ニュースダイジェスト

　国際コンテナ戦略港湾政策に基づく国際基幹航路の維持・拡大に取り組む阪神国際港湾は、阪神港への集貨に向けた「日本諸港利用促進事業」の利用促進港として、7月1日から長崎港、広島港、福山港、舞鶴港を追加した。
　日本諸港利用促進事業は、外貿実入コンテナの輸送で、利用促進港と阪神港が共同で広報、PRなどを展開することで、両港を結ぶ海上輸送ネットワーク（内航船、フェリー、Ro/Ro船など）の利用を促進し、集貨と海上輸送ネットワークの拡充を図るもの。利用促進港は九州地方が油津港、伊万里港、大分港、北九州港、熊本港、薩摩川内港、志布志港、長崎港、細島港、宮崎港、八代港、日本海側が秋田港、境港、敦賀港、直江津港、新潟港、伏木富山港、舞鶴港、中国地方が広島港、福山港、四国地方が徳島小松島港の合計21港となった。

　大阪港湾局など大阪港、府営港湾に関係する団体、企業は、東京で「大阪みなとセミナー」を開催、大阪“みなと”や港湾を利用する荷主、船社の事業などを紹介した。
　冒頭あいさつに立った同港湾局の坂田文郎理事（写真）は「人手不足、物価高騰、脱炭素化への対応、2024年問題など、さまざまな課題に大阪“みなと”として取り組み、特に集貨・創貨への取り組みにより24年大阪港のコンテナ取扱個数は200万TEUを超えた。大阪港はコンテナ船、フェリー、府営港湾は中古車やエネルギーの取り扱い、さらにフェリー・Ro/Ro船ネットワークを持つなど、それぞれの強みを生かしながら、大阪“みなと”として日本の経済成長に貢献、選び続けていただける港湾になるように努めていく」と述べた。
　セミナーでは、大阪港湾局の鈴木隆利用促進担当部長が「大阪“みなと”について」説明、その後、イオントップバリューの管理本部輸出入推進部の矢島芳洋部長が「商品調達と供給における大阪港の活用方法」、大王海運の定航部営業一課の榎本光課長が「大王海運RORO船事業紹介」について講演した。セミナー後には、堺泉北埠頭と大阪港埠頭が情報交換会を開催、荷主、船社、物流事業者などセミナー参加者が懇談した。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、NX国際物流（中国）有限公司（NX中国）は、7月16日～20日の5日間、中国・北京市の中国国際展覧センターで開催する「第3回中国国際サプライチェーン促進博覧会（CISCE）」に出展する。
　中国国際サプライチェーン促進博覧会は、中国国際貿易促進委員会（CCPIT）が主催する、世界初のサプライチェーンをテーマにした中国最大級の展示会。今回は、「世界をつなぎ、共に未来を開く」をテーマに、世界各地から650以上の企業・団体が出展し、オンライン・オフライン方式を通じて計20万人以上の来場者が見込まれている。
　3年連続の出展となるNX中国のブースでは、NXグループのグローバルネットワークと最先端のデジタルロジスティクスソリューションを活用し、中国企業の海外進出やサプライチェーン強化を支援する多彩なサービスを紹介する。また、ブースにはNXグループの強みを示すキービジュアル「Anything to Anywhere」に登場する恐竜のモチーフも展示する。

　阪神国際港湾は、大阪市、大阪港埠頭とともに、大阪港からの農水産物・食品などの輸出促進を図るため、7月9～11日に東京ビッグサイト東展示棟で開催の「第10回 “日本の食品”輸出EXPO」へ出展する。
　大阪港のブース（21～50）では、大阪港からの輸出食品などについて商社5社が海外バイヤーと商談するとともに、大阪港発海上冷凍混載輸送サービス提供事業の広報活動を展開する。

　TC神鋼不動産（兵庫県神戸市）は、同社の物流施設竣工第4号物件となる「AS-LOGIりんくう」（大阪府泉佐野市りんくう往来北2-2）が6月30日に竣工したと発表した。
　同施設は、延べ床面積1万581.13m2の物流施設で、1階にバースを設けた地上5階建てBOX型の物流施設で、テナント企業としてロジクエスト（東京都千代田区）の入居が決定している。りんくうタウンに位置し、関西国際空港島中心部まで概ね8km、阪神高速4号湾岸線・泉佐野南ICまで約450m、関空税関支署管轄の保税地域であることから航空貨物を取り扱う広域集配拠点として期待できる。施設面では、大型車5台のトラックバースと大型車3台のトラック待機場と8台の一般駐車場を備え、荷物用エレベーターを3基設けることで、上下階の荷物の搬送に十分な能力を確保している。レイアウトの自由度を考慮し、倉庫内にブレースは設置せず1階床荷重2.0t/m2（2～4階 1.5t/m2）、梁下有効高5.5m（4～5階5.0m）を確保している。

　Zenportは、グローバルサプライチェーンの全データを一括管理するデータハブ「ZENPORT」の新機能として、メッセージボード上での「エクセルファイルプレビュー機能」をリリースした。
　同機能は、利用者からの具体的なフィードバックをもとに開発を進め、6月27日から提供を開始した。グローバルサプライチェーンでは、日々大量のエクセルファイルやPDFなどの「非構造化データ」がやり取りされる。その中には、受発注や船積み管理に必要なエクセルファイルや、エクセルファイルで作成した通関書類などがある。
　ZENPORT上でも、日々多くの利用者が複数の組織やユーザー間で「メッセージボード」や「書類管理セクション」を活用、こうした書類を受渡ししている。しかし、これまでZENPORT上では、エクセルファイルの内容を確認するためには、エクセルファイルをダウンロードして開く必要があった。例えば、必要なファイルを特定するために全ファイルを開き確認する必要があった。またダウンロードしたファイルのローカル環境（PCなど）での管理が必要だった。
　新機能の「ファイルプレビュー」により、カーソルをホバーするだけで、ダウンロード前にファイル内容が確認でき、複数ファイルから必要情報を素早く特定できるなど、一刻を争う業務をタイムリーに進めることが可能となる。ダウンロード不要で瞬時にファイル内容を把握でき、必要なファイルのみを選んでダウンロードできるようになるとともに、複数ファイルの内容比較が容易になる。

　ANAホールディングス（ANAHD）は日本貨物航空（NCA）の完全子会社化について、中国国家市場監督管理総局（State Administration for Market Regulation：SAMR)から条件付きで認可を取得したことを明らかにした。8月1日に同社を株式交換完全親会社、NCAを株式交換完全子会社とする本株式交換で全株を取得し、完全子会社化する。23年3月の買収発表から2年以上を経過し、8度の延期を経て実現した。
　SAMRがつけた条件は、1）中国航空会社が運航する日中路線定期便について、成田空港と関西空港で受託する貨物ハンドリングを継続し、契約更新を拒否しない、2）中国航空会社が日中路線で新規参入または増便する場合、成田と関西両空港でグランドハンドリングを提供する、3）成田−上海線で新規参入航空会社が求めたら、ANA貨物便が使用している発着枠を1日1往復分譲渡する。
　ANAHD は26年3月期第2四半期の連結決算から貸借対照表と損益計算書を連結する予定。

　デンマーク海商高等裁判所はこのほど、A.P. Moller-Maersk　A/Sに対し、子会社であるDamco USA Inc.とPilot Air Freight Holdings LLCの2022年5月の合併に関する届出を怠り、競争当局の承認を得ずに合併を実施したとして1,000万デンマーククローネ（約2.72億円）の罰金を課した。
　同裁判所は、Maerskが重大な過失を犯したと判断したが、Maerskが（1）届出義務を認識した後、直ちに当局に連絡した（2）デンマーク競争・消費者庁に全面協力した（3）合併審査プロセス中に内部的なミスが発生したものの、競争法順守プログラムを導入しており、現在もそれを継続している、などの酌量すべき事情があったとして罰金を減額した。
　Damcoは米国を拠点とする物流会社であり、Maerskの間接所有子会社で、Pilotの買収は、Maerskによる戦略的な決定で、この合併は、実施前に米国競争当局に通知、承認されていた。しかし、DamcoとPilotの合併後のグループ売上高は、デンマークの合併基準額も上回っていたため、デンマーク競争消費者庁にも通知し、承認を得るべきだったとし、2023年8月、デンマーク競争・消費者当局がDamcoとMaerskが合併規制規則に違反したと判断、その後、当局は罰金の決定のため、デンマーク海事・商業高等裁判所に案件を提訴していた。

　富士通は、グローバルサプライチェーンにおける突発的な外部環境変化に対応するため、損益インパクトを迅速に算出し、最適な意思決定を支援するソリューションを2日から提供開始した。
　同ソリューションは、同社が提供するオールインワンオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS（DI PaaS）」の新機能として提供、社内外のデータを統合し、AIエージェントの活用により迅速な影響分析と最適な意思決定を支援することで、サプライチェーンのレジリエンス強化に貢献する。企業内外に分散するデータを統合し、市場変動などによる影響が大きい対象製品の特定や損益インパクトを迅速に算出。また、「DI PaaS」の強力なデータ統合能力により、従来数週間を要していた影響分析を数日で完了、AIエージェントによる対策提案により、画面上でシミュレーションに基づいた最適な意思決定を実行することができる。
　具体的には、グローバルサプライチェーンにおいて、市場変動などにより影響を受けているサプライヤーや工場を可視化し、どの製品がどのルートでどれだけの輸入コストが発生しているのかを提示する。自社の利益や原価構造を詳細に把握し、潜在的なリスクを特定することができる。
　また、市場変動などにより原価構造に変化があった場合に、製品の価格変化が需要に与える影響を分析する価格弾力性モデルにより、それぞれの製品の適切な販売価格をシミュレーション、市場変化に合わせた最適な価格戦略を策定する。
　さらに輸入コストが高騰している調達先を変更する際の原価構造や利益の変化を分析し、サプライチェーンの最適化を支援する。代替サプライヤーの選定や輸送ルートの変更といったオペレーションの変更による影響を、各領域の専門AIエージェントがさまざまな観点から評価し、オーケストレーターエージェントが総合的に判断、迅速な影響分析と最適な意思決定を支援する。

　欧州15カ国で構成される北東大西洋の海洋環境保護のための条約（OSPAR）に加盟する欧州15カ国は先週、スペインのビゴで閣僚会議を開催、北東大西洋の内陸水路と港湾地域における船舶のスクラバー（排ガス洗浄装置）からの排出を、2029年までに全面禁止するまで厳しく規制することを決議した。規制は段階的に実施、2027年7月からは、オープンループスクラバーからの排出を禁止、2029年1月1日から、クローズドループ式スクラバーからの排出も完全に禁止される。
　OSPARにはベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国で、EUも加盟している。
　スクラバーからの排水による海洋生態系汚染を完全に排除するため、ほとんどの加盟国が領海全域（12海里）での排出禁止を積極的に推進してきたにもかかわらず、この決議では、完全なコンセンサスが得られなかったため、北東大西洋の内水面および港湾区域の領海内での排出禁止のみを提案している。
　OSPARでは、スクラバーからの排出による汚染問題を根本的に解決するため、2027年までに関連措置をさらに強化する予定。
　OSPARの規制に先立ち、北欧のデンマーク、スウェーデン、フィンランドは7月1日から自国の領海内でのオープンループ式スクラバーからの排出を正式に禁止した。デンマークが2024年4月に計画を発表、その後数カ月以内にスウェーデン、フィンランドが追随していた。

　インドで海上での緊急事態に備え、主要港に少なくとも1隻のタグボートの配備を義務化することが計画されている、現在はムンバイ港とチェンナイ港でのみ実施されている。
　インド海運総局が、年間1,000万トン以上の貨物を扱う全国の港および／または2隻以上のタグボートがある港で、緊急事態に特化した少なくとも1隻のタグボートの配備を義務化することを提案しているもの。7月15日に終了する利害関係者との協議のために発表された草案では、指定されたタグは、外洋を航行することができ、消火活動、曳航、汚染対応を含む緊急活動のために十分な装備を持っていなければならないと規定している。
　昨年5月のコンテナ船”MSCELSA 3”(1,730TEU）沈没事故や、最近発生したコンテナ船”WAN HAI 503”（4,352TEU）”の船上での火災・爆発事故など、インド沿岸で事故が相次ぎ、海軍の緊急事態への対応における脆弱性を解決するため、インド沿岸、特にモンスーンの時期に曳航やその他のオペレーションのためにタグを適時に配備する必要性を強調している。

　Maersk（デンマーク）は2日、今夏のグローバル市場の最新状況についてまとめ、顧客へ越境サプライチェーンの最適化による関税負担の軽減と状況に対応した迅速な対処と変化を勧めている。
　米国政府の関税政策は、多くの国で今月から8月の猶予期限までは一次停止状態にあり、それでも現在コンテナ貨物は約21％の平均実効関税を負担しているという。ただ関税発動となった4月2日直後のピーク時には54％にまで跳ね上がっていた。
　また自動車をはじめとする特定の製品のサプライチェーンは、部品から製品になるまで5～6回の越境を経ることもあり、通関に向けた事前準備が不十分だった場合、遅延などの障害が発生する危険性が高まると指摘している。国境での遅延やトラブルの20％は通関の準備不足に起因するとしている。また多くの荷主企業は関税に関して一元的な認識しかもっていないため、最終的に5～6％の関税過払いが発生しているという。
　Maerskの担当者は、不安定で予測不能な関税政策に対応するため、顧客は効率的で越境回数を最適化したサプライチェーンの設計と迅速な対処が鍵になるとし、顧客はMaerskの貿易・通関コンサルタントに相談するほか、AIを活用したツールを使い上流のリスクを顕在化前に把握するなどのサービスを活用しリスク低減を図るよう推奨している。
　2025年上半期のコンテナ輸送需要が好調で、これらは関税発表前に顧客が前倒し発注寄せられたことを反映しており、この動きはメーカーに顕著で、小売業者ではその動きは大きくなく、在庫レベルに大幅な増加は見られなかったという。今年第1四半期（1～3月）の世界のコンテナ輸送需要は前年同期比6.1％増加したが、この動きは2Qに大きく変動すると見ており、Maerskは5月に25年のコンテナ輸送需要が1％減～4％増の幅になると予想し、現時点でもこの見方を維持している。
　中国への依存度を減少させる動きは、大きな議論となっているが、実際には、過去5年間、欧州は極東からの海上コンテナ輸入を増加させており、欧州輸入全体での極東のシェアは2019年の49％から2024年には51％に増加させている。また中国の輸出も24年は新型コロナ前の2019年比で約25％増加している。
　ただ米国では一貫して中国からの輸入依存度の低減を図る動きが進んでおり、アパレル業界の荷主の多くは、現在、中国への依存度を1ケタ台にまで減少させている。ただ住宅、建築関連などの他の品目は、依然中国での製造比率がはるかに高い状態が続いているという。
　米国の消費者心理は直近数カ月で大幅に悪化しており、5月の耐久消費財需要は1.8％減少し、FRBも6月に米国GDP成長率予測をこれまでの1.7％から1.4％に引き下げた。米国の関税政策と各国の交渉の行方は世界貿易に大きな影響を与えることは間違いなく、Maerskは最新の情報を収集するよう呼び掛けている。

