある。

　NIPPON EXPRESSホールディングス（NXHD）は、医薬品のリアルタイムモニタリングデバイスのリーディングカンパニーであるControlant, Inc.（コントローラント）と戦略的パートナーシップ契約を締結した。
　今回のコントローラントとの戦略的パートナーシップ契約を通じて、厳格な温度管理が必要な医薬品やヘルスケア製品を中心に、貨物の輸送状況をEnd to Endでモニタリングする輸送サービスの提供が可能となる。またNXグループのトラッキングシステムe-NX Visibilityとコントローラントのリアルタイムデータロガーを連携することで、顧客のサプライチェーン・プロセスの最適化を実現する。
　コントローラントは、アイスランドに本社を置き、輸送中の温度や位置情報を追跡するリアルタイムモニタリングサービスを提供。FDA 21 CFR Part 11（FDA：米国食品医薬品局が制定した「電子データと電子署名」に関する規則で、医薬品や食品の販売許可申請の際に必要な要件）とGxP（Good x Practice、品質ガイドライン・規制）に準拠したプラットフォームなどの先進的な技術と高品質なサービスを提供していることから、国際的な製薬会社やロジスティクス・サービス・プロバイダーが採用している。
　NXグループは、「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0“ Accelerating Sustainable Growth～持続的な成長の加速～”」において、ヘルスケア産業を重点産業として位置付け、24カ国・地域、世界34 拠点でGDP、CEIV Pharma認証を取得し、品質管理の体制構築と基盤整備に取り組んでいる。

　貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営するトレードワルツは、輸出者向けに5月末から日本商工会議所と連携した「一般原産地証明書」のオンライン発給申請・受領機能をリリースした。
　同機能は入力済みの契約情報や通関手配情報などをもとにWeb上でスムーズかつリモートに使える機能で、1stユーザーとして豊田通商が名古屋商工会議所の協力のもとパイロット運用を開始している。
　貿易取引上、流通する産品の原産地（どの国で生産したものか）を証明することは重要な要素となっている。全世界を対象に、輸入国の法律・規則に基づく要請、あるいは契約・信用状の要件として発給する原産地証明書は一般原産地証明書と呼ばれ、各地商工会議所で発給している。特に、LC取引の多い、新興地域（アフリカなど）への輸出取引では必要となる国が少なくない。
　一方で、経済連携協定や自由貿易協定を締結した国・地域（EPA・FTA）同士では「関税」を優遇し合い、互いの商品の販売を促進しようという動きが加速しており、これらの協定による関税優遇措置を受けるために発給する証明書を特定原産地証明書と呼んでいる。協定を多く結ぶEU、アジアなどでの取引ではその意義が高まっており、経済産業省の指定発給機関である日本商工会議所が発給している。
　2020年半ばまで、一般原産地証明書は、紙媒体による申請・発給手続きが継続、申請者は商工会議所の窓口を訪問し、申請書に記入、提出のうえで、紙で発給した証明書を申請者自身または代行者（宅配便業者など）が受け取る、といった対応が必要だった。その後、日本商工会議所がオンライン発給システムを構築したことで、一般原産地証明書に関しては20年9月以降、同システムを導入した商工会議所から順次、電子発給に対応している。
　しかし、自社独自の貿易システムなどに入力済みのデータを、オンライン発給システムへ再度入力したうえで発給申請し、受領後の証明書データを自社の貿易システムなどに格納する手間が課題であったため、今般TradeWaltzはオンライン発給システムと連携し、「自社システムからTradeWaltzに連携したデータ」、あるいは「TradeWaltzに入力したデータ」を、そのままオンライン発給システム上で「一般原産地証明書」の発給申請に利用できる機能を構築した。
　本来、貿易データをやりとりする相手も利用申し込みが必要なTradeWaltzだが、本機能は輸出者1社でも使える。今回構築したTradeWaltz経由 での「一般原産地証明書」の発給申請・受領の機能については、既に豊田通商と名古屋商工会議所との間でパイロット運用を開始している。運用状況を確認後、日本商工会議所や各地商工会議所と相談しつつ、今後名古屋地域での利用企業の拡大や、各地商工会議所への展開も検討している。

