ニュースダイジェスト

　商船三井がシーテック、日立造船、鹿島建設、北拓と構成するコンソーシアムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）が公募した「グリーンイノベーション基金事業／洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」の浮体式洋上風力実証事業で、愛知県沖浮体式洋上風力実証事業を共同提案し、11日に採択された。
　同事業は、発電事業者と浮体メーカー、ゼネコン、風力発電メンテナンス企業、総合海運企業の各社がこれまで培ってきた技術力を融合し、5社共同で浮体式洋上風力発電システム全体を対象とした技術開発に取り組み、2030年度までに一定状況下で浮体式洋上風力を、国際競争力のある価格で商用化する技術の確立を目指すもの。
　今後5社は、NEDOとの交付手続きを経て、事業に着手し、浮体式洋上風力発電の早期のコスト低減と導入拡大を目指した技術開発に取り組む。
　日本政府は、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、再生可能エネルギーを最大限に導入する方針を示しており、特に洋上風力発電については、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として位置付けている。

　川崎汽船とグリーン水素由来の天然ガス製造を手掛けるTree Energy Solutions（ベルギー、TES）はこのほど、2050年の海運業界におけるGHG排出量ネットゼロへの移行に向け、e-メタン（e-NG）に関する包括的な共同検討を開始することで合意した。
　両社は海上輸送でクリーンな燃料の使用を進めるためのバリューチェーン構築を始めとして、e-メタンに関するパートナーシップについて幅広く議論し、同検討を通じ、TESが生産したe-メタンの船舶燃料としての利用可能性の検討、制度設計の研究、将来のe-メタンや原料としてのCO2輸送に向けたe-メタン輸送船や液化CO2輸送船の管理・運航に関する技術的な提携を進める。
　また両社は、低炭素・脱炭素燃料、カーボンインテンシティ、CO2量の算定や証明書などに関連する制度についても研究していく予定。本検討を通じて、e-メタンのプロジェクト開発を後押しし、持続可能なエネルギーへの移行を目指す。
　川崎汽船の金森聡常務執行役員は「川崎汽船は、来るべき海上輸送におけるカーボンニュートラルの実現に貢献し、TESとの提携を通じ、e-メタンの導入を進め、持続可能な海運・物流の基盤構築を目指す」と述べた。

　商船三井と石油資源開発、三菱ガス化学、IHI、三井物産の5社は、エネルギー供給構造高度化事業コンソーシアムの2024年度非化石エネルギー等導入促進対策費補助金（水素等供給基盤整備事業）に福島県相馬地区におけるアンモニア供給拠点の構築に向けた調査に応募し、5月30日に採択された。
　同調査の公募は、エネルギー供給構造高度化事業コンソーシアムが水素などの供給基盤構築の実現可能性調査に要する経費の一部を補助し、実現可能性調査への伴走支援を実施するもので、水素などの大規模な利用ニーズ創出と経済的・効率的かつ自律的発展が可能なサプライチェーンの構築を図ることを目的としている。
　5社は、2024年1月より、福島県相馬地区におけるアンモニアの受入・貯蔵・供給拠点の構築と相馬近辺や東北・北海道を中心とした関東以北の広域圏にアンモニアを供給可能とする事業の実現を目指し、共同検討を開始した。その一環として、公募に応募し、審査の結果、採択されたもので、今後5社は拠点の構築に必要なアンモニア基地の調査や仕様の検討、船舶の調査やビジネスモデルの検討に取り組む。
　5社は、各社の知見を集め、相馬地区を拠点とする東北・北海道を中心とした関東以北の広域圏に脱炭素ソリューションを拡大し、アンモニア供給拠点構築の検討を進めるとしている。
　アンモニアは、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて、様々な用途で活用が期待される原燃料で、水素を別の状態や材料に変換して貯蔵・運搬する水素キャリアーとしても有望で、水素社会構築にも大きな役割を果たすことが期待されている。

　日本郵船が運航する自動車専用船"Cetus Leader"がこのほど、多年にわたる海上気象の観測通報で気象業務の発展に寄与した功績が認められ気象庁から気象庁長官表彰の盾と感謝状が授与された。
　地球表面の70%を占める海洋では、気象データは少なく、気象観測上の盲点となっており、不足する海上気象のデータを補うため、航行中の船舶により気象観測データの収集がおこなわれている。航海中の観測通報は国連の専門機関である世界気象機関（WMO）が奨励し、同じく国連機関である国際海事機関（IMO）の海上における人命の安全のための条約（SOLAS条約）にも規範として定められており、各国の気象機関が外洋を航行する船舶のために気象情報を提供する代わりに、船舶は観測の難しい海洋上での気象情報収集に協力する、という考え方があるという。
　また気象情報を提供するための通報方式も国際的に統一され、風向、気圧、気温、水温、うねりの高さ、雲の種類と高低などの観測結果はすべて数字のコードに変換し、WMOの国際気象通信網を通じて世界中に配信している。

　Ocean Network Express Japan（ONE）は7月から輸入全航路の長期スケジュールの掲載を休止する。
　同社はこれまで月1回、自社Webサイト上で輸入長期スケジュールをPDF形式で公開してきたが、Webサイト上のスケジュール検索ツールが整備されていることから、6月の掲載を最終に休止する。
　ONE Japanは、今後はWebサイト内のGlobalのスケジュール検索ツールを利用するよう呼びかけている。

　国際航空運送協会（IATA）が発表した今年第1四半期（1Q）の世界の航空貨物荷動きは、著しい反発を見せた23年の流れを引き継いで記録ずくめとなった。
　1Qの世界全体の荷動き量は貨物トンキロ（CTK）ベースで前年同期を13.2％上回って過去最高の636億となり、前年4Qの8％増を上回って加速しつつある。活況がつづくeコマースや生鮮品、リチウム電池などの特殊貨物がマーケット需要を押し上げ、すべての地域で前年の水準を上回った。また、地政学的な緊張によるサプライチェーンの多様化も航空貨物需要増に貢献した。
　すべての貨物荷動きの87％は越境取引によるもので、この輸送形態ではアジア太平洋、欧州、北米が牽引し、とくにアジア太平洋航空会社の輸送量は前年同期比で15.9％の伸びを達成、そのマーケット規模の大きさから世界全体の伸びの約40％を占めた。欧州も12.9％の2ケタ増、北米が6.9％増といずれも過去2年以上で最大の伸び率となった。中東の航空会社はスエズ運河通航船舶の減少によるモーダルシフトで23％増ともっとも高い伸び率を記録、アフリカの航空会社も6四半期マイナスの後、前年の4Qから2四半期連続でプラスを維持した。
　供給サイドも22年から力強い伸びがつづき、今年1Qの有効トンキロ（ACTK) は1,381億に達した。旅客便のベリースペースの増大によるもので、1Qでは24.3％増加して全体のキャパシティの53%を占め、パンデミック前の60％に近づきつつある一方で、貨物便のキャパシティの伸びは5.4％にとどまった。
　国際貨物のロードファクターは世界全体で約52％と50％台前半で安定してきている。もっとも高い路線は荷動き量が多いアジア太平洋～欧州、同～北米で、2019年以降はいずれも60％を超えている。もっとも落ち込みが激しかったのはアジア域内路線で21年にはベリースペースの急増で79％減となり、50％をわずかに上回る程度まで落ち込んだ。
　平均貨物イールドは23年末に小幅増となり、今年1Qの季節調整後イールドはさらに改善、ロジスティクス環境の安定化、労働力不足の緩和、燃料コスト管理の向上などを背景に今後上昇していく兆候を示している。ロードファクターの上昇やイールドの改善は、マーケットが回復の足掛かりをつかんでおり、安定成長に向かっていることを示している。

　航空貨物運送協会（JAFA）は11日、2024年度のJAFA定時総会を開催、理事と監事を選任、その後の理事会で新会長に日本通運の杉山千尋副社長（写真左）選任した。理事会後の会見で杉山新会長は「航空貨物業界の発展の基盤となる共通のプラットフォームを構築すべく、引き続き教育・人材育成、安全・保安に注力していく」と述べた。
　また「23年3月からIATA認定のCBTAプロバイダーとなり危険物教育訓練を導入、23年度は合計800人が受講した。今後も、物流の2024年問題へのフォーワーダーとして対応、IATAが進めるデジタルデータプラットフォームのONE Recordへの対応、SAFの利用など環境問題、さらに成田空港の（新貨物地区）構想など大きな課題があるが、情勢を把握し、会員に情報を提供するという、地道な活動を中心に取り組みたい」と語った。
　一方、会長を退任し、新たに副会長・国際部会長に就任した郵船ロジスティクスの岡本宏行社長（写真右）は2年間を振り返り「航空フォワーダーの矜持、覚悟は、分断されつつある世界を、物流を通じてつないでいくことだ。特に航空貨物輸送はend to endのきめ細かなサービスを提供することで、日常生活に貢献しているということを改めて感じた」と感想を述べた。
　そのほか定時総会では、23年度の事業報告、収支決算を承認したほか、24年度の事業計画と予算を報告した。また理事会では、副会長・代表理事・総合部会長に近鉄エクスプレスの鳥居伸年社長、副会長・国内部会長にヤマト運輸の恵谷洋専務、副会長・通関部会長に阪急阪神エクスプレスの谷村和宏社長をそれぞれ選任した。

　阪神国際港湾は、大阪市、大阪港埠頭とともに、大阪港からの農水産物・食品などの輸出促進を図るため、「第8回“日本の食品”輸出EXPO」に出展する。
　同展示会は6月19〜21日の3日間、東京ビッグサイト西展示棟で開催するもので、3者のブースは17-1。大阪港からの輸出食品などについて商社5社が海外バイヤーと商談するとともに、大阪港発海上冷凍混載輸送サービス提供事業の広報活動を展開する。