　CMA CGM（仏）は今月下旬から、サービスの安定性とスケジュール信頼性の維持のため、北欧州／北米ガルフ航路のVictory Bridgeを改編するとともに、新たに就航船を追加投入する。
　新Victory Bridgeは、アントワープ港を抜港しゼーブルージュ港に追加寄港し、7月21サザンプトン入港、26日ゼーブルージュ入港の”ＭＨ　Ｐｅｒｓｅｕｓ”（Voy.0VBJWE1MA）を第1船にサザンプトン～ロッテルダム〜ゼーブルージュ～ブレーメルハーフェン～ベラクルツ～アルタミラ～ヒューストン～ニューオーリンズ～サザンプトンの新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスする。
　また8月2日サザンプトン入港から”OOCL Veracruz”（Voy.: 0VBKFW1MA/WB0VBKGE1MA EB）がサービスに就航する。
　トランジットタイムはゼーブルージュからベラクルツが19日、アルタミラ21日、ヒューストン21日、ニューオーリンズ27日となる。

　郵便発送ソリューション開発のPitney Bowes（米国）がこのほど発表した2024年のPitney Bowes Parcel Shipping Indexは（小包配送指数）によると、24年の米国における小包取扱量は223億7,000万個に達し、前年の216億5,000万個から3.4％増加した。同指数は、世界各国の小包配送状況を数値で表したもので、主に企業間、企業から消費者、消費者間の小包配送量と費用を追跡・分析している。
　企業別では、UPSが前年比3.2％増の69億個、Aamazon Logisticsが7.3％増の63億個、UPSが1.7％増の47億個の荷物を出荷した。一方、FedExは39億個から37億個へと輸送量が5.1%減少した。取扱量シェアは、UPSが31％で最大シェアを維持し、Amazon Logisticsは前年の27％から28％へ伸ばし、3位はUPSで21％、FedExはシェアを18％から17％に縮小した。
　24年の米国の小包収入総額は2032億米ドルとなり、23年の1,979億米ドルから2.7％増加した一方、1小包あたりの運送業者収入は23年の9.1ドルから0.6％減少し9.09ドルとなった。
　UPSの売上げは前年比1.3％増の698億米ドルとなり、最も高い収益を上げ、次いでFedExが632億米ドル、USPSが323億米ドル、Amazon Logisticsが311億米ドルの順だった。UPSは収入市場シェアで最大の34％を維持したものの、23年の35％からは1ポイント減、次いでFedExが0.8ポイント減の31％で続き、UPSは0.2ポイント減の16％。Amazon Logisticsは唯一増加し、0.9ポイント増の15.3％に達した。
　また、同時に発表した2025年第1四半期（1～3月）の小包配送データによると、米国の小包量は前年同期比ほぼ横ばいの0.4％増だった。FedExは21年以来初めて取扱量がプラスに転じ5.8％増加した。特定の市場セグメントに重点を置いて傘下のネットワークを統合し、業務の効率化に貢献したためで、USPSの取扱量は6.2％減少、関税の不確実性と天候の混乱に関する継続的な懸念が取扱量に影響を与えた。UPSは5.4％減少となり、UPSに対するアマゾンの取扱量の減少が影響したと分析した。
　今後の動きについて、小包取扱量は2029年までに230億～350億個に達すると予測。収入額は25年から30年の間に年平均成長率（CAGR）5％で成長し、305億米ドルの規模になると予測した。

　1日、爆弾サイクロンが東南豪州のニューサウスウェールズ州を襲い、シドニー港ポートケンブラ港、ニューカッスル港の主要ターミナルで荷役が一時停止した。
　港湾当局は気象状況を注意深く監視しており、安全が確保され次第、船舶の運航を再開、すべての港湾関係者と協力し、遅延を最小限に抑えるよう努めている。
　港が閉鎖される期間については言及していないが、気象局（BoM）は3日の夜遅くに風が弱まる見込みだと示唆している。
　悪天候により、一部船舶がスケジュールの変更を余儀なくされ、シドニーの港湾混雑のため、”MSC Tianping”がシドニーからメルボルンに寄港地変更を発表。シドニーの空コンテナ蔵置場の一部でも、運営に影響が出た模様だ。

　海外報道によると、ギリシャの船主Navios Maritimeが韓国のHJ重工業に8,000TEU型コンテナ船4隻を発注する予定だ。
　通常燃料のネオパナマックス型4隻を約4億6,000万ドルで発注する見通し。
　HJ重工業は2022年にNaviosから2億4,000万ドルでLNG燃料7,700TEU型コンテナ船2隻を受注、昨年11月にHJ重工業で“HMM OCEAN”と“HMM SKY”の同時命名式が開催、韓国船社のHMMが14年間にわたり長期用船し、今年1月からアジア／地中海航路のFIM（Far East – India – Mediterranean）Serviceに投入している。

　フィンランドの港湾荷役機器メーカー、Kalmarはこのほど、リーチスタッカー、空コンテナハンドラー、フォークリフトなどの港湾機器向け第2世代リチウムイオン電池ソリューションを発表した。
　次世代電池システムは、従来の電池に比べエネルギー容量を増加、熱安定性を向上、幅広い動作環境でより長く、また予測可能な性能曲線にそって電力を供給できるようになっており、現時点では欧州規格に対応、2026年には米国、中国の規格にも対応したバージョンを発売する。
　新型バッテリーは、寿命を延ばすとともにエネルギー取り扱い量を向上させ、顧客は長期間、信頼性の高いパフォーマンスで機器を使用でき、バッテリーの交換コストとシフトを簡素化し、トータルコストの削減を実現できるとしている。また新バッテリーは高負荷条件でも最大10時間稼働でき、厳しい運用環境下でも柔軟性と稼働時間の向上が可能となっている。また耐熱性も強化し、特に高温環境下での運用の安全性と安定性が向上した。

　寧波航運交易所（NBSE）が発表した6月の寧波輸出コンテナ運賃指数（NCFI）の総合指数（2012年第10週＝1000）は平均で1488.7と前月比31.3%上昇したが前年同月比では45.3％下落した。21航路のうち17航路が上昇、4航路が下落、「海のシルクロード」沿線の主要港のうち、12港の貨物指数が前月比上昇、4港が下落した。
　欧州・地中海航路は端午節後の船腹が全体的に増加、欧州航路は出荷が好調を続け、スペースタイトで、運賃が上昇傾向を維持した一方、地中海航路は、運賃が月前半に大きく上昇したが、その後出荷が減少し、船社が運賃を引き下げたことで下落した。欧州航路の運賃指数の平均値は1293.5で、前月比58.7％上昇に対し前年同月比56.9％下落、東地中海航路は1458.6で前月比32.3％上昇、前年同月比40.9％下落、西地中海航路は1862.6で前月比29.4％上昇、前年同月比41.7%下落となった。
　北米航路は前半に集中出荷の後、荷動きが横ばいに戻り、船腹量の回復に伴い、需給ギャップが拡大し、週を追うごとに運賃が下落した。
　6月の運賃指数の平均値は北米東岸航路が2089.4で前月比33.8％上昇、前年同月比31.1％下落、北米西岸航路は2157.5ポイントで前月比5.3％上昇、前年同月比49.8％下落した。
中東航路は月前半に各航路で船腹が増加し需給が緩和し、運賃も若干調整、月後半は船腹が減少したものの、依然として輸送需要が不足し、運賃は下落、運賃指数の平均値は1536.5で前月比41.5％上昇、前年同月比28.3％下落となった。
　また6月は、南米東岸航路で船社が船腹を引き続き抑制したことで、月前半に運賃が低水準で推移したが、その後週を追うごとに上昇し、貨物指数の平均値は2926.6で、前年同月比168.0％上昇、前年同月比36.1％の下落となった。

　インドの現地紙が伝えるところによると、主要港であるJ.ネール港、ムンバイ港があるマハラシュトラ州で7月2日、交通当局との労働争議に伴い、トラック運転手が全州でストライキに入った。
　ストライキにはムンバイをはじめとするマハラシュトラ州の20万台以上のトラックや物資運搬車両が参加、終了日が指定されていないため、トラックは無期限で道路通行を遮断、マハラシュトラ州を発着する生活必需品を含む物資の輸送に遅延や中断が生じる可能性がある。

　Hapag-Lloyd（独）によると、6月9日にインド洋で爆発火災事故を起した、Wan Hai Lines（台湾）が運航するコンテナ船”Wan Hai503”（4,252TEU）は、7月2日現在、インド・ケララ州の南東沖合い110海里で、引き続き火災の完全な鎮火と船体の安定化作業を継続中と伝えている。1日時点で新たな火災は確認されず、煙も減少し引き続き救助活動を継続しているが、気象状況により作業完了の見通しは立っていないという。

　日本郵船が運航するばら積み船”Medi Giannutri”が6月19日、太平洋を航海中、航行不能となった帆船の乗組員2人を救助した。
　同船は米国沿岸警備隊からの捜索・救助要請を受けて現場に向かい、乗組員を救助した。救助された2人の健康状態に問題はなく、23日にロングビーチ港で下船した。

　上組は、9～11日に東京ビッグサイトで開催の「国際食品物流EXPO（Food LogiX）」に出展する。
　同展示会は、国内外の商社、卸、食品・飲料メーカー、小売、物流、生産者など多数参加する食品物流（輸出・輸入・国内物流）に特化した展示会。同社は、3温度帯（低温・C級・F級）に対応し、冷凍食品をはじめ化学品、医療品なども取り扱い、大阪中心まで約10㎞に位置する冷凍冷蔵倉庫「上組尼崎コールドセンター」をはじめ、他支店の冷凍・冷蔵倉庫を紹介、広く情報交換の場を設けるとしている。

　FｰLINEと自動運転システム開発のT2は、レベル2（乗務員同乗）自動運転トラックによる高速道路での関東～関西間の3回目の往復実証実験に取り組んだ。
　今回の往路は日清ウェルナの製品を、復路は日清オイリオグループの製品を積載して幹線輸送した。計画通りに自動運転区間を走行し、積載貨物にも異常は確認できなかった。輸送車輌はT2の大型トラック（最大積載量11.3t、自動運転システム搭載）で、自動運転区間は、往路が綾瀬SIC～吹田IC（東名高速道路から新名神高速道路）、復路が久御山IC～綾瀬SIC（京滋バイパスから東名高速道路）で、積載重量（往復共にパレット重量含む）は、往路6.9t、復路11tを積載して運行した。

　東陽倉庫は1日、愛知県知多市で建設中だった「知多倉庫」を竣工、稼働を開始した。
　同倉庫は、伊勢湾岸自動車道・東海IC近くに立地し、東西のアクセスに良好で、温度管理可能な危険品倉庫を併設し、多様な貨物の保管に対応している。また、周辺にはメーカーの生産工場が所在、拠点集約に適した立地となる。
　知多倉庫（愛知県知多市八幡字浦浜1-57）は、普通品倉庫が鉄骨造り2階建て、延べ床面積約1万8,500m2、危険品倉庫が鉄骨造り平屋建て、延べ床面積約900m2で定温倉庫（25℃）となっている。東陽倉庫では、物流ネットワークの拡充で、利便性の向上を図るとともに、顧客の多様なニーズに対応し、高品質な物流サービスを提供していく方針だ。

　日本物流団体連合会（物流連）は6月18日、都内で2025年度第1回海外物流戦略ワーキングチーム会合を開催した。
　同会合は、物流事業の海外展開に関する課題を官民連携で検討するもので、昨年度から今年度は、物流業界のグローバルサプライチェーンで注目され、昨今経済成長が著しいインドの物流事情について調査している。
　第一部の講演会ではインドの Association of Supply Chain Professionals (ASCP)のAnshuman Neil Basu事務局長が「THE STATE OF SUPPLY CHAIN－Anecessary enabler for Make-in-India」をテーマに講演し、日印の文化的・精神的な共通のルーツを歴史的な視点から紹介したうえで、茶・小麦・牛乳の世界最大の生産国であり、米・野菜・香辛料でも重要な生産国であり、国土の52％が耕作可能地だが、冷蔵保管施設の不足により食品ロスが発生している現状も指摘した。また、冷蔵保管施設の整備、適切な梱包、ラストマイル輸送強化といった課題を指摘した。
　さらにインドの製造業、政策環境に関する最新情報を共有し、ビジネスのしやすさを重視した政策を伴う「メイク・イン・インディア」構想は、安定的に継続し、統一税制の導入後、インド全体のビジネス環境は着実に改善しつつあると述べた。
　第二部のワーキングチーム会合では、国土交通省物流自動車局国際物流室の牧野武人室長が「最近の国土交通省の国際物流政策の取り組みについて」を説明し、基本方針として①日中韓の物流のシームレス化、②国際物流の多元化・強靱化、③物流事業者の海外展開の促進について説明した。

　日通NECロジスティクスは、東京都府中市にある「品質評価センター」の試験設備を拡充し、医薬品、精密機器、自動車部品などを対象とした製品と包装貨物の評価試験サービスを強化した。
　近年、ものづくり産業では、SDGsやサステナビリティへの要請が高まる中、製品の故障率を低減し廃棄物を削減することや、長期間にわたり製品の品質・信頼性を維持することが必要となっている。そのため、製品の耐久性評価に対するニーズは年々高まり、多様化しており、顧客のこれらニーズに対応、同社は、従来よりも低温・低湿度環境での試験が可能な中型恒温恒湿室（写真）を新たに導入した。
　同機器を用いた試験では、製品の輸送・保管・使用など、さまざまな状況下において、天候や外気温が製品に与える影響を評価できる。
　また、温湿度の影響を受けやすい製品に対して、どのような対策が適切かを検証し、耐久性を確認することが可能だ。今回導入した恒温恒湿室により、試験対応範囲を拡大し、より幅広い顧客の要望に対応できる体制となった。
　具体的な試験方法は、温湿度サイクル試験で製品の環境特性を検査するもので、試験に先立って試料（試験対象物）を一定の温・湿度条件での平衡を実施。試験は温度範囲が-40℃～80℃、湿度範囲が10％～95％R.H.。