　パナマ運河庁（ACP）は7月中旬～下旬に同運河の渇水による通航規制を緩和する。
　ACPはガツン湖の水位が上昇し今後数週間、雨季により安定した降雨が見込めるとの理由で、7月11日から1日当たりの通航船上限を、ネオパナマックス閘門で現在の8隻から9隻に引き上げ、合計33隻に緩和、さらに22日にはパナマックス閘門でも現在の24隻から25隻へ上限を引き上げ1日合計34隻まで緩和する。さらにドラフト制限も緩和し、15日にはドラフト上限を45ftから46ftへ引き上げる。

　米国の市場調査会社、Allied Market Research の最近レポートによると、世界の小売物流市場規模は小売業の技術的進歩や消費需要の高まりを受け、2022年の2,385億ドルから年率平均成長率（CAGR）13.5%で拡大、2032年までに8,097億ドルへ拡大を予測している。
　とくにアジア太平洋地域は、2022年に43.6%の最大の市場シェアを占め、2032 年までにCAGR14.1%の最も高い成長率を予想。この成長は、この地域が交通システムと物流インフラの強化に注力していることによって促進されていると分析している。
　レポートによると、小売物流は、メーカーから消費者までの製品の効率的な移動と流通に関わる戦略、プロセス、活動が含まれ、サプライチェーンのグローバル化は、小売業者の範囲を拡大する上で極めて重要な役割を果たし、小売業者が多様な市場に効果的にサービスを提供できるようになり、迅速かつ信頼性の高い製品配送を保証する効率的な物流ソリューションによって促進され、顧客満足度とロイヤリティを向上させているという。
　効率的な物流は、輸送ルートの最適化と二酸化炭素（CO2）排出量の削減により、持続可能性の目標にも貢献。サプライヤーを多様化し、世界中で調達することで、小売業者はサプライチェーンの混乱に伴うリスクを軽減し、状況の変化に迅速に適応しているが、業界は労働力不足などの課題に直面して注文処理、納期、全体的な顧客体験に影響を与える可能性があると指摘している。
　特にデータ分析と人工知能 (AI) における技術の進歩により、小売物流が変革、消費者の行動、在庫管理、需要予測、ルートの最適化に関する貴重な洞察を提供し、AIによるリアルタイムのデータ分析が可能になり、在庫レベルの可視性が向上し、ラストワンマイル配送が最適化され、自律型またはドローン配送のオプションが検討される可能性があると予想している。

　寧波航運交易所（NBSE）が発表した先週の寧波輸出コンテナ貨物指数（NCFI）は、輸送需要が航路に　よりまちまちで、総合指数（2012年第10週＝1000）は前週比0.2％下落し2706.2となり、21航路中10航路で指数が上昇、10航路で指数が下降、1航路はほぼ横ばいとなった。 海上シルクロード」沿いの主要港では、10港の運賃指数が上昇し、6港の運賃指数が下降した。
　欧州・地中海航路は、月末のスペースタイト感は緩和されておらず、スポット運賃は上昇傾向を維持、運賃指数は欧州航路が3129.4で前週比2.8％上昇、東地中海航路が2369.7で2.3％下落、西地中海航路が 3090.2で3.0％下落した。
　北米航路は輸送需要が引き続き旺盛で、船腹増により運賃の上昇は鈍化したが、コンテナ不足は依然として続いており、スポット運賃は安定推移、運賃指数は北米東岸航路が2957.2で前週比0.4％上昇、北米西岸航路は4293.9でほぼ横ばいだった。
　中東航路は荷動きが鈍化した一方、船腹供給は十分なことから、船社が運賃を若干値下げしたことで、運賃指数は2107.9で前週比6.7％の下落となった。
　また、先週はインド～パキスタン航路で月末に向け船社が利用可能船腹を若干抑制し、スポット運賃は一時的な調整の後、上昇を続け、運賃指数は5208.7と前週比8.6%上昇、年初に比べ279.1％上昇した。