　経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」 内の「化学品ワーキンググループ」は、関東・東海地区における共同物流実現に向けた実証実験に、9月から12月にかけて、千葉県市原市と三重県四日市市を中継地点として取り組むと発表した。
　同実証実験では、輸送数量の多い関東・東海地区でデジタル技術を用いて、トラック・貨物の動態情報を共通のデータフォーマットに集積し、積載率、稼働台数、混載率などを可視化することで、最適な輸送に向けた共同物流のためのプラットフォームの構築を検討する。将来的には、関東・東海地区における共同物流の実現、また日本全国に展開可能な輸送モデルの構築を目指す。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、NX総合研究所と日本通運は3日に「物流統括管理者（CLO）セミナー」を開催した。
　今年5月15日に公布した「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」では、一定規模以上の特定事業者に対し、中長期計画の作成や定期報告などを義務付け、また特定事業者のうち荷主には、物流統括管理者（CLO）の選任を義務付けるものとなっている。
　このような情勢を踏まえ、NXグループでは物流統括管理者（CLO）や物流総合効率化法をテーマにしたセミナーを開催した。国土交通省と経済産業省のキーパーソンが講演、また国内の物流事情に精通した日本を代表する企業からパネリストを招き、パネルディスカッションを開催した。初めての開催となった今回、会場とオンラインを合せて800人を超える参加者があった。今後も定期的なセミナーの開催を予定しており、来年以降、年4回程度の開催を企画している。現在の物流業界における課題を取り上げ、課題解決に向けた有益な情報提供の場となるよう取り組んでいく方針だ。

　スキマバイトサービス「タイミー」を提供するタイミー（東京都港区）は、センコーと物流センター実証実験の開始に向け合意した。
　実証実験では、6月から印西エリア・浦和エリアで、スポットワーカー活用を前提とした物流センター運営に着手し、庫内のスポットワーカー比率を高め、働きやすい拠点を検証する。将来的には、人手不足の解決に加えて、物流に興味を持った働き手が、経験やスキルを身につけ、キャリアアップできる仕組みづくりや業界の繁閑に合わせた労働力移動を目指す。
　タイミーとセンコーは、双方の専門性を活かして、業務を切り分け・平準化し、学生や主婦・主夫、シニアなどあらゆる層の働き手の経験・スキルに応じた業務を広げていくことが重要と考え、取り組み合意に至った。

　東京都港湾局は7日に東京港大井ふ頭内で確認したアリについて、専門家による同定の結果、要緊急対処特定外来生物であるヒアリと確認したと発表した。
　環境省の定期的な全国港湾調査で発見したもので、確認場所周辺には殺虫餌（ベイト剤）を設置するとともに、環境省が専門家に同定を依頼し、10日にヒアリの働きアリ約10個体であることを確認した。今後も引き続き、環境省と協力して、発見場所において目視やトラップで調査、防除する。

　阪急阪神エクスプレスのインド現地法人Hankyu Hanshin Express India Prt. Ltd.は、プーネ営業所を移転、18日が新営業所で業務を開始する。
　プーネ営業所（Pune Sales Office）：Office No 210, Bhosari Business Center, 113/1/1 Chowk, Near Landewadi, S Block, MIDC Bhosari - 411026 India, 電話：+91-(0)20-4670-0123（変更なし）

　米国小売業協会（NRF）と調査会社、Hacket Associatesが主要コンテナ港のデータを基に小売業向け荷動きを6カ月先まで予測するGlobal Port Trackerの最新レポートによると、好調な米国消費により今後7カ月にわたり200万TEUを超える水準で推移し、米国主要輸入港では、今夏は過去最高レベルの輸入量になると予想した。
　NRFによると、消費者は昨年以上に旺盛な消費を継続し、小売業者はそれに対応するため在庫確保の動きを活発化させているため、今後数カ月にわたり、小売りコンテナの輸入量は高い水準で推移すると予測、7カ月連続で200万TEUを超えると見ている。ただ、需要の高まりにより港湾では混雑状況が悪化しつつあり、輸入業者は再びサプライチェーンの危機に直面しつつある。特に西岸港での輸入が好調で、従来のピークシーズンによる夏から秋にかけての増加する荷動き傾向から、長期間にわたり高水準で推移する傾向へ変化しつつある。また今夏は、中国からの商品への追加関税が8月から発効するのを受け、冬期休暇向け商品の駆け込み輸入が起きていると指摘している。
　4月の小売輸入実績は前年同月比4.6％増の202万TEU、前月比13.2％増加し、2023年10月の206万TEU以来最高になった。
　6カ月予想は、5月が8.3％増の209万TEUと2022年8月の226万TEUに次ぐ量となり、6月はさらに増加し15.2％増の211万TEUで、今年上半期は前年同期比15％増の1,210万TEUになると予想した。
　また7月は前年同月比9.5％増の210万TEU、8月も10.6％増の217万TEU、9月も1.7％増の206万TEU、10月になり2.3％減となるが依然201万TEUと高い水準が続くと見ている。
　ＮＲＦは2024年のガソリン、自動車などを除いた小売商品の売上高が、前年比で2.5～3.5％上回ると予想している。

　大和ハウス工業は、タイで物流施設や工場の開発などを展開する最大手のWHA Corporation PCL（サムットプラカーン県）と、タイで最も倉庫供給面積が多いサムットプラカーン県バンナ地区で、物流施設2棟と事務所兼ショールーム1棟からなる複合開発プロジェクト「WHAダイワ・ロジスティクスセンター・バンナ・トラッドKm.23インバウンド」（総敷地面積約8万3,200m2）を開発、11日に同プロジェクトの最終棟となるマルチテナント型物流施設「バンナ・トラッド プロジェクトB棟」（平屋建て、延べ床面積2万1,848m2）を着工した。
　同プロジェクトは、大和ハウスとWHAが設立した合弁会社WHA Daiwa Logistics Property Co., Ltd.（WHADLP）を通じて開発している。大和ハウスはASEANで、マルチテナント型物流施設をはじめ、コールドチェーン需要の高まりに対応した低温物流施設開発など、事業用施設開発を中心に事業を展開している。タイでは、16年にWHADLPを設立、これまで3プロジェクト・6棟の物流施設などを開発。24年3月にはベトナムでも物流施設開発をスタートするなど、両社の連携を強化してきた。
　「バンナ・トラッド プロジェクト」は、物流施設が集積するバンナエリアに、開発した「バンナプロジェクト」（マルチテナント型物流施設、平屋建て、延べ床面積約4万9,000m2）に続く第2弾。
　同プロジェクトは23年3月に、事務所兼ショールーム「バンナ・トラッド プロジェクトA棟」を着工。24年2月にマルチテナント型物流施設「バンナ・トラッド プロジェクトC棟」（平屋建て、延べ床面積2万3,749m2、最大2社入居可能）を着工し、24年8月に竣工する予定。
　今回着工したのは、最終棟となるマルチテナント型物流施設「バンナ・トラッドプロジェクトB棟」で、最大3社（1区画約5,000m2〜）のテナント企業が入居可能。各区画には事務所を設置することが可能。
　バンナエリアは、首都バンコクから東に約37kmに位置し、バンコクと北東部の主要な都市を結ぶ高速道路6号線や幹線道路のバンナ・トラッド通りに面しているため、バンコク市内への配送拠点として利便性の高い立地だ。また、経済特区である東部経済回廊（EEC）にも近接、物流事業者やEC事業者、製造業などのニーズが見込まれるエリアだ。あわせて、世界最大級のスワンナプーム国際空港から約26km、バンコク港から約32kmと、国際貿易拠点としてもアクセス性に優れている。加えて、日系企業が多く進出しているエリアだ。

　Maersk（デンマーク）は7月上旬から日中航路のSakura Expressを改編し、7月7日上海発”AS Pia”（Voy.427W、2,578TEU）から、上海～横浜～名古屋～上海～神戸～横浜～上海の新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスする。

　ルアーブル港やマルセイユ・フォス港を含むフランスの主要港では、今後１カ月間混乱が予想されている。港湾労働者などの労働組合が所属する国家運輸交通連盟（FNTR）、欧州運輸交通機関機構（OTRE）、運輸物流企業連合（TLF）が、仏政府の法定退職年齢を引き上げる年金改革に抗議して、今月に入り数次の24時間ストや4時間の就労拒否闘争を予定しているもので、7日に実施した最初の24時間ストで、ルアーブル港のRo/Roターミナル、バルクターミナル、コンテナターミナルが港湾労働者によって封鎖、4隻が抜港、18隻の寄港が遅れ、フォス港でも600人の港湾労働者がコンテナターミナルでゲート封鎖したほか、ルーアン港では、船舶3隻とバージ2隻が遅れた。
　24時間ストは、6月13日、21日、25日にも予定、さらに今月は毎週4時間の就労拒否闘争が行われる見通しで、労組側は要求に対して政府から満足のいく回答を得られない場合、争議行為を7月まで延長する可能性があるとしている。
　トラック業界では、フォス港やルアーブル港のターミナルでの搬出入予約枠確保に最大1週間の遅れが生じているほか、商品や物流の停止により追加費用も発生しているとして、物流を他の欧州諸港に振り替える計画と伝えれる。

　米東岸・ガルフ港湾労組（ILA）は10日、A.P,Moller-Maersk（デンマーク）傘下のAPM Terminals（蘭）が運営するアラバマ州・モービル港のコンテナターミナルでILA組合員が関与せずトラックが出入りできる自動ゲートシステムを使用していることが判明、これは使用者団体（USMX）との基本労働協約に違反するものだとし、今年9月末で期限切れとなる6年間の労働協約改定を巡る労使交渉の中止を発表した。
　ILAではUSMXメンバーが東岸・ガルフ諸港全体の基本協約を一方的に回避する事例で、USMXとの合意に対する明らかな違反で容認できないとし、ILAのハロルド・ダゲット会長は、USMEXの主要メンバー1社が現行協約に違反し続けているのであれば、USMXと新労協約を巡り交渉するのは無意味だとし、早ければ10月にもストライキ開始を示唆した。
　一方、MaerskはILAを含むすべての利害関係者との関与を継続、懸念に対処していくとし、APM TerminalsはUSMXの代表を通じてILAとの建設的な交渉を再開、相互に有益な解決策を見い出したいとしている。
　ILAはUSMXとの基本協約改定交渉に先だち、各港湾でのローカル交渉を今年5月17日まで終了する予定だったが、モービル港だけが妥結していないことから、自動ゲートシステムの問題を人員配置などを巡るローカル交渉を促進するためのテコに利用しているとの見方もあり、当面の動きが注目されている。