　NVOCCなど国際物流を展開するジャパントラスト（愛知県名古屋市）は、米国現地法人のGreat Luck Inc.のオフィスを移転し、1日から新事務所で業務を開始した。
　新事務所（18618 S. Ferris Pl, Rancho Dominguez, CA 90220）への移転に伴い、自社倉庫の面積は従来の2.2倍となる2,048m2へと大幅に拡張、保管能力の増強と入出庫業務の効率化を実現し、これまで以上に迅速かつ安定したサービスを提供していく。さらに倉庫管理業務に加え、トランスロードサービスやディストリビューションサービスの提供にも、これまで以上に注力していく方針だ。
　また同社では、同社倉庫でバンニング・デバンニング作業を予定の顧客を対象に、貨物のバンニング・デバンニング作業の様子をリアルタイムや録画で動画配信するサービスも提供している。

　郵船ロジスティクスは、国際食品物流 EXPO（通称：Food LogiX）のセミナーにおいて、11日15～16時に「日本の農林水産物・食品の輸出拡大へ ～国際規格ISO31512の発行～」を講演する。
　また、展示会場に設置する「輸出入・物流相談コーナー」には、同社の食品物流のエキスパートが常駐し、物流課題解決をサポートする。今回初めて開催の国際食品物流EXPOは、鮮度保持や温度管理が重要な食品の国際輸送ならではの技術的解決策や、ITサービスの導入などを紹介、海外販路拡大のヒントが見つかる展示会だ。
　世界各地でより品質の高い食品物流の需要が高まる中、2024年12月に発行したISO31512:2024は、食品の低温保管・輸送サービスを対象とする世界初の国際規格で、構想段階から日本が主導して開発してきた。同社は、国内外で培ってきた食品物流分野のノウハウや知見を生かし、同規格策定の国内委員として要求事項の検討作業に携わってきた。今回、展示会場には食品貿易全般に関する来場者の悩みに応える目的で、国土交通省と同社が監修した「輸出入・物流相談コーナー」を設置する。同社の食品サプライチェーンとロジスティクスのエキスパートが常駐、食品貿易促進を支援する。また産業営業本部・産業第二部・開発課の鶴巻剛志氏が、国土交通省 物流・自動車局・国際物流室長の牧野武人氏と共同でセミナーに登壇し、ISO31512の必要性や認証取得の意義について講演する。聴講希望は「国際食品物流EXPO」サイトから来場登録と聴講申し込みが必要。

　Drewry Maritime Research（英国）が発表したアジア域内コンテナ指数（IACI）は、6月後半の2週間で15%上昇し813ドル／FEUとなり、前年同期を18%下回った。Drewryでは7月も安定的に推移すると予想している。
　IACIは、中国、北・東アジア3カ国（日本、韓国、台湾）、東南アジア5カ国（インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム）と南・西アジア2カ国（インドとアラブ首長国連邦）を含む、アジア域内18コンテナ航路のスポット運賃（積み／揚げ地THC除く）を加重平均し指数化したもので、2週間ごとに公表している。
　主な航路のスポット運賃をみると、釜山→上海は横ばいの111ドル／FEU、ホーチミン→上海は30%上昇し57ドル／FEU、ジャカルタ→上海は3%下落し114ドル／FEU、上海→J.ネールは50%上昇し2.362ドル／FEU、上海→シンガポールは6%上昇し821ドル／FEU、上海→タンジュンペレパスは5%上昇し1,112ドル／FEU、上海→横浜は24%上昇し886ドル／FEU、横浜→上海は横ばいの106ドル／FEUだった。

　センコーグループの東京納品代行は千葉県富里市にある物流施設（成田ファッションロジスティクスセンターII）の運用とメンテナンスにおいてグリーンビルディング国際規格である「LEED　O+M（Operations & Maintenance）ゴールド」の認証を6月13日に取得した。
　LEED認証は、グリーンビルディングとしての達成度を示す国際的な認証。今回、東京納品代行が取得したLEED O+M（Operations & Maintenance）は、複数あるLEED認証の中でも既存建物の環境性能を運用面や管理面での取り組みも含めて評価する認証となる。LEED認証は取得したポイントにより4段階（ポイントの取得数により下から標準認証、シルバー、ゴールド、プラチナの順）の認証レベルを設定、今回取得した認証はゴールド。
　東京納品代行はファッション業界の物流運営を強みとしており、環境問題への関心が高い欧州ブランド企業との取引も多く、国際規格の認証を得た施設での物流運営を求めるニーズも多かった。その中で取得に至ったLEED認証は、国内の物流施設では希少な存在だ。センコーグループ全体で環境問題に対するさまざまな課題に取り組む中、東京納品代行はトラックのEV（電気トラック）化や再生可能エネルギーへの変換を積極的に進めている。

　物流不動産の所有・運営・開発のプロロジスは3日、東京都江東区で、都市型物流施設「プロロジスアーバン東京錦糸町1」の竣工式を開催した。
　同施設は、2020年から提供を開始したプロロジスアーバンシリーズの7棟目となる都市型物流施設で、1階には国際宅配便事業会社のスコア・ジャパン（東京都江東区）、3階には設備機器製造企業の入居を予定、その他の区画で引き続き入居企業を募集している。
　スコア・ジャパンは、日中間の輸送に強みを持つ国際宅配企業で、プロロジスとの賃貸契約は今回が初めて。主に東日本地域発着の貨物取扱の拠点として活用する。効率的な荷捌きができる仕様と、ラストマイル配送に最適な立地を高く評価した。3階に入居予定の設備機器製造企業は、同施設で設備機器のメンテナンスなどにあたる予定で、必要な電気容量を確保できる点を評価し、入居を決定した。
　同施設は、首都高速7号小松川線・錦糸町出入口から約400m（自動車約2分）の場所に立地し、丸の内・日本橋エリアなど都心部へのラストワンマイル配送のみならず、都内全域への広域配送にも適した理想的な立地だ。複数企業の入居を想定した地上5階建て6,470m2。物流施設とオフィス機能を兼ね備えた多様なニーズに対応した設計。

英国の海事メディアLloyd's Listの報道によると、MSC（スイス）が運航する"MSC ANTONIA"（6,700TEU）がこのほど、中国へ向け18カ月ぶりに紅海南部に位置し、アラビア半島南西部のイエメンと東アフリカのエリトリア、ジブチの国境付近にあるバブ・エル・マンデブ海峡を通過した。同船は、今年5月にサウジアラビアのジェッダの西にあるエリザショールズの近くで座礁事故を起こしている。同船は現在、中国の上海へ向けシンガポール海峡を通過しているという。MSCのコンテナ船が紅海を通過したのは、2023年12月以来のこと。紅海を通航するコンテナ船は、中東地域のフィーダー船がほとんどで、大型コンテナ船は、イエメンの武装組織フーシー派に商船攻撃を避けるため、喜望峰経由の迂回ルートの利用を余儀なくされているが、先月、CMA CGM（仏）が地中海航路で運航する"CMA CGM OSIRIS"（15,000TEU）がスエズ運河を航行しており、今回、MSCも追随したことで、大手コンテナ船によるスエズ運河の利用再開へ向けた動きの引き金になるのか注目されている。

　英国の海運造船調査分析会社Clarksons Researchがまとめた今年上半期（1～6月）におけるコンテナ船の新造船受注量は201隻・192万TEUと2024年の年間460万TEUの記録的な多さに比べ増加率が鈍化しているものの、依然として過去10年平均の2倍にのぼる。CGT（標準貨物船換算トン数）では870万CGTと世界の新造船受注量の約半分を占め、TEUベースでは中国が134隻・117万TEUと全体の61%を占めた。
　また、好調な新規発注で6月末の発注残は921隻・942万TEUと前年同期より50%以上増加、2023年3月末の約779万TEUに比べても20%以上増加、既存船隊の30%を占め、過去最高だった2008年の60%に及ばないが相当な規模となっている。
　受注残のトップ10造船所のうち中国が7社を占め、新時代造船が73隻・約90万TEUで1位、新揚子造船が70隻・約75万TEUで2位、舟山宏国際が45隻・約64万TEUで4位、江蘇揚子鑫福造船が32隻・約61万TEUで5位、江南造船が31隻・約48万TEUで7位、外高橋造船が38隻・約44万TEUで9位にランクされた。
　一方、韓国の造船所はHD現代重工が39隻・約64万TEUで3位、現代三湖が40隻・約46万TEUで8位、サムスン重工が27隻・約43万TEUで10位の3社にとどまり、昨年5位だったハンファオーシャン、昨年7位だった今治造船広島工場はトップ10入りを果たせなかった。
　Clarksonsでは、コンテナ船の受注残の増加は今後数年のコンテナ船の市場に大きな影響を与えると予想する。これは現在の手持ちの新造船のデリバリーが2027年から2028年にかけピークを迎え、年間平均で250万TEU以上がデリバリー、引き渡し時期を延ばしたとしても今後数年間のデリバリーは過去最高だった2024年の300万TEUに近い水準になるとみており、新たなデリバリーの波をどのようにコントロールするかが、コンテナ船業界の中心的な課題になるのは明らかだとしている。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、日本通運は、2025年7月から多温度帯管理機能を備えた安全・適正な保管管理が可能な物流拠点「NX苫小牧危険物ロジパーク」の稼働を開始した。
　北海道では近年、半導体関連産業の集積が進み、国内外からの企業進出や大規模投資が相次いでいる。その中で苫小牧市は、国際拠点港湾である苫小牧港と新千歳空港という「ダブルポート」を有し、鉄道や高速道路などの交通アクセスにも恵まれた都市だ。積雪量が少ないという地理的特性もあり、原材料の安定供給や製品輸送で高い利便性を誇るとともに、苫小牧港にはNXグループの内航船“ひまわり”も就航、国内外からの危険物・高圧ガスの大量輸送にも柔軟に対応できる体制を整えている。
　同施設は、定温危険物倉庫と多温度帯危険物倉庫（8月営業開始予定）の2棟を有し、今後は高圧ガス倉庫2棟（12月営業開始予定）やコンテナヤードの拡充も計画するなど消防法や高圧ガス保安法などの法令に準拠した安全対策を実現している。半導体製造に不可欠な化学品や高圧ガスなど、先端産業の原材料を最適な環境で保管・管理できる。
　また、2024年8月に稼働開始した恵庭市の新倉庫「NX-TECT Hokkaido」と連携し、北海道内外の先端産業の原材料を扱う倉庫としても活用していく。高品質で安定した物流サービスの提供を通じて、北海道の半導体産業をはじめとする先端産業の発展をサポートしていく。

　Drewry Maritime Research（英国）が3日に発表した太平洋航路、アジア／欧州航路、大西洋航路における主要8ルートの世界コンテナ運賃指数（WCI）は、2,812ドル／FEUと前週から5.7%下落し3週連続で落ち込み、前年同期比では52%の下落だった。Drewryでは、この下落は米国向け貨物の需要低迷の直接的な結果で、米国の関税引き上げの一時的な停止後に発生した最近の米国からの輸入急増が、当初予想していたような永続的な影響を及ぼさないことを示唆するものだとしている。
　先週のスポット運賃を主な航路別にみると、上海→ロサンゼルスが前週比15%(561ドル）下落し3,180ドル／FEUで、8週間前（5月8日）と比べて17％の大幅上昇、同様に、上海→ニューヨークも11％（633ドル）下落し5,070ドル／FEUとなったが、過去8週間では39％上昇した。Drewryでは、余剰船腹と需要低迷により、今週も太平洋航路のスポット運賃は下落が続くと予想している。
　また、欧州航路は上海→ジェノアが9%（349ドル）下落し3,751ドル／FEUだった一方、上海→ロッテルダは8%（264ドル）上昇し3,468ドル／FEUとなった。大西洋航路はニューヨーク→ロッテルダムが5%（4ドル）上昇し867ドル／FEU、ロッテルダム→ニューヨークも7%（137ドル）上昇し2,119ドル／FEUで往復航ともアップした。
　DrewryのContainer Forecasterは、25年下期には需給バランスが再び弱まり、スポット運賃が下落すると予想している。運賃変動の変動幅とタイミングは、トランプ大統領の今後の関税と、中国船に対する米国の入港手数料導入に関連した船腹変更に左右されるが、これは不透明としている。

　Maersk（デンマーク）はこのほど、顧客向けにアジア市場の最新状況を発表し、海上輸送では、8月に米国による中国貨物への追加関税が再発効する可能性があり、荷主は出荷計画を見直しており、3Qの計画は複雑なものになるとしている。2Qは市場全体で最大40％の航海が欠航となったが、Maerskはスケジュールの安定性維持のため、サービスを中断せず、信頼性90％以上を維持したとしている。
　中東情勢は、緊張の一時緩和を受け、イスラエル・ハイファ港への寄港を再開、アシュドド港への寄港も安定を維持している。またホルムズ海峡は引き続き航行可能な状態となっている。
　航空貨物は、中華圏からの輸出は低調が続いているが、北東アジア、東南アジアからの輸送量は、調達先の多様化を反映し増加が続いており、その需要に対応したキャパシティも十分となっている。
　アジア太平洋地域の航空貨物需要は今年4月に前年同月比4.9％増加し、運賃は61.5％上昇した。ただ中東における紛争の激化により、アジア／欧州航路でのう回、欠便に伴うトランジットタイムの増加によるキャパシティの圧迫の懸念があるとしている。そのため、Maerskは運賃リスクの最少化とリードタイムの確定のため、早期の計画立案とサプライチェーンの可視化が必要だという。
　陸上輸送では、タイ／カンボジアの国境閉鎖により、通関手続きに遅れが発生、中国からタイへの輸入が急増し港湾混雑が発生した。この混雑は3Q中に緩和すると予測している。Maerskはシアヌークビル港とヤンゴン港を接続する臨時サービスを週1便運航している。

　国連貿易開発会議（UNCTAD）がまとめた今年第2四半期（4～6月）の定期船サービス連結指数（Liner Shipping Connectivity Index：LSCI、2003年1Q＝100）で欧州主要国の指数は国によりまちまちだった。
　フランスが265で-0.4％、283.5、イタリアが283.5で-1.4％、ポルトガルが176で-4.7％、スウェーデンが113で-6.6％、マルタが105で-4.6％、デンマークが87で-1,9％、スロベニアが76で-1.6％、クロアチアが60で-0.4％と低下した。
　一方でスペインは425で+0.3％、オランダが385が+1.4％、英国が393で+3.2％、ベルギーが347で+1.1％、ドイツが322で+5.5％増）、トルコが316で+11.1％、ポーランドも135で+2.5％と上昇した。
　LSCIは国と国際的な海運ネットワークとの連結の度合いを測るもので、一国のコンテナ船の隻数、積載可能コンテナ数、最大型サイズ、提供可能なサービスの項目、国際海運業務を行っている船社の数の5項目で評価される。