　上海航運交易所（SSE）が21日に発表した先週の中長期契約運賃の指標である中国輸出コンテナ運賃指数（CCFI）は、全航路で上昇し、総合指数（1998年1月1日＝1000）は1829.22と前週比5.5%上昇、上海出しスポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）は3475.60と2.9%上昇した。
　先週のCCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が5.1%上昇し2677.11、地中海航路が5.4%上昇し3235.93、北米西岸航路が5.3%上昇し1440.54、北米東岸航路も6.1%上昇し1563.58となった。
　南北航路も豪州・NZ航路が1.2%上昇し989.52、中東ガルフ・紅海航路が9.0%上昇し2365.93、南米航路5.2%上昇し1561.51、南アフリカ航路が3.3%上昇し2025.93、東・西アフリカ航路が3.5%上昇し1480.68だった。
　アジア域内航路は日本航路が2.6%上昇し726.62、韓国航路が2.6%上昇し479.27、東南アジア航路が7.4%上昇し1162.22と好調を維持した。

　独ハンブルク市議会の予算委員会は20日、MSC（スイス）によるハンブルク港でターミナル運営などを手がけるHamburger Hafen und Logistik AG（HHLA）の株式取得に伴う投資協定承認を巡る公聴会を開催したあと、同協定を承認した。これより同協定の最終承認はハンブルク市議会の本会議に委ねられることになったが、公聴会で港湾労組、環境団体などが反対を表明、排外主義的な右派政党「ドイツのための選択肢（AfD）が国民投票を実施すべきと主張していることから、7月10日までに本会議で決定を下すことができない場合は、9月4日の夏季休会明けまで見送りになる。
　MSCとハンブルク市はHHLAの株式の93％を保有し、その他の少数株主を排除することが可能で、取引完了後は両社で100％を確保し、市が50.1％、MSCが49.9％を保有する契約となっている。これによりMSCと市はHHLAに4億5,000万ユーロを投資し、ターミナルインフラを拡充する計画を発表している。
　MSCによる買収に対し、港湾労組などは民間資本への売却に反対を表明していたが、昨年末に市議会議員らとの協議を経て、HHLA株式の過半数が市に残ること、取引の結果人員削減は発生しないことを確認、今年2月にはハンブルク市の運営委員会が承認していた。

　韓国の釜山港湾公社(BPA)は20日、インドネシア・リアウ諸島州のバタム市で港湾公社のPT Persero Batamと交流協力覚書(MoU)を締結した（写真）。MoUのもと、積み替え、スマート、環境にやさしい港湾開発のための相互利益促進を目的に積み替え港の運営と開発に関連する情報、経験を共有、専門家の人材交流、建設計画への共同参加などで協力していく。
　バタム港は、グローバル拠点の積み替え港である釜山港の成長戦略とノウハウに関心が高く、
今回のMoU締結を機に、積み替え機能中心の港湾開発とその運営のためのスマート技術、グリーンポートなどの分野の協力に弾みがつくと予想される。
　インドネシアは年間コンテナ取扱量が約1,700万TEUに達する世界11位の国だが、港湾インフラが不足しているため、米国、欧州を結ぶ遠洋定期船航路がなく、輸出入貨物の85％をシンガポールやマレーシアなど他国の港で積み替えなければならず、国家経済に占める物流費の割合が非常に高い。
　このため、インドネシア政府は、これらの課題を解決するため、シンガポールからわずか20km離れたバタム島に積み替え中心の港湾開発を積極的に推進、Persero Batamは現在、年間約50万TEUのコンテナを処理するBatu Ampar Terminalの処理能力を2030年までに約160万TEUに拡大する計画を推進中で、世界的なターミナル運営会社や船社との合弁事業を期待しており、昨年4月には韓国の浦項港から中古ガントリークレーンを購入し設置するなど荷役機器の追加導入も計画している。