　ドイツのターミナルオペレーター、Hamburger Hafen und Logistik AG（HHLA）グループ傘下のフォワーダーContainer-Transport-Dienst GmbH (CTD)は今月からスウェーデンのVOLVO製FH電気駆動トラック2台の運用を開始した。
　電気トラックは主にハンブルク港内における電気トラックの最適な運用方法を探るための試験を実施するためのもので、港湾周辺でのコンテナ輸送や充電サイクルなどのデータを収拾し今後の導入計画につなげる。
　VOLVOFH電気トラックは最近、トラックオブザイヤー2024を取得した、最新の高性能電気駆動商用車で、航続距離は260～340km、540ｋWhのバッテリーを搭載している。
　HHLAグループではすでに鉄道会社のMetransが電気トラックを導入し2年間テストを実施、またハイブリッド機関車、電動ヤードクレーンなどの導入も進めている。

　シンガポール海事港湾庁（MPA）が発表した5月の総コンテナ取扱量は前年同月比3.6％増の350万TEUで、1～5月累計は前年同期比7.7％増の1,690万TEUだった。

　Evergreen（台湾）はこのほど、中国の中船黄埔文沖船舶（CSSC Huangpu Wenchong Shipbuildingにメタノール燃料を使用できる二元燃料2,400TEU型コンテナ船6隻を、総額3億1,200万～3億4,500万米ドルで発注した。
　また中国の大手コンテナメーカー、Singamas Management Servicesに新造コンテナ1万本を3,210万米ドル、またChina International Marine Containers（Group）（CIMC、中国国際海運集装〈集団〉）には1万4,500本を4,190万米ドル、さらに中遠海運集団（COSCO Shipping Group）傘下のDong Fang International Container (Hong Kong) （DFIC Hong Kong）には2万5,500本を8,810万米ドルでそれぞれ発注した。

　マレーシア財務省傘下の鉄道事業体、Malaysia Rail Link Sdn. Bhd.（MRL）は10日、マレー半島で建設が進む東海岸鉄道（ECRC）を活用した貨物輸送に向け、国内の自動車市場でトップシェアを握るダイハツ工業が出資する国民車メーカーのPersahhan Otomobil Kedua Sdn. Bhd.（Perdua）などと、2027年1月から完成車や自動車部品の貨物輸送サービスを実施する覚書（MoU）を交わした。
　ECRLは全長665kmで、20カ所に駅を建設、タイ国境に近いクランタン州コタバルからトレンガヌ州、パハン州を通り、スランゴール州ポートクランまで5時間で結ぶ。
　建設工事は今年3月時点で64％が完了、コタバル〜ゴンバク総合交通ターミナル（IITゴンバク）間は26年12月までに完工、27年1月から開業が見込まれ、IITゴンバク～ポートクラン間は27年12月に完工し、28年1月以降に全面開業する見通し。
　首都圏～東部間の貨物輸送は現在、クアラルンプール・カラック高速道路を利用したトラック輸送が中心で、政府は、企業にECRLの活用を促すことでクアラルンプール・カラック高速道路の渋滞を緩和するとともに、より安全な貨物輸送を目指しており、マレー半島を横断する鉄道の建設によってマレー半島東西の経済格差解消のほか、東部のクアンタン港と西部のポートクラン港を結ぶ貨物鉄道の大動脈としての役割が期待されている。

　PSAグループ（シンガポール）でサウジアラビアでターミナル運営を手がけるSaudi Global Ports (SGP)は先月、2015年のダンマン・キングアブドルアジーズ港における稼働開始以来の累計コンテナ取扱量が1,000万TEUに達し、SGPはサウジ港湾局（MAWANI）、税関当局らと記念式典を開催した。
　SGPは2015年からダンマン港でターミナル運営を開始し、2020年からは港内の2カ所目のコンテナターミナルの運営も開始、さらに2022年からは首都リアドでRiyadh Dry Port Ecosystemの運営にも着手している。また2023年10月にはMAWANIと協力し、ダンマン統合物流地区を共同運営することを発表している。

　韓国海洋振興公社（KOBC）が10日に発表した先週の釜山港を基準とする「韓国型コンテナ運賃指数（KCCI：KOBC Container Composite Index）は、中国航路を除き上昇し、総合指数は4043と前週に比べ8.01%上昇し、8週連続でアップした。
　KCCIは釜山港発北米、欧州など13航路の各地域別の主要港湾向けスポット運賃（THCなど含む）のFEUあたりの航路別指数と総合指数で構成、航路別指数は荷動き量などを反映して算出、一方で総合指数は航路別運賃指数を加重平均して算出している。
　航路別にみると、東西航路は北米西岸航路が前週比5.96%上昇し5,955ドル／FEU、北米東岸航路が5.05%上昇し7,109ドル／FEU、欧州航路が7,56%上昇し6,174ドル／FEU、地中海航路も8.58%上昇し6,544ドル／FEUとなった。
　南北航路も中東航路が7.08%上昇し3,751ドル／FEU、豪州航路が9.97%上昇し2,436ドル／FEU、南米東岸航路が5.52%上昇し7,824ドル／FEU、南米西岸航路が9.31%上昇し6,361ドル／FEU、南アフリカ航路が23.20%上昇し6,633ドル／FEU、西アフリカ航路も118.53%上昇し8,110ドル／FEUと急騰した。
　アジア域内航路は、中国航路が2.17%下落し45ドル／FEUとなったが、日本航路は0.46%上昇し219ドル／FEU、東南アジア航路は20.68%も急騰し782ドル／FEUとアップした。

　先週の中国輸出コンテナ輸送市場は、スポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）が3184.87と前週比4.6%上昇し、2022年8月以来の高水準、紅海危機後の昨年12月の3倍以上となった。
　先週のSCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が前週比5.6%上昇し3,949ドル／TEU、地中海航路が1.4%上昇し4,784ドル／TEU、北米西岸航路が0.7%上昇し6,209ドル／FEU、北米東岸航路も3.3%上昇し7,447ドル／FEUだった。
　南北航路も中東ガルフ航路が10.3%上昇し2,855ドル／TEU、豪州・NZ航路が7.3%上昇し1,440ドル／TEU、南米航路が7.1%上昇し7,936ドル／TEU、南アフリカ航路が7.9%上昇し5,205ドル／TEUだったが、東・西アフリカ航路は0.8%下落し6,142ドル／TEUと唯一ダウンした。
　アジア域内航路は東南アジア航路が14.6%も急騰し627ドル／TEUとなったのをはじめ、関西航路が293ドル／TEU、関東航路が299ドル／TEU、韓国航路も163ドル／TEUと、いずれも横ばいで安定推移した。
　上海、青島など中国の主要港でコンテナ船の待機時間が長くなり、港湾混雑が深刻化、シンガポール港やマレーシアのポートクラン港、タンジュンペレパス港などの東南アジア主要港でも滞留時間が増加するなどで、実質的な船腹供給のひっ迫が継続、高運賃水準を下支えしている。
　北米航路は、5月の米輸入コンテナ量が前月比6.2%増の230万TEU、前年同月比11.9%増の230万TEUと堅調な伸びを維持している。1～5月累計では前年同期比155％増加、特に8月から一部中国製品に対する米国の関税引き上げが予告、荷主が船腹確保の動きを強めたことが主な要因で、北米西岸諸港のシェアは42.1%と微減となった一方、東岸・ガルフ諸港のシェアは44.6%へ拡大した。
　欧州・地中海航路の運賃も引き続き上昇傾向を示しており、先週の欧州航路の運賃水準は、4月初旬の2倍に達した。紅海危機の影響でスエズ運河の通航が不可能になり、定期船のスケジュールが遅延しており、特に西地中海航路の遅延が目立ち、西地中海の主要港で積み替え（T/S）コンテナが滞留、港湾の混雑が深刻化している。
　東南アジアでもシンガポール港の混雑が深刻化する中、PSAが混雑緩和のために閉鎖していたターミナルを再稼働させたことで、週あたりのコンテナ処理能力が77万TEUから82万TEUに増加した。

　HMM（韓国）は11日、スウェーデンの家具大手、IKEAと環境への影響を低減し、海上輸送の脱炭素化に貢献する低炭素海上輸送ソリューションであるHMMのGreen Sailing Serviceを利用する契約を締結したと発表した。
　この取り組みの中心は、IKEA製品の海上輸送において、従来の化石燃料から環境に配慮した廃棄物ベースのバイオ燃料に代替することで、二酸化炭素換算（CO2e）排出量の大幅な削減を図るもので、サービスに使用されるバイオ燃料は廃棄物ベースのバイオマスから製造されたISCC（欧州再生可能エネルギー指令に基づく、EU域内のバイオ燃料を対象とした認証制度）認証のバイオ燃料で、HMMは極東～インド～地中海を結ぶFMI Serviceで導入している。
　CO2eは、二酸化炭素（CO2）の量を炭素（C）相当分で算出する方法で、炭素換算値はCO2の量に0.273を掛けて得られ、 逆に炭素換算の値に3.67を掛けるとCO2の量が得られる。
　今回の契約のもと、IKEAの海上貨物輸送全体にバイオ燃料を導入することで、今年3月から来年2月末に約1万1,500トンのCO2e排出量の削減に貢献する見込みで、これは1万4,534TEU相当のゼロエミッション貨物を釜山からロッテルダムまで輸送することができるもの。
　HMMは今年、IKEAと年間輸送契約を締結しているが、伝統的な貨物輸送契約を超えて環境にやさしい燃料多様化を通じてグリーンセーリングサービスをさらに活性化する予定で、今年末、LNG燃料7,700TEU型2隻をはじめ、2025年中にメタノール燃料9,000TEU型9隻などを購入する予定となっている。