　Wan Hai Lines（台湾）は3日、6月9日にインド洋で爆発火災事故を起したコンテナ船”Wan Hai503”（4,252TEU）の最新状況を発表し、同船は現在消火活動を継続しており、船内の火災は徐々に鎮火しつつあるが、未だ一部コンテナからは煙が出ているという。今後、船内の温度が十分に下がった後、調査と状況評価を実施するとしている。

　SeaLead Shipping（シンガポール）は中国／紅海航路でChina-Red Sea（CRS）Serviceを再開した。CRSは今年4月下旬から臨時サービスしていたが、当初計画していた太平洋航路のPNWサービスに投入する予定だったコンテナ船5隻を配船、上海～寧波～南沙～ソクナ～ジェダ～上海のローテーションでサービスする。
　4月下旬から上海起こしで”LIDIA”（3,451TEU）を投入したのを皮切りに、5月24日上海起こしで”CICCIO”（2,274TEU）、6月14日寧波起こしで”ALE”（3,398TEU）に続き、上海起こしで”BERTIE”（2,478TEU）が就航済みだ。

　Maersk（デンマーク）のサウジアラビア法人、Maersk Saudi Arabiaと同国の政府系郵便会社Saudi Post Company（SPL）はこのほど、越境e-コマース分野を中心とした戦略提携協定で覚書（MoU）を締結した。MoUは、サウジ国内におけるe-コマース事業者の誘致と事業促進のため、物流・サプライチェーン機能の強化で協力を深化するもので、さらにサウジを中心とした湾岸協力会議（GCC）加盟国のe-コマースネットワークの強化を視野に入れた取り組みを進める。
　サウジ国内では、Maerskの専門的な知見の支援を受け、SPLが越境e-コマースの競争力のあるエンドツーエンドの物流ネットワークを構築する。SPLはすでにサウジの2030年までの物流成長戦略に沿って港湾と国内物流の強化を進めており、Maerskの世界的ネットワーク、物流インフラと接続することで、国内市場とグローバル物流ネットワークをシームレスに統合し一元的な物流サービスを展開する。
　具体的な枠組みでは、SPLがサウジ国内で通関からラストマイル輸送を管理運営し、Maerskが越境貨物輸送とフルフィルメントサービスを展開する。Maerskはジェダに開設した最新の統合物流拠点、Integrated Logistics Parkを中心にサウジのゲートウェイとしてグローバルネットワークとサウジ国内の間で貨物の円滑な取り扱いを実現するとしている。

　ニューヨーク／ニュージャージー港における5月の総コンテナ取り扱い量は前年同月比2.0％減の77万4,698TEUで、西岸・ロサンゼルス港の71万6,619TEU、ロングビーチ港の63万9,160TEUを大きく上回り、2年連続で5月に米国の最高の取扱量を記録した。これは米国政府の関税政策により、欧州発貨物に比べ中国発貨物がより関税の影響を受けたことによるものと見られる。
　うち実入りの輸入は7.6％減の38万2,217TEU、輸出は3.8％増の12万9,565TEU、空コンの取扱量は4.3％増の26万2,916TEUだった。
　鉄道によるコンテナ取り扱いは3.8％増の6万6,842本だった。
　1～5月の総コンテナ取り扱い量は前年同期比6.5％増の372万9,611TEUで、うち実入りの輸入が5.3％増の188万6,285TEU、輸出は3.8％増の59万2,342TEU、空コンは9.8％増の125万984TEUといずれも増加した。鉄道による取り扱いは10.2％増の29万6,443本だった。

　フィンランドの港湾荷役機器メーカー・Kalmarはこのほど、アフリカの港湾物流大手Africa Global Logistics（AGL、旧Bollore Africa Logistics）と協業し、コートジボワール・アビジャン港にあるAGLのコンテナターミナルで、ガントリークレーン2基の修理・改修工事を完了した（写真）。
　AGLは海運大手MSC（スイス）傘下で、アフリカを中心に50カ国・2万人以上の従業員を擁する港湾物流企業。コンテナターミナル17カ所、RoRo／ConRoターミナル7カ所、内陸港1カ所を運営しており、港湾インフラへの積極投資を通じ、船社や輸出入企業、各国の物流効率向上に貢献している。
　AGLは既にKalmar製のリーチスタッカーやフォークリフトを導入しており、これまでもコンゴやベナンのターミナルでガントリークレーンの改修プロジェクトをKalmarと連携して進めてきた。

　中国の交通運輸部がまとめた6月の中国輸出コンテナ輸送市場分析レポートによると、上海航運交易所（SSE）が公表している中長期契約運賃の指標である中国輸出コンテナ運賃指数（CCFI）の総合指数（1998年1月1日＝1000）は平均で1277.46と、前月比15.2％上昇、上海出しスポット運賃（THC除く）スポット運賃を反映した上海輸出コンテナ指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）は平均で2014.92と24.3％も上昇した。
　欧州航路は、中国税関総署が発表した5月の中国の対EU輸出額が前年同月比12％増と大幅な成長率を維持した。最初の5カ月間で、EUは引き続き中国の第2位の貿易相手国であり、EUへの輸出は前年同期比7.7％増加した。6月は、輸送需要が高まり、スポット運賃が上昇を続け、CCFIの平均値は欧州航路が1526.30、地中海航路が2130.80と前月比でそれぞれ8.2％、16.7％上昇した。また、SCFIの平均値は欧州航路が1,844ドル／ TEU、地中海航路が3,135ドル／TEUで、前月比でそれぞれ41.3％と31.2％も大幅上昇した。
　北米航路は月初の輸送量が高水準で推移し、需給も比較的タイトで推移、スポット運賃は上昇を続けたが、月後半には供給能力の増加に伴い需給が緩和、スポット運賃が急落した。CCFIの平均値は北米西岸航路が1149.63、北米東岸航路が1345.73と、前月比でそれぞれ28.2％、36.0％上昇した。また、SCFIの平均値は北米西岸航路が3,769ドル／FEU、北米東岸航路が5,938ドル／FEUで、前月比でそれぞれ8.6％、32.5％上昇した。
　中東ガルフ航路は、輸送需要が好調でスポット運賃も上昇し続け、CCFIの平均値は1389.20と前月比22.0％上昇した。
　豪州・NZ航路は、月の前半が輸送需要の伸びが鈍く、スポット運賃は調整、月の後半には輸送需要が回復の兆しを見せ、需給が好転し、スポット運賃が反発しことでCCFIの平均値は874.72で、前月比4.4％下落した。
　日本航路は輸送需要が安定、スポット運賃は小幅下落し、CCFIの平均値は959.70で前月比1.8％の小幅下落だった。

　海外の海事メディアは、中国のCOSCOグループが新たに大型メタノール燃料コンテナ船の4社目の運航船社になると伝えている。一昨年のMaersk（デンマーク）による初の大型メタノール燃料コンテナ船”Ane Maersk”の竣工を皮切りに、現在、HMM（韓国）、CMA CGM（仏）がメタノール燃料コンテナ船を建造しサービスに順次投入しており、COSCOも間もなく新造船”COSCO Shipping Yangpu”（16,136TEU）の引き渡しを受けることになる。
　AXS-Alphaliner（仏）はこれら大型メタノール燃料船の課題についてまとめ、まずメタノール燃料は、その精製時から持続可能な状態で調達されている場合のみCO2排出量の削減に効果があり、現在のグリ－ンメタノール燃料の供給サプライチェーンは需要に対し大きな負荷がかかっている状況だという。その懸念が高まったためか、Maerskは現在、メタノール燃料船の大型発注後はLNG燃料船の発注へシフトしている。
　またメタノールは従来の重油燃料に比べエネルギー密度が低く、より大型の燃料タンクを必要とするため、積載効率が悪化する。そのため多くの船は最新のツインアイランド設計を採用し、船首楼にもコンテナベイを設けるなど様々な工夫で積載効率の向上をはかっている。ただCOSCOとCMA CGMはまだこれらの設計を導入していないという。またメタノール燃料へのアクセスの問題を考慮し、二元燃料船として建造する船社が多い。
　さらにAlphalinerは、高価なグリーン燃料を使用する船舶の燃費効率の向上は重要な問題だが、いずれの船社も船首に風抵抗を減少させる風防装置を取り付けたメタノール燃料船が無いことは不思議だとしている。風防装置は空気抵抗と燃料消費量を大幅に削減することが実証されおり、燃料コストを3～4%削減できるとされ、現在、新造船や改修時に人気のオプションとなっている。

　DP World（UAE）の傘下で作業船、特殊船などを運航するP&O Maritime Logistics（POML）はこのほど、世界有数の空気圧縮セメント運搬船を運航するNovaAlgoma Cement Carriers（NACC）を買収する契約を締結した。
　NACCは、2016年にNova Marine HoldingとAlgoma Central Corporationの合弁会社として設立し、セメントを中心としたドライバルク貨物の海上輸送を手がけ、北米、欧州、地中海、南アジア、カリブ海地域の主要インフラ市場で、先進的な空気圧式ハンドリングシステムを備えた最新の船舶によるサービスを提供している。
　DPワールドはNACCの買収を通じ、ブレークバルク、ドライバルクなど、インフラ関連貨物のプレゼンスを強化する。

　商船三井グループのMOL（Asia Oceania）Pte.Ltd.（MOLAO）はこのほど、シンガポール建国60周年を記念し、シンガポール国立公園局（NParks）が推進する生物など多様性豊かな都市環境の創出を目指す「OneMillionTrees」の活動を支援するため、「Plant-A-Tree」プログラムを通じて50本の木を寄付した。
　この取り組みは、1967年にリー・クアンユー首相によって提唱された「ガーデンシティ構想」を受け継いだシンガポールの「Green Plan 2030」の一部で、トムソン・ネイチャーパークで開催されたMOLAO主催の植樹イベントには、商船三井グループの在シンガポール役職員に加え、シンガポール海事港湾庁（MPA）、シンガポール船主協会（SSA）、シンガポール海事財団（SMF）、シンガポール海事職員組合（SMOU）などの主要業界パートナーが参加した。
　植樹された50本の木はすべて保全活動を通じて育成された在来種であり、「City in Nature」というシンガポールのビジョンの実現に貢献しているという。

　丸全昭和運輸は、愛知県碧南市で建設を進めていた衣浦危険物倉庫が3日に竣工したと発表した。
　衣浦危険物倉庫（愛知県碧南市須磨町1-19）は、敷地面積7,461m2に鉄骨造り平屋建て2棟で、延べ床面積が1,587m2（996m2、591m2）、有効階高が5.95m、床荷重7.1t/坪、消防法危険物の第4類1～4石油類に対応。

　ニッコンホールディングズは、同社の中核事業会社、日本梱包運輸倉庫が2日、三重県鈴鹿市国府町の鈴鹿センター営業所で「国府第一倉庫」を竣工したと発表した。
　国府第一倉庫（三重県鈴鹿市国府町石丸7651-11）は、生産ラインに同期して部品を供給する中継基地、DCC機能を支える在庫管理/配送管理などのシステム化の導入に努め、高効率な作業場の運営を目指している。また、自動車関連企業の電動化に向けての変革が必要なエリアでの物流・倉庫需要の高まりに合わせ、事業拡大を図っていく。同拠点は鈴鹿ICから9.7km（15分）、鈴鹿スマートICから19km（33分）、国道23号中勢バイパスから3.9km（7分）、四日市港15km（26分）と陸海で良好なアクセスを持ち、名古屋市まで約1時間、大阪市まで約2時間でアクセス可能で、中京圏はもとより関西圏への利便性も高いロケーションだ。また、周辺エリアはショッピングモールや総合病院などもあり、安心･安全･便利に働ける環境が整っている。
　倉庫は鉄骨造り4階建て、作業場の延べ床面積は1万6,456.10m2、設備は貨物用エレベーター3基、ドッグレベラー2基、トラック用ピット6レーンを導入し、ダブル連結トラックにも対応する構内スペースを確保している。また、電力の給電端子を屋外に設置することで、停電時には外部給電により倉庫稼働を可能とするなどBCPの対応も図っている。

　イトーキは、ドライバーの労働時間規制や人手不足の影響を受けて再編が進む物流業界で、在庫機能の最適化を図る新たな提案として、高速荷揃え機能を兼ね備えた在庫特化型自動仕分けシステム「X-NR（プロジェクトコード）」を開発した。
　「高速入出庫処理」と「収納効率」を両立した在庫特化型モデルとして、システマストリーマー「SAS」シリーズの新たな方向性を示した。高収納型の新物流ソリューションとして2026年から市場投入し、製造業の一次保管庫やEC物流センター、医薬品・化粧品など多品種小ロットの荷扱いが必要な現場などでの活用を想定している。
　同製品は、既存モデル「SAS-R」が得意とする順立て・荷合わせ・ピッキングの高速処理性能を踏襲しつつ、シャトル台車に上下昇降機構を追加。これにより、水平方向＋垂直方向の「三次元的なピッキング」が可能となり、シャトル式自動倉庫の「高速入出庫処理」と、スタッカークレーン式自動倉庫の「収納効率」の両立を実現した。
　また、既存モデル「SAS-R」は、コンテナをはじめ、段ボール箱や折りたたみコンテナなど、さまざまな形状・サイズの荷姿に対応可能な搬送性能を備えている。今回の「X-NR」ではその対応力をさらに高めるため、ピッキング機構のユニットを薄型化、高さの低い荷姿への対応力を強化し、従来以上の収納効率を実現している。
　加えて、同製品では、庫内に約2mピッチでメンテナンスデッキを標準設置。各階層ごとに独立した作業空間を確保することで、緊急時の対応や定期点検・保守作業において高い安全性と作業効率を実現した。

　アジア主要空港の貨物取扱量は今年に入って3月をピークに、米国の関税政策の影響などで先行き不透明な環境の中、5月は緩やかな成長ペースとなっている。
　香港空港は前年同月比1.4%増の42.2万トン。輸出は米国政府による少額貨物の免税措置（デミニミス）停止でマイナスに落ち込んだが、トランシップ貨物、とくに欧州、中東発着積み替え貨物が12.7％増と2ケタの伸びで下支えした。上海浦東空港は6.0％増・33.5万トンで4カ月連続の増加、国際貨物は東南アジア発着貨物が好調で9.0％増の26.7万トンと高い伸び率となった。
　韓国の仁川空港は0.8％減の25.0万トンと唯一マイナスとなった。主力の米中間トランシップ貨物が関税紛争の打撃を受けて米国貨物がインバウンド、アウトバウンド合計で10.5％減、中国が5.0％減、香港が7.6％減など低調だった。広州白雲空港は2.0％増の20万5,698トンと4カ月連続増となったが国際貨物は1.9％減の12.8万トンとマイナスに転じた。
　台湾の桃園空港は輸入が前年同月比15.1％増の5.4万トン、輸出が19.9％増の5.8万トンと旺盛な荷動きが続き、全体の約半分を占めるトランシップ貨物は0.02％増の9.5万トンと前月のマイナスからプラスに転じた。シンガポールのチャンギ空港は輸出入ともに堅調な伸びが持続して合計では3.3％増の17.6万トンと17カ月連続のプラスだった。成田空港は1％増の16.1万トンで14カ月連続のプラスとなり、19年の16.2万トン近くまで回復した。