　西日本鉄道の国際物流事業本部（にしてつ）は、海運営業部東日本海運企画販売係（名古屋担当）と総合営業部中部グローバルビジネスコーディネーション課を移転し、10日から新事務所で営業を開始した。
　新事務所は、〒460-0008愛知県名古屋市中区栄2-10-1、メイフィス伏見ビル3階、海運営業部東日本海運企画販売係（名古屋担当）は電話：052-307-6910、FAX：052-307-6915、総合営業部中部グローバルビジネスコーディネーション課は電話：052-307-6911、FAX：052-307-6915。なお、西日本営業部中部統括営業所名古屋営業所、中部輸入営業所、営業開発係は引き続き現住所（愛知県名古屋市熱田区神宮2-10-18）で営業している。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、日本通運は20日、21日に幕張メッセで開催の「AWS Summit Japan 2024」に、国内の輸送にともなうCO2排出量可視化ツール「エコトランス・ナビVer.2」を出展する。
　同展示会は毎年延べ3万人が参加する、日本最大のAWSを学ぶイベントで、クラウドコンピューティングコミュニティが一堂に会して、アマゾンウェブサービス（AWS）に関して学習し、ベストプラクティスの共有や情報交換の場として活用する。基調講演や150を超えるセッション、250を超えるEXPOコンテンツを予定している。日本通運の「エコトランス・ナビVer.2」は、AWS Village Industry Zone「CC-094」と、ジール社ブース「H4-B066」の2つのエリアで活用事例として展示、紹介する。

　佐賀県伊万里港振興会は、新たに「伊万里港トライアル助成事業」と「伊万里港集荷助成事業」の2つの助成金制度を新設するなど、24年度の伊万里港における助成制度を発表した。
　22年度に創設した「伊万里港東南アジア・台湾輸出入コンテナ助成金制度」については継続する。新設したトライアル助成制度（荷主向け）は、伊万里港を新規利用または、新たな物流ルートの構築（新規仕向国への輸出／新規仕出国からの輸入）を目的としたトライアル輸送について、トライアル利用にかかる経費（海上輸送費、国内輸送費、梱包料、国内荷役料、輸出入諸経費、税関検査料など）の1/2を助成する。助成上限は輸出が100万円、輸入が50万円。
　集荷助成制度（物流事業者向け）は、貨物利用運送事業者や一般港湾運送事業者などを対象に、新規で伊万里港を利用した貨物1TEU当たり1万円を助成するもので、助成上限は300万円。
　さらに継続する伊万里港東南アジア・台湾輸出入コンテナ助成金制度は、伊万里港と東南アジア・台湾との間で新規に輸出・輸入する荷主と、前年度の実績を超えて輸出・輸入する荷主を対象に、通常・特殊コンテナが3万円/FEU、1.5万円/TEU、リーファーコンテナが4万円/FEU、2万円/TEUを助成する。国際フィーダー航路を利用した場合は4,000円/FEU、2,000円/TEUを加算する。

　日本電気（NEC）とNEXT Logistics Japan（NLJ）は、物流の社会課題解決を目指し、ロジスティクスの全体最適に向けた戦略的な提携の検討を開始する基本合意書を締結した。
　第一弾の取り組みとして、NECの共同輸配送の取り組みを容易かつ効率化する「共同輸配送プラットフォーム」とNLJの物流最適化ソリューションシステム「NeLOSS」を連携することで、共同輸配送における対象ルート・候補決定から配車と荷物の組み合わせを割り出す業務までシームレスなサービス提供の早期導入を目指す方針だ。
　両社は今後、2040年を目標とした物流のあるべき将来像「フィジカルインターネット」の実現に向けて、自動運転トラックを利用した新しい輸配送や、製造から販売までの物流プロセス全体における物流データを高度につなぐデジタル化・標準化、社会実装をともに推進する枠組みの拡大に取り組んでいく。

　霞ヶ関キャピタルは、同社が開発用地のソーシングや企画立案を担い、アセットマネジメント業務を受託している福岡県古賀市の物流施設「LOGI FLAG DRY & COLD 福岡古賀I」の一部区画で、旭食品（高知県南国市、賃貸借契約の開始は7月1日予定）がテナントとして決定したと発表した。
　同施設のテナントはランテック（福岡県福岡市）に続き2社目。同施設は、敷地面積2万3,849.80m2に、鉄骨造り地上3階建て（耐火構造）、延べ床面積が3万6,809.27m2、ドライ・冷蔵・冷凍の3温度帯に対応したマルチテナント型物流施設。福岡市と北九州市を結ぶ要所に位置しており、九州自動車道・古賀ICから約3㎞、福岡ICから約15kmの場所にあり、物流施設として高い交通利便性を有するとともに、福岡空港と博多港まで30分圏内のため、空路と海路双方のアクセスに優れており国外への貨物輸送にも適している。1階は環境に配慮した自然冷媒による冷凍冷蔵設備を設置した冷凍冷蔵区画で、約1,000坪から賃貸可能で、最大3テナントの入居が可能だ。また、設定温度を変更できる機能を有しており幅広い荷物や運用に対応可能だ。

　倉庫シェアリングを提供するsoucoは、非公開物件を含む全国2,500超拠点の登録倉庫の中から100坪未満でも条件に合った倉庫を提案する新プラン「賃貸倉庫プラン」を11日から提供開始した。
　soucoは、国内最大級の倉庫ネットワークを活用した倉庫シェアリングサービス「souco」を提供、24年2月現在、倉庫拠点登録数は2,500を超えて増加、短期利用、小口利用に加え、柔軟な物流網の設計を目的とした倉庫の利用ニーズにも対応している。新プランでは、賃貸を希望する倉庫の条件（天井高、バース形状、耐荷重、倉庫内設備、最寄りICからのアクセスなど）を伝えるだけで、未公開物件含む最小4坪〜1万坪超の大型倉庫まで希望の広さの倉庫スペースが見つけることができ、複雑な条件検索や物件比較の手間なく柔軟に倉庫を利用可能だ。賃貸倉庫では通常案内が難しい100坪未満のスペースや1年未満の利用期間でも希望に合わせて提案可能だ。繁忙期による既存倉庫のオーバーフローや倉庫内設備工事の間のスペース拡張、倉庫移転・建て替え期間中の荷逃しなど、一時的に倉庫の利用・拡張が必要なケースで同プランを利用することで、顧客の課題解決への貢献を目指している。

　JLL（ジョーンズ・ラング・ラサール）は、2024年第1四半期時点の日本の不動産市場の空室・賃料・価格動向、需要・供給動向、見通しをまとめた「ジャパン・プロパティ・ダイジェスト2024年第1四半期」を発表、物流施設については、東京圏は空室率の高止まり、空室期間の長期化が続いているが、賃料は建築コストの高騰による賃料上昇圧力で、新築物件の高い賃料設定は続き、マーケット全体の賃料上昇が続く見通しを示した。また大阪圏、福岡圏も上昇傾向は変わらないとみる。
　東京圏の第1四半期のネットアブゾープションは16万3,000m2となった。Eコマース企業、3PL企業の需要拡大は継続しているが賃料上昇によってテナントの動きは鈍くなっている。第1四半期の東京圏の新規供給は9棟63万1,000m2となり、ストック（総賃貸可能面積）は前期比3％、前年比12％増加した。同期の東京圏の空室率は10.0％となり、前期比1.9ポイントの上昇、前年比1.9ポイントの上昇。第1四半期末時点の東京圏の賃料は月額坪当たり4,641円となり、前期比0.8％の上昇、前年比2.1％の上昇。投資利回りの低下と緩やかな 上昇を反映し、東京圏の物流施設の（専有単価）は上昇傾向が続いている。
　一方、大阪圏では堅調な需要が継続し、新規物件への需要と既存物件の空室消化でネットアブソープションは31万9,000m2となった。新規供給は4棟32万9,000m2で、ストック（総賃貸可能面積）は前期比5％、前年比10％増加し661万7,000m2。新規供給のうち3棟（BTS1棟含む）は竣工時に100％稼働だった。第1四半期の大阪圏の空室率は3.4％、前期比から横ばい、前年比0.2ポイントの低下。第1四半期末時点の賃料は月額坪当たり4,126円となり、前期比1.0％、前年比1.3％の上昇となった。賃貸市場では特に内陸エリアで新規供給が増え、空室の増加傾向が続くと見込まれ、大阪圏全体では空室率は8％程度に上昇するが、建築コストの高騰によって新規供給物件は賃料上昇が続くと予想される。
　福岡の需要は堅調で、既存物件、新築物件に対する需要によってネットアブゾープションは16万7,000m2となった。第1四半期は1物件13万2,000m2の新規供給があり、ストック（総賃貸可能面積）は前四半期から10％増加し、141万m2となった。第1四半期末時点の空室率は5.5％、前期比3.3ポイント低下、前年比で3.3ポイント上昇している。第1四半期末時点の賃料は月額坪当たり3,441円となり、前期比2.7％上昇、前年比4.1％の上昇となった。空室のある物件の数は少なく、新築物件も竣工時点で高稼働が続いており、全体の賃料上昇が続くと予想される。

　川崎汽船は7日、“K”LINE Group 環境アワード2024の表彰式を開催した。
　“K”LINE Group環境アワードは、同グループの役職員が取り組む優れた環境保全貢献活動を表彰するもので、2015年の創設から今回で10回目となる。
　今回も国内外から多数の応募があり、｢独創性｣｢難易度｣｢環境貢献度｣｢継続性｣｢波及性｣などの観点から最優秀賞1件、優秀賞4件、功労賞2件を選定し、明珍幸一社長から受賞者へ記念品が渡された。
　最優秀賞は、ダイトーコーポレーションによる、「曳船における燃料消費削減のための取り組み」で、ダイトーコーポレーションが運航する曳船は燃料消費量・CO2排出削減のため減速運転を実施し、特に曳船”かがやき”では、減速運転に加え、適正なトリムを実現することで約5％の燃料消費量削減を達成した。
　その他、優秀賞には“K” Line Pte. Ltd.、“K” Line (Deutschland) GmbH、ケイライン ロジスティックス、“K” Line America, Inc.がそれぞれ独自の取り組みで評価を受け選定されたほか、過去累積10エントリーしたダイトーコーポレーション、日東物流が功労賞に選ばれた。

　デジタル貿易プラットフォームの開発・提供を手がけるSTANDAGE（東京都港区）は、関西エリアにおける事業拡大・注力に伴い、大阪支社を開設した。
　営業はすでに6月3日から開始している。東京本社以外の国内拠点を設置するのは今回が初。大阪支社の設置により、関西エリアにおけるサービスの拡大や既存顧客へのサポート強化、協業各社とのリレーション醸成を加速していく考えだ。大阪支社：大阪市中央区難波5-1-60、なんばスカイオ27F。

　トラック予約受付サービス「MOVO Berth」、トラックの位置情報を可視化する動態管理サービス「MOVO Fleet」、配送案件管理サービス「MOVO Vista」などのクラウドサービスを展開するHacobuは、物流DXツール「MOVO」シリーズの利用事業所数が2万カ所を突破したと発表した。
　MOVOシリーズの利用事業所数は、21年4月に5,000カ所、22年4月に8,000カ所、23年5月に1万2,000カ所と順調に成長を遂げ、物流の2024年問題対策として、物流効率化に取り組む企業の導入が急速に進んでいる。23年6月に「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」が発表、荷待ち時間削減に向けたMOVOの新規導入数が大幅に増加した。さらに24年5月15日には、荷待ち時間の解消など物流効率化に向けた計画作成を特定事業者に義務づけることを盛り込んだ法律が公布、荷主企業や物流事業者の物流DXに向けた取り組みがさらに加速することが予測できる。
　Hacobuでは、2030年までの中期目標として、「物流情報プラットフォームを創る」を掲げ、マイルストーンとして、まずプラットフォームの土台を固めるべく、25年度にはMOVO利用事業所3万カ所の達成を目指している。

　日本物流団体連合会（物流連）は5日、都内で2024年度第1回物流分野における低炭素・脱炭素化推進に向けた情報交換会を開催した。
　まず基調講演として、鈴与運輸事業営業部の齋藤宏行特任部長兼営業課長が「物流における環境負荷軽減の取り組み」をテーマに講演した。講演は、同社が物流連、経済産業省、日本ロジスティクスシステム協会（JILS）と共催している「物流パートナーシップ優良事業者表彰で2022、23年と2年連続で国土交通大臣賞を受賞したことを記念するもので、大賞を受賞した取り組みとなる、異業種連携の共同輸配送、中継輸送について説明した。講演で齋藤氏は異業種連携の難しさ、中継輸送の問題点などについて説明し、講演後はEV車両の導入検討や、浜松地区の中継拠点はどういった倉庫を新設するのかなどの質問があがった。
　その後、参加メンバーによる情報交換会を実施し、「自社の物流提案を通じて顧客の温室効果ガス排出量の削減を実現することができるか」をテーマに情報交換した。

　インドのアダニ・エアポート・ホールディングス（AAHL）は傘下の空港運営会社7社が23/24年度に取り扱った貨物量が前期比7％増の101万3,115トンに達し、インド全土の航空貨物量の30.1％を占めたと発表した。このうち国際貨物は全体の65％を占める66万2,258トンで前期比9％の増加となった。おもな輸送品目は自動車、薬品、電子・電気製品、工業製品などで、相手国はドイツ、オランダ、UAE、英国、米国など先進諸国の比率が高かった。
　アダニグループは港湾、空港、道路、鉄道などの輸送インフラやエネルギー事業に権益を持つコングロマリットで、買収やIPO（新規上場）などで急成長してきた。AAHLは19年にアダニ・エンタープライジズの100％子会社として設立され、買収などで急成長、現在はムンバイ、アフマダーバード、ラクナウ、トリヴァンドラム、マンガロール、グワーハーティー、ジャイプルの7空港を運営するインド最大の空港インフラ企業。さらなる拡張を目指してムンバイ郊外にムンバイ国際空港の機能を補完するナビムンバイ新空港を建設中で、来年３月までに部分開業の予定となっている。

　ANAグループが発表した4月の国際貨物取扱量は、前年同月比1.9％減5万889トンで27カ月連続のマイナスとなっが、前月に続き2カ月連続で5万トン台を確保した。同郵便は21.3％減の1,036トンで11カ月連続の減少だった。
　国内貨物は8.8％増の1万9,981トンで2カ月連続のプラスへと回復、同郵便は2.8％減の1,690トンで11カ月連続のマイナスだった。

　ANAグループ、JALグループ、日本産直空輸、北海道エアポートは、日本全国の野菜・果物やスイーツなどの「鮮度」「品質」にこだわり、航空便で函館空港に集結させて販売する「全国各地から集結!! 産地直送物産展＠函館空港」を22日（土）・23日（日）に函館空港国内線ターミナルビル2Ｆで開催する。今年で3回目となる同物産展は、ANA Cargo・JALグループが航空輸送を提供し、道南地域や函館を訪れた全国各地からの旅行者に、函館ではふだんは手に入らない採れたて・作りたての産品を販売する。
　販売商品は沖縄県のパイナップル、ナムワバナナ、じーまーみ豆腐、香川県のアスパラガス、和三盆小豆ロール、山形県のさくらんぼ（佐藤錦・紅秀峰）、秋田県のバナナボートなど。

　チャンギ国際空港（シンガポール）の23/24年度業績は旅行需要の回復で順調に伸び、11月には3年半をかけて拡張工事をしていた第2ターミナルの再開で第4 四半期では勢いがつき、年間の収益は前期比45％の著増で27.27億Sドル（約3,169億円）に達した。それに伴って経費も20％増加して22.33億Sドルとなったものの、EBITDA（利払い前・税引き前・償却前利益）は13.05億Sドルと60.5％の大幅増、純利益は4.31億Sドルへと13倍に跳ね上がった。

　Container Trades Statistics（CTS、英国）がまとめた今年4月の世界コンテナ荷動き量は、1,477万3,378TEUと前年同月比6.3%増加、前月比で4.5%減少した。運賃指数（2008年＝100）は83で、前年同月の8から5.7%（5ポイント）低下、前月の85からも2ポイント低下し、2カ月連続でダウンした。
　4月のコンテナ荷動き量を地域別にみると、極東地域は輸出が前年同月比8.8%増の879万1,352TEU、輸入も7.4%増の550万8,951TEUと好調、欧州地域は輸入が5.8%増の293万1,356TEU、輸出も2.0%増の228万94TEUとプラス、北米地域は輸入が8.5%増の268万2,872TEU、輸出も3%増の119万9,042TEUでプラスだった。
　インド亜大陸・中東地域は輸入が7.1%増の168万2,872TEU、輸出が0.9%増の116万4,339TEU、中南米地域は輸入が8.5%増の94万283TEU、輸出が2.8%増の76万1,967TEU、うち最大市場のブラジルは輸入が5.5%減の25万3,196TEU、輸出が2.8%増の25万1,450TEUだった。
　また、サブ・サハラアフリカ地域は輸入が8.5%増の94万283TEU、輸出が2.8%増の76万1,967TEU、オーストララシア・オセアニア地域も輸入が10.5%増の35万1,446TEU、輸出も25万836TEUと輸出入ともプラスだった。

　郵船ロジスティクスの中国法人Yusen Logistics (Shenzhen) Co., Ltd.は、5月から東莞虎門総合保税区（Bonded Logistics Park : BLP）において航空輸入貨物の取り扱いを開始し、輸出入ともに香港国際空港をフィーダー船でつなげるサービス体制を構築した。
　同社は23年3月に東莞虎門BLPに自社CFSを開設し、香港国際空港のレギュレーションの下、航空輸出貨物をフィーダー船で香港国際空港へ輸送し、航空機に搭載するサービスを提供している。今回、東莞虎門BLP内で航空輸入貨物の取り扱いを開始したもので、香港国際空港に到着した貨物を直接フィーダー船で東莞虎門BLPへ輸送、海外から一気通貫で東莞へ到着するルートを確立した。航空輸入貨物の取り扱いが加わり、輸出入どちらも東莞虎門BLPを利用したサービスを提供できる体制が整った。5月のサービス開始以降、台湾やタイからの航空輸入貨物を恒常的に取り扱うなど、旺盛な需要に対応、ビジネス環境の変化でサプライチェーンの効率化が必要な中、新しい価値を創造し顧客の選択の幅を広げるため、香港、深圳、広州に加え東莞も、広東省珠江デルタの9都市（広州、深圳、珠海、佛山、東莞、中山、恵州、江門、肇慶）や香港、マカオを含む地域である大湾区内の航空貨物物流拠点として機能を拡充した。

　中国船舶集団公司（CSSC）傘下の上海外高橋造船は6日T.S. Lines（香港）とメタノール燃料レディ14,000TEU型コンテナ船2隻および7,000TEU型コンテナ船2隻の建造契約を締結すると同時に、7,000TEU型コンテナ船"TS Dubai"の命名・引き渡し式（写真）を開催した。 5月29日の7,000TEU型コンテナ船1隻の引き渡しと1,1000TEU型コンテナ船4隻の建造契約に続き、外高橋造船はわずか1週間で新造船の受注と命名・引き渡しを開催したことになる。
　今回契約した14,000TEU型2隻は、外高橋造船が独自に研究・設計した新世代の環境対応大型コンテナ船で、在来燃料方式によるダブルアイランド設計を基礎に、メタノール燃料推進システムを新たに採用、脱硫、炭素削減、省エネ、抵抗低減装置が装備されており、速度の最適化、炭素排出量の削減、燃料消費と運航コストの効果的な削減を実現する。また、2隻の7,000TEU型は、基本的にこのタイプのシリーズ船の設計を踏襲したもの。
　一方、"TS Dubai"は外高橋造船がT.S. Lines向けに建造した7,000TEU型6隻シリーズの4隻目で、全長272m、幅42.8m、深さ24.6m、喫水15m、約8万6,000dwtで、オンデッキに9段17列、船倉内に8段15列のコンテナを積載、800口のリーファープラグを装備する。
　現在、外高橋造船は11.4万dwt型アフラマックス型プロダクトタンカー1隻、19万dwt型デュアル燃料式ケープサイズばら積み船2隻、7,000TEUコンテナ船10隻を含む13隻の新造船を引き渡し、年間目標の59％を達成した。