　日本GLPは、千葉県八千代市で延べ床面積約5万m2の先進的物流施設「GLP八千代Ⅵ」を着工した。2026年12月末の竣工予定。
　同施設は、八千代市吉橋にある吉橋工業団地エリアの一角に位置しており、東関東自動車道をはじめ、国道16号、京葉道路に囲まれ、千葉県内のエリア配送や首都圏の広域配送にも適した立地だ。また、東関東自動車道を経由することで東京港や成田空港へ1時間圏内でアクセスが可能なことから、航空貨物と海上貨物の取り扱いにも適している。地上4階建てのボックス型物流施設で、最大5テナントが入居可能。庫内は、最小区画約2,300坪から賃貸でき、柔軟な区画プランの提案が可能だ。また、テナント企業の効率的な運営に向け、グループ会社のプラスオートメーションが提供する物流ロボットのサブスクサービス「RaaS（Robotics as a Service）」を含むソフト面でのサポートも検討している。

　海外報道によるイエメンの武装組織フーシー派は今年4月以降停止していた紅海での商船攻撃を再開した。海運業界では、断続的に再開されていた商船の紅海航行が再び遠のいたとしている。
　米国のセキュリティ企業Vanguardによると、6日午後1時45分ごろ、リベリアの国旗を掲げるギリシャの海運会社Allseas Marineのばら積み船が紅海で小型艦艇の攻撃を受けたもの。
ホデイダ南西約51海里の地点で、6隻以上の小型艦艇がロケットランチャーと機関銃などでし、"MAGIC SEAS"に接近、同船の武装警備員が反撃し交戦が発生、フーティ反乱軍が発射したロケットランチャーが船橋に命中した。
　英海軍の関連機関である英国海事貿易業務局（UKMTO）によると、6日午後3時ごろ、"MAGIC SEAS"の貨物に火災が発生し、船内に水が浸水し始め、乗組員は午後3時45分ごろ、退船を決断し、救助を待った。
　フーシー派は以前、イスラエルの船社と取引する船主の船舶を攻撃する可能性があると警告しており、同船の船主であるAllseas Marineは、以前イスラエルに3隻以上の自社船が寄港したことが知られている。今年初めの米国の合同空爆後、フーシー派指導部は米国商船に対する攻撃中止に同意したが、イスラエル船に対する攻撃方針は撤回していない。UKMTOは船主に対し、紅海海域での航行を継続することが賢明かどうか慎重に検討するよう勧告している。
　一方、イスラエル軍は月曜日未明、フーシー派が支配する3つの港と発電所を標的に攻撃したと発表した。ホデイダ港、ラス・イサ港、サリフ港、ラス・カンティブ発電所への攻撃は、イスラエルに対するフーシの度重なる攻撃による報復で、2023年後半にフーシ派に拿捕されラス・イサ港に係留中の自動車運搬船"GALAXY LEADER"（4,500台積み）も攻撃の標的となった。

　NTTデータ（東京都江東区）とNTTデータアイ（新宿区）は3日、日本の通関システム「NACCS」と企業システムを接続・連携して業務効率化を図るゲートウェイソフトウエア「SimGate」の新バージョンをリリースしたと発表した。新バージョンは今年10月に予定されているNACCSのシステム更新に合わせたもので、海上小口貨物に関する簡易通関制度など新制度に対応している。さらに、これまで海上貨物と航空貨物で分かれていた業務メニューの統合や、サーバー処理能力の向上、視認性・操作性の改善などの機能強化を図った。
　海上小口貨物に関する簡易通関制度は、海上貨物を取り扱う事業者が、一定の条件を満たす海上貨物について、輸入（納税）項目の一部を省略して申告できる輸入通関手続きで、貨物量の少ない越境EC（電子商取引）での、業者の申告業務の負担を軽減する。特にコンテナ船を用いる海上輸送では、航空に比べて貨物件数がさらに増加することが想定され、これまで以上に手続きを効率的に処理する必要がある。
　SimGateの新バージョンを導入すれば、企業内システム上の受注・出荷などのデータをそのまま活用してNACCSでの申告が可能になり、手入力やデータの二重管理を省略できる。
また、航空貨物業務・海上貨物業務メニューの統合では、航空用、海上用で別に提供していた業務機能を統合し、輸送形態にかかわらずSimGateを利用できるようにした。異なる輸送手段を用いた業務でもSimGateで処理できるようになり、担当者の業務の負担が軽減されるとともに、複合輸送時の手続きの整合性も高まり、実務効率が向上する。
　このほか、輸出入申告件数の大幅な増加に対応し、より効率的に業務処理できるよう、サーバー処理能力を向上するとともに、利用者の要望に応えて、画面の視認性や操作性を高めたインターフェースへと刷新した。
　両社では、将来的にSaaSによる従量課金型のNACCS接続サービスの提供を目指すほか、他の貿易プラットフォームと連携するなどして、より柔軟で拡張性の高いサービスへの発展を目指すとしている。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、NXタイロジスティクスは7月1日、タイ東部ラヨーン県のイースタン・シーボード工業団地内に新倉庫「イースタン・シーボードロジスティクスセンター」を開設した。
　ラヨーン県は、タイ政府が推進する東部経済回廊（EEC）の中核を成す戦略的地域で、タイ最大の国際港湾であるレムチャバン港にも近接している。近年、世界各国からモビリティやテクノロジー産業の進出が活発化、今後新たなサプライチェーンの構築も見込まれることから、物流需要が急速に高まっている地域だ。イースタン・シーボード工業団地は、日系企業をはじめとする500社以上の外資系製造業が集積するラヨーン県最大の産業拠点であり、周辺にも多くの工業団地が開発、同県のサプライチェーンの中心的な役割を担っている。
　今回開設した「イースタン・シーボードロジスティクスセンター」（320/12 Moo 4, Pluak Daeng Sub-district, Pluak Daeng District, Rayong Province 21140、倉庫面積4,500m2）は、顧客のサプライチェーンの中心となるエリアに立地、モビリティ、テクノロジーなど多様な産業に最適な物流オペレーションを提供できる。立地の優位性を活かして、JIT（ジャスト・イン・タイム）物流やVMI（ベンダー・マネージド・インベントリー）といった高度な物流ニーズにも対応可能だ。

　上海航運交易所（SSE）が6月27日に発表した中長期契約運賃の指標である中国輸出コンテナ運賃指数（CCFI）の総合指数（1998年1月1日＝1000）は1342.99と前週比1.9%下落し7週ぶりに下落、上海出しスポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）も1963.49と5.3%下落し4週連続で下落した。
　先週のCCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が前週比3.3%上昇し1694.30となったが、地中海航路は0.9%下落し2283.86、北米西岸航路が10.6%下落し1084.28、北米東岸航路も8.8%下落し1376.51だった。
　南北航路は南米航路が3.0%下落し1663.56と3.0%下落したほかは、中東ガルフ・紅海航路が2.5%上昇し1610.01、豪州・NZ航路が3.7%上昇し913.27、南アフリカ航路が0.9%上昇し1187.66、東・西アフリカ航路も0.7%上昇し1102.12と値上がりした。
　アジア域内航路は東南アジア航路が0.4%上昇し941.27、日本航路が0.1%上昇し958.26、韓国航路も1.9%上昇し500.61と堅調だった。

　中国の寧波航運交易所（NBSE）が作成、ボルチック海運取引所（英国）が協力する寧波出しスポット運賃を反映した先週の寧波輸出コンテナ運賃指数（NCFI）は輸送需要が不足、ほとんどの航路でスポット運賃が下落し、総合指数（2012年第10週＝1000）は前週比7.9%下落し1258.2と下げ幅が拡大した。21航路のうち4航路の指数が上昇、16航路が下落、1航路がほぼ横ばい、「海上シルクロード」沿いの主要港は16港すべてが下落した。
　欧州航路は需給ひっ迫感が緩和され、均衡傾向にあり、運賃は安定している。運賃指数は欧州航路が1442.5で前週からほぼ横ばい、東地中海航路は1221.4で6.6％下落、西地中海航路も1581.0 で7.3％下落だった。
　北米航路は全体的なキャパシティの下方修正がまだ行われておらず、荷動き量が船腹量に見合うほどではなく、スポット運賃は下落が加速し、運賃指数は北米東岸航路が前週比13.6％下落し1413.1、北米西岸航路も24.3％下落し1176.6へ大幅に落ち込んだ。
　中東航路は地域情勢の影響を受け、市況の低迷が続く中、船社が引き続き値下げ集荷の動きを強め、運賃指数は前週比17.5％下落し1145.6となった。インド・パキスタン航路は船腹供給が輸送需要を大きく上回り、スポット運賃は下がり続け、運賃指数は2416.2と前週比9.7％下落した。
　また、南米東岸航路はスペースタイトが続き、スポット運賃は7週連続で上昇傾向を維持したが上昇率は前週より低下、運賃指数は3657.9で先週比6.1％上昇だった。

　Clarion Shipping West Africaは3日、自社が「ナイジェリア初の完全な国内資本のコンテナ定期航路と呼ぶサービスを開始した。これは、地域貿易の拡大と、主要船社の積み替え輸送に対するサービス向上を目指すもので、ラゴスのティンカンアイランド港でサービスの開始を祝った。
　第1船の”OCEAN DRAGON"（6,100dwt、349TEU、写真）は、2014年建造で、中国船主から購入、乗組員の70%はナイジェリア人。中国からの60日間の航海を経てラゴスに到着した。
　当面はナイジェリアの港湾間でのコンテナ輸送に焦点を当て、政府に対しカボタージュ規則の厳格な適用を促しており、地元経済への支援と所有権を強調することで優位性を発揮する。近く1,789TEUコンテナ船を投入、ナイジェリアからベニン、トーゴ、ガーナ、カメルーン、シエラレオネ、コートジボアールまでをカバーするほか、南アフリカとエジプトへのサービス拡大も計画している。
　既に1,300本の輸出コンテナ貨物の予約を受け付けており、これにより農家や製造業者が遅延やコンテナ不足による損失を回避できるとしており、ナイジェリアの港湾間を2日で結ぶ海上ルートはナイジェリア国内の道路依存型輸送に比べてリスクが低く、輸送が速い点で優位性があると指摘している。
　ナイジェリア初の海運会社としての地位を活かし、Maersk（デンマーク）やMSC（スイス）などの大手船社が西アフリカサービスの拡大を進める中、地域内の積み替え輸送に対応していく。

　ロシア船社のVuxx Shippingは6月下旬からロシア西部のカリーニングラード、サンクトペテルブルクと南米東岸を結ぶSouth America-West Russia（LAN-RU）Serviceを開始した。
　新サービスには1,700～1,900TEU型コンテナ船4隻を投入し、カリーニングラード～サンクトペテルブルク～パラナグア～イタポア～サントス～リオグランデ～カリングラードのローテーションで隔週サービスを展開している。
　第1船の"AEOLUS"’（1,906TEU）がパラナグア起こしで就航したのを皮切りに、7月7日に第2船の"DAHNU"’1,739TEU）、7月21日に第3船の"MUARA"（1,679TEU）が順次投入ずみのほか、第4船の船名は未定となっている。

　海外の海事メディアは、6月9日にインド洋で爆発火災事故を起した、Wan Hai Lines（台湾）が運航するコンテナ船"Wan Hai503"（4,252TEU）の事故対応にあたるインド・ケララ州災害管理局（KSDMA）の発表を紹介し、同船はケララ州南西沖のEEZ外でタグボートにより停泊した状態で、このほどサルベージチームが同船へ乗り込んでの消火、捜索、船体の安定化を進めている。KSDMAは荒天、強風が収まるを待って、避難港への曳航を準備するとしている。
　KSDMAの最新の発表によると4日、サルベージチーム16人が同船へ乗り込み、消火活動によって浸水した船倉や機関室からの排水を進め船体の安定化させるとともに、依然煙が発生している貨物艙へ二酸化炭素の注入や船隊内への冷却材の投入などを実施し、行方不明船員の捜索を実施したが、発見には至らなかった。
　気象状況は当初より改善したものの、依然、強風とうねりが強い状況で作業を妨げているという。現在、燃料油やバラストの状況を確認後、避難港へ入港許可を取得し、曳航する見通しを示している。

　Ocean Network Express Japan（ONE Japan）はこのほど、今後の混雑シーズンを見据え、顧客に輸入コンテナの早期引き取りを呼びかけている。
　ONE Japanによると、現在外国ターミナルでは慢性的な港湾の混雑状態が続き、加えて台風シーズンに入ったことで、日本寄港船のスケジュールの遅延が発生しやすくなり、日本の港湾も混雑やターミナル内蔵置スペースのひっ迫が発生しやすい状況が続いているという。コンテナの蔵置キャパシティを超えた場合、入港船の着岸不可や、荷役の不可、トラックの入場不可などの機能不全が発生する可能性もあるため、顧客に対し、対応ができないといったターミナル機能不全事態を回避するためにも、お盆前から輸入フリータイムに関わらず輸入コンテナを早期に搬出するよう呼び掛けている。

　米国のトランプ大統領は4日、「一つの大きくて美しい法案」（One Big　Beautiful Bill ）と名付けた大型減税法案に署名し、法律として成立させたが、この中で、ロシアと中国の支配に対抗するための沿岸警備隊（USCG）の北極砕氷艦隊の拡大に約90億ドル、またアラスカ州ジュノーに新造したストリス氷砕船の母港化に関連するインフラ整備に3億ドルの予算を配分、北極関連パッケージの最後を飾る形で、米海軍は既存の極地インフラの探査と開発に1億1,500万ドルの予算が配分する。
　法案では、USCGが今後運用する最大かつ最も高性能な破氷船である「ポーラー・セキュリティ・カッター」（PSC）に43億ドルを配分、最初の船は、今年初めに建造を開始、追加予算により、少なくとも 3隻のPSCカッター建造に必要な資金不足が解消される。
　さらに35億ドルの予算が、北極保安カッターと呼ばれる中型の極地用砕氷船のために確保されている。USCGは最近、この船のサイズ、能力、耐久性などに関する詳細を記載した情報要求書を発表。資金は、このタイプの船を少なくとも 3隻建造するのに十分な額だが、その一部は、船が米国で建造されるか、あるいはより低価格となる可能性のある外国の造船所と協力して建造されるかによって異なる。
　この資金配分により、USCGは長年掲げてきた「8～9隻の氷砕船を運用する必要がある」という目標に大幅に近づいたが、船舶の建造と就役までの期間については、依然として不透明な状況。
　トランプ大統領が、法案に署名したことによって資金提供された新しい砕氷船を任期満了までに就航させることを目指しているなら、国内と海外で建造された船舶を組み合わせて推進する可能性が高いが、後者については大統領の特例措置が必要となる。
　昨年11月、米国、カナダ、フィンランドの間で締結された 3カ国間のICE協定は、共同の砕氷船開発への扉を開き、西側同盟諸国は、老朽化した船舶の代替と艦隊の拡大のために、今後 10年間で70隻から90隻の砕氷船が必要になる予想、ドイツと韓国はここ数カ月で新造船の建造を承認している。

　スイスの大手NVOCC、Kuehne+Nagel（K+N）のこのほど、トルコから米国向け浮き乾ドックの輸送を手配した。
　浮き乾ドックは、船舶の喫水線下の損傷などの修理や保守点検などが実施可能な設備で、今回輸送するのはトルコ・ヤロヴァで建造した浮ドック、全長253m、幅54m、高さ21m、重量1万7,300トンで、米国の造船大手のGeneral Dynamics National Steel and Shipbuilding Company（General Dynamics NASSCO）からの依頼でカリフォルニア州サンディエゴに輸送する。
　ドックはヤロヴァ港から外洋に出るまでタグボート4隻に曳航され、そこで重量物船などを運航するBoskalisの保有する最大の半潜水型重量物船"BOKA Vanguard"に積載した。これらの積載作業には3日を要した。
　K+Nのチームは作業実施までの数か月間、 安全輸送の為の計画立案、計測、計算と再確認を繰り返し、実輸送に漕ぎつけたもので、"BOKA Vanguard"はこのほど米国へ向けて出港した。
　同船はその巨大さ故にパナマ運河を通航できないため、大西洋から20m超えの波が荒れ狂う南米南端を経由し、太平洋まで1万3,500海里を航海しサンディエゴを目指す。
　サンディエゴではK+N USAのチームが待機し、ドックの到着とともに荷下し作業を開始する予定だ。

　阪神国際港湾の木戸貴文代表取締役社長は、6月19日にシアヌークビル港湾公社（PAS）の第8回株主総会に現地参加した。
　阪神国際港湾は、2018年12月にカンボジア南部の同国唯一の大水深港であるシアヌークビル港を運営しているPASの株式を取得し、PAS との協力関係を築いている。今回の株主総会では、同じく株主である上組とともにあいさつし、株主総会後にはPASのLOU KIM CHHUN総裁を表敬訪問、知見や技術を共有し、阪神・シアヌークビル両港の発展に向けて、引き続き友好関係を築いていくことを確認した。

　日本郵船がフィリピン・マニラ近郊で、Transnational Diversified Group（TDG）と共同運営する商船大学、NYK-TDG MARITIME ACADEMY（NTMA）は4日、第14期生合計80人の卒業式典を開催した。
　式典には日本郵船の曽我貴也社長、鈴木康修常務、遠藤和也在フィリピン特命全権大使、TDGのJ.ロベルトC.デルガド会長らが出席した。
　曽我社長は祝辞の中で｢パンデミック真っただ中の2020年に入学した卒業生の勇敢な決断とこれまでの挑戦に敬意を表したい。世の中はかつてない速度で変化しているが、混乱の中でも海運業は不可欠な存在だ。私たちの船は、人々が日々必要とする多様な物資を運び、世界中の人々の生活を豊かにしている。日本郵船グループの企業理念"Bringing value to life"を航海のたびに体現してほしい｣と述べ、卒業生を激励した。
　NTMAは昨年、開校以来初の女性学長が就任し、今年で創立18周年を迎えた。昨年には初めて女子学生を迎え、NTMAは多様性を重視した教育と社会への貢献をめざし、同国の海事産業の発展に貢献していくとしている。

　Ocean Network Express Japan（ONE Japan）はこのほど、小中学生向けの夏休み自由研究コンテンツとして、製品のコンテナによる輸出入や海運について学ぶ手助けとなる「身近なものは 世界のどこから、どう届く？」を公開した。同コンテンツはGakken（東京都品川区）とコラボして製作し、ONEの広報サイト 『コンテナワールド』と、小中学生とその保護者、教員のための教育ポータルサイト 『学研キッズネット』 の横断型のコンテンツとなっており、身の回りにあるものが、どこからどうやって届くかを考えることで、海運を身近に感じ、また広い世界に目を向けるきっかけになるように製作している。
　コンテンツはPCやタブレットと、PDFから印刷して手書きで使いやすいものとを用意している。

　コンテナや荷役機器の販売などを手がけるEFインターナショナル（EFI）はこのほど、イタリアのクレーンメーカー、ITALGRUと日本における代理店として提携すると発表した。
　ITALGRUは1954年設立の、港湾、オフショア、産業用クレーンの製造を手がける老舗メーカーで、累計販売台数2万2,000基以上、うち港湾多目的クレーンは230基以上の販売実績を持っている。販売先の70％は欧州向けだが、23％はアジア向けの出荷となり、港湾荷役機器としてはタイヤ式、レール式ガントリークレーンやヤードクレーンなどを幅広く製造している。
　EFIの中尾治美社長は提携の主な理由について、イタリア製品の品質、デザインを評価とブランドの高い信頼性を評価したとし、製品の優れた貨物処理能力と業界最高水準の耐久性のほか、生産性、運用性を高めるためのスマートシステムの搭載、提供していること、また競争力のある製品設計で、世界中のOEM部品ディーラーが対応可能で、手頃な価格で迅速な調達が可能であること、さらに充実したアフターサービスや衝突防止システムをはじめとする優れた安全管理システムを備えている点などをPRした。

　貨物輸送市場情報プラットフォームのXeneta（ノルウェー）によると、6月の世界の航空貨物需要が1％の伸びにとどまったのに対してキャパシティは2％増加、19カ月ぶりに需要を上回ったことで航空貨物運賃は前年同月比4％の落ち込みで2カ月連続のマイナスとなり、国際貿易の先行きが不透明な中、25年の後半はより厳しい状況になるとの見通しを明らかにした。
　25年前半の貨物需要は不安定なマーケット状況の中、それでも3％の伸びを記録したが、後半は関税引き上げ停止期間の終了やeコマース貨物へのデミニミス・ルール適用停止の影響などで見通しは決して明るくない。
　6月の東南アジア～北米路線のスポット運賃は急騰した前年同月に比べて11％の落ち込みで4.79ドルへ、同～欧州も18％減の2.96ドルと2ケタの落ち込みとなり、北東アジア～欧州はキャパシティの拡大がeコマース貨物の増加で相殺され4.28ドルで横ばいだったが、欧州～アジアは貿易の不均衡を反映して前年比9％減の1.39ドルに落ち込んだ。
　Xenetaによると、不透明な先行きに対する対応として荷主が輸送契約の期間を短縮する傾向が見られ、第2四半期では3～6カ月の中期契約が8％増加、その分年間約が減少しているという。

　日本航空（JAL）は7日から再生医療技術の進歩発展に伴う細胞製品の輸送ニーズにこたえるため「J SOLUTIONS PHARMA CELLS」の提供を開始した。
　近年、iPS細胞などを含む再生医療技術の飛躍的な進化でパーキンソン病をはじめとした従来、治療が難しかった多くの疾病に対して、細胞製品が幅広く活用されているが、社会的ニーズがますます高まる細胞製品は、従来の医薬品と異なり輸送難易度が高く、迅速かつ安全で確実な輸送が求められる。
　JALの「J SOLUTIONS PHARMA CELLS」の特徴は、1）細胞に特化したサービス、２）最優先の取り扱いによる最短で便出発90分前の搬入、便到着90分後の搬出を実現、成田・羽田・関西および欧米10拠点で展開（今後展開地点拡大を予定）、3）汚染リスクをできる限り低減できるよう、ほかの貨物と隔離された輸送も可能、などとなっている。
　内閣府の予測では再生医療分野の市場規模は今後10年で10倍以上に拡大すると予想され、この分野での専門的な輸送サービスの重要性はますます増加している。

　シンガポール・チャンギ国際空港が発表した5月貨物取扱実績は、インバウンドが前年同月比4.5％増の9万5,597トンで16カ月連続増、アウトバウンドが1.8％増の8万435トンで3カ月連続増、合計では3.3％増の17万6,032トンで17カ月連続のプラスとなった。
　主要相手国・地域では、インバウンドは中国（シェア23.7%）が7.6％増・2万2,689トン、香港（同10.4％）が1.6％減・9,942トン、オセアニア（同9.7％）が6.0％増・9,299トン、日本（同5.3％）が11.0％減・5,055トン、タイ（同4.9％）が36.4％増・4,688トン、ベトナム（同2.7％）が36.8％増・2,596トンなどアセアン諸国からの輸入増が目立った。
　アウトバウンドはオセアニア（シェア14.9％）が0.3％増・1万1,979トン、中国（同8.6％）が9.2％減・6,942トン、香港（同7.7％）が2.1％減・6,218トン、タイ（同6.6％）が12.6％減・5,298トン、日本（同6.2％）が12.7％減・4,954トン、中東（同5.5％）が23.8％減・4,418トンなど主要相手国・地域向けが低迷、一方で北米が75.8％増・3,371トン、欧州が15.5％増・1万607トンなど先進経済地域向けが好調だった。

　大阪税関が発表した関西国際空港の25年6月国際貨物取扱量は、前年同月比2.2％増の6万3,897トンで9カ月連続のプラスとなった。
　積込量は2.7％減の2万8,241トンと2カ月連続のマイナス、うち輸出が2.9%減の1万9,530トンで５カ月ぶりの減少、仮陸揚量も2.3％減の8,711トンへと2カ月連続のマイナスだった。
　取卸量は6.4％増の3万5,656トンで9カ月連続のプラス、うち輸入は7.9％増の2万5,424トンで16カ月連続増と好調を持続、仮陸揚量も3.0％増の1万232トンで2カ月ぶりにプラスへ転じた。
　25年上期（1～6月累計）の総取扱量は前年同期比6.1％増の36万9,794トンで3期連続のプラスだった。積込量が3.6％増の16万4,471トンと3期連続のプラス、うち輸出が3.1%増の11万4,592トン、仮陸揚量も4.9％増の4万9,879トンだった。
　取卸量は8.1％増の20万5,323トンで4期連続のプラス、うち輸入は9.2％増の14万6,189トン、仮陸揚量も5.3％増の5万9,134トンと堅調な伸びだった。

　福岡空港税関支所が発表した福岡国際空港の6月国際貨物実績は、前年同月比10.5％増の2,960トンと24カ月連続増、24年1月以降では今年2月を除き2ケタの伸びが続いている。
　積込量は10.4％増の1,381トンと18カ月連続のプラス、うち輸出が8.4％増の1,381トン、仮陸揚が26トンで全量増加。取卸量は10.5％増の1,553トンで24カ月連続増、うち輸入が8.0％増の1,381トン、仮陸揚は35トンで全量増加だった。

　北九州市港湾空港局が発表した25年2月の北九州港コンテナ取扱個数は、外貿が前年同月比0.1％減の3万4,467TEU、うち輸出は1.9％増の1万7,840TEU、輸入は2.1％減の1万6,627TEUだった。
　内貿コンテナは移出入合計で前年同月比7.1％減の6,347TEU、外内貿合計のコンテナ取扱個数は1.2％減の4万814TEUだった。
　2月の海上貨物取扱量は、外航輸出が303.9％増の190万トン、輸入は18.4％減の117万トン、外航全体では61.2％増の307万トンだった。内航は移出入合計で5.3％減の563万トン、総取扱量は10.8％増の870万トンだった。
　1～2月累計では、外貿コンテナの輸出が前年同期比0.2％減の3万2,542TEU、輸入が1.7％減の3万4,147TEU、合計で1.0％減の6万6,689TEUだった。内貿コンテナは移出入合計で3.9％減の1万1,917TEU、外内貿合計で1.4％減の7万8,606TEUだった。
　1～2月累計の海上貨物取扱量は、外航輸出161.5％増の230万トン、外航輸入が5.9％減の293万トン、輸出入合計で30.9％増の523万トンだった。内航が移出入合計で2.5％減の1,113万トン、外内貿合計で6.1％増の1,636万トンだった。

　阪急阪神不動産とシーアールイー（CRE）は、シンガポールのSembcorp Development Ltd.と共同でSembcorp Infra Services Pte. Ltd.に出資し、ベトナム北部・中部で物流倉庫の開発・運営に取り組んでいるが、ベトナム北部のディンブー工業団地内で、既に稼働中の倉庫1棟（賃貸面積約1万m2）を有する物流倉庫用地を取得するとともに、同一敷地内に新たに5棟の倉庫を建設する開発プロジェクト「セムコープロジスティクスパーク（ディンブー）」に着手した。
　同所に新設する5棟は2026年冬頃の竣工を目指し、竣工すればセムコープ インフラサービスを通じて運営する物流倉庫は、ベトナム北部の11棟（ハイフォン市内の10棟とハイズオン省内の1棟）と中部の6棟（クアンガイ省とゲアン省内の各3棟）を合わせて、計17棟・総賃貸面積約24万m2となる。
　セムコープロジスティクスパーク（ディンブー）は敷地面積が約15万m2、建物構造が地上1階建て6棟（うち1棟は既存倉庫の取得）となる予定で、賃貸面積は約9万m2（うち、新設倉庫約8万m2、既存倉庫約1万m2）、6月に着工済みで、2026年冬頃に竣工予定。同物件が立地するディンブー工業団地は、ベトナム北部最大の港湾都市であるハイフォン市に位置、また同市と首都ハノイ市は主要幹線道路で結ばれておりアクセスに優れていることから、広域物流拠点として高い優位性を持つ。また、同団地は、再生エネルギー（太陽光発電・風力発電）の導入やプラスチック廃棄物の再利用など、環境に配慮している。

　NSユナイテッド海運は3日、同社が運航するばら積み船"SUNRISE QUEEN"（58,316gt）が青森県の八戸港に入港した外航船2万5,000隻目になったと発表した。
　6月28日の式典（写真）では、八戸市の熊谷雄一市長や港湾関係者30人が出席した。熊谷市長は「八戸港は1939年の開港以来、86年の歴史を刻み、今回、2万5,000隻目を迎え大きな節目を迎えた。今後も地域産業と世界を結ぶ国際貿易の拠点である八戸港を通じて各国との交流をさらに深めたい」と挨拶、続いて、NSユナイテッド海運の山中一馬代表取締役社長が「大きな喜びを感じており、今後も安全運航を徹底し、八戸港のさらなる発展に寄与していきたい」と述べた。