　インドからの報道によると、インド政府は海運による外貨獲得を促進するため、今後10年間で少なくとも1,000隻の外航船隊確保へ新たな海運会社の設立を計画している。会社名は明らかにされていないが、石油、ガス、肥料などの国営企業が共同保有することになり、新会社は西部のグジャラート（GJ）州ガンディナガルにある国際金融特区（GIFTシティ）に本社を置き、優遇税制措置などインセンティブの提供と合理化された規制環境のもとでシンガポールなどの拠点と競争を目指し、政府が主要港湾当局と提携して創設を計画している約3万ルピー（36億米ドル）からシード資金を調達する予定。
　インド企業は2019年／20年会計年度（19年4月～20年3月）に850億米ドルの運賃を支払い、そのうち750億米ドルは外国船舶の使用料として支払われているという。
　インドはタンカー、ガス船、コンテナ船、ドライバル船など約1,500隻の大型船を保有しており、外国船社への貨物輸送を20247年までに少なとも3分の1削減する計画という。
　インドの石油省と海運省は今年1月、すべての国営石油会社と新海運会社が協力することで合意、5月にはロードマップを策定、タンカーの取得・所有・運航、その他の主要産業分野におけるインド海運公社の専門知識を活用するため、政府と業界関係者で構成する共同作業グループを発足している。

　COSCO（中国）とOOCL（香港）は6月下旬から太平洋航路のピークシーズン向けに新サービスのSEA3/PSX Serviceを開始する。SEA3/PSXには塩田23日起こしの"Xin Fei Zhou"（8,533TEU）を第1船に、8,000～10,000TEU型コンテナ船6隻を投入し、高雄～厦門～塩田～ロングビーチのローテーションで定曜日ウークリーサービスを展開する。

　MSC（スイス）は7月から、新たに極東／北欧州航路でBritannia、極東／南米東岸航路ではCariocaをそれぞれ開始する。
　Britanniaは、中国・ベトナムと英国・リバプールを直航で結び7月1日上海発"MSC Denisse X"（9,640TEU、Voy.QB427W）を第1船に上海～寧波～塩田～ブンタウ～リバプール～ロッテルダム～アントワープ～ハンブルク～ロンドンゲートウェイ～シンガポール～上海のローテーションでウィークリーサービスする。
　同サービスは英国の複数の港湾に寄港し、特にリバプールに直接寄港することで大ブリテン島北部地域の荷主のニーズに対応する。
　Cariocaは、既存のアジア／南米航路サービスのIpanema、Santanaに追加してサービスを開始し、7月19日釜山発"MSC Yokohama"（7,500TEU、Voy.QI429A）を第1船に釜山～上海～寧波～蛇口～シンガポール～リオデジャネイロ～パラナグア～イタポア～サントス～イタグアイ～コロンボ～シンガポール～釜山のローテーションでウィークリーサービスを開始する。
　同サービスは、新たにイタポア、リオデジャネイロへ直航で接続、またリオデジャネイロ積み替えでナベガンテス、ビトリア、ラプラタ川流域向けの貨物も引き受ける。サービス開始により中国、韓国からサントス、パラナグアなどブラジル向け便数増加による接続強化を図る。
　日本からは輸出時は日本／中国／東南アジア航路のKaguyaで上海積み替え、もしくは日本／東南アジアのOrigamiでシンガポール積み替えで接続する。また輸入は釜山積み替えで接続する。

　中国の青島を本拠とする物流会社、楽艙集団（Lecang Group）の子会社、博亜国際海運有限公司（BAL Container Line）は塩田6月1日発から中国とメキシコを結ぶChina-Mexico Express（CMX）Serviceを再開した。
　CMXには新たに用船した"Amoureux"（1,809TEU）を投入、6月と7月に合わせ2航海、塩田～青島～ラザロカルデナス～マンザニーヨ～塩田のローテーションで配船する。
これにより、BALは2023年1月9日の"Northern Debornair"（3,534TEU）を最終船にCMXを中止して以来、外航コンテナ航路へ再参入した。

　中国の寧波海運取引所（NBSE）が発表した先週の海のシルクロード指数、寧波輸出コンテナ貨物指数（NCFI）は、需給ひっ迫が続き、スポット運賃が上昇、総合指数（2012年第10週＝1000）は2557.6と前週比3.6%上昇した。21航路のうち19航路が上昇、2航路が下落、「海のシルクロード」沿岸の13港が上昇、3港が下落した。
　欧州航路はスペースが依然として非常にタイトで、一部出港便は見つけるのが困難なため、スポット運賃は小幅上昇、地中海航路も需給が安定していた。今週のスポット運賃は比較的低水準で推移、運賃指数は欧州航路が2823.6で前週比5.3％上昇、東地中海航路は2394.5で1.3％上昇し、西地中海航路は3731.5で1.7％上昇した。
　北米航路も輸送需要は依然として堅調で、出港船は基本的に満船、需給も良好で、スポット運賃は小幅上昇、運賃指数は北米東岸航路が2607.1で前週比1.1%上昇、北米西岸航路は3731.5で0.5%上昇した。
　中東航路は船社が輸送能力を引き続き抑制し、逼迫した需給を維持しており、スポット運賃は上昇傾向を維持、運賃指数は2314.7で前週比2.7％上昇した。
　さらに先週は、シンガポール・マレーシア航路で仕向け港の混雑がまだ緩和されておらず、スポット運賃は大幅に上昇を続け、今年に入ってからの最安値と比べて286.8％上昇、運賃指数は2243.0と前週比21.9％上昇した。

　上海航運交易所（SSE）が7日に発表した先週の長期契約運賃の指標である中国輸出コンテナ運賃指数（CCFI）は日本航路を除き上昇、総合指数（1998年1月1日＝1000）は1592.57と前週比6.5%上昇、上海出しスポット運賃（THC除く）を反映した上海輸出コンテナ運賃指数（SCFI）の総合指数（2009年10月16日＝1000）は3184.87と4.6%上昇した。
　先週のCCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が5.2%上昇し2337.51、地中海航路が3.8%上昇し2858.60、北米西岸航路が5.2%上昇し1248.37、北米東岸航路も7.8%上昇し1366.64となった。
　南北航路も豪州・NZ航路が1.8%上昇し974.29、中東ガルフ・紅海航路が4.9%上昇し1955.35、南米航路が9.0%上昇し1374.35、南アフリカ航路は14.8%上昇し1544.33、東・西アフリカ航路が19.7%上昇し1321.35と2ケタアップした。
　アジア域内航路は日本航路が4.1%下落し722.02、東南アジア航路が16.2%上昇し928.80、韓国航路が0.3%上昇し486.08だった。

　ベトナム港湾協会（VPA）がまとめた2023年のコンテナ取扱量は全国の総合計で1,933万832TEUと前年比13.1%増と好調だった。南部が前年比11.3%減の1,385万692TEUと全体の71.7%を占め、北部は大水深ターミナルTan Cang Hai Phong International Container Terminal (TC-HICT) の寄港船が増加し、7.7%増の127万2,859TEUと2ケタプラス、中部は5.9%減の86万2,072TEUでマイナスだった。
　南部のうち、ホーチミン／ドンナイは合計で1%減の831万4,046TEUで、うちベトナム最大の港湾ターミナル会社、Saigon New Port（SNP）が運営するカトライが2.7%減の533万2,128TEU、ホーチミン市内のドンナイ川沿いのVICTは2.3%減の54万9,643TEU、ベンゲも7.4%減の36万5,019TEUとマイナスだったが、サイゴンは74%増の23万771TEUと急増した。
　また、東西航路の大型コンテナ船が寄港するバリアブンタウは合計で38.3%増の548万2,842TEUと大幅増を記録、うちSNP／商船三井／Wan Hai Lines（台湾）／韓進（韓国）の合弁ターミナルのTCIT+TCCTが3.9%減の188万5,942TEU、APM Terminals（デンマーク）が合弁運営するCMITが19,2%減の64万4,273TEU、日本のODA（政府開発援助）で建設、SNPが運営するTCTTは53.7%増の82万938TEU、SSA（米国）の合弁ターミナル、SSITが29.3%減の49万6,537TEUで、TCTTの突出した増加が目立った。
　北部はハイフォン港が7.5%減の126万7,222TEU、商船三井、伊藤忠商事、Wan Hai、SNPの合弁ターミナルであるHICTは大型船の寄港が増え、7.7%増の127万2,859TEUとハイフォンに迫っている。
　中部はダナン港が23.5%増の67万5,267TEU、クイニョン港も9.5%増の15万924TEUと好調だった。

　CMA CGM（仏）は今月下旬からアジア域内航路のサービス群、NWUK/SCUKを改編し、新たにスペイン・ビルバオ港に追加寄港することで　英国、オランダからスペインへの接続を強化し、欧州域内航路の利便性向上を図る。
　NWUKはLoop1～3からなり、SCUKと合わせて域内ネットワークとして運航中で、今回新たに投入船を1隻追加し4隻体制で、6月21日ビルバオ発"Encounter"から、NWUK Loop1がビルバオ（土／日）～リバプール（火／水）～グリーノック（木／金）～ビルバオ（月／水）、Loop2はビルバオ（月／水）～リバプール（金／土）～ブリストル（日）～ビルバオ（水／木）、Loop3はビルバオ（木／金）～ダブリン（日／月）～リバプール（火／水）～ビルバオ（土／日）、SUCKはビルバオ（水／木）～ティルブリー（土／日）～ロッテルダム（日／火）～ビルバオ（木／金）の新ローテーションで定曜日ウィークリーサービスする。
　この改編によりリバープールへの接続強化、ロッテルダム積み替えによるスカンジナビア、バルト海地域への迅速輸送、またトランジットタイムの短縮による生鮮品などの需要に対応し、45HQリーファーコンテナにも対応し、ビルバオ港からはスペインの内陸部向け鉄道ネットワークに接続し輸送できる。

　Evergreen（台湾）の5月の売上高は前年同月比40.3％増の322億台湾ドルと2ケタの増収になった。
　また1～5月でも前年同期比36.2％増の1,526億台湾ドルになった。

　中国船社のSITC Container Linesは上海13日起こしの"SITC ZHI"（1,781TEU）を第1船に新造船2隻を投入し、アジア域内航路の新サービス、China-Philippines 7（CPX7）Serviceを開始する。CPX7は上海～温州～マニラ（South）～セブ～カガヤンデオロ＝上海のローテーションによる定曜日ウイークリーサービス。

　ロシアのターミナル会社、Global Ports Investmentとレニングラード州政府はこのほど、サンクトペテルブルク港近郊のウスチルガ港のコンテナターミナル、Ust-Luga Container Terminal (ULCT)におけるコンテナ、バルク貨物の取扱能力増強計画に取り組むことで合意した。
　今後2032年までに年間貨物処理能力を現在の500万トンから2,500万トンまで増強するとしている。
　ULCTにはOctober Railwayが接続し、サンクトペテルブルクを経由し他の内陸部向けに円滑な輸送を実現するという。

　三菱重工グループの三菱造船（横浜市）は7日、下関造船所江浦工場でトヨフジ海運（愛知県東海市）から2隻を受注して建造中のLNG燃料Ro/Ro船の1番船、"Trans Harmony Green"の命名・進水式を開催した（写真）。今後、艤装工事、試運転などを経て来年1月末に引き渡された後、アジア航路に就航する予定。
　同船は、長さ約195m、幅約30.6m、約4万9,500gt、乗用車約3,000台の積載能力を有し、主機関と主発電機関には、LNGと軽油それぞれを燃料として使用できる高性能二元燃料エンジンを搭載し、同型の重油焚き船と比較しCO2排出量を25％削減、SOx（硫黄酸化物）排出量はほぼゼロという優れた性能を達成、環境負荷の低減に寄与する。

　商船三井の米国現地法人、MOL (Americas) LLCはこのほど、カリフォルニア州ロサンゼルス／ロングビーチ港湾局、トヨタモーターノース アメリカ、Toyota Tsusho America, Inc.、岩谷産業、在ロサンゼルス日本国総領事館の協力を受け、スタンフォード大学で70年ぶりに新設された学部、Doerr School of Sustainabilityの学生に対し、サステナビリティ教育プログラムを実施した。　同プログラムでは、港湾における水素などの次世代クリーンエネルギーの利用や様々な脱炭素の取り組みの紹介、また商船三井が運航する自動車船の訪船を通じ、学生は海運業界および港湾における環境負荷の低減とサステナビリティの促進に向けた革新的な取り組みについて理解を深めた。
　商船三井の関係者は、「海運は世界の人々を支える重要なライフラインで、将来世代に対して海運の価値を提供し続けるためには脱炭素を実現しサステナブルな産業に変革する必要がある。スタンフォードの英知を活かして海運の脱炭素を実現したい」と述べた。

　Yang Ming（台湾）は米海洋大気庁による、海洋、大気の環境保護プログラム、Protecting Blue Whales & Blue Skiesに参画しており、このほど3度目のサファイア賞を受賞した。
　Yang Mingは2023年から、国立海洋科学・技術博物館と共同で、サンゴ回復プロジェクトを開始し、合計1,064個の珊瑚の卵を培養し、海洋環境の保全と生物多様性の確保により持続可能性の向上を図ってきた。
　同プロジェクトでは、Yang Mingの社員87人が、16種類の珊瑚を養殖し、元の大きさより50％も大きく成長した個体もあり、海への移植成功率を向上させた。
　Yang Mingは2016年からProtecting Blue Whales & Blue Skiesに参画し、カリフォルニア州沿岸で鯨を船舶からの騒音や衝突事故から守るため、10ノット以下の低速航海に協力するなどの取り組みを続け、これまでに2020年、2022年にも受賞している。
　Yang Mingはこのほか、生物多様性保護や森林破壊防止プログラムへの参画を決定するなど、幅広く持続可能な取り組みを続けている。

　貨物輸送市場情報プラットフォーマーのXeneta（ノルウェー）が発表した最新データ分析によると、世界の航空貨物市場は、5月の需要が前年同月比12%の急増を受け、2024年は通年で輸送量が2ケタ成長する可能性があるとみている。
　昨年末の保守的な1ケタ台前半の業界成長予測にも関わらず、貨物輸送能力に対する6カ月連続の「非常に異常な」需要増加で、5月の世界の航空貨物スポット運賃は前年同月比9%上昇、2カ月連続でアップし2.58ドル／kg、前月比では5ポイント上昇した。
　5月の上昇率が高かったのは、紅海の混乱が続いているためで、中東・中央アジアから欧州向け航空貨物スポット運賃が110%上昇し3.21ドル／kg、東南アジア、中国から北米向けはそれぞれ65%と43%上昇し4.64ドル／kgと4.88ドル／kgになった一方、中国から欧州向けも34%上昇し4.14ドル／kgだった。
　紅海の混乱により、極東から北欧州、北米西岸向け海上コンテナ輸送のスポット運賃が前年同月比で3倍に上昇したことも寄与している可能性があると指摘している。
　しかし、海上から航空への大きなシフトは、起こりそうにはなく、新型コロナのパンデミックの発生と比較して、今回のコスト高騰は、サプライチェーンの混乱増大による影響を排除するために荷主が海上輸送のピークシーズンに先立って輸入を前倒ししたことが引き金となった可能性が最も高いからだ、と分析している。
　中国から北米向け航空貨物市場は、回復力のある米国経済と旺盛な電子商取引（EC）需要により成長を続けたが、航空貨物業界にとっての大きな問題は、中国からのEC商品の出荷に対する米国の取り締まりの後に何が起こるかで、中国を除くECの潜在的なコスト上昇と輸送時間の増加により、米国の消費者が商品を購入する機会がますます減れば、それが世界に波及する可能性があり、EC貨物の輸送業者が減れば、再び一般航空貨物市場に参入し、供給に顕著な影響を及ぼし、運賃引き下げ圧力がかかる可能性を無視することはできないとしている。

　日本郵船とANAホールディングス（HD）は10日、ANAHDが郵船傘下の日本貨物航空（NCA）を完全子会社とする株式交換の効力発生日を今年7月1日から来年3月31日に変更すると発表した。株式交換は、各国・地域の競争法当局による審査の完了などを実行の前提としているが、日本と中国の関係当局による企業結合審査の完了までに要する時間がかかるとみて4度目の延期を決めた。

　イエメンの反政府勢力による紅海周辺での船舶攻撃で中東・南アジア（MESA）発の航空貨物運賃が上昇を続けている。航空貨物マーケットデータを収集・分析しているワールドACDのデータによると、5月の平均は2.78ドル/kgで前年同月比47％の上昇、貨物量も17％増加した。とくに欧州向けは月間平均のスポット運賃が3.35ドル/kgと前年同期の2倍以上に達し、最後の週（22週）は128％の上昇となった。
　欧州向け運賃の急騰はインドとバングラデシュ発貨物が牽引しており、5月のインド発スポット運賃は160％増の3.78ドル、バングラデシュが189％増の4.38ドルと3倍近くにも達し、ドバイ、スリランカ発もそれぞれ2.95ドル、2.28ドルと前年同月の約2倍となる上昇曲線を描いている。
　アジア太平洋地域発の貨物もMESAほどではないものの5月の輸出量が21％増加、運賃は12％増となり今年に入ってもっとも高い伸び率を記録した。

　日本航空（JAL）は、24年度上期の貨物専用機路線便数計画に成田＝大連線を新たに追加、6月18日から週1便で開始する。機材はすべて自社のボ－イング767フレイタ－で運航する。
　運航スケジュ－ルは毎週火曜日成田9時20分発、大連11時40分着。帰りは大連同日13時50分発、成田17時55分着となる。
　これにより、国際貨物便サ－ビスの夏期運航スケジュ－ルは成田－台北（桃園）－中部－ソウル（仁川）－成田（週5便）、成田－中部－上海（浦東）－成田（週5便）、成田－上海（浦東）（週2便）、成田－香港（週1便）、成田－天津（週5便）に大連線を加えて週19便となる。

　JALと配送事業者のルーフィは、物流業界の「2024年問題」により物理的な輸送力の不足が見込まれる中、JALのスピーディな輸送力とルーフィの常温、冷蔵、冷凍の3温度帯品質管理配送を組み合わせ、特産品の鮮度を維持しつつ空陸一貫輸送に特化した新配送サービスを6月17日から開始する。新サービスは大阪国際（伊丹）空港を拠点とするジェイエア（J-AIR）のエンブラエル型機材の運航便を利用し、「J-AIR直鮮サービス」として提供する。
　JALとルーフィは、20年12月1日から国内主要7空港と全国の陸路をつなぐ空陸一貫の新配送サービスとして、ルーフィが運営するビジネス便に特化した配送のマッチングシステム「ハコブリッジ」とJALの国内線ネットワークを組み合わせて「ハコJET」命名し、ハコブリッジの一機能として提供している。