　全国にラストマイル配送ネットワークを有するロジクエスト（東京都千代田区）は、関西国際空港（KIX）の対岸に位置する物流施設「AS-LOGIりんくう」（延べ床面積1万581.13m2、S造り5階建て）に新倉庫を開設し、9月1日から運用を開始する。
　ロジクエストは、これまで主に空港内エリアで国際貨物を取り扱ってきたが、今後さらなる需要の高まりを捉え、今回、初となる空港外における倉庫拠点を開設する。同施設は、関西国際空港の対岸という優れた立地に加え、高い拡張性を有する施設で、最新のマテリアルハンドリング設備を導入することで、増加の一途をたどる越境EC貨物の取り扱いを強化していく。
　また、ロジクエストが展開する全国規模の物流ネットワークである、ラストマイル輸送、長距離輸送（一般貨物）、配達スピードに特化したバイク便輸送を組み合わせることで、幅広い国内集荷対応が可能となり、輸出業務における航空会社への搬入から海外配送までをハンズフリーで任せるシームレスなサービスを実現できる。さらに、海上コンテナの積み込み、積み下ろしといった工程にも対応することで、多様な貨物形態や物流要件にも柔軟に対応できる体制を整えていく方針だ。

　SGホールディングスグループでロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクスは7月1日、新たに千葉県八千代市に「千葉八千代営業所」を開設した。
　千葉八千代営業所は、都心から30km圏内の国道16号側に位置し、成田国際空港へのアクセスも優れた立地だ。近隣には同社の倉庫「千葉北営業所」や「千葉花見川営業所」があり、両拠点の連携による在庫管理やレイバーコントロールによって顧客の繁閑にあわせた物流波動への対応が可能となっている。
　千葉八千代営業所（千葉県八千代市大和田新田686-3、GLP八千代V、3F）は、面積（借り入れ分）は倉庫4,551.27坪 、事務所178.71坪。

　日本GLPは、熊本県菊池市で延床面積約1万8,000m2の先進的物流施設「GLP熊本菊池」を着工、2026年9月末に竣工を予定だ。
　同施設は、経済安全保障上も重要な位置づけにある半導体を製造する企業などが集結するセミコンテクノパークの近隣に位置し、同地域では半導体関連の原材料、部品や完成品を保管するための先進的物流施設への需要が高まっている。同施設は国道325号線沿いに位置し、新設予定の自動車専用道路大津熊本道路・大津西IC（仮称）から約2.8kmに立地、JASMなどの半導体関連工場から車で10分圏内のため、各工場へジャストインタイムで納品が可能な立地だ。さらに、周辺地域では半導体関連産業の拡大に伴いインフラ整備が進み、人口も増加、半導体や関連部品などの工業製品に加えて日用雑貨などの流通・保管需要も高まると予想している。
　施設面では、1社で占有的に施設を利用できる地上2階建てのボックス型で、2層使いとすることで効率的な荷物の搬出入作業を可能にし、1階には片面バース、庫内に垂直搬送機と荷物用エレベーターを設置し、入居企業の効率的な物流オペレーションをサポートする。さらに、庫内には全館空調設備を設置することで、温度管理が必要な精密機器関連などのニーズに対応予定だ。

　デンマークの海運調査会社、Sea-Intelligenceが発表した5月のグローバルスケジュール順守率は前月比7.4ポイントの大幅な上昇を記録し65.8%となり、2023年11月以来の高水準で、今年2月以来、一貫して前月比で改善し続け、前年同月比では、10ポイント上昇した。同スケジュール順守率は、世界の34航路・60船社以上を対象に調査した結果をまとめたもの。
　5月は上位13船社の中最もスケジュール順守率が高かったのはMaersk（デンマーク）で75.9%を記録、次いでHapag-Lloyd（独）が72.5％となり、続く6社は60％から70％の範囲、残りの船社は55％から60％の範囲で、Ocean Network Express（ONE）が55.1％で最低だった。
　従来、アライアンスのスコアは仕向け地での到着のみを基準としていたが、2月の新規アライアンスではこの指標が使用できなかったため、東西航路の発地寄港を含む全到着に基づく新たな指標を導入したという。
　4月/5月でMaerskとHapag-Lloydで構成するGemini Cooperationは全到着便で90.9％、TRADE到着便で88.4％のスケジュール順守率を記録し、MSC（スイス）は全到着便で70.5％、TRADE到着便で77.9％、ONE、HMM（韓国）、Yang Ming（台湾）で構成するPremier Allianceは全到着便で55.2％、TRADE到着便で52.7％を記録した。旧アライアンスの場合、「ALL到着数」は「TRADE到着数」と同じで、CMA CGM（仏）、COSCO（中国）、Evergreen（台湾）、OOCL（香港）で構成するOcean Allianceは57.4％だった。

　国土交通省近畿地方整備局と阪神国際港湾は、関係者の協力のもと、2024年からCONPASを運用しているが、7月14日から、CONPAS予約の取得方法で、実入搬入（輸出）コンテナについて、海コン事業者を起点としたCONPAS予約が可能となる新たな機能を追加する。
　現在、実入搬入（輸出）コンテナをCONPASで取り扱う場合、必ず海貨事業者を起点として海コン事業者へ作業依頼する必要がある。これが14日から従来の予約方法に加え、海コン事業者を起点としたCONPAS予約が可能となるもの。これによって、阪神港におけるCONPASで、海コン事業者起点の予約は、従来から取り扱い可能だった実入搬出（輸入）コンテナに加え、新たに実入搬入（輸出）コンテナについても取り扱いが可能となる。
　海コン事業者を起点としたCONPAS予約の場合、従来の入力必須項目（Booking番号・本数・対象ターミナル）に加え、海貨事業者・コンテナ番号を入力する必要がある。また搬入情報を入力することで、搬入票情報を事前照合することが可能となり、ゲートでのトラブルを未然に防ぐことができる。
　阪神港のCONPAS導入は、大阪港夢洲コンテナターミナル（DICT）が24年3月末、神戸港PC-18上組コンテナターミナルが24年9月にそれぞれ運用を開始している。

　韓国海洋振興公社（KOBC）が発表した先週の釜山港を基準とする韓国型コンテナ運賃指数（KCCI：KOBC Container Composite Index）の総合指数は、北米航路の急落が続き、2449と前週比5.44%下落した。
　釜山発輸出コンテナ運賃指数は、北米、欧州など13航路の各地域別の主要港湾向けスポット運賃（THCなど含む）のFEUあたりの航路別指数と総合指数で構成、航路別指数は荷動き量などを反映して算出、一方で総合指数は航路別運賃指数を加重平均して指数化している。
　東西航路は北米西岸航路が前週比19.67%下落し2,708ドル／FEU、北米東岸航路が11.44%下落し4,836ドル／FEU、欧州航路は6.18%上昇し3,265ドル／FEUとなったが、地中海航路は8.15%下落し4,015ドル／FEUだった。
　南北航路は南米西岸航路が18.47%下落し3,084ドル／FEUとなったほかは、豪州航路が2.85%上昇し1,733ドル／FEU、中東航路が1.86%上昇し2,690ドル／FEU、南米東岸航路が11.12%上昇し6,263ドル／FEU、西アフリカ航路が4.45%上昇し4,608ドル／FEU、南アフリカ航路も5.36%上昇し3,559ドル／FEUと好調だった。
　アジア域内航路は中国航路が4.17%上昇し50ドル／FEUだったほかは、東南アジア航路が4.05%下落し1,065ドル／FEU、日本航路も6.25%下落し225ドル／FEUだった。

　英国の海運造船調査分析会社Clarksons Researchがまとめた今年上半期（1～6月）の海運市況の強さを示す指標であるClarkSea Indexは全部門平均で5％の下落となった。タンカーが33%下落、バルカーが31%下落、LPG船が22%下落、LNG船が56%、自動車運搬船が50%下落する中、コンテナ船が79%上昇し、貿易戦争の不確実性の影響を乗り切る上で重要な役割を果たし、そうでなければ指数の下落はもっと深刻なものになっていた可能性があると分析している。資産市場の取引量も減少し、S&Pの取引量は前年同期比15％減、新造船の受注量は54％減となった。
　ClarkSeas Indexのタンカー部門は、プロダクトタンカーが比較的好調だったにもかかわらず、上半期に33％下落した。ドライバルカーも苦戦し31％の下落となった。LPG船は、超大型液化ガス運搬船（VLGC）が好調だったにもかかわらず、全体で22％下落した。LNG船の運賃低迷は、新造船の竣工が新規輸出プロジェクトに先行していたためで、ブラジル市場が熱かったにもかかわらず、オフショア船の運賃も下落した。
　貿易データを見ると、世界貿易のわずか4％が新たな関税に直面したことで、上半期の貿易成長率はわずか0.4％の低下になったが、年内には 「緩やかな」成長に戻ると予想している。

　インドの主要港であるJ.ネール港、ムンバイ港があるマハラシュトラ州で7月2日、交通当局との労働争議に伴い、トラック運転手が全州でストライキに入ったが、その後、連邦政府のサルナイク運輸大臣と州政府高官との話し合いで30日までストライキを一時的に延期した。
　州政府がトラック運転手の要求を約80%満たすことに同意したことを踏まえたもので、残りの懸案事項についても政府が今月末までに対応を決める見込み。
　一方、港湾労働組合がムンバイで7月9日午前7時30分から7月10日午前7時30分までの24時間ストライキを通告した。いまのところ、他の港湾ではまだストは予定されていない。

　DP Worldグループ（UAE）のフィーダー船社、Unifeederはこのほど、インド／東地中海航路で新たにIndia Med Service（IMD）を開始した。
　IMDはインドとエジプト、トルコを結ぶもので、両地域をより円滑で強力な貿易ルートとして強化するという。
　IMDは7月上旬から10日間隔でサービスを開始し、イスタンブール・クムポート～イスタンブール・マルポート～エジプト～アリアガ～メルシン～ポートサイドイースト～アカバ～ジェダ～ナバシェバ～ムンドラ～ジェダ～アカバ～ポートサイドイースト～アレキサンドリア～クムポートのローテーションで、42日間で一周する。
　トランジットタイムはナバシェバからポートサイドが14日、アレキサンドリア16日、クムポート21日となる。

　中国船社の中聯航運（CULines）は7月から、中国／中東航路で新たにMGAを開始する。
　MGAは華中、華南と中東を結ぶもので、Sea Lead Shipping（シンガポール）が同航路で4,600～10,100TEU型7隻を投入しサービスしているMEGAのスロットを借り、7月9日上海発”Express Rome”（10,114TEU）を第1船に、上海～寧波～南沙～ジェベルアリ～南沙～上海のローテーションで定曜日ウィークリーサービスを開始する。
　MGAの開始とともにCULinesは、DP World（UAE）傘下のUnifeeder、Milaha Maritime & Logistics（カタール）、韓国船社のSinokor Merchant Marine、Heung A LINEと中国／中東航路で協調配船しているCGXから撤退する。
　7月26日上海発”Celsius Emmen”（3,006TEU）を最終船に同サービスを休止する。

　ベトナム船社のHai An Linesはこのほど、東南アジア域内航路の2サービスを開始し、中国とベトナム、カンボジアのメコン地域の接続を強化した。
　新サービスは、一つ目がカンボジアのプノンペンと中国を結ぶもので、6月下旬から南沙、連雲港、ハイフォン、ダナン、ホーチミンとプノンペンを結ぶ。
　また今月上旬に開始したECXは、ホーチミン～ダナン～ハイフォン～連雲港～ハイフォン～ダナン～ホーチミンのローテーションでサービスし、華北、華中とベトナム中部の接続を強化する。
　Hai An Linesは現在、このほかにアジア域内航路で6サービスを提供中で、中国、シンガポール、マレーシア、インド、カンボジアをカバーするサービスネットワークを展開している。

　商船三井はこのほど、世界最大級の発電船事業などを手掛けるKaradeniz Holding傘下のKinetics technologies holdings Ltd.（英国マン島）と、発電船から電力供給する洋上データセンターの共同開発に向けた基本合意書（MOU）を締結した。
　同プロジェクトは、発電船からの電力供給で洋上データセンターを運用する世界初の事業モデルの構築を目指すもので、商船三井の中古船を再利用して洋上データセンターを建設し、Karadenizの発電船から電力を供給を受け、生成AIの普及などで急増するデータ処理ニーズに対応する。
　現在、生成AIの登場でデータセンターの需要は急増している一方、供給側では都市部での電力不足や土地不足、冷却に使用する水不足が顕在化している。洋上データセンターと発電船の統合事業モデルは、資源不足を解消し、今後AIの普及とともに社会に不可欠となる新たなデジタルインフラを迅速に提供するとしている。
　MoUを契機に、2027年の運用開始に向け、洋上データセンターとKaradenizの発電船の統合コンセプト設計の評価などの技術的検証を実施する予定だ。
　この構想では、発電船と組み合わせることで、地域電力から独立して運用可能で、都市圏周辺での大規模な土地の確保や土地の取得費用が不要となる。また、洋上データセンターの改造工事は1年程度で、従来の陸上データセンター開発と比較して開発期間を最大3年短縮できる可能性があり、中古船をベースとすることで需要の変化に応じて稼働場所を変更することが可能だ。既存船体を活用することによって原材料の採掘・加工から生じる環境負荷を低減、初期投資と運用コストを削減することができる。
　現在想定している自動車専用船を利用する場合、床面積が約5万4,000m2で延べ床面積ベースで日本最大級の陸上データセンターに匹敵する。

　海外報道によると、欧州でライン川に次ぎ2番目に長く、重要な内陸輸送ルートであるドナウ川で、水位が記録的なレベルまで低下しており、貨物船の運航能力が低下、運賃の上昇を余儀なくされている。
　ハンガリーでは河川輸送船の積載能力が通常の30～40％に低下し、半分以上の貨物が積み残されており、満載で航行できない場合、追加料金が発生するため、運賃が100％まで上昇する可能性がある。水位がさらに下がれば、貨物輸送は鉄道や道路にシフトする見通しだ。

　海外の海事メディアによると、クロアチア・リエカ港で現在開発が進んでいる第二のコンテナターミナル、Rijeka Gateway Terminal（RGW）が今年9月に稼働を開始すると伝えている。
　RGWは、Maerskグループ（デンマーク）のAPM TerminalsとクロアチアのENNAグループの合弁会社が運営し、運営会社は9月の第2週から、MaerskとHapag-Lloyd（独）で構成するGemini Cooperationによる地中海域内航路のAE12が、リエカ港の寄港ターミナルを既存のコンテナターミナル、Adriatic Gateway Container TerminalからRGWへ切り替え、寄港第1船は9月12日入港予定の”Al Jasrah”（14,993TEU）となる。
　AE12はポートサイドイースト〜コペル〜リエカ～ポートサイドイーストのローテーションでサービスしている。

　豪州・メルボルン港における5月のコンテナ取扱量は29万1,000TEUと、前年同月比2.9％増加した。うち実入りコンテナ輸入量（バス海峡を除く）は家具、家電製品、板紙が前年を上回ったことで、5.7%増の11万1,000TEU、実入りコンテナ輸出量（バス海峡を除く）は11.9％減の5.4万TEUだった。今年3月のコンテナ取扱量は前年同月比6.2%減の26万7,000TEU、4月も4％減の27万TEUと2カ月連続の減少から5月は増加に転じた。

　バングラデシュ・チッタゴン港最大のコンテナターミナル、New Mooring Container Terminal（NCT）をこれまで運営してきたターミナル会社Saif Powertecによる17年間の運営権が6日に終了となり、チッタゴン港湾局は今後6カ月間、NCTの運営をバングラ海軍傘下のChittagong Dry Dock Ltd.に移管した。この決定はバングラ政府とチッタゴン港湾局の運営委員会が承認したもので8日からChittagong Dry Dockが運営を開始した。
　NCTの2024〜25年度（2024年7月～25年6月）コンテナ取扱量は前年比44％増の320万TEUだった。
　Chittagong Dry Dockは元々バングラ鉄鋼エンジニアリング公社の傘下にあり、港湾局の補助機関として、政府保有船の保守、修繕などを手がけてきた。2015年末にはバングラ海軍傘下に移動し、現在は国営有限会社として活動している。
　現在、チッタゴン港にはコンテナターミナルがNCTの他に、Chittagong Container Terminal（CCT）、バルク貨物も取り扱うGeneral Cargo Berth（GCB）、Patenga Container Terminal（PCT）の3ターミナルがあり、CCＴは引き続きSaif Powertecが別個の契約で運営を続ける。

　トヨフジ海運（愛知県東海市）は4日、欧州域内航路に就航する800台積み自動車運搬船”SEA CRUISER 2”（1999年建造、1万962gt、速力約18ノット）”が、英国のグリムスビー港でバイオディーゼル燃料を使用した運航を実施したと発表した（写真）。今回使用した燃料は、既存燃料にバイオ燃料を30％混合している。
　バイオ燃料は既存の内燃機関や燃料インフラが使用可能で、国際海運における低炭素社会構築に向けた足元の対応策として有望視されている。使用するバイオ燃料は、100%廃食油を原料としたもので、ISCC認証を取得しており、廃食油を再利用することで廃棄物を削減し、循環型社会構築へも寄与する。

　先週の中国輸出コンテナ輸送市場は、太平洋航路のスポット運賃が需要低迷と船腹の供給過剰が重なり急落が続いたことから、上海出しスポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2008年＝1000）は1763.49と前週から5.3%下落した。
　先週のスポット運賃を航路別にみると、東西航路は欧州航路が前週比3.5%上昇し2,101ドル／TEUとなったほかは、地中海航路が3.9%下落し2,869ドル／TEU、北米西岸航路が19%下落し2,089ドル／FEU、北米東岸航路も12.6%下落し4,124ドル／FEUだった。
　南北航路は、中東ガルフ航路が4.8%下落し1,961ドル／TEU、東・西アフリカ航路が0.6%下落し4,500ドル／TEUとなったほかは、豪州・NZ航路が2%上昇し853ドル／TEU、南米航路が0.9%上昇し6,374ドル／TEU、南アフリカ航路も0.5%上昇し2,653ドル／TEUと明暗が分かれた。
　アジア域内航路は東南アジア航路が0.7%下落し453ドル／TEUとなったほかは、関西航路が横ばいの312ドル／TEU、関東航路が横ばいの321ドル／TEU、韓国航路も横ばいの136ドル／TEUと安定していた。
　北米航路は米国のトランプ大統領が7日、日本、韓国を含む14カ国に対して8月1日から課す関税率を発表したが関税率の変化があっても、スポット運賃は今年5月から6月のように急騰、急落を繰り返すことはないと予想されている。
　7月の北米航路のコンテナ船腹量は157万TEUでパンデミック以来の最高水準を記録、特に北米西岸航路は週あたりの船腹量が6月比で10.1%増加し供給過剰による運賃への下押し圧力が増している。
　最近の運賃の急落で航路運営戦略に変化が予想される中、7月もEmirates Shipping Lines（ESL、UAE）、Sealead Shpping（シンガポール）、Hede Shipping（香港）など中小船社の新規航路開設が続き、運賃下落に歯止めをかけるのは難しいとみられている。
　欧州航路は6月下旬に混迷を見せた運賃が、7月に入り上昇、一部船社の船腹削減計画が運賃防衛に好材料となったようだ。
　6月のスエズ通航船は24社・77隻で、CMA CGM（仏）が12隻で断トツだったが、他の大型船はゼロで、依然として主要船社の運河利用に慎重な姿勢がうかがえる。長引く欧州主要港での滞船にもかかわらず中東地域の脅威が依然として存在することと、上昇が止まった運賃が運河利用を躊躇させる主な要因とみられている。
　アジア域内航路は6月のコンテナ船腹量が470万TEUで2月比で9%増加、第2四半期はMSC（スイス）が第1四半期に比べ10%増加、CMA CGM、Wan Hai（台湾）もサービスを拡大し競争が激化する中、中国発アジア向け荷動き好調で他航路に比べて運賃は小幅変動にとどまっている。

　イタリア・ジオイアタウロ港における今年上半期（1～6月）のコンテナ取扱量は前年同期比10.5％増の218万6,211TEUで、うち第1四半期（1～3月）が15.5％増の約110万TEU、第2四半期（4～6月）も6.1％増の約110万TEUだった。
　同港を含む地域の港湾を一体管理する西ティレニア海・イオニア海港湾システムにおける2024年の総コンテナ取扱量は400万TEUで、上半期は地中海の積み替え港としての需要が継続し、昨年を超えるパフォーマンスを発揮している。

　米国半導体工業会（SIA）によると、5月の世界の半導体売上高は前年同月比19.8%増の589.8億ドル（約8.6兆円）と13カ月連続の2ケタ増となり、前月比でも3.5％増となった。月間の数字は世界半導体市場統計（WSTS）がまとめた3カ月の移動平均。
　地域別売上高の前年同月との比較では、米州が45.2％増（前月比・0.5％増）、アジア太平洋/その他が30.5％増（同6.0％増）、中国が20.5％増（同5.4％増）、日本が4.5％増（同0.2％増）、欧州が4.1％増（同4.0％増）と好調が持続、とくに米国およびアジア太平洋地区/その他で大幅な伸びが持続している。

　大阪市は、カーボンニュートラルポート（CNP）の実現に向け、「ブルーカーボン生態系」の維持・拡充に向けて取り組んでいるが、ブルーカーボンクレジット「渡り鳥と人をつなぐ大阪南港野鳥園～人工千潟整備による環境保全～」が認証を受け、公募の結果、5社から購入の申し込みがあり、クレジットを譲渡した。
　購入企業は大阪港埠頭、住友倉庫、辰巳商会、東洋建設、夢洲コンテナターミナルの5社で、合計18口を購入、購入クレジット数量はCO2吸収量：23.4トン、購入金額は5社合計で99万円（税込み）。
　大阪市は購入企業に対して、礼状を交付した。引き続き、購入企業をはじめ大阪港の企業・団体とともに、“ブルーカーボン”をはじめとする大阪港のCNP実現に向けた取り組みを進めていく方針だ。

　事業用不動産のシービーアールイー（CBRE）は、西部ガス都市開発（福岡市博多区）を中心とする3社が福岡県糟屋郡新宮町で推進する大型賃貸用物流施設建設事業において総合的なサポートを提供していることを発表した。
　同プロジェクトは2025年夏着工予定で、延べ床面積が約2万1,000坪、2027年春ごろ完成予定。CBREは西部ガスグループが使用していた自社施設の移転に伴い、物流開発の相談を受けた。CBREのグループ会社で、プロジェクトマネジメントとコストマネジメントなどの専業会社である、ターナー&タウンゼント（東京都港区、T&T）と連携して、詳細なマーケット調査・分析の結果に基づき、ボリュームプランを含む基本計画を策定し、当該地の不動産価値を最大化する計画を立案した。同計画に基づき、CBREのアセットマネジメント（AM）部門が主導し、西部ガス都市開発を含む地場の投資家と金融機関が出資する特別目的会社（SPC）を組成の上、物流施設の開発を推進する事業スキームを構築した。
　今後の開発・施工フェーズにおいても、CBREはT&Tと連携して、計画、設計、入札、施工、維持管理の各段階で、品質管理、コスト管理、スケジュール管理を含む包括的なコンストラクションマネジメントをサポートする予定だ。また、完成後は、CBREの物流リーシング部門が施設のリーシングを担う予定。
　同開発事業用地が位置する福岡県糟屋郡新宮町は、福岡市に近接した九州における交通の要衝で、近年、物流施設の開発が活発化している。周辺では、新インターチェンジ設置準備のための調査や、都市計画道路の整備も進んでいる。

　ライフサイエンス産業の生産施設建設に特化したプロジェクトマネジメント会社、シーエムプラスは、同社グループのCM Plus Singapore Pte. Ltd.が、海外における物流・生産施設建設の領域で、物流施設に特化した設計・監修・プロジェクトマネジメントのフクダ・アンド・パートナーズ（東京都中央）と提携したと発表した。
　日本からアジア各国に進出する物流、小売業、製造業の事業成長を、両社一体となり支援していくもの。近年、アジア各国ではコールドチェーンやEC（オンライン小売）市場が大幅に拡大して貨物取扱量が年々増加、物流施設の建設が進んでいる。また平置き型倉庫が多かった日系製造業の生産施設併設倉庫も、土地価格の上昇と土地取得の困難さから高層型自動倉庫の導入の傾向が高まっている。
　シーエムプラスは、医薬品や医療機器、食品、電気・電子部品、ファインケミカルなどの製造工場、付帯する高度物流施設のエンジニアリングサービスをアジア地区で提供している。一方、フクダ・アンド・パートナーズは、アセアン各国でのさらなるサービス強化を計画している。同提携は、アジア地区における倉庫施設建設プロジェクトにおいて、両社が有する特徴を生かしてトータルなエンジニアリングマネジメントを提供するもの。国内での対応、アジア地区での対応をシームレスに提供できる体制を構築していく方針だ。

　三井倉庫ロジスティクスは、自動運転システム開発のT2が開始したレベル2（運転手の監視のもと）自動運転トラックによる幹線輸送の商用運行を利用したオペレーションを開始し、2日から初回運行に取り組んだ。
　今回のT2の商用運行を利用したオペレーションの実施企業は国内で同社が1社目となる。初回運行は、往路がパナソニックオペレーショナルエクセレンスとパナソニックAP空調・冷設機器の業務用冷凍・冷蔵庫などを、群馬県太田市から大阪府摂津市まで輸送したもので、レベル2自動運転トラック走行区間は綾瀬IC～吹田IC間。
　また復路では、アクアの洗濯機（ドラム式）を大阪府枚方市から神奈川県横浜市まで輸送したもので、レベル2自動運転トラック走行区間は高槻JCT～横浜青葉IC間。
　同社は今後も、T2のレベル2自動運転トラックによる幹線輸送の商用運行を継続的に活用してオペレーションし、より効率的かつ持続可能なオペレーションの確立を目指して、トラックの発着組み合わせの最適化や、混載輸送・中継輸送といった多様な輸送手法の検討と導入を推進していく方針だ。

　静岡県清水港管理局が発表した2025年6月の外貿コンテナ取扱個数（速報値、実入り・空合計）は前年同月比3.7％増の3万5,508TEUと4カ月連続の増加となり、この結果、上半期（1～6月累計）の外貿コンテナは前年同期比2.1％増の19万9,391TEUとなった。
　6月の外貿コンテナのうち実入りの輸出は前年同月比2.0％減の1万2,737TEU、実入り輸入は3.3％増の1万7,039TEU、空コンは輸出入合計で20.5％増の5,732TEUだった。
　また、内貿は移出入・実入り空合計で12.8％減の8,440TEU、外内貿合計の総コンテナ取扱量は、前年同月比横ばいの4万3,948TEUだった。
　2025年1～6月累計では、外内貿合計で前年同期比1.6％増の25万4,531TEU、外貿コンテナの実入り輸出は0.4％増の7万3,627TEU、実入り輸入は1.9％増の9万7,462TEU、空コンテナは輸出入合計で7.3％増の2万8,302TEUだった。

　愛知・岐阜・三重を中心に、ポリマー（石油化学品）に特化した物流ネットワークを展開するダイセー倉庫運輸（愛知県小牧市）は7日、愛知県小牧市に自社最大級の物流センター「小牧第3物流センター（通称：JILP／Just Intelligence Logistics Plaza）」を竣工した。
　同センター（愛知県小牧市大字三ツ渕原新田字西新塚115-1）の稼働で、市内に分散していた倉庫の一部機能を集約し、物流導線の効率化を実現。トラックドライバーの待機時間短縮を含む「2024年問題」への対応を強化するとともに、持続可能な物流の形を追求していく方針だ。延べ床面積は9,523.7坪（敷地面積：9,245.6坪）、2階建てで、海上コンテナ専用バース8基、ドックレベラー6基、移動ラック1万5,600パレット、垂直搬送機8基、洗車機・給油所などを備える。
　同社の強みである自動車部品を扱う配送では、納品先1社あたり20～30の出荷元からの荷物を1台のトラックでまとめるため、複数拠点を巡回する非効率が課題だった。新センターの稼働により、これら出荷元の小型倉庫を集約できるため、複数倉庫にまたがっていた積み込み作業が一カ所に集約、大幅に効率化できる。従来平均3時間を要していた積み込み時間の短縮を実現し、政府が掲げる「荷役2時間以内（目標1時間）」の達成を目指す。
　同センターは天候に関係なく全ての荷物を倉庫内で積み下ろしできる構造を採用。また、従来は最大2基だった海上コンテナの受け入れ能力を、8基へと大幅に拡張した。ポリマー製品をはじめとする輸入貨物の増加が今後さらに見込まれる中、輸入対応力の強化とともに、ドライバーの待機時間削減にもつながる設計となっている。
　さらに年間発電力212万キロワットの太陽光発電パネルを設置し、同倉庫の使用電力の55％をカバーする予定で、CO2排出量が年間で146トン削減できる。また効率的なレイアウト設計で、従来センターの約7割の人員で運用できるようになった。