　近鉄エクスプレス（KWE）は、インターナショナル・エアラインズ・グループの貨物部門であるIAGカーゴと、持続可能な航空燃料（SAF）の利用拡大に関する契約を締結した。
　今回の契約で、64万リットルのSAF環境価値を購入し、サプライチェーンにおけるスコープ3排出量を削減する。このSAFはISCC（International Sustainability & Carbon Certification）の認証を受け、使用済み食用油と食品廃棄物から製造するもので、従来のジェット燃料と比較してライフサイクル排出量の90％以上を削減する
　KWEの鳥居伸年社長は、「昨今世界各地で発生している甚大な自然災害を目にする時、いよいよ世界的な気候の "転換点 "に近づいていると感じざるを得ない。世界の温室効果ガス排出量の約20％を占める運輸セクターの企業として、私たちは業界全体で脱炭素化に向けたより実質的な取り組みをさらに加速させなければならない。SAFは、航空貨物輸送に由来する温室効果ガス排出（スコープ3）を削減する最も効果的な方法で、長年のビジネス・パートナーであるIAGカーゴと業界の脱炭素に向けて協力できることを誇りに思うとともに、大変嬉しく思う」と述べた。
　IAGカーゴ サステナビリティ・マネージャーのサリーム・サイード氏は「今回のKWEとの契約は、アジアで初めてのSAFパートナーシップで、KWEのサプライチェーンにおけるスコープ3排出量削減への対応をサポートできることを大変嬉しく思う。私たちは環境への影響を最小限に抑え、航空貨物業界のより広範なサステナビリティ目標に積極的に取り組んでいる」と述べた。

　日本物流団体連合会（物流連）は5月29日に都内で、第5回高齢者活躍推進ワーキングチームを開催し、対面、オンライン合わせて19人が参加した。
　同WTは、業界で大きな課題となっている労働力不足について、対応策の一つとして期待されている、豊富な知識や経験を持つ高齢者の活躍について、そのために必要な対応策などの検討を目的としており、最終回となる今回は、2023年7月から実施してきた「物流事業者における高齢者活躍推進」に関する調査検討について、アンケートやヒアリングの調査などを踏まえて取りまとめた「物流事業者における高齢者活躍推進に向けた調査検討報告書（案）」の内容について事務局が説明し、意見・質問をへて承認した。
　WTの座長を務める東京女子大学の二村真理子教授は「高年齢者雇用安定法の改正から3年経ち、物流事業者の現状が確認できたことは非常に有意義だ。物流業界では今後ますます高齢者雇用は進むと思われる。高齢者活用のための工夫については、実施したヒアリングの中に様々なヒントが隠されている。物流業界は2024年問題をきっかけに、現在、社会から非常に注目を集めている。これを機に、高齢者のみならずすべての労働者が働きやすい環境を整えて行けば、持続可能な物流の構築が可能になるのではないか」と総括した。
　WTでまとめた報告書は、6 月中に発行する予定。

　日本GLPは、神奈川県川崎市で延べ床面積約20万5,000m2、収容能力約17.6万トンの国内最大級の冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設「GLP 川崎Ⅱ」の開発を発表した。同プロジェクトは、みずほリースグループのエムエル・エステートが所有する土地に、日本GLPが施設を開発する。同施設は、地上5階建て、常温、冷凍、冷蔵の3温度帯に対応した、最大35テナントの入居が可能な冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設として、2025年3月着工、27年8月末の竣工を予定している。最小区画は約2,600m2から賃貸が可能。
　地上5階建てで各階にアクセスが可能なダブルランプウェイを備え、庫内には中央車路を設置することで効率的な物流オペレーションを実現。建設予定地は、冷凍・冷蔵物流施設が集積する川崎エリアに所在し、首都高速神奈川1号横羽線・浜川崎ICから約1.5km、大師ICから約4.6kmの距離に位置し、関東全域をカバーするほか、直線距離で羽田空港から約6.9km、川崎コンテナターミナルから約4.0kmと、海上・空輸を利用した輸配送拠点としても活用可能な立地だ。

　セイノーホールディングス傘下の九州西濃運輸（福岡市博多区）は、6月3日に福岡県小郡市に延べ床面積・約2,000坪の鳥栖ロジスティクスセンターをオープンした。
　同倉庫は、九州横断自動車道鳥栖ICから2.7km、九州自動車道JCTから約700mの場所に位置し、九州全域へのアクセスが可能な物流倉庫だ。九州最大規模の幹線輸送の便数を有する九州西濃運輸鳥栖支店と連携することにより、同倉庫から九州全域への翌日納品が可能だ。迅速な輸送で優れたリードタイムを提供することで、九州全域の物流ネットワークをカバーする。また、定温保管機能で商品ごとに温度と湿度を管理することができ、安定した保管が可能。商品の入出庫から保管、組み立て、仕分け作業、そして輸配送までワンストップで提供することで、顧客の物流負担（時間、コスト）を削減し、ストレスフリーな物流サービスを提供していく方針だ。

　三菱地所は、宮城県仙台市太白区郡山北目地区で、新しい物流システムに対応した高速道路IC直結の「次世代基幹物流施設」の開発計画を始動した。
　7日、仙台市、仙台市郡山北目土地区画整理組合設立準備委員会、三菱地所の三者間で同計画計画実現に向けた連携に関する覚書を締結した。三菱地所は、レベル4自動運転トラックなどの次世代モビリティの受け入れ可能な次世代型の物流施設を整備することでトラックドライバー不足という社会課題の解決を目指す「基幹物流構想」を掲げている。同計画で、2030年代前半を目途に延べ床面積約27万3,000m2の次世代基幹物流施設を東北圏に整備し、物流業界の人手不足解消や配送効率の高い物流ネットワーク構築を図るほか、国が2040年までに実現を目指す「フィジカルインターネット」の実現に寄与していく方針だ。
　同計画は、仙台駅から約6.3km、国道4号線・東北自動車道・仙台東部道路に接続する仙台南部道路の結節点・長町IC直結の物流施設を開発する。高速道路ICに直結した専用ランプウェイを設けることで、自動運転トラックや後続車無人隊列走行などの次世代モビリティが高速道路から一般道に下りることなく物流施設を利用可能な施設整備を目指す。レベル4自動運転トラックが建物内まで運行できるよう施設を整備するほか、現在実用化しているダブル連結トラックも受け入れ可能とする計画だ。将来的には東北圏における基幹物流施設として関東圏とネットワークを構築、物流IoTなどの最先端技術にも対応した中核物流拠点として、日本全国を結ぶ物流ネットワークである広域幹線物流システムを担っていく。

　東海運は中国現地法人の上海支店、東華貨運代理（青島）有限公司上海分公司は、サービス向上のため、事務所を上海市静安区万航渡路83号金航大厦903号室：Room 903, Jinhang Building, No.83 Wanhangdu Road, Jing'an District, Shanghai 20004, P.R.China）へ移転、6月3日から業務を開始した。

　NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、日本通運は5月に西日本医薬品センターで医薬品製造業許可1号区分「生物学的製剤等（製造工程の全部または一部）」を取得し、バイオ製剤などの製造工程における物流受託が可能になった。
　NXグループは、「NXグループ経営計画2028 - Dynamic Growth 2.0 "Accelerating Sustainable Growth〜持続的な成長の加速〜"」において、医薬品や医療機器を対象としたヘルスケア産業を重点産業と位置付け、医薬品物流の高度化・多様化するニーズに応えるべく国内外で安心・安全な医薬品サプライチェーンの構築に取り組んでいる。近年、創薬技術の発展は非常に速いペースで進んでおり、バイオ製剤などの新しい医薬品が次々と登場している。日本通運は、高度な品質管理が必要なこれらの医薬品物流にいち早く対応するため、西日本医薬品センターにて医薬品製造業許可1号区分を取得し、生物学的製剤などの製造サービスを開始した。また、国内4カ所の医薬品センター（東日本、西日本、九州、富山）では、医薬品製造業許可5号区分「包装・表示・保管」も取得し、医薬品に関わる取り扱い領域をさらに拡張した。
　西日本医薬品センターでの医薬品製造業1号区分取得により、生物学的製剤などの医薬品の取り扱いが可能になった。同センターで、モノクローナル抗体（抗原にあるたくさんの目印＜抗原決定基＞の中から1種類＜モノ＞の目印とだけ結合する抗体を、人工的にクローン＜クローナル＞増殖させたもの）やワクチンなどの製剤に関する一部製造工程の受託や製造所出荷判定、市場出荷判定が可能となった。製剤調達や販売領域物流、輸出など、さまざまな医薬品モダリティ（医薬品の創薬基盤技術の方法・手段の分類）のサプライチェーンに、医薬品物流プラットフォームでワンストップ対応できる。医薬品物流の全工程における温度やセキュリティや作業情報など、必要なデータの記録、管理が可能だ。

　阪急阪神エクスプレスは、世界の主要な空港・港湾、計189カ所のオペレーション状況が一目で分かる英文のサポートコンテンツ「Global Airport/Port Operation Status（G-APOS：ジーアポス）」を、同社ホームページ内で10日から公開した。
　G-APOS では、何らかの物流リスクを抱える地域が世界地図上で一目で確認でき、ページ下部では各国の空港・港湾ごとに「Normal」、「Mild/Moderate Risk」、「Severe Risk」の3段階のシグナルを色分け表示し、リスクを可視化している。さらに、各シグナルをクリックすると、現地の詳細情報を表示、世界中に広がる同社の現地法人、代理店の情報網を活用して情報をタイムリーに集約し、毎日（毎営業日）更新していく方針だ。気候変動の影響や社会情勢が変化する中で、貨物の発着地や経由地がどのような状況にあるのかをいち早く確認できることで、顧客に安心を提供していくとしている。同社は、約1年をかけて同コンテンツの開発に取り組み、今年1月からトライアルで公開してきたが、今回、本格公開となった。

日本郵船、商船三井、川崎汽船は7日、持分法適応会社のOcean Network Express（ONE）から配当金とし合計10億8,100万ドル（約1,694億円）を受領すると発表した。受領予定日は6月18日、日本郵船が4億1,100万ドル（約644億円）、商船三井と川崎汽船が各3億3,500万ドル（約525億円）で、各社が2025年3月期第1四半期（4～6月）個別決算に営業外収益として計上する予